アスベスト調査方法

アスベスト調査について

建築物等に使用されている建材に石綿が含有しているかの有無を、工事前に調査することを事前調査といいます。調査は石綿含有無しの証明を行うことから始まり、その証明ができない場合は分析調査を行うか、石綿含有とみなすことが基本となります。建築基準法など各種法律に基づき施工された石綿含有建材以外にも、改修や改造、補修などにより、想定できないような場所に石綿が使用されている場合があるため、見落とさないよう、建材等の使用箇所、種類等を網羅的に把握し的確な判断を行う必要があります。

事前調査の対象

①建築時期や規模、用途を問わず、全ての建築物・工作物の解体・リフォーム(改造・補修)工事を行う際は、アスベスト含有建材の有無を調査(事前調査)する必要があります。※建築物等の解体等工事を業者等に依頼しないで、自ら施工する場合も含みます。

②事前調査では、アスベスト含有建材(特定建築材料)の吹付け石綿(レベル1)、断熱材等(レベル2)、成形板等(レベル3)の有無を確認します。

対象となる主な建材

・アスベストを含有する吹付け材
・アスベストを含有する保温材
・アスベストを含有する成形板
・アスベストを含有する仕上塗材

事前調査の主な項目

・アスベスト含有建材の使用の有無
・アスベスト含有建材の種類
・アスベスト含有建材の使用個所
・アスベスト含有建材の量または面積

アスベスト調査の流れ

①書面調査

書面調査では、図面などの書面や聞き取りから情報をできる限り入手し、それらの情報からできる限り多く、石綿の使用の有無に関係する情報を読み取る必要があります。発注者や過去の経緯をよく知る施設管理者や工事業者等の関係者に対するヒアリング等により情報を入手することも重要です。それらにより、工事概要や建 築物等に関する情報のほか、建築物等に使用されている個々の建材を把握するとともに、得られた情報から石綿含有の有無の仮判定を行います。書面調査は、現地での目視による調査(現地調査)を効率的かつ効果的に実施できるよう準備を行うものです。書面調査は、調査対象建築物に係る情報を理解・把握することにより、現地での目視調査の効率性を高めるとともに、石綿含有建材の把握漏れ防止につながるなど、調査の質を高めるものであり、重要な工程です。これらの質と効率を高めるには、建築や建材などの知識が重要となります。

②現地調査(現地による目視調査)

設計図書や竣工図等の書面は石綿含有建材の使用状況に関する情報を網羅しているものではなく、必ずしも建築物の現状を現したものとは限らないことから、書面調査の結果を以て調査を終了せず、石綿の使用状況を網羅的に把握するため、原則として現地で目視調査を行うことが必要とされています。例えば、仕様を満たすため現場判断で設計図書と異なる施工をした場合や、設計図書には残っていない改修が行われている場合があります。そのため、書面調査はあくまで下調べに過ぎず、相違があれば、現地での目視調査の結果が優先されます。

現地での目視調査を踏まえ、建材の石綿含有の有無を判断します。判断は、読み取った建材情報と各種情報との照合による判断、分析による判定、石綿含有みなしと取り扱うことにより行います。石綿含有とみなす場合は、吹付け材や保温材等を作業基準のことなる成形板等や仕上塗材と扱わないよう注意が必要です。石綿含有とみなした場合は、当該解体等工事は石綿含有建材の除去等に該当することはもちろん、当該建材が廃棄物となった際に廃石綿等又は石綿含有産業(一般)廃棄物として扱うことになります。

見落としやすい例

内装等の内側に石綿建材が隠れている例や、一区画のみ石綿建材が使用され見落としやすい例があります。

a 内装仕上げ材(天井ボード、グラスウールやセメント板等)の下に石綿含有吹付け材が存在する例(過去の囲い込み工事等による)
b 石綿含有吹付け材の上からロックウール(石綿含有無し)が吹き付けられる例
c 耐火建築物、鉄骨梁への耐火被覆吹付けロックウール施工時に他部材へ吹きこぼれた例(または、これらを見落とし、天井上吹付けロックウール等の脱落・堆積物を見逃す例)
d 鉄骨造の柱・梁に石綿含有吹付け材が存在しその内装仕上げ材としてモルタル等が使われている例
e 鉄骨造の柱に吹き付けられた石綿含有吹付け材の周囲をブロック等で意匠的に囲われている例

③採取

分析を行うこととなった建材の試料採取については、目的とする分析対象を採取できるよう同一材料と判断される建築材料ごとに、代表試料を選定し、採取しなければなりません。一般に分析は、分析対象の代表性と変動性(均一性)を考慮したものとすべきであり、建材の石綿分析においては、具体的には、現地での目視調査において同一と考えられる範囲を適切に判断し、試料採取において建材にムラがあることを考慮しなければなりません。例えば、吹付け材であれば、色違いの部分や複数回吹付けがなされた場合は、それぞれの施工部位を別の建材と判断する必要があります。また、吹付け材の場合であれば、試料採取は該当する吹付け面積を3等分し、各区分から1個ずつサンプルを採取する必要があります。試料採取箇所の判断を適切に行う観点から、石綿に関し一定の知識を有し、的確な判断ができる者が採取箇所の判断を行うことが重要です。

④分析調査

大防法及び石綿則において、石綿含有ありとみなす場合を除き、石綿含有の有無が不明な場合は分析を行うことが義務づけられています。分析方法は、日本工業規格(JISA 1481 規格群をベースとし、その実施に当たっては、厚生労働省の「石綿則に基づく事前調査のアスベスト分析マニュアル」の記載内容を優先する必要がある点に留意する必要があります。これに基づく石綿分析の流れとしては、まず、建材中の石綿の含有の有無を調べるための定性分析を行います。定性分析で石綿が含有していると判定された場合は、含有率を調査するための定量分析を行い、建材中の石綿の含有率(0.1%以下か否か)を確定させます。ただし、定性分析で石綿ありと判定された場合において、定量分析を行わずに、石綿が 0.1%を超えているとして扱うことも可能です。なお、吹付け材については、ばく露防止措置を講ずる際の参考とするための含有率を調査するための定量分析を行うことが望ましいとされています。

⑤報告書の作成

大防法上、特定粉じん排出等作業の届出は発注者に義務づけられており、当該作業に該当するか否か、発注者に報告するための書面を作成することになります。事前調査による記録から、事前調査の結果報告書を作成します。改修工事や今後も建築物等を使用する場合の石綿の除去等については、事前調査の範囲が建築物の工事関連箇所のみとなり、事前調査の報告書も当該箇所のみの結果となります。改修工事等の事前調査の結果が、将来解体等する場合に、調査結果が誤って流用されないよう、調査を実施した範囲、調査対象建材、石綿含有建材の有無と使用箇所について図面や概略図で具体的な場所がわかるように記録を報告書に添付することが必要です。なお、関係者間での情報共有のため、解体の場合であっても、報告書には事前調査の記録を添付することが望ましいです。また、破壊しないと調査できない場所であって解体等が始まる前には調査できなかった場所があった場合については、発注者にあらかじめ報告するため報告書に明記する必要があります。

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アスベスト解体による事前調査の流れについて

解体業を始める前には、建設業許可または解体工事業登録を行う必要があります。解体工事業登録をしていれば、建設業許可がなくても解体工事は可能となります。しかし、建築物や工作物を解体または解体を含む建設工事の請負金額が500万円(税込)以上を施工する場合は、建設業許可が必要となります。建設業許可は建設業法、解体工事業登録は建設リサイクル法に基づく許認可です。

解体工事業登録に関する資格一覧

①1級建築士

1級建築士とは、国土交通大臣から認可を受けた国家資格です。1級建築士は、1級というだけあり、建築できる建造物に制限がなく、取り扱える建築物の規模が大きいため、2級建築士と比べて設計業務の内容も高度かつ多岐に渡ります。設計業務は「構造設計」「設備設計」「意匠設計」の3つに分けられます。

②2級建築士

2級建築士とは、建築基準法によって定められた、都道府県知事より認可された国家資格です。この資格を取得すると、建築のプロとして認められ、戸建住宅などの建築物の設計や工事管理などを請け負うことができるようになります。ただし、建物の構造や高さ、面積により、建築できる建造物に制限があります。2級建築士の仕事内容は主に「設計業務」と「工事管理業務」の2つです。

③1級建設機械施工技士

建設機械施工管理技術検定試験は、建設工事の機械化施工に従事する技術者の技術の向上を図ることを目的とし建設業法第27条第1項に基づき国土交通大臣指定機関が実施する国家試験です。各種建設機械を用いた施工(トラクター系建設機械操作施工法、ショベル系建設機械操作施工法、モーターグレーダー操作施工法、締固め建設機械操作施工法、舗装用建設機械操作施工法、基礎工事用建設機械操作施工法、建設機械組合せ施工法)における指導や監督的業務を行うことができます。

④2級建設機械施行技士

2級は第1種から第6種に分かれそれぞれの機械を用いた施工において、運転・施工の業務に携わり、各機種の運転技術者、また一般建設業の現場の主任技術者として施工管理を行うことができます。
第1種 ブルドーザー(トラクター系建設機械操作施工法)
第2種 油圧ショベル(ショベル系建設機械操作施工法)
第3種 モーターグレーダー(モータ・グレーダー操作施工法)
第4種 ロードローラー(締固め建設機械操作施工法)
第5種 アスファルトフィニッシャ(舗装用建設機械操作施工法)
第6種 アースオーガー(基礎工事用建設機械操作施工法)

⑤1級土木施工管理技士

土木施工管理技士は、国土交通省管轄の国家資格のうちの1つです。1級土木施工管理技士は河川、道路、橋梁、港湾、鉄道、上下水道、などの土木工事において、主任技術者または、監理技術者として施工計画を作成し、現場における工程管理、安全管理など工事施工に必要な技術上の管理などを行うことができます。

⑥2級土木施工管理技士

2級土木施工管理技士は土木、鋼構造物塗装、薬液注入に分かれ、それぞれの種で河川、道路、橋梁、港湾、鉄道、上下水道などの土木工事において、主任技術者として施工計画を作成し、現場における工程管理、安全管理など工事施工に必要な技術上の管理などを行うことができます。

⑦1級建築施行管理技士

建築施工管理技士技術検定制度は、建設業法第27条に基づき、国土交通大臣指定機関が実施する国家試験です。1級建築施工管理技士の資格を取得すると、特定建設業の「営業所ごとに置く専任の技術者」及び現場に配置する「監理技術者」として認められます。

⑧2級建築施行管理技士

2級建築施工管理技士の資格であれば、一般建設業の許可を受ける際に必要な「営業所ごとに配置する専任の技術者」及び「建設工事における主任技術者」として認められる等、施工管理に携わる方には必要不可欠な資格です。

⑨1級とび・とび工

とび技能士は、鳶作業の段取りから仮設建設物の組み立てと解体、掘削、土止めなど、鳶職の仕事全般に関する技能を認定する国家資格です。技能検定に合格すると1級は厚生労働大臣名の合格証書が交付され、技能士を称することができます。

⑩2級とび・とび工

2級は各都道府県知事名の合格証書が交付され、技能士を称することができます。

⑪解体工事施工技士

解体工事施工技士は、国土交通省管轄の国家資格で、500万円以下の解体工事を行うための解体工事業の登録及び施工に必要な技術管理者になることができます。

解体工事の技術資格一覧

①車両系建設機械(整地・運搬・積込及び掘削)の運転

機体質量3t以上の車両系建設機械(整地等)の運転作業に従事する方は、労働安全衛生法に基づく運転技能講習を修了しなければならないことが義務づけられています。

②車両系建設機械(解体用)の運転

機体質量3t以上の車両系建設機械(解体用)の運転作業に従事する方は、労働安全衛生法に基づく運転技能講習を修了しなければならないことが義務づけられています。

③職長・安全衛生責任者教育

労働安全衛生法第60条で、新たに職務に就く職長、又は作業を直接指揮・監督する方は、安全又は衛生のための教育を受講することが義務付けられています。

④クレーン運転業務特別教育

クレーン等安全規則第21条により、事業者は、つり上げ荷重5トン未満のクレーンまたはつり上げ荷重5トン以上の跨線テルハの運転業務に就かせる労働者に対し、特別教育の実施が義務付けられています。

⑤ガス溶接技能講習

労働安全衛生法により、ガス溶接技能講習修了の資格がなければ、可燃性ガス及び酸素を用いて行う金属の溶接、溶断又は加熱の業務に従事することができないとされています。(労働安全衛生法第61条、同施行令第20条第10号、別表第18第28号)鋼材などを切断するだけの場合でも、ガス溶接技能講習の修了証が必要でとなります。

⑥玉掛け技能講習

つり上げ荷重1トン以上のクレーン、移動式クレーン若しくはデリック、揚貨装置による玉掛作業に従事するには「玉掛け技能講習」を修了することが必要となります。

⑦コンクリート造の工作物の解体等作業主任者講習

労働安全衛生法により、高さが5m以上コンクリート造の工作物の解体作業等を行う場合はコンクリート造の工作物の解体等作業主任者を配置しなければならないとされています。コンクリート造の工作物の解体等作業主任者技能講習を修了した者でなければ、コンクリート造の工作物の解体等作業主任者の業務を行う事が出来ません。

⑧特定化学物質等作業主任者技能講習

「特定化学物質作業主任者」は、作業に従事する労働者が特定化学物質により汚染され、またはこれらを吸入しないように、作業の方法を決定して労働者を指揮することができます。また、局所排気装置、プッシュプル型換気装置、除じん装置、排ガス処理装置、排液処理装置その他労働者が健康障害を受けることを予防するための装置の点検を行い、保護具の使用状況を監視する等の職務を行う責任者です。

⑨木造建築物の組立て等作業主任者講習

木造建築物の組立て等作業主任者は、労働安全衛生法に定められた作業主任者(国家資格)のひとつであり、木造建築物の組立て等作業主任者技能講習を修了した者の中から事業者により選任されます。軒の高さが5m以上の木造建築物の構造部分の組立て、屋根下地や外壁下地の取り付けなどにおいて、安全面などの監督・指導にあたる責任者となります。

⑩建築物等鉄骨の組立て等作業主任者技能講習

建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者は、労働安全衛生法に定められた作業主任者(国家資格)のひとつであり、建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者技能講習を修了した者の中から事業者により選任されます。建築物の骨組み又は塔であって、高さが5m以上である金属製の部材により構成されるものの組立て、解体又は変更の作業を行う場合において労働災害の防止などを行います。

⑪足場の組立て等作業主任者技能講習

ゴンドラのつり足場を除くつり足場、張出し足場又は高さが5メートル以上の構造の足場の組立て、解体又は変更の作業を行うには、事業主は足場の組立て等作業主任者技能講習を修了した者を作業主任者として選任し、その者の指揮のもとに作業を行わせなければならないとされています。

⑫アスベスト建築物の解体・改修工事における石綿障害の予防特別教育

アスベスト等が使用されている建築物、工作物または船舶の解体等の作業(石綿則第4条)を行う際、アスベストによるばく露により肺がんなどの重度な健康障害を引き起こす危険性があることから作業を行う従事者には、特別教育(安衛則第36条37号)の修了者を就かせることが事業者に義務付けられています。

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土壌汚染対策工事にかかる費用の相場やその増減要因について

これまでの記事では、土壌汚染調査から対策工事に至るまでの全体の流れや、土壌調査・対策工事の3つのフェーズ、①地歴調査②状況調査・詳細調査(表層土壌調査・ボーリング調査)③土壌汚染対策工事の概要、フェーズ1の地歴調査、フェーズ2の状況調査・詳細調査のそれぞれに必要な費用の目安について解説してきました。今回の記事では、フェーズ3の土壌汚染対策工事にかかる費用の相場やその増減要因について、詳しく解説いたします。

土壌汚染対策工事の概要

フェーズ2までの調査で汚染の範囲と深度を特定することができたら、いよいよフェーズ3の土壌汚染対策工事に入ります。土壌汚染対策工事には、大きく分けて区域外処理と区域内処理の二種類があり、予算や作業環境、対象の特定有害物質の種類によって最適な施工方法が異なります。以下では、土壌汚染対策工事の方法について概説いたします。
『土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン(改訂第2版)』によれば、土壌汚染対策工事における汚染の除去等の工程は、汚染が確認された部分の土壌(基準不適合土壌)を掘削して区域外の汚染土壌処理施設で処理する「区域外処理」と、基準不適合土壌の掘削の有無に関わらず区域内で浄化等の処理や封じ込め等の措置を行う「区域内措置」の2つに区分されます。また、後者の「区域内措置」はさらに、基準不適合土壌の掘削を行い、かつ汚染土壌処理施設への搬出を行わない「オンサイト措置」と、基準不適合土壌の掘削を行わず原位置で汚染の除去をする「原位置措置」に分けられます(1)。

図 1環境省 『土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン(改訂第2版)』より

土壌汚染対策工事(区域外処理)の費用

土壌汚染対策工事は、汚染土壌に含まれる特定有害物質の種類や、敷地の広さや形状、地下水の有無、予算や工期の長さ、対策後の土地の用途等によって、最適な施工方法が異なります。このように、変動要素が多いため、必要な予算は個々のケースによって大きく異なります。

前述した通り、汚染土壌の処理方法は「区域外処理」と「区域内処理」の2つに大別されます。このうち、「区域外処理」に該当する掘削除去工事は、最もポピュラーな土壌汚染対策工事の方法であり、汚染土壌を重機で掘削し、区域外の処理施設へと搬出後、代わりに成分分析によって安全性の確認された健全土を埋め戻すもので、全ての種類の特定有害物質に対処できる上に、短い施工期間で迅速かつ確実に汚染土壌を取り除くことができます。しかし、後述する「区域内処理」の方法に比べると、施工コストが高くなります。土壌汚染対策工事は、対象となる土地の状態や調査結果によって、施工費用は大きく異なるため、あくまで目安となりますが、掘削工事を行う場合には、汚染土壌の処分費や埋め戻し作業費、運搬費を含めて、1㎥あたり、3万円~10万円以上が相場とされています。
掘削除去工事の費用が大きく変動する要素としては、主に土地の形状や広さ、近隣の条件、汚染の状況などが挙げられます。たとえば、10トンダンプトラック等の大型車両の乗り入れが不可能な狭隘地では、2tトラック等のより小型の車両で何度も作業地と処理施設を往復することになるため、運搬費が高くなります。また、処分する土壌に塩分が含まれている場合や、異常な高濃度汚染土壌である場合、油やVOC(揮発性有機化合物)との複合汚染がある場合等には、汚染土壌の処分費は増加します。
汚染土壌処理費用の相場は、重金属汚染土壌を掘削して区域外施設で処分する場合、運搬費を含めて12000円/トン~17000円/トンであるとされています(2)。また健全土の埋め戻し費用は、地山からの切土で10トンダンプトラックなどの大型車両での搬入が可能である場合、整地工事まで含めて10000円/トン~15000円/トンが相場といわれています(3)。土の単位体積重量をt/m3で表すと、1.3~2.1t/m3(土地の種類や状態によって変動)となります。そこで、土の比重を便宜的に1.7t/m3と置いて、いま述べた1トン当たりの処理費・埋め戻し費を1㎥あたりの費用に換算すると、汚染土の処理費用が20000円/1㎥~30000円/1㎥、埋め戻し費用が17000円/1㎥~26000円/1㎥ほどになります。

土壌汚染対策工事(区域内処理)の費用

環境省が発行している『区域内措置優良化ガイドブック― オンサイト措置及び原位置措置を適切に実施するために―』によると、土壌汚染対策工事の区域内措置には、汚染された土壌等を適切に管理する「管理型」の対策と、対象地から汚染を取り除くもしくは浄化する「除去型」の対策があります(4)。
「管理型」の対策としては、遮水壁、難透水性地盤、舗装等によって汚染土壌をそのままの状態で封じ込め、特定有害物質が広がることを防止する「原位置封じ込め」や、汚染土壌に薬剤を注入・撹拌し、特定有害物質が地下水などに溶け出さないように処理を施す「原位置不溶化」、汚染土壌の表面を被覆することで人への曝露を物理的に遮断する「舗装」「盛土」「立入禁止」等があります。「浄化型」の対策は、掘削を伴い区域内で有害物質の抽出・分解等の措置をする「オンサイト浄化」と、土壌の掘削を行わずに原位置で特定有害物質を取り除く「原位置浄化」に分けられます。原位置浄化の方法には、吸引装置を使って土壌中に含まれる特定有害物質を回収する「土壌ガス吸引」、汚染土壌に水や薬剤等を注入して、特定有害物質を溶け出させた後、揚水等によって回収する「原位置土壌洗浄」等があります。
「原位置封じ込め」や「盛り土・舗装」等の管理型の対策をする場合には、大規模な工事が不必要であるため、掘削除去工事を行うケースよりも費用が安く、10000円/1㎥~20000円/1㎥ほどが相場となります。しかし、施工後の適切な維持管理が必要となり、対策後の定期的な監視モニタリングが必要です。また、除去型の対策については、「オンサイト浄化」は、大規模な掘削除去工事と比較すると基本的にコストは安くなりますが、大型のプラントを現地に設置するため、汚染土壌の土量が少ない場合には割高となります。「原位置浄化」は、大掛かりな設備が不要であるため掘削を伴う工法よりも安価な措置となりますが、施工期間が長く、定期的なモニタリングが必要となります。一般的に、区域内措置の場合、掘削除去工事を伴う区域外処理よりも施工費は比較的安くなります。たとえば、汚染の深度が浅い原位置浄化の場合、1㎥あたり2万円~3万円ほどの費用で収まる場合もあります。一方で、区域内処理を行うためには、汚染物質の溶出量基準や含有量基準等の適用条件をクリアする必要があり、また、土壌を丸ごと入れ替える掘削除去工事とは違い、それぞれ対象となる特定有害物質の種類が限定的です。

株式会社エコ・テックの土壌汚染調査及び対策工事について

株式会社エコ・テックでは、調査・分析だけでなく対策方法のプランニングや土地の活用方法のご提案まで、土壌汚染の専門家として様々なアドバイスを行っています。土壌汚染にまつわる一連の問題解決に向け、調査から浄化、リサイクルまで、トータルで承ります。全国(東京・名古屋・大阪・岡山・福岡等)で、無料相談・無料見積もりを実施しておりますので、土壌汚染に関するご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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解体工事の登録に必要な要件について

建設工事に係る資材の再資源化に関する法律(通称:建設リサイクル法、建設資材リサイクル法)第二十一条の規定により、解体工事業を営もうとする者は、解体工事を行おうとする区域を管轄する都道府県知事の登録を受けなければなりません。解体工事業の登録をしていると、建設業許可がなくても、請負金額が500万円(税込)未満の解体工事を行うことができるようになります。請負金額が500万円(税込)以上の解体工事を請け負うためには、解体工事業の登録に加えて、建設業許可が必要となります。また、請負金額に関わらず、解体工事を請け負うためには解体工事業の登録が必須となります。
今回の記事では、解体工事業の登録に必要な要件、申請先や提出書類、費用や有効期間について説明いたします。

解体工事業の登録に必要な要件

解体工事業の登録を受けるためには、必要な要件は2つあります。
①技術管理者の設置
②登録の拒否事由(欠格要件)に該当しないこと
です。また、解体工事業の登録は、解体工事を施工する都道府県ごとに申請が必要です。
解体工事業の登録のために配置が必要な技術管理者は、解体工事現場の安全管理、廃棄物処理や建設資材のリサイクルについての監督・指導をする役割を持ちます。技術管理者であると認められるためには、国土交通省令で定める要件を満たしている必要があります。技術管理者の登録要件は、都道府県によって異なる場合があるので、注意が必要です。以下では、大阪府住宅まちづくり部建築振興課の『解体工事業登録申請等の手引き』(令和3年10月改訂版)の内容に沿って、技術管理者の要件について説明していきます(1)。

技術管理者の要件

技術管理者の登録には、
①必要な実務経験年数を満たすこと、
もしくは②特定の資格を持っていること、
のいずれかが必要になります。①は建設リサイクル法の第三十一条、②は同法の第二十四条で定められています(2)。
技術管理者に必要な実務経験年数については、解体工事の実務経験でなければいけません。実務経験の証明者が証明期間に建設業許可業者(木工事業、建築工事業、解体工事業)または解体工事業登録業者でなければ、実務経験として認められないため、注意が必要です。また、技術管理者となるために必要な実務経験年数は、学歴によって異なります。
①大学、高等専門学校で土木工学科等を卒業後、2年以上の実務経験を有する者、
②高等学校で土木工学科等を卒業後、4年以上の実務経験を有する者、
③学歴・資格の有無を問わず、解体工事に関して8年以上の実務経験を有する者、
これらが、技術管理者となるために必要な実務経験年数となります。なお、①②で言うところの土木工学科等には、土木工学(農業土木、鉱山土木、森林土木、砂防、治山、緑地、造園に関する学科を含む)、都市工学、衛生工学、交通工学、建築学に関する学科が該当します。①②③のいずれの場合においても、公益社団法人全国解体工事業団体連合会が実施する「解体工事施工技術講習」を受講した者は必要な実務経験期間がそれぞれ1年短縮されます。
また、実務経験が以上の基準を満たしていなくても、国が定めた特定の資格を保有している場合、技術管理者を務めることができます。保有者が技術管理者として認められる資格とは、
①建設業法による技術検定(一級建設機械施工技士、二級建設機械施工技士(第一種又は第二種)、一級土木施工管理技士、二級土木施工管理技士(土木)、一級建築施工管理技士、二級建築施工管理技士(建築又は躯体))、
②技術士法による第二次試験(技術士「建設部門」)
③建築士法による建築士(一級建築士、二級建築士)
④職業能力開発促進法による技術検定(一級とび+とび工、二級とび+解体工事実務経験1年、二級とび工+解体工事実務経験1年)、
⑤国土道交通大臣が指定する試験(解体工事施工技士試験合格者)です。

解体工事業登録の拒否事由について

繰り返しになりますが、解体工事業の登録を受けるためには、
①技術管理者の設置
②登録の拒否事由(欠格要件)に該当しないこと、
の二つの要件を満たす必要があります。以上に述べた要件を満たす技術管理者を配置していても、「建設工事に係る資材の再資源化に関する法律」第二十四条の登録の拒否事由(欠格要件)に該当してしまうと、解体工事業の登録を行うことができません。また、申請書や添付書類の重要な事項について虚偽の記載がある場合、もしくは重要な事実の記載が欠けている場合にも、登録は拒否されてしまいます。また、同法第三十五条の規定により、不正な手段による登録や、虚偽の届出が発覚した場合には、登録が取り消され、半年以内の事業の一部もしくは全部の停止が命じられる場合があります。
解体工事業登録の拒否事由は、以下の9つになります。
①解体工事業の登録が取り消され、その処分のあった日から二年を経過しない者、
②解体工事業の登録を取り消された法人において、その処分日の前30日以内に役員であり、その法人の処分日から二年を経過していない者、
③解体工事業の停止を命ぜられ、その停止の期間を経過していない者、
④建設リサイクル法に違反して罰金以上の刑に処せられ、その執行が終わってから二年を経過しない者、
⑤暴力団員である、もしくは暴力団員でなくなった日から五年を経過しない者、
⑥事業者が未成年者である、もしくはその法定代理人が拒否事由に該当する者、
⑦登録を申請する法人において、役員のうちに上記の拒否事由に該当する者があるもの、
⑧技術管理者を選任していないも者、
⑨暴力団員等の反社会的勢力がその事業活動を支配する者です。以上のいずれかに該当する場合は、解体工事業の登録を行うことはできません。

解体工事業の登録方法

解体工事業を営むためには、解体工事を行おうとする区域ごとに、その区域の都道府県知事の登録を受ける必要があります。解体工事業の登録先は、各都道府県で、大阪府の登録手数料は新規の場合で33,000円、更新の場合で26,000円となります。必要な提出書類は
①解体工事業申請書(規則様式第一号)、
②誓約書(規則様式第二号)、
③技術管理者の資格要件を確認する書類(実務経験証明書、卒業証書・資格証明書・解体工事施工技術講習修了証の写し等)、
④登録申請者の調書(規則様式第四号)、
⑤申請者の所在確認書類(商業登記簿謄本、住民票)、
⑥技術管理者の在籍を確認する書類(技術管理者の健康保険証、雇用保険証、給与台帳等)、
⑦営業所の所在地を確認する書類(賃貸契約書の写し、建物登記簿謄本等)、
⑧本人確認書類(運転免許証、パスポート等)
です。また、更新申請の場合は、解体工事業登録通知書の原本または写しも必要です。これに加えて、申請者が未成年者の場合には法定代理人の証明書の写しおよび住民票、代理人が申請する場合には委任状の原本が必要となります。
解体工事業の登録にかかる期間は、申請書の受理から4~5週間程度です。登録の有効期間は5年間で、登録を更新するためには有効期間満了の30日前までに更新手続きを行う必要があります。更新をしないまま有効期間が終わってしまうと無登録状態になるため、その状態で解体工事業を行った場合は「一年以下の懲役または五十万円以下の罰金刑」が課され、以後二年間解体工事業の登録をすることができなくなってしまうため、注意が必要です。また、商号、所在地、役員、技術管理者等に変更があった場合や、法人の合併、破産等によって廃業した場合、その日から30日以内に届け出が必要です。ほかに、解体工事業者の登録を受けた後、建設業法に基づく「土木工事業」、「建築工事業」、「解体工事業」の許可を受けた場合は、許可後30日以内に都道府県に通知書を提出しなければなりません。

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