解体工事の単価表について

まず単価表ありき

解体工事の費用がいくらかかるか、おおまかに知るには単価表を見ることです。坪あたりいくら、撤去費用いくらなど明記されており、初めて工事を発注する人にとって便利なツールと言えます。しかし、中には「重機が使えないから工事が数日延びます」「クルマが横付けできないから、追加で費用が必要になります」とか、当初の見積もりが雪ダルマのように増えることも珍しくありません。

そこで単価表を見る前に、読み解く知識を身につけてからでも遅くはありません。工事は安全第一ですが、工事費の見積もりも安全第一に考えましょう。

総費用は?

解体工事費用を算出するには、解体に必要な「1坪あたりの単価」と「延べ床面積」を掛け算すると求められます。大体、坪単価は4〜5万円です。これは普通に工事が進捗して滞りなく終わったケースで、例えば、自動車を購入する際の〝本体価格〟のことと考えていいでしょう。つまり自動車の本革シートなどの〝オプション〟がない状態です。普通、クルマをオプションなしで購入する人は少数派です。同様に解体工事でもプラスアルファとなるオプション分も頭の中に入れておくべきです。

プラス分は「付帯工事費」です。

「解体工事費用」は「1坪あたりの単価」×「延べ床面積」+「付帯工事費」

となります。

ここで注意しなければならないのは、「1坪あたりの単価」に人件費や処分費が含まれているか、どうかです。人件費は工事の状況、例えば重機が道路から搬入できないことがわかった結果、人力で対応することになり、その費用が急きょ追加で加算されることがあります。

解体工事費はいくつかの項目に分けることができます。上記にある「1坪あたりの単価」×「延べ床面積」の式で求められる①「工事費」②廃棄物の処分代 ③養生費 ④重機などの利用代 ⑤車などによる運搬代 ⑥人件費 ⑦書類などの事務手数料 などです。

産業廃棄物の処分費なども「1坪あたりの単価」に含まれるか、どうか確認する必要があります。〝明朗会計〟にしてもらうようにきっちり事前に話をしておくべきです。廃棄物は売却後に見つかるとトラブルの元になりますから。

建物の立地条件によって変わる

○敷地

解体工事は建物の立地条件によっても大きく変わってきます。敷地の広さは言うまでもないですが、その敷地まで重機が運べるトラックが駐車できるか、そして重機が運び込めるのかといった条件をクリアしなければリーズナブルな費用は望めません。

○敷地前の道路形状

最低4tトラックが入れるスペースがないと重機が入れないので割高になります。ガラを運ぶために人の手配をしなければなりません。

それに周辺の状況、特に車の交通量や歩行者の数が多いと警備員(ガードマン)を雇わなければなりません。

○高低差

例えば、敷地内まで階段があったり、上り坂があったり、進入路が狭くなったりして運搬するトラックが長時間駐車することになります。その駐車許可を取りに役所へ行かなければなりません。それだけ費用が膨らむことになります。

○築年数

築年数の浅い場合は頑丈に作っているためです。築年数が長い建物でもリフォームをして強化している場合は、工事者に前もってその旨を伝えた方がいいでしょう。別に重機を発注することになりますが、後々発覚すると余計に工事期間が長くなりかねません。

○地中埋設物

井戸などは完全撤去した方がいいでしょう。地盤沈下の影響を受けたり、後々、訴訟になっては厄介です。

○養生費

都市部は隣の敷地と近いケースが考えられます。最低30センチ以上は必要とされています。30センチ以下なら、手作業での解体になります。

建物の構造によって費用が変わってくる

建物の構造は大きく3つに分けられます。安い順(いずれも1坪あたりの単価)に並べると以下のようになります。

①内装・外装解体

25,000円〜

②木造

30,000円 (25坪まで)
40,000円〜(26坪以上)

③鉄骨

35,000円 (25坪まで)
40,000円〜(26坪以上)

④RC(Reinforced Concrete)

40,000円 (25坪まで)
50,000円〜(26坪以上)

⑤ビル・アパート解体

40,000円〜

以上です。これらは重機が使える場合であって、人力に頼らなければならない環境では追加料金が発生します。1坪平均10,000円増が見込まれるでしょう。

 

次に「付帯工事費」について見てみます。突発的に発生する事案(上記の井戸が見つかったなど)があると工事費はどんどん膨らむ一方です。ある程度考えられる範囲を想定して相談してみましょう。

産業廃棄物の処分

産業廃棄物の処理は当初の見積もりには含まれていません。その都度、業者から別費用を請求されます。敷地がある地域によって費用が決まっています。クーラーなどの家電も処理費用がかかりますが、これは法律に基いて処理されます。自分で処分すれば、余計な支出を抑えられることを頭に入れておきましょう。

ブロック塀などの撤去

ブロック塀などの撤去も見積もりに含まれていないことが多いです。規模にもよりますが、数十万円かかることを見込んでおくべきでしょう。中途半端にせず、完全撤去して後顧の憂いを断ちましょう。

樹木などの撤去

意外と盲点となるのが樹木です。忘れられがちで、「解体作業の邪魔になるから撤去しなければ…」と気づいて、あとから取り除くこともあるようです。例えば、桜の木は根が広く張って人海戦術では取り除くことが難しいものです。そのために重機が〝出動〟すると別途費用がかかります。

文書の届け出

重機を運ぶトラックや作業に伴う道路使用許可など追加でオーダーした分の費用は、事務手数料とは別の請求となります。見積もりの時に決めておきたいところです。4〜5万円を見ておけばいいでしょう。

土間・コンクリート撤去

2,500/㎡〜(大きさ1㎡以上)

ブロック撤去

2,500/㎡〜(大きさ1㎡以上)

物置撤去

5,000/個〜(大きさ10㎝以上)

庭石撤去

10,000/㎥〜(大きさ1㎡以上)

樹木撤去

12,000/㎥〜(大きさ10㎝以上)

残置ごみ撤去

12,000/㎥〜(現地での見積もり)

カーポート撤去

20,000円〜(1台分)

ソーラーパネル撤去

30,000円〜(現地での見積もり)

ウッドデッキ撤去

30,000円〜(現地での見積もり)

アスファルト舗装

1,000円〜/厚み5㎝から

リフォーム箇所撤去

30,000円〜

電化製品

3,000円〜/1台あたり(TV、クーラー、PCなど)

重機運搬費

現地での見積もり

事務手数料

現地での見積もり

費用を賢く抑えるには…

以上、様々な費用を目にしますと「少しでも安く抑えたいな」と思いがちです。ここで発想を切り替えて、費用が高くなる場合を下記に挙げますので参考にしましょう。

その1 築年数は新しいほど高くなる

その2 敷地は広いほど高くなる

その3 隣地との距離が短いほど高くなる

その4 隣接している道路幅は狭いほど高くなる

その5 道路と敷地に高低差があると高くなる

その6 残置物、倉庫、外構などがあると別途処分費用が必要

その7 地中埋蔵物、井戸、浄化槽があると別途処分費用が必要

その8 ガレージの撤去は別途処分費用が必要

信頼できる業者に頼むのがベスト

解体工事費用は文頭に明記した「1坪あたりの単価」✖️「延べ床面積」+「付帯工事費」です。しかし、特に「付帯工事費」はケースバイケースで、あとになって、アレもコレも追加で費用がかさみます。そんな時は頼れる業者に相談するのが一番。〝あいみつ〟を取るのは大事ですが、信頼できる業者にお願いしましょう。

中間マージンを省く

最後に、社会で行われているビジネスの多くに中間業者(例えば卸売業者など)が存在しています。メーカーと購買者の間に立ってマージンを得る代わりに迅速に商品の手配から搬送までこなしてくれるので有難いのですが、価格にマージン分が加算されています。そのため消費者は高めの価格で買わされています。いわば、このマージンがなければリーズナブルに買えるわけです。

解体工事においては、住宅メーカーや不動産会社、元請けが中間業者にあたります。工事を依頼する側は直接、業者とやり取りすればいいでしょう。〝直取り引き〟はルールに反してはいません。一度、検討してみてはいかがでしょうか。

株式会社エコ・テックの解体工事について

株式会社エコ・テックでは、家屋、建物の事前調査から解体計画の作成だけでなく、解体工事の専門家として様々なアドバイスを行っています。

全国(東京、名古屋、大阪、岡山、福岡など)で無料相談、無料見積もりを実施しておりますので、解体工事に関するご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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土壌調査分析項目について

土壌汚染調査

土壌汚染調査とは、土地取引等の際に、その土地の汚染の有無あるいは汚染状況を把握するために行われる調査のことで、方法は土壌汚染対策法施行規則に規定されており、以下の3段階からなります。過去から現在までの土地の利用状況から汚染リスクを推定する資料等調査、土地を区画に分割し、各区画における汚染の有無を調べる概況調査、深度方向の汚染状況を把握し、資料等査や概況調査の結果を元に汚染箇所を特定する詳細調査のことです。

土壌分析が必要な場合

土壌汚染調査・報告義務を負った場合

土壌汚染対策法により、土地の所有者等に対して必要な届出、土壌汚染の調査・報告義務が課されています。土壌汚染対策法上、調査義務が発生するのは、以下の3つの場合があります。

土壌汚染対策法3条

水質汚濁防止法上の「特定施設」を廃止する場合

土壌汚染対策法4条

3,000㎡以上(一定の場合には900㎡以上)の土地の形質変更を行った者による事前届出の結果、知事が土壌汚染のおそれありと認定した場合

土壌汚染対策法5条

上記のほか、知事が、土壌汚染により人の健康被害が生ずるおそれありと認定した場合

土地の形質変更を行う者による土壌汚染調査・報告義務(土壌汚染対策法4条調査)

以下では、実務上最も問題となる土壌汚染対策法4条調査を中心があります。

(1)土壌汚染対策法4条に基づく届出
(2)土壌汚染対策法4条に基づく汚染調査・報告義務
(3)土壌汚染対策法3条1項ただし書の届出、汚染調査・報告義務

条例などで土壌汚染調査が必要となる場合

上記のほか、都条例など各地方公共団体の定める条例により土壌汚染調査や対策が要求されることがあります。

法律で義務化されていない場合の土壌環境調査の必要性

土壌汚染対策法では、特定有害物質の使用届けがなく、対象地の総面積が3,000㎡以下の場合、土壌調査の義務が発生しません。しかし現在では、土地の売買に伴う評価基準として、土壌環境調査を任意で実施することが増えています。実際、特定有害物質の使用が無かった土地にであっても、建築する際に持ち込んだ盛土等に汚染物質が混入していると考えられるケースの汚染が確認されております。特に大規模に造成された地域や、埋立てなどで造成された地域に多く見られます。汚染された土地を知らずに売買し、後々問題とならないようにするために、任意での土壌環境調査を行うことをお勧めいたします。

分析項目

土壌汚染対策法では、一定規模以上の土地の改変や有害物質取扱い事業の廃止などを契機に土壌調査を行い、汚染が発見された場合には都道府県知事の判断により汚染除去等の措置を行い、人の健康被害を防止することが定められています。

分類      

No.

分析項目             

土壌溶出量基準

(mg/L)

土壌含有量基準

(mg/kg)

 

 

 

 

 

 

 

第一種特定有害物質

揮発性有機化合物

(12項目)

 

1

クロロエチレン

0.002以下

-

2

四塩化炭素

0.002以下

-

3

1,2-ジクロロエタン

0.004以下

-

4

1,1-ジクロロエチレン

0.1以下

-

5

1,2-ジクロロエチレン

0.04以下

-

6

1,3-ジクロロプロペン

0.002以下

-

7

ジクロロメタン

0.02以下

-

8

テトラクロロエチレン

0.01以下

-

9

1,1,1-トリクロロエタン

1以下

-

10

1,1,2-トリクロロエタン

0.006以下

-

11

トリクロロエチレン

0.01以下

-

12

ベンゼン

0.01以下

-

 

 

 

 

 

 

 

 

第二種特定有害物質

重金属等

(溶出10項目)

(含有 9項目)

 

1

カドミウム及びその化合物

0.003以下

45以下

2

六価クロム化合物

0.05以下

250以下

3

シアン化合物

0

50以下

遊離シアンとして

 

4

水銀及びその化合物

0.0005以下

15以下

5

アルキル水銀化合物

0

-

6

セレン及びその化合物

0.01以下

150以下

7

鉛及びその化合物

0.01以下

150以下

8

砒素及びその化合物

0.01以下

150以下

9

フッ素及びその化合物

0.8以下

4000以下

10

ホウ素及びその化合物

1以下

4000以下

 

 

 

第三種特定有害物質

農薬等

(5項目)

 

1

シマジン

0.003以下

-

2

チオベンカルブ

0.02以下

-

3

チウラム

0.006以下

-

4

ポリ塩化ビフェニル(PCB)

0

-

5

有機燐化合物

0

-

土壌汚染対策法に基づく分析

① 土壌含有量調査に係る場合(平成十五年環境省告示十九号)

※土壌汚染対策法施行規則(平成十四年環境省令第二十九号)第五条第四項第二号の規定に基づく

  1. A. 各特定有害物質(カドミウム及びその化合物、六価クロム化合物、シアン化合物、水銀及びその化合物など)について作成した検液ごとに、環境省HPに定めている方法により対象物質の量を測定する。
  2. B. 次に同HPに定めている方法(土壌採取→試料の作成→検液の作成)で作成した試料の重量とこれを摂氏105度で約4時間乾燥して得たものの重量とを比べて当該試料に含まれる水分量を測定する。
  3. C. Aにより測定された調査対象物質の量を当該乾燥して得たもの○キログラムに含まれる量に換算します。

② 土壌溶出量調査に係る場合(平成15年環境省告示18号)

※土壌汚染対策法施行規則(平成十四年環境省令第二十九号)第五条第三項第四号の規定に基づく

  1. A. 各特定有害物質(カドミウム及びその化合物、六価クロム化合物、シマジンなど)について、平成三年八月か環境庁告示第四十六号(土壌の汚染に係る環境基準について)付表に掲げる方法で作成した検液ごとに環境省HPに定めている方法により対象物質の量を測定する。

③ 土壌ガス調査に係る場合(平成15年環境省告示16号)

※土壌汚染対策法施行規則(平成十四年環境省令第二十九号)第五条第二項第一号及び第二号の規定に基づく

土壌中の気体または地下水の採取の方法及び上述の第二号に規定する、気体に含まれる調査対象物質の量を測定する。

  1. A. 地表からおおむね80〜100cmの地中において土壌ガスを採取し、第一種特定有害物質の量を測定する。
  2. B. 土壌ガス中に一定濃度以上の第一種特定有害物質が検出された場合には、土壌汚染が存在する恐れが最も多いと認められる地点において、深さ10mまでの土壌をボーリングにより採取し、土壌溶出量を測定するという追加調査の実施が必要となる(同施行規則第7条)。

土壌汚染対策法とは?

「土壌汚染対策法」は、土壌汚染の状況調査に関する手続きや方法、汚染区域の指定、汚染土壌の搬出ルールや除去対策などをまとめた法律で、国民の健康保護を目的としています。

「有害物質使用特定施設の廃止時」や「3000㎡以上の土地の形質変更時」などは土壌汚染調査が義務付けられており(義務調査)、環境大臣が指定した指定調査機関に依頼して調査・報告する必要があります。指定調査機関のリストは環境省のWebサイトから確認可能です。

義務調査の対象外だとしても、住民の健康被害に対するリスクや不安を解消するためには、土壌汚染調査(自主調査)が欠かせません。また、調査の結果、土壌の汚染状態が基準値を超過した際には、土壌汚染対策法を守った上で汚染の除去などを行う必要があります。

土壌環境基準に基づく分析

① 土壌の汚染に係る環境基準の分析(平成3年環境庁告示46号)

令和3年4月1日施行で環境基準の見直しが行われ、カドミウム、トリクロロエチレンを改正(令和2年4月環境省告示第44号)。

土壌汚染調査会社選定のポイント

①土壌汚染調査会社選定のポイント

環境省は土壌調査を行うにあたって調査機関を指定しています。土壌汚染対策法に基づく土壌汚染状況調査は、土地の所有者等が調査の義務を負いますが、その調査は指定調査機関に実施させなければならないこととなっています。また、土壌汚染対策法第16条第1項の調査(認定調査)も、指定調査機関が実施しなければならないこととなっています。指定調査機関は法定調査を実施することのできる唯一の機関です。法に基づき行う詳細調査等については、指定調査機関が行うことが望ましいです。

②各指定機関の法律や条例対応実績の確認

土壌の汚染状況に関する調査は、試料の採取地点の選定、試料の採取方法などにより結果が大きく左右されるため、調査結果の信頼性を確保するためには、調査を行う者に一定の技術的能力等が求められます。調査機関の対応実績について確認されることをおすすめします。

③数社から調査費用の見積もりや必要な情報をもらう

土壌汚染調査は、対象地の条件や調査項目で費用が変わってきます。初期の現地調査の場合、土壌汚染のおそれがある調査地は100㎡あたり20万円~30万円、土壌汚染のおそれが少ない調査地は900㎡あたり20万円~30万円というところが一般的です。 状況によって見積りは変わってきますので、何社か見積りと調査の内容を確認し比較検討することが望ましいです。

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アスベストレベル3の作業手順ついて

アスベストは国際がん研究機関によって発がん性物質に分類されており、現在では製造や使用が禁止されています。しかし古い建築物には今もアスベストが使われている可能性があり、2050年頃まではアスベスト廃棄物が継続して排出されると想定されています。

アスベスト廃棄物は、法律に基づいて適切に処分しなければなりません。一方で「適切な処理方法がわからない」「処理費用の目安が知りたい」と思っている人もいるでしょう。

本記事ではアスベスト廃棄物の特徴や処理費用を解説します。具体的な処理の手順も紹介しているため、ぜひ役立ててください。

労働安全衛生法等の法令の規制対象となるアスベストは、現在では製造や使用が禁止されています。しかしアスベストが規制される以前に建てられた建物にはアスベストが含まれており、今後そのような建物の解体が必要となります。アスベストを含む建築物等の解体・改修工事を行う場合には、石綿障害予防規則等の法令に基づき、アスベスト含有の有無の事前調査、労働者に対するアスベストばく露防止措置、作業の記録・保存などを行う必要があります。

アスベストを含む建物の解体が必要な場合に是非参考にしてみてください。

アスベストは天然の繊維状珪酸塩鉱物の一種で先述した通り、アスベストは耐熱性・絶縁性・保温性に優れていることから、防音材、断熱材、保温材などの建材として多く使用されてきました。

しかしながら、1970年代にアスベストの健康への被害が報告されるようになりました。アスベストは現在は使用が禁止されているものの、前述したとおり今後解体のピークを迎えます。国土交通省の推計では、アスベストを含む建材が使用されたと考えられる建築物(1956 年(昭和 31 年)から 2006 年(平成 18 年)までに建築された建築物のうち、戸建て住宅や木造の建築物を除いた建築物)は 280 万棟とされており、これらの解体のピークは 2028 年頃とされています。

アスベストのレベルについて

アスベストのレベルは先述した通り、「アスベスト粉じんの飛散のしやすさ(発じん性)」によって分けられています。アスベストのレベルは1から3までの3段階に分けられます。アスベストにおいてはレベル1が最も危険な段階です。通常数値が低い方が危険レベルも低く表記されることが一般的ですが、アスベストにおいてはレベル1が最も危険レベルが高くなっているので、注意が必要です。

アスベストの危険性に関しては以下のようにレベル分けされています。

レベル1:発じん性が非常に高い

最も危険性が高いレベル1は発じん性が高く、取り扱い建材の種類として代表的なのは「石綿含有吹付け材」です。建物の機械室、ボイラー室等の天井、壁に、石綿とセメントの合剤を吹き付けて所定の被膜を形成させ、吸音、結露防止(断熱用)として使われていることが多いです。見た目は綿のように白くモコモコしており、解体する際にこの綿のようなアスベストが飛び広がってしまうので大変危険です。

レベル2:発じん性が高い

2番目に危険性が高く、取り扱い建材の種類は石綿含有保温材、耐火被覆材、断熱材などが挙げられます。ボイラーの本体やその配管、空調のダクト等の保温材として、石綿保温材、石綿含有けい酸カルシウム保温材等を張り付けているなどの使用例があります。

これらはレベル1程の飛散は見られませんが、密度が低いため軽く一度崩れると一気に飛び広がる可能性があるため、こちらも危険と言えます。

レベル3:発じん性が比較的低い

3つの中では最も危険度が低いレベル3はアスベストを含む    建材を指します。使用例としては建築物の天井、壁、床などに石綿含有成形板、ビニール床タイル等の貼り付けなどが挙げられます。アスベスト含有建材はアスベストが建材の内部に含まれているので、アスベストレベル1や2と比較するとアスベストが飛散する可能性は低いものの、建材の破損などにより内部からアスベストが飛散する恐れがるので注意が必要です。

ここからはアスベストレベル3における必要な対処や作業について説明していきます。

アスベストレベル3における必要な対処作業

アスベストレベル3の解体工事は以下の手順で行われます。

1.事前調査

2.除去作業準備

3.除去作業

4.事後作業

2022年4月1日の法改正により解体工事の際のアスベスト調査が義務化されました。従来はアスベストが含まれていることを前提に、必要な対策を行い解体工事を実施すれば事前調査は不要でした。しかし、2022年4月より事前調査が実質義務化されました。この法改正以降ではアスベスト含有建材の有無に関わらず事前調査の結果を都道府県に報告することが義務化されました。

ただし、以下の条件下の場合は除外されます。

建築物の解体:対象の床面積の合計が80㎡未満
建築物の改造・補修、工作物の解体・改造・補修: 請負金額の合計が100万円未満
※請負金額には事前調査の費用は含まず、消費税は含む。

では①の事前調査から詳細を説明していきます。

事前調査とは、工事前に建築物等に使用されている建材のアスベスト含有の有無を調査することをいいます。調査はアスベスト含有無しの証明を行うことから始まり、その証明ができない場合は分析調査を行うか、石綿含有とみなすことが基本となります。

事前調査では「書面調査」と「現地調査」を行う必要があります。

それぞれ費用は「書面調査」が2万円~3万円、「現場調査」が2万円~5万円(どちらも1現場あたり)です。

「図面調査」は図面などの書面や聞き取りから情報をできる限り入手し、それらの情報からできる限り多く、アスベストの使用の有無に関係する情報を読み取ります。

「現地調査」は建物の実地検査を指します。アスベスト含有建材が使用されている可能性が比較的高いとされている天井、壁、柱等を中心に全体を目視により検査します。

事前準備作業

事前準備作業は以下の作業を実施する必要があります。

事前準備作業

 

(1)作業計画書等の作成      

石綿作業主任者の選任

作業の方法や順序安全管理体制

粉じんの発散の防止方法

作業者の石綿等の粉塵のばく露を防止する方法

石綿濃度の測定

解体廃棄物等の処理方法

周辺環境対策

 

(2)必要機材・設備の準備 

除去作業に必要な器具の準備

保護具の準備

休憩場所・更衣施設・洗面設備の設置

(3)解体処理工事実施の表示            

 

 

各種掲示の設置

立ち入り禁止区域の設定

周辺環境対策

 

除去作業準備

解体作業前に、以下を準備する必要があります。

除去作業準備

 

(1)養生の実施

床、壁、設備機器への養生

(2)仮設工事の実施

足場等安全設備の設置

(3)設備機器等撤去作業

作業場内の事前清掃の実施

除去の妨げになる、照明器具等を撤去

 

除去作業

実際の除去作業に関しては、以下のことに注意し、作業を実施します。

除去作業

 

(1)アスベスト成形板の湿潤化

浸透しやすい材料(けい酸カルシウム板、岩綿吸音板等)は水又は湿潤剤の噴霧

浸透しにくい材料(Pタイル、スレート板等)は散水しながら除去

 

(2)アスベスト成形板の除去            

 

保護具を着用し原形のままの手ばらしが原則

手ばらしにより除去した成形板は手渡しで運搬

 

事後作業

事後の作業は以下の作業を実施する必要があります。

事後作業

 

(1)施工区画内の清掃          

 

毎日の作業終了時、整理整頓、清掃を実施

清掃中は保護具を着用

(2)養生・仮設物等の撤去

 

床、壁、設備機器への養生撤去

足場等の撤去

(3)除去した建材の搬出      

 

 

安定型最終処分場で埋立処分

マニフェストに「石綿含有産業廃棄物」と記載

(4)後片付け、仕上清掃      

 

 

破片やくずが残らないよう清掃

HEPAフィルタ付き真空掃除機で仕上清掃

 

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解体工事の内訳

解体工事って?

ひとくちに解体工事といっても建物の規模や業者によって様々。見積もりをとってもらっても、なかなか納得できないので、他でも見積もりを…というのが、ごく一般的なことでしょう。まず、工事の内訳を知り、詳しく掘り下げることから始めましょう。

大きく分けると、以下のようになります。

①家屋、建物調査

②建物全てを解体する

③建物の一部を解体する

④建物の内装を解体する

 

解体工事費だけではなく、諸費用がかかります。その内訳をしっかり把握することで、賢く見極めることが肝要です。

続いて、4つの項目について詳しくみていきます。

①家屋、建物調査

意外と見過ごされるのが、この事前調査。工事が始まってから近隣から「玄関前にひび割れができた」「家の柱が傾いて、戸が閉められなくなった」と解体工事の振動によるものだと訴えてきてトラブルになるケースがあります。近隣に工事前に事前の挨拶をすることはありますが、誰も工事の影響が周辺に及ぶなど思ってもいません。しかし、えてして起きることがあります。養生シートを準備することも必要です。そのために事前に調査をしておくのがベストでしょう。

工事開始前と後の状態を比較できるように写真撮影をしておけばいいわけです。のちのち裁判に発展しかねないので念には念を入れておくのがいいでしょう。

土地家屋調査士に依頼する方法がありますが、一般的には解体業者に調査、書類の作成を依頼することが多いようです。大規模集合住宅や工場といった建物を解体する場合は特に必要でしょう。

なお、大気汚染防止法が改正され(令和265日施行)、令和441日以降に着工する一定規模以上の建築物等の解体、改造、補修工事について、アスベスト(石綿)に関する事前調査の結果報告が義務付けられているので、注意が必要でしょう。

 

ここで解体工事について触れる前に、予備知識として「建物リサイクル法」について解説します。この法律は、平成12531日に制定されました。

解体というと、廃材を分別することなく取り壊す「ミンチ解体」と思い浮かべるでしょう。一般家庭でゴミを分別して出すように、解体作業においても同じことなのです。

建設リサイクル法とは「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」が正式な名称です。廃棄物の発生量が大きく増え、最終処分場が逼迫した結果、不法な投棄が相次ぎ、社会問題化していた頃、解決策として制定されたのがこの法律です。資源の有効活用いわば廃棄物の再資源化を行い、再利用していくことが制定理由です。

建設リサイクル法では、特定建設資材(コンクリート、アスファルト・コンクリート、木材)を用いた建築物等に係る解体工事又はその施工に特定建設資材を使用する新築工事等であって一定規模以上の建設工事(対象建設工事)について、その受注者等に対し、分別解体等及び再資源化等を行うことを義務付けています。

依頼主は、工事に取り掛かる7日前までに、以下の書類を自治体へ届ける必要があります。

・分別解体を行う届出書
・工事の進め方を記載した分別解体等の計画書
・解体工事現場を示した地図
・設計図や写真など
・配置図
・解体工事全体の工程表

以上のことを頭に入れておきましょう。

建設リサイクル法ができてから、ミンチ解体で短期間で工事を終えることはできなくなりました。違反して不法投棄した場合は「5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金」と重罰が課せられます。

依頼する側としては、同法にある「解体工事業者の都道府県知事への登録制度」が確立されているので、専門業者に依頼するのが望ましいでしょう。

②建物全てを解体する

廃材を分別することに加えて、工事中に地中から廃材が出てきた場合は「地中埋設物」として扱われ、瑕疵(かし)担保責任(見ただけでは発見することが難しい欠陥や不具合)を問われることになります。工事中では注意が必要となります。

そして主流の「分別解体」についてです。分別解体は建物面積80㎡を超える解体工事に義務付けられている方法です。

施行方法は以下の4つです。

・事前調査の実施
・事前調査に基づく分別解体等の計画の作成
・工事着手前における作業場所の確保、搬出経路の確保、残存物品の搬出、付着物の除去等の事前調査の実施
・工事の施行

以上になります。

建物の周囲に足場を組み、建材ごとに分別をしながら進めていくため、工期はミンチ解体と比較して長くなる傾向にあります。それにマニュフェスト(産業廃棄物管理票)が必須になっています。分別をおろそかにはできませんので仕方がないでしょう。

分別解体等基準に従って、その建築物等に使用されているコンクリート、コンクリート及び鉄から成る建設資材、木材、コンクリート・アスファルトを現場で分別することが必要となります(大阪府ホームページより)。

③建物の一部を解体する

建物の減築や長屋のみを解体するといった「建物の一部を解体」には、「はつり作業」があります。「はつり作業」とは、主にコンクリートで作られた壁や土間などを壊したり、形を整えるために表面を鑿(のみ)を使って表面を削ることです。人手で行いますが、建物によっては油圧式のアタッチメントを使うことがあります。建物の構造に手を加える訳ではないので低コストで行えます。

専門的高度な技術が必要です。騒音が発生することもあり、業者選びは慎重にすべきです。

④建物の内装を解体する

店舗、事務所の撤退やリフォームなど内装を解体する場合は、総称して「建物内装解体」と言います。間の仕切り1枚を撤去するだけでも内装解体工事になります。壁や天井などの構造物を除いた内装がその対象と考えます。

照明器具や持ち込んだ椅子などは撤去して原状に戻さなければなりません。ビルやテナントの場合、営業時間が影響して作業時間が限定されるので注意しましょう。

「建物内装解体」は期日が短く、広さによりますが数日間で工事が完了することです。室内の作業ですので、台風などの悪天候でも作業が順調に進められます。作業費用が低く抑えられることもメリットでしょう。

ただ、壁などからアスベストなどの廃棄物が出ると産業廃棄物として処理しなければならないのでコストがかかってしまうのが難点でしょうか。

対して「スケルトン解体」は建物の構造物以外の内装を全て原状回復することを指します。英語であるスケルトンの意味は「骨組み」。建物の「骨組み」いわば“中身”を解体することです。仕切り、天井、壁、床を撤去するだけではありません。原状回復ですから、入居時の状態に戻さなければなりません。

建物の構造自体を解体する訳ではないので、トラブルに発展することが少ないでしょう。しかし、建物を補強する必要がある場合は費用がかさむことになります。

いろいろある解体工法

最後に、簡単に工法について触れておきます。大きく分けて、木造と鉄骨もしくは鉄筋コンクリートとなります。

木造の場合は重機による「機械による解体」、はつりなどの手作業が必要な「手壊しによる解体」があります。

大きな建築物は「機械による解体」が中心となりますので、重機を搬送してもらわなければなりません。その輸送にかかる費用を見積もっておかなければなりません。解体する建物が狭い路地にあると重機を運ぶ車が入れず、「手壊しによる解体」も併せて考えておく必要があるでしょう。

鉄骨物の場合は、対象物が木造よりも頑強なので、日数を要しコストが高くつきますが、鉄筋よりはコストは安いです。工法にはアタッチメントを使ってコンクリートを圧砕する「圧砕機工法」、カッターがついた機器が移動しながらコンクリートを切断する「カッター工法」、杭やノミを機器の先端に取り付けて連続して打撃することで破砕する「ブレーカー工法」、他に柱や壁を倒してから解体する「転倒工法」があります。

解体工事の内訳は以上になりますが、厳密に言うと敷地内の廃棄物や物品の撤去も工事に含まれます。

株式会社エコ・テックの解体工事について

株式会社エコ・テックでは、家屋、建物の事前調査から解体計画の作成だけでなく、解体工事の専門家として様々なアドバイスを行っています。全国(東京・名古屋・大阪・岡山・福岡等)で、無料相談・無料見積もりを実施しておりますので、解体工事に関するご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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