アスベスト調査報告書について

大気汚染防止法の一部を改正する法律が令和2年6月5日に公布されました。建築物等の解体等工事における石綿の飛散を防止するため、全ての石綿含有建材へ規制を拡大するとともに、都道府県等への事前調査結果の報告の義務付け及び作業基準遵守徹底のための直接罰の創設等、対策を一層強化するものです。また、令和4年4⽉1⽇以降に開始する⼯事からは、一定規模以上の建築物や特定の工作物の解体・改修工事は、石綿含有の有無の事前調査の結果等を、あらかじめ、電子システムで報告することが義務になっています。事前調査や届出などの石綿障害予防規則に規定する措置を怠った場合、罰則規定(6月以下の懲役又は50万円以下の罰金)があるため、適切な対応が求められています。

報告が必要な工事(※石綿が含まれていない場合もその旨の報告が必要)

①解体部分の床面積が80m2以上の建築物の解体工事

※建築物の解体工事とは、建築物の壁、柱および床を同時に撤去する工事をいう

②請負⾦額が税込100万円以上の建築物の改修工事

建築物の改修⼯事とは、建築物に現存する材料に何らかの変更を加える工事であって、建築物の解体工事以外のものをいう

請負⾦額は、材料費も含めた⼯事全体の請負⾦額をいう

③請負⾦額が税込100万円以上の下記工作物の解体工事・改修工事

・反応槽、加熱炉、ボイラー、圧⼒容器

・配管設備(建築物に設ける給⽔・排⽔・換気・暖房・冷房・排煙設備等を除く)

・焼却設備

・煙突(建築物に設ける排煙設備等を除く)

・貯蔵設備(穀物を貯蔵するための設備を除く)

・発電設備(太陽光発電設備・⾵⼒発電設備を除く)

・変電設備、配電設備、送電設備(ケーブルを含む)

・トンネルの天井板 ・プラットホームの上家、鉄道の駅の地下式構造部分の壁・天井板

・遮⾳壁、軽量盛⼟保護パネル

複数の事業者が同一の工事を請け負っている場合は、元請事業者が請負事業者に関する内容も含めて報告する必要となります。また、平成18年9⽉1⽇以降に着⼯した⼯作物について、同⼀の部分を定期的に改修する場合は、⼀度報告を⾏えば、同⼀部分の改修⼯事については、その後の報告は不要です。

アスベスト事前報告システムとは

パソコン、タブレット、スマートフォンから、行政機関の開庁日や開庁時間にかかわらず、いつでも報告を行うことができます。1回の操作で、大気汚染防止法に基づく都道府県等への報告と労働基準監督署への報告を同時に行うことができ、複数の現場の報告も、まとめて行うことができます。なお、電子システムによる報告が基本となりますが電子システムを使用できない等やむを得ない場合は、書面での報告を行うことができますが、都道府県等及び労働基準監督署にそれぞれ提出する必要があります。石綿事前調査結果報告システムを利用するためには、認証システム(GビズID)により事前にアカウントを作成する必要があります。GビズIDでアカウントを取得することにより、複数の行政サービスにアクセスすることが可能になります。

▼石綿事前調査結果報告システムにログイン、GビズIDを作成は以下から行えます

https://www.ishiwata-houkoku.mhlw.go.jp/shinsei/

アスベスト事前調査について

・解体、改修工事を行う際には、その規模の大小にかかわらず工事前に解体・改修作業に係る部分の全ての材料について、石綿(アスベスト)含有の有無の事前調査を行う必要があります。

・事前調査は、令和3年(2021年)4月から設計図書等の文書による調査(設計図書等の文書が存在しないときを除きます)と、目視による調査の両方を行う必要があります。

・事前調査の結果については、令和3年(2021年)4月から事前調査の結果の記録を作成して3年間保存するとともに、作業場所に備え付け、概要を労働者に見やすい箇所に掲示する必要があります。

・令和4年(2022年)4月から、一定規模(解体工事の場合は解体部分の延べ床面積80㎡、改修工事の場合は請負金額が100万円)以上の解体・改修工事の場合、事前調査の結果を労働基準監督署に電子システムで報告することが必要となります。

・令和5年(2023年)10月からは、建築物石綿含有建材調査者などの一定の要件を満たす者が事前調査を行う必要があります。

【一定の要件】

1.建築物

①建築物石綿含有建材調査者講習の修了者

・特定建築物石綿含有建材調査者

・一般建築物石綿含有建材調査者

・一戸建て等石綿含有建材調査者(※一戸建て住宅及び共同住宅の住戸の内部に限る)

②令和5年(2023年)930日以前に日本アスベスト調査診断協会に登録され、事前調査を行う時点においても引き続き同協会に登録されている者

2.船舶

船舶石綿含有資材調査者教育(仮称)を受け、修了考査に合格した者

アスベスト事前調査の流れ

対象建物中にアスベスト含有建材が、いくつあるのか設計図書及び現地調査を行って検体数を算出し、分析調査を行います。建築物の解体に際してアスベストが使用有無の確認は事前に書面等を用いて調査を行い、不明なものについては現地調査を行います。それでも、不明なものに関しては、分析を実施し含有の有無を確認する必要があります。

①調査依頼

建築物所有者から調査業者へ調査依頼をします。

②調査計画

調査の目的、現場の立ち入り可否、建築物の使用用途、制約などの確認を行います。

③図面調査(書面調査)

図面調査では、図面などの書面や聞き取りから情報をできる限り入手し、それらの情報からできる限り多く石綿の使用の有無に関係する情報を読み取り、現地での目視による調査を効率的かつ効果的に実施できるよう準備を行います。図面調査は、調査対象建築物に係る情報を理解・把握することにより、現地での目視調査の効率性を高めるとともに、石綿含有建材の把握漏れ防止につながるなど、調査の質も高めるものであり、重要な工程となります。

④現場調査

設計図書や竣工図等の書面は石綿含有建材の使用状況に関する情報を網羅しているものではなく、必ずしも建築物の現状を現したものとは限らないことから、図面調査の結果を以て調査を終了せず、石綿の使用状況を網羅的に把握するため、原則として現地で目視調査を行うことが必要です。例えば、仕様を満たすため現場判断で設計図書と異なる施工をした場合や、設計図書には残っていない改修が行われている場合があります。図面調査はあくまで下調べに過ぎず、相違があれば、現地での目視調査の結果が優先されます。

⑤試料採取

分析を行うこととなった建材の試料採取については、目的とする分析対象を採取できるよう同一材料と判断される建築材料ごとに、代表試料を選定し、採取しなければなりません。

⑥分析調査

大法及び石綿則において、石綿含有ありとみなす場合を除き、石綿含有の有無が不明な場合は分析を行うことが義務づけられています。分析方法は、日本工業規格(JISA1481規格群をベースとし、その実施に当たっては、厚生労働省の「石綿則に基づく事前調査のアスベスト分析マニュアル」の記載内容を優先する必要がある点に留意する必要があります。まず、建材中の石綿の含有の有無を調べるための定性分析を行い、定性分析で石綿が含有していると判定された場合は、含有率を調査するための定量分析を行い、建材中の石綿の含有率(0.1%以下か否か)を確定させます。ただし、定性分析で石綿ありと判定された場合においては、定量分析を行わずに、石綿が0.1%を超えているとして扱うことも可能です。吹付け材については、ばく露防止措置を講ずる際の参考とするための含有率を調査するための定量分析を行うことが望ましいとされています。

⑦調査報告書

事前調査を行う業者は、書面調査、目視調査時の現場メモをもとに、事前調査の記録を作成します。その後、その記録をもとにして事前調査の報告書を受注者が責任者となりとりまとめ、大防法に基づき、発注者に書面で報告する必要があります。また、調査業者が受注者とは別の場合は、調査業者は、発注者、除去業者及び解体業者に対して、実際の現場において事前調査を行った範囲や内容について説明をする場を設けることが望ましいです。

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アスベスト調査費用の相場

アスベスト調査における費用の内訳としては、主に以下のものがあります。

・事前調査費用
・分析調査費用
・サンプル採取費用

上記の費用のほかに、調査報告書の作成費用がかかる場合があります。事前調査費用には、図面調査と現地調査の費用が含まれます。図面調査とは、建築された当時の図面を参考にしながら、建材にアスベストが含まれているどうかを調べることです。また、現地調査とは、図面調査の結果を元にして建物の外観や内部を目視で調査することを指します。目視で確認できない場合は分析調査を行います。分析調査費には定性分析と定量分析の費用が含まれます。定性分析とは、建材にアスベストが含まれているかどうかを分析する方法であり、定量分析とは建材にアスベストがどのくらい含まれているかを調べる方法です。そのため、定性分析でアスベストが含まれていることが判明した場合に定量分析を行います。定量分析はX線を利用して行いますが、より正確な分析を行うために建材から試料を採取して分析を行う場合があります。サンプルとしての試料を採取する場合は別途費用がかかります。自治体によってはアスベスト調査に関する補助も行っている場合があるので、必要に応じて利用するとよいです。

事前調査費用

書面調査(第一次スクリーニング):2~3万円(1現場につき)
現場調査(第二次スクリーニング):2~5万円(1現場につき)

事前調査とは、工事前に建築物等に使用されている建材のアスベスト含有の有無を調査することをいいます。調査はアスベスト含有無しの証明を行うことから始まり、その証明ができない場合は分析調査を行うか、石綿含有とみなすことが基本となります。
事前調査の第1段階は書面による調査(設計図書等の調査)です。図面などの書面や聞き取りから情報をできる限り入手し、それらの情報からできる限り多く、アスベストの使用の有無に関係する情報を読み取ります。現地での目視による調査を効率的・効果的に実施できるよう準備を行う必要があります。発注者や建築物の過去の経緯をよく知る施設管理者や工事業者等の関係者にヒアリングすることで、図面から読み取れない情報を得ることも重要です。書面調査は、調査対象建築物に係る情報を理解・把握することにより、現地での目視調査の効率性を高めるとともに、石綿含有建材の把握漏れ防止につながるなど、調査の質も高めるものであり、重要な工程となります。その後、書面調査の情報を元に現地にて目視調査を行います。書面にはのっていない箇所にアスベストが使用されていたり、見落とされがちな箇所もあるので、知識をもった専門家による調査をおすすめします。

分析費用

定性分析:3~6万円(1検体につき)
定量分析(X線回析分析法):3~6万円(1検体につき)
定性分析+定量分析:4~10万円(1検体につき)

アスベストの使用に関して、0.1%の含有を超えた吹付け材や保温材等の使用が禁止されています。その含有量を調べるために定性分析や定量分析といった手法が使用されます。 定性分析とは、吹付け材や保温材等に0,1%を超えたアスベストが含まれているか否かを調べる分析です。偏光顕微鏡法や位相差分散顕微鏡法・X線回析法といった方法によってアスベストの含有量を明らかにしていきます。アスベストの有無を分析した後で、アスベストが使用されていると判断された場合は定量分析を行って、その使用率を計算することになります。

アスベスト粉じん濃度測定費用

敷地内環境(総繊維数);5,000円前後(1カ所につき)
室内環境(総繊維数);5,000円前後(1カ所につき)
アスベスト除去工事現場(総繊維数);5,000円前後(1カ所につき)
分析走査電子顕微鏡法(アスベストの同定):1.5万円前後(1カ所につき)

アスベストの除去作業時やアスベストを使用している建築物の維持管理(室内環境モニタリング)、あるいは解体時などに空気中の繊維状粒子(アスベスト粉じん)の濃度測定を行います。

その他

アスベストの分類により調査費用が異なってきます。アスベストは発じん性によって3段階に分類されます。発じん性とは、外力を与えた際に飛散する度合いのことで、飛散しやすいものほどレベルの数値が低くなります。

レベル1:発じん性が著しく高い(成分分析が必要)

柱や梁、天井にアスベスト含有吹き付け材が吹き付けられていることが多く、この場合レベル1として分類され、作業を慎重に進めなければなりません。このためアスベスト除去費用が高くなりやすく、費用相場は1.5~8万円/㎡程度と考えるとよいです。

レベル2:発じん性が高い(成分分析が必要)

アスベスト含有保温材やアスベスト含有断熱材、アスベスト含有耐火被覆材はレベル2に分類され、建物の内壁や配管、柱に施工されていることが多いです。発じん性が高く、レベル1と同様に慎重に作業を進めなければなりません。解体費用相場は1万円~5万円/㎡程度が目安となります。

レベル3:発じん性が比較的低い(事前調査を行わずアスベスト含有建材として処分可能)

レベル3はその他アスベスト建材で、屋根材やサイディング外壁材にアスベストが採用されているケースが多いです。レベル3はレベル1やレベル2と比べると危険性は低いと言われており、手作業で除去工事が行われることもあります。このため、レベル3のアスベスト除去費用相場は0.3万円/㎡程度となります。30坪程度の住宅の屋根であれば10~20万円程度、外壁であれば20~30万円程度の費用がかかると考えておけばよいです。

アスベスト解体の補助金制度について

国土交通省は、民間建築物に対するアスベストに対して補助金制度を創設しています。 補助金の有無は地方公共団体(市区町村)によって、支給対象や支給額が異なるので、近隣の地方公共団体に確認・相談する必要があります。地方公共団体によって異なりますが、アスベスト解体の調査または除去に対して補助金が支給されます。

【アスベスト調査費用補助対象となる建築物】
・吹付けアスベスト
・アスベスト含有吹付けロックウール
・吹付けバーミキュライト
・吹付けパーライト

【補助金の金額】
1棟あたり25万円

大気汚染防止法及び石綿障害予防規則の改正により、建築物などの解体・改修工事を行う施工業者は、2022年4月1日以降に着工する一定規模以上の解体・改修工事について、アスベストの使用の有無に関する事前調査の結果を、労働基準監督署及び地方公共団体に報告することが義務付けられました。事前調査は、原則全ての解体・改修工事が対象となります。設計図書等の文書による調査と目視による調査の両方を行う必要があります。このうち、建築物において報告義務が生じるのは、解体部分の床面積の合計が80㎡以上の解体工事と、請負金額が税込み100万円以上の改修工事で、これには個人宅のリフォームや解体工事なども含まれます。なお、報告義務が発生しない場合においても、工事発注者に対して書面で調査結果を掲示する必要がある点に注意が必要です。事前調査については、現時点では建築物石綿含有建材調査者または(一社)日本アスベスト調査診断協会の登録者による調査が「望ましい」とされており、2023年10月以降に義務化される予定です。事前調査の結果、石綿が「有り」または「有りとみなす」となった場合は、法令等に基づき、適正な石綿飛散防止、ばく露防止等の措置を講じることが求められます。

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解体工事資格の経過処置について

平成26年6月4日に、「建設業法等の一部を改正する法律(改正建設業法)」が公布され、それまで「とび・土工・コンクリート工事業」に含まれていた「解体工事業」が29種目の建設業許可の業種区分として新設されました。
新たな建設業許可区分への移行期間として、それまで解体工事に携わっていたとび・土工工事業の許可業者、とび・土工・コンクリート工事業の技術者に対して、新設された解体工事業の営業許可を受けなくても、しばらくは当該営業を営むことができる経過措置期間が設けられました。解体工事業の新設に伴う経過措置期間については、「解体工事業の建設業許可」と、「解体工事業の技術者要件」に関するものでそれぞれ期間が異なります。
今回の記事では、建設業法改正の背景とその内容、解体工事業の新設に伴う法律上の変化や、建設業許可区分の変更に伴う経過措置について解説いたします。

建設業法改正の背景

建設業法の改正により、それまで28種類だった建設業許可業種に、解体工事業が新設され、29種目の許可業種となりました(建設業法第二条第一項の別表第一を参照)。改正前は、解体工事は「とび・土工・コンクリート工事業」に含まれており、とび・土工・コンクリート工事業の建設業許可を受けていれば解体工事を行うことができました。しかし、近年は高度経済成長期に造られた建築物や工作物等の老朽化が進行しており、解体工事現場における公衆災害・労働災害の増加や、防災面および環境面への配慮の必要性の高まりなどを背景として、平成26年6月4日公布の建設業法改正(平成28年6月1日施行)により、解体工事業は新たな建設業許可区分のひとつとして独立しました。この解体工事業の新設は、疎漏工事や公衆災害・労働災害を防止するとともに、専門工事業の地位の安定・技術の向上を目的としています(1)。解体工事は、現場の安全管理や建設産業廃棄物の処理、建築資材のリサイクル方法についての高度に専門的な知識・技術が要求されるということで、今回の業種区分や技術者資格の見直しに繋がりました。

建設業法改正による変更点

解体工事業を営もうとする者は、解体工事を行おうとする区域を管轄する都道府県知事の登録を受けなければなりません。解体工事業の登録をしていると、建設業許可がなくても、請負金額が500万円(税込)未満の解体工事を行うことができるようになります。請負金額が500万円(税込)以上の解体工事を請け負うためには、解体工事業の登録に加えて、建設業許可が必要となります。また、請負金額に関わらず、解体工事を請け負うためには解体工事業の登録が必須となります。
建設業法の改正に伴って、それまで「とび・土工・コンクリート工事業」の建設業許可で解体工事を行っていた許可業者や、解体工事業許可の新規申請をする業者は、新たに解体工事業の許可申請の手続きを行う必要があります。また、とび・土工・コンクリート事業の技術者が解体工事業の技術者とみなされるためには、登録解体工事講習および規定の実務経験年数の要件を満たさなければいけません。
解体工事業の許可を得るためには、技術力・経営能力・誠実性・財産的基礎が必要であり、①技術管理者の設置②登録の拒否事由(欠格要件)に該当しないこと、の二つの要件を満たす必要があります。また、解体工事業の登録は、解体工事を施工する都道府県ごとに申請が必要です。
解体工事業の技術管理者の登録には、

①必要な実務経験年数を満たすこと、もしくは

②特定の資格を持っていること

のいずれかが必要になります。①は建設リサイクル法の第三十一条、②は同法の第二十四条で定められています(2)。解体工事における監理技術者要件は、

①1級土木施工管理技士

②1級建築施工管理技士

③技術士(建設部門又は総合技術監理部門(建設))

④主任技術者としての要件を満たす者のうち、元請として4,500万円以上の解体工事に関し2年以上の指導監督的な実務経験を有する者

のいずれかの条件を満たすこととなります。
また、解体工事における主任技術者要件は、

①監理技術者の資格のいずれか

②2級土木施工管理技士(土木)

③2級建築施工管理技士(建築又は躯体)

④とび技能士(1級)

⑤とび技能士(2級)合格後、解体工事に関し3年以上の実務経験を有する者

⑥登録技術試験(種目:解体工事)

⑦大卒(指定学科)3年以上、高卒(指定学科)5年以上、その他10年以上の実務経験

⑧土木工事業及び解体工事業に係る建設工事に関し12年以上の実務の経験を有する者のうち、解体工事業に係る建設工事に関し8年を超える実務の経験を有する者

⑨建築工事業及び解体工事業に係る建設工事に関し12年以上の実務の経験を有する者のうち、解体工事業に係る建設工事に関し8年を超える実務の経験を有する者

⑩とび・土工工事業及び解体工事業に係る建設工事に関し12年以上の実務の経験を有する者のうち、解体工事業に係る建設工事に関し8年を超える実務の経験を有する者

のいずれかを満たすこととなります(3)。この経過措置期間中に新しい許可要件を満たせなかった場合、解体工事業許可は取り消し処分となります。なお、同法の施工日時点で許可を取得していない建設業者については、経過措置は適用されません。

建設業法改正に伴う解体工事資格の経過措置について

国土交通省「とび・土工工事業の技術者を解体工事業の技術者とみなすこととする経過措置期間の延長について」(https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/001394746.pdf)より

「建設業法等の一部を改正する法律(平成26年法第55号)」は、平成26(2014)年6月4日付けで公布され、平成28(2016)年6月2日に施工されました。解体工事業の新設に伴う経過措置期間は、「解体工事業の建設業許可」と、「解体工事業の技術者要件」でそれぞれ異なります。解体工事業の建設業許可については、施行日時点でとび・土工工事業の許可を受けて解体工事業を営んでいる建設業者は、令和元年(2019年)5月31日までの3年間は解体工事業の許可を受けずに解体工事を施工することが可能であるとされました。解体工事業の技術者要件については、令和3(2021)年3月31日までの5年間は、既存のとび・土工工事業の技術者も解体工事業の技術者とみなす経過措置が取られました(4)。解体工事業の技術者にまつわる経過措置については、新型コロナウイルス感染症の拡大による登録解体工事講習の受講機会の減少等を受け、経過措置期間が令和3(2021)年6月30日までに延長されました(5)。
解体工事業の建設業許可については、経過措置期間は令和3(2021)年3月31日で終了しました。また、解体工事業の技術者要件についても、令和3(2021)年6月30日に経過措置期間が終了しました。つまり、令和3(2021)年6月30日で、すべての経過措置期間が終了したことになります。

株式会社エコ・テックの解体工事、アスベスト・ダイオキシン対策について

株式会社エコ・テックは、大規模施設や大型建築物の解体工事も承ります。アスベスト対策工事・ダイオキシン対策工事の他、土壌汚染対策工事が必要な解体工事もトータルでご対応致します。豊富な実績と施工ノウハウにより、様々な解体工事のご相談を承っているエコ・テック。環境保全に伴う各種法令を熟知し、解体工事に必要な調査・対策工事などを適正価格・適正プランでご対応させていただきます。高い専門性が必要な大規模施設の解体工事もコンプライアンスを徹底し、安全かつ厳正な施工体制でお客様の期待にお応えします。全国(東京・名古屋・大阪・岡山・福岡等)で、無料相談・無料見積もりを実施しておりますので、土壌汚染に関するご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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土壌汚染調査の調査義務について

土壌汚染の調査義務が発生する場合について

土壌調査には、法的な義務による調査(法定調査)と、自主調査(任意調査)の2種類があります。土壌汚染の調査義務は、平成14年5月に成立・公布された土壌汚染対策法、または各都道府県が定める条例に該当する場合に生じます。土壌汚染対策法により調査義務が生じる条件には、以下の三つがあります。法的に義務付けられているこれらの調査は、対応する土壌汚染対策法の条文によって、それぞれ①3条調査、②4条調査、③5条調査とも呼ばれます。

① 特定有害物質を製造、使用又は処理する施設の使用が廃止された場合(3条)
② 一定規模以上の土地の形質の変更の際に土壌汚染のおそれがあると都道府県知事が認める場合(4条)
③ 土壌汚染により健康被害が生ずるおそれがあると都道府県知事が認める場合(5条)(1)

これらの場合には、原則的に土地の所有者が、必要な届出を提出し、土壌汚染の調査を依頼し、その調査結果を都道府県知事に報告する義務を負います。

環境省『土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン(改訂第2版)』より

3条調査について

3条調査は、水質汚濁防止法第二条第二項で定義されている有害物質使用特定施設(以下、特定施設と表記)を廃止する際に、行う必要がある調査です。特定施設とは、「特定有害物質をその施設において製造し、使用し、又は処理するもの(土壌汚染対策法第三条第一項)」を指します。特定有害物質は、水質汚濁防止法第二条第二項第一号で「人の健康に係る被害を生ずるおそれがある物質として政令で定める物質」とされており、土壌汚染対策法施行令によって鉛、砒素、トリクロロエチレン等、26種類の物質が特定有害物質として指定されています(土壌汚染対策法施行令第1条)。特定有害物質は、揮発性有機化合物の第一種特定有害物質、重金属等の第二種特定有害物質、農薬・PCB等の第三種特定有害物質の3種類に分類されています(2)。
26種類の特定有害物質の内訳は、第一種特定有害物質(揮発性有機化合物)がクロロエチレン(塩化ビニル又は塩化ビニルモノマー)、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、1,1-ジクロロエチレン(塩化ビニリデン)、1,2-ジクロロエチレン、1,3-ジクロロプロペン(D-D)、ジクロロメタン(塩化メチレン)、テトラクロロエチレン、1,1,1-トリクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、トリクロロエチレン、ベンゼンの12種類、第二種特定有害物質(重金属等)がカドミウム及びその化合物、六価クロム化合物、シアン化合物、水銀及びその化合物、セレン及びその化合物、鉛及びその化合物、砒素及びその化合物、フッ素及びその化合物、ホウ素及びその化合物の9種類、そして第三種特定有害物質(農薬、PCB)が2-クロロ-4,6-ビス-1,3,5-トリアジン、N,N-ジエチルチオカルバミン酸S-4-クロロベンジル(別名 チオベン カルブ又はベンチオカーブ)、テトラメチルチウラムジスルフィド(別名 チウラム又はチラム)、ポリ塩化ビフェニル(別名 PCB)、有機リン化合物(ジエチルパラニトロフェニルチオホスフェイト、ジメチルパラニトロフェニルチオホスフェイト、ジメチルエチルメルカプトエチルチオホスフェイト及びエチルパラニトロフェニルチオノベンゼンホス ホネイトに限る)の5種類となります(2)。

4条調査について

3000㎡以上の土地の形質の変更をする際には、各都道府県知事への届出が必要になりますが、その際に土壌汚染のおそれがあると認められた場合には、4条調査が義務付けられます。ここでの「土地の形質の変更」とは、アスファルトの敷設・引きはがし、道路工事、抜根、土壌の仮置き、建物解体に伴う基礎土壌の掘削、整地、埋蔵文化財調査、くい打ち等を指します(3)。掘削や盛り土の別を問わず、上記の土地の形状を変更する行為全般を行う面積の合計が3000㎡以上になる場合には、土地の形質の変更を行う30日前までに届出が必要となります。しかし、「形質変更の対象区域外への土壌の搬出」。「土壌の飛散または流出を伴う土地の形質の変更」、「形質変更に関わる部分の深さが50cm以上」のいずれにも該当しない場合には、作業面積に関わらず、届出の対象外となります。そのため、土壌を搬出しない農作業(耕起や収穫等)や、林業の作業路網の整備などは届出の対象外となります。また、非常災害のために必要な応急措置として行う行為の場合には、届出は必要ありません。

5条調査について

5条調査は、土壌汚染対策法3条および4条の規定にはあてはまらないが、「土壌汚染により健康被害が生ずるおそれがあると都道府県知事が認める場合」に行われます。対象となる土地の監督行政庁が発する調査命令によって、調査の範囲、特定有害物質の種類、報告の期限が定められ、人の健康被害が生ずるのを防ぐために調査および除去等の措置がとられます。
5条調査の対象となるのは、「土壌汚染が存在する蓋然性が高い土地であって、かつ、汚染があるとすればそれが人に摂取される可能性がある土地(4)」で、『土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン(改訂第2版)』によれば、「① 土壌汚染の蓋然性が高く、かつ、人の暴露の可能性があること」、「② 調査の命令の対象とならない土地でないこと」の条件を満たした土地が対象となります。
「① 土壌汚染の蓋然性が高く、かつ、人の暴露の可能性があること」について、具体的には、地下水経由の観点もしくは直接摂取の観点から判断がなされます。地下水経由の観点からの土壌汚染が明らかであるか、もしくは汚染のおそれがある土地については、当該土壌汚染に起因して現に地下水汚染が生じ、かつ、当該土地の周辺で地下水の飲用利用等がある場合に、5条調査の対象となります。また、直接摂取の観点からの土壌汚染が明らかであるか、もしくは汚染のおそれがある土地については、当該土地が人の立ち入ることができる状態となっている場合に調査の対象となります。
「② 調査の命令の対象とならない土地でないこと」について、義務調査の対象とならない土地には、「汚染の除去等の措置が講じられている土地」と、「操業中の鉱山及びその付属施設の敷地等」が該当します。
なお、土壌汚染状況調査の対象となる土地の基準は、土壌汚染対策法施行令第3条第1号及び第2号によって規定されています。

自主調査と義務調査

以上が、法的な義務による土壌調査の概要ですが、法的な義務がなくても、いくつかの理由から自主調査を行う場合があります。法的な義務に因らない自主調査の主な目的には、土地を担保に金融機関から融資を受けるための正確な担保価格の把握、土地売買の取引成立後のトラブル防止、土地の買い手への安全性のアピール等が挙げられます。特定有害物質を取り扱わない工場や、特定施設には含まれないガソリンスタンド等の跡地を売却する際など、取引成立後に訴訟トラブルになるリスクを無くすため、自主調査を行うケースがあります。一般社団法人土壌環境センターが会員企業100社を対象に行った『土壌汚染状況調査・対策』に関する実態調査結果(令和2年度)」によれば、対象企業が受注した土壌調査5,629件のうち、自主調査は4,673件にも上り、自主調査が土壌調査全体に占める割合は8割以上となっています(5)。

株式会社エコ・テックの土壌汚染調査及び対策工事について

株式会社エコ・テックでは、調査・分析だけでなく対策方法のプランニングや土地の活用方法のご提案まで、土壌汚染の専門家として様々なアドバイスを行っています。土壌汚染にまつわる一連の問題解決に向け、調査から浄化、リサイクルまで、トータルで承ります。全国(東京・名古屋・大阪・岡山・福岡等)で、無料相談・無料見積もりを実施しておりますので、土壌汚染に関するご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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