2022/11/28
アスベスト除去作業について
建築物や工作物について解体・改修などをするときは、解体等工事の受注者・自主施工者は、着手前にアスベストが使用されているか否かの事前調査を行い、調査結果を発注者へ書面で説明する必要があります。解体事業者は、アスベスト使用の有無に関わらず、事前調査結果を報告する義務があります。
今回この記事では、アスベスト除去作業について解説していきます。アスベストを含む建物の解体が必要な場合に是非参考にしてみてください。
まず、アスベストには「アスベスト粉じんの飛散のしやすさ(発じん性)」によってレベル分けがされています。アスベストレベルによって必要な作業も異なりますので、この次からレベル別に除去作業について解説していきます。
アスベストの危険性について
アスベスト(石綿)は、非常に細かな繊維でできており、空気中に飛散すると呼吸とともに人間の肺に入り込み、分解されることなく肺に残ってしまうという性質を持ちます。そして10年~40年という長い期問を経て、肺がん、じん肺、中皮腫という重大な病気を発症させます。
労働安全衛生法等の法令の規制対象となるアスベストは、現在では製造や使用が禁止されています。しかし、アスベストが規制される以前に建てられた建物にはアスベストが含まれており、今後はそのような建物の解体が必要となります。アスベストを含む建築物等の解体・改修工事を行う場合には、石綿障害予防規則等の法令に基づいて、アスベスト含有の有無の事前調査、労働者に対するアスベストばく露防止措置、作業の記録・保存などを行う必要があります。
アスベスト(石綿)レベルについて
アスベスト(石綿)のレベルは、「アスベスト粉じんの飛散のしやすさ(発じん性)」によって分けられています。アスベストのレベルは、1から3までの3段階に分けられます。アスベストにおいてはレベル1が最も危険な段階です。通常数値が低い方が危険レベルも低く表記されることが一般的ですが、アスベストにおいてはレベル1が最も危険レベルが高くなっているため、注意が必要です。
レベル1:発じん性が非常に高い
最も危険性が高いレベル1は発じん性が高く、取り扱い建材の種類として代表的なのは「石綿含有吹付け材」です。見た目は綿のように白くモコモコしており、解体する際にこの綿のようなアスベストが飛び広がってしまうので大変危険です。
レベル2:発じん性が高い
2番目に危険性が高く、取り扱い建材の種類は石綿含有保温材、耐火被覆材、断熱材などが挙げられます。これらはレベル1程の飛散は見られませんが、密度が低いため軽く一度崩れると一気に飛び広がる可能性があるため、こちらも同様に危険と言えます。
レベル3:発じん性が比較的低い
3つの中では最も危険度が低いレベル3はアスベストを含む建材を指します。アスベスト含有建材はアスベストが建材の内部に含まれているので、アスベストレベル1や2と比較するとアスベストが飛散する可能性は低いものの、建材の破損などにより内部からアスベストが飛散する恐れがあるため、注意が必要です。
アスベスト(石綿)除去作業までの手順
1.事前調査
解体予定の建築物に、アスベスト建材が含まれているかを調査します。
1.)書面調査
2.)現地調査(現地による目視調査)
3.)採取
4.)分析調査
5.)報告書の作成
2.作業計画の作成
1.)作業の方法及び順序
2.)粉じんの発散の防止方法
3.)労作業者の石綿等の粉塵のばく露を防止する方法
4.)石綿作業主任者の選任
5.)石綿濃度の測定
6.)解体廃棄物等の処理方法
7.)周辺環境対策
除去作業準備
1.)養生の実施
2.)仮設工事の実施
3.)設備機器等撤去作業
除去作業
レベル1はそのまま解体工事してしまうと、大量のアスベストが飛散する危険性がありますので、まずはアスベスト撤去作業が必要になるのです。
除去方法の種類
①囲い込み
封じ込め工法とは、建物内のアスベストを固定させるための溶剤を吹きかけて外側からアスベストが飛散しないように封じ込めるという方法です。
封じ込め工法の特徴は外側からアスベストを固める作業のため工事期間が短く、アスベストが飛散する可能性も極端に低いことから工事中に近隣にアスベストが蔓延する可能性も避けることができます。また工事費用も比較的抑えられるというメリットがあります。
②封じ込め
囲い込み工法とは、アスベストが露出している部分をそのままに、非アスベストをその外側から取り付けてアスベストを完全に密封し飛散を防ぐという方法です。
囲い込み工法の特徴としては、封じ込め工法同様に工事期間を短縮できるという点と、フォーム工事期間に囲い込み工法を行うことで一定の効果を得られるという利点があります。
しかし、封じ込め工法や囲い込み工法のどちらの場合も工程に違いはありますが、アスベストを完全に除去できるわけではありません。
そのため、またアスベストが露出して飛散する確率はゼロではないという懸念があるため、飛散性が高い場合には除去工法が積極的に進められています。
除去の手順について
1.)集塵・排気装置の稼動
2.)抑制剤による湿潤化
3.)抑制剤の効果を確認後、ケレン棒等により吹付けアスベストを掻き落とす
4.)状態に応じて、再度抑制剤を吹付けた後、ワイヤーブラシ当を使用して付着しているアスベストを取り除く
5.)目視により除去が十分に行われたことを確認後、吹付けアスベスト除去面に粉塵飛散防止処理剤を散布する
事後作業
1)施工区画内の清掃
2.)養生・仮設物等の撤去
3.)除去した建材の搬出
4.)後片付け、仕上清掃
上記の作業に加え、アスベストレベルが1だった場合、次のような届け出が必要になります。
・工事計画届、建物解体等作業届…労働基準監督署へ提出
・特定粉塵排出等作業届、建設リサイクル法の事前届…都道府県庁へ提出
また、撤去業ではお知らせ看板の掲示や、作業場の清掃の徹底・前室の設置などで飛散防止が義務付けられています。作業員も、粉塵マスクや保護衣の使用など厳重なばく露対策が必要になるのです。
アスベストレベル2でも同様の作業が必要です。一方でアスベストレベル3の除去作業では届出の必要がなく、作業計画に基づいて作業を進めます。また、アスベストレベル1.2.3では保護具にも違いが見られます。アスベストレベル1の除去作業時は、エアラインまたは粒子補修効率99.9%以上の全面形呼吸用保護具を着用し、全身を覆う保護衣が必要です。アスベストレベル2の作業時はエアラインまたは粒子補修効率99.9%以上の全面形または半面形呼吸用保護具を着用し、全身を覆う保護衣が必要です。アスベストレベル3の作業時はエアラインまたは粒子補修効率95.0%以上の全面形または半面形呼吸用保護具を着用し、全身を覆う保護衣が必要です。
アスベスト(石綿)解体工事は、専門的な知識と技術が必要です
アスベストは人体に有害であり、取扱いには十分な注意が必要です。アスベスト解体工事を請け負う業者は「アスベストの有害性」「粉じんの発散防止」「保護具の使用方法」など必要な講習を受ける義務があります。解体業者に工事を依頼する際は、アスベスト除去工事の経験と実績が豊富な業者を選ぶことが大切です。また、補助金の活用も視野に地方公共団体の補助金制度に関しても確認しておきましょう。
2022/11/22
アスベスト調査の補助金について
アスベストの解体工事の事前調査と報告が必須項目となったため、アスベスト調査の金額や相場が気になる方も多いのではないでしょうか。
本記事ではアスベストの調査の補助金と費用について解説します。
アスベスト調査の金額相場は?
アスベスト調査にかかる金額は「図面調査」「目視調査」「分析調査」含めおおよそ70,000円~130,000円が相場です。アスベストレベル (詳しくは後述) や建物の広さ、サンプルの採取の有無、分析検査の有無などによって費用が大きく変わりますので、あくまでも大まかな目安としての金額です。「図面調査」「目視調査」「分析調査」については後ほど詳しく説明していきます。
法改正によりアスベスト調査の結果報告が必須に
大気汚染防止法および石綿障害予防規則の改正により、令和4年4月1日以降に着工する一定規模以上の解体・改造・補修工事について、アスベストの有無に関わらず、アスベスト調査結果の報告が必要になりました。さらに令和5年(2023年)10月からは有識者によるアスベストの事前調査・分析が義務化されることが決まっています。
アスベストの事前調査結果の報告対象
アスベストの事前調査結果の報告対象は以下のいずれかに概要する工事(令和4年4月1日以降に工事に着手するもの)であると環境省により定められております。
【報告対象となる工事】
建築物の解体工事(解体作業対象の床面積の合計80㎡以上)
建築物の改修工事(請負代金の合計額100万円以上(税込))
工作物の解体・改修工事(請負代金の合計額100万円以上(税込))
石綿障害予防規則に基づき労働基準監督署にも報告する必要があります。
石綿障害予防規則に基づく報告は、上記に加え、鋼製の船舶の解体又は改修工事
(総トン数20トン以上)も必要です。”
https://www.env.go.jp/press/110648.html
環境省 報道発表資料より引用
つまりは、令和3年から施行の改正を含め、「1.規制対象の拡大」「2.作業基準遵守義務者の拡大」「3.発注者への作業結果の報告」「4.事前調査結果の報告」が主な改正内容となっています。
1.規制対象の拡大(令和3年4月1日施行)
元より規制対象とされていた吹き付け石綿(アスベストレベル1相当の建材)および石綿含有断熱材等(アスベストレベル2相当の建材)だけではなく、令和3年4月1日以降は石綿含有成形板等(アスベストレベル3相当の建材)も法律の規制対象となり、新たに作業基準が設けられました。なおアスベストレベル3の建材を含む建物の解体は作業計画を作成し、その計画に基づいて作業する必要があります。
2.作業基準遵守義務者の拡大(令和3年4月1日施行)
作業基準遵守の徹底のため、元請業者のみに課せられていた作業基準の遵守義務を、令和3年4月1日以降は、下請負人にも課せられるようになりました。
3.発注者への作業結果の報告(令和3年4月1日施行)
特定工事の元請業者は、特定粉じん排出等作業が完了したときは、作業が適切に行われているか確認し、その結果を書面で発注者へ報告することが新たに義務付けられました。
4.事前調査結果の報告(令和4年4月1日施行)
一定規模以上の解体等工事の元請業者又は自主施工者は、調査結果を事前に報告することが義務付けられました。
アスベスト調査の補助金について
上記のように、アスベストの解体前のアスベスト調査は必須となります。そこでアスベスト調査を行う際の補助金について触れていきます。
民間の建築物のアスベスト調査などに関して、国土交通省は補助制度を設けており、それぞれの自治体によって補助制度は異なります。補助制度がある地方公共団体は活用することが可能です。
補助対象とする石綿(アスベスト)は、吹付けアスベスト、アスベスト含有吹付けロックウールです。
※補助制度がない地方公共団体もありますので、詳細はお住まいの地方公共団体にお問い合わせください。
1.対象建築物:吹付けアスベスト等が施工されているおそれのある住宅・建築物
2.補助内容:吹付け建材中のアスベストの有無を調べるための調査に要する費用
3.国の補助額:限度額は原則として25万円/棟(民間事業者等が実施する場合は地方公共団体を経由)
※1)アスベスト含有調査で補助対象としているのは、吹付けアスベスト、アスベスト含有吹付けロックウールです。
上記の内容をまとめると、アスベストの分析調査に対して給付される補助金があり、国が示している支給条件は以下のようになります。
・補助事業の対象:建築物の吹付け材のアスベスト含有の有無に関する調査
・対象建築物:吹付けアスベスト、アスベスト含有吹付けロックウール、吹付けバーミキュライト、吹付けパーライトが使用されている可能性がある建築物
・補助額:限度額は原則として25万円/棟
アスベストの事前調査の流れ
①書面調査
書面調査では、図面などの書面や聞き取りから情報をできる限り入手し、それらの情報からできる限り多く、石綿の使用の有無に関係する情報を読み取る必要があります。発注者や過去の経緯をよく知る施設管理者や工事業者等の関係者に対するヒアリング等により情報を入手することも重要です。それらにより、工事概要や建築物等に関する情報のほか、建築物等に使用されている個々の建材を把握するとともに、得られた情報から石綿含有の有無の仮判定を行います。書面調査は、現地での目視による調査(現地調査)を効率的かつ効果的に実施できるよう準備を行うものです。
②現地調査(現地による目視調査)
設計図書や竣工図等の書面は石綿含有建材の使用状況に関する情報を網羅しているものではなく、必ずしも建築物の現状を現したものとは限らないことから、書面調査の結果を以て調査を終了せず、石綿の使用状況を網羅的に把握するため、原則として現地で目視調査を行うことが必要とされています。
③採取
分析を行うこととなった建材の試料採取については、目的とする分析対象を採取できるよう同一材料と判断される建築材料ごとに、代表試料を選定し、採取しなければなりません。一般に分析は、分析対象の代表性と変動性(均一性)を考慮したものとすべきであり、建材の石綿分析においては、具体的には、現地での目視調査において同一と考えられる範囲を適切に判断し、試料採取において建材にムラがあることを考慮しなければなりません。
④分析調査
大防法及び石綿則において、石綿含有ありとみなす場合を除き、石綿含有の有無が不明な場合は分析を行うことが義務づけられています。分析方法は、日本工業規格(JIS)A 1481 規格群をベースとし、その実施に当たっては、厚生労働省の「石綿則に基づく事前調査のアスベスト分析マニュアル」の記載内容を優先する必要がある点に留意する必要があります。これに基づく石綿分析の流れとしては、まず、建材中の石綿の含有の有無を調べるための定性分析を行います。定性分析で石綿が含有していると判定された場合は、含有率を調査するための定量分析を行い、建材中の石綿の含有率(0.1%以下か否か)を確定させます。ただし、定性分析で石綿ありと判定された場合において、定量分析を行わずに、石綿が0.1%を超えているとして扱うことも可能です。
⑤報告書の作成
大防法上、特定粉じん排出等作業の届出は発注者に義務づけられており、当該作業に該当するか否か、発注者に報告するための書面を作成することになります。事前調査による記録から、事前調査の結果報告書を作成します。改修工事や今後も建築物等を使用する場合の石綿の除去等については、事前調査の範囲が建築物の工事関連箇所のみとなり、事前調査の報告書も当該箇所のみの結果となります。改修工事等の事前調査の結果が、将来解体等する場合に、調査結果が誤って流用されないよう、調査を実施した範囲、調査対象建材、石綿含有建材の有無と使用箇所について図面や概略図で具体的な場所がわかるように記録を報告書に添付することが必要です。
アスベスト調査の詳しい内容に関しましては、以下の記事をご参照ください。
アスベスト解体による事前調査の流れについて
2022/11/14
建築解体の届出について
解体工事は、まず自治体や行政に必要な書類を提出することから始まります。法律に則った申請が必要で工事の前に提出することが原則です。提出書類は自治体により多少差異があります。ここでは、業者が行う9種、依頼主が行う4種を中心にみていきます。最終的には各自治体のHPなどで確認が必要です。
業者が行う届出
① 建築物除去届など建物関連
② 道路の使用許可申請など道路関連
③ 特定建設作業実施届など環境関連
④ 危険物貯蔵取扱許可申請など消防関連
⑤ 特定元方事業開始報告書など安全衛生に関連
⑥ アスベスト使用建築物に係る事前調査報告書などアスベスト関連
⑦ フロン製品(第一種特定製品)の有無確認
⑧ 臨時電力電灯申込書など電気関連
⑨ 自家用電気使用申込など上下水道関連
依頼主が行う届出
❶ 建物滅失登記など建物関連
❷ 解体建物の構造など建設リサイクル関連
❸ 各種廃止届
❹ 使用機器廃止並びに保管管理報告書
届出を怠ると罰金などが科されることがあり、工事が遅れたり、関係各所へ迷惑をかけることになりかねないので注意が必要です。
それでは順に詳しく見ていきます。
業者が行う届出
①建築物除去届(→都道府県知事へ、解体前)
解体工事を行う床面積が10平方メートルを超える建築物の除去を行う場合に提出が必要となります。この届は建築基準法第15条第1項の規定によります。
届出を怠りますと、50万円以下の罰金が科せられます。
参考までですが、建築物を建てる場合は、建築工事届が必要になります。届出を怠りますと、上記同様、50万円以下の罰金が科せられますので、いずれも注意してください。業者任せにせず、こちらから確認してもいいでしょう。
②道路の使用許可申請(該当する道路を管轄する警察署へ申請)
工事現場付近にトラックや車両を停める場合、必要となります。この申請は道路交通法第77条第1項の規定により、道路を管轄する警察署長へ許可を求めることになります。解体工事は、4つある許可のうち「1号許可」が該当します(他に2〜4号まであります)。申請には2,500円から2,700円くらいの審査手数料がかかります。
③特定建設作業実施届(→市区町村へ、着工の7日前まで)
工事によって発生する騒音や振動を規制(騒音規制法第14条、振動規制法第14条に基づく)から環境を保全するために届出が必要になります。規制地域は各市区町村が定めていますので問い合わせる必要があります。虚偽の届出など適切な届出をしない場合や、検査を拒み妨げる場合、改善命令に従わない場合には懲役、罰金又は過料が科せられます。
④危険物貯蔵取扱許可申請(→該当する地区の消防署へ、着工の15日前まで)
一般的に消防法では指定数量以上の危険物の貯蔵又は取り扱いを禁止しています。それらを扱う場合には、許可を受けた施設において政令で定める技術上の基準に従って行わなければならないと規定されています。「危険物貯蔵取扱許可申請」は15日前までに該当する地区の消防署へ行ってください。他に「圧縮アセチレンガス等の貯蔵取扱届」は同じ区消防署へ2〜3日前までに申請しましょう。
⑤特定元方事業開始報告書(→監督署、7日前)
特定元方事業者は、その労働者及び関係請負人の労働者の作業が同一の場所において行われるときは、当該作業の開始後、遅滞なく、事業の種類並びに当該事業場の名称及び所在地等労働安全衛生規則第 664条第1項各号に掲げる事項を所轄労働基準監督署長に報告しなければなりません。労働安全衛生法第30条第2項の規定により指名された事業者についても同様に、指名された後、遅滞なく前述の事項を報告しなければなりません。
⑥アスベスト使用建築物に係る事前調査報告書(→市区町村へ、着工前)
現在では原則としてアスベストの使用は禁止されていますが、古い建物では使用されている可能性があります。使用が疑わしい場合は調査が必要です。調査は使用の有無を目視したり、設計図書などを使用して調査をします。他には「アスベスト除去工事計画書(→監督署、14日前)」「特定粉塵排出作業実施届(→都道府県、14日前)」「アスベスト使用建築物に係る解体撤去工事完了報告書(→市区町村、工事が完了してから)」といった書類も提出しましょう。
以下の書類は、それぞれ電力会社、水道局へ提出します。
⑦フロン製品(第一種特定製品)有無の確認
フロンはかつて冷蔵庫で使用されていることで地球温暖化の元凶のように言われていました。フロン製品は業務用エアコンや冷凍冷蔵機器、ビールサーバー、自動販売機で使われています。ここでは解体工事元請業者が製品の有無、処分に関する義務を説明します。
・業務用冷凍空調機器の有無の確認(事前確認)
・解体工事前に事前確認書により施主(工事の依頼者)に対して結果を説明
以上の2点です。他に、フロン類の引き渡しを受託した解体業者等の義務は以下の通りです。
・フロン類充填回収業者へのフロン類の引き渡し
・業務用冷凍空調機器の所有者から交付された「委託確認書」をフロン類充填回収業者に回付、写しを3年間保存
・フロン類充填回収業者から受け取った「引取証明書」を3年間保存
以上3点です。フロン排出抑制法(平成27年4月施行)を守るのは当然でしょう。大袈裟に言えば、人類の未来を考えれば、温暖化に歯止めをかけるには、個々人はフロンの排出を少なくするなどしかできません。
⑧臨時電力電灯申込書(→各電力会社へ、30日前)
⑨自家用電気使用申込(→各水道局へ、15〜30日前)
依頼主が行う届出
❶ 建物滅失登記(→各法務局へ、1か月以内)
この言葉を聞き慣れていない人が多いのではないでしょうか。現在ある建物は登記がなされていますが、それと逆に建物がなくなった場合に必要な手続きが「滅失登記」です。簡単にいうと、登記簿から抹消することです。
・建物滅失登記が必要なケース
解体工事だけでなく、自然災害や火災によって建物がなくなった時にも行う必要がありますので注意してください。解体工事後、1か月以内に滅失登記を行わなければなりません。1か月以上経ちますと10万円以下の過料が科せられることになります。他には、「家屋取り壊し届(→市区町村へ、遅滞なく)」「官民境界境界確定順(→財務局、2か月〜3か月)」があります。
ここで参考までに「表題登記」に触れます。滅失とは逆の建物が完成した段階で行います。滅失届の反対語として覚えておきましょう。
❷ 解体建物の構造(→都道府県へ、7日前)
建設リサイクル法の届出は施主(依頼主)が行いますが、手数料を支払えば解体業者が代行してくれることがあります。
・対象となる工事には、2つの条件があります。
1つ目は、特定建設資材が使われているかどうか、です。具体的には、コンクリート、コンクリートと鉄からなる建設資材、木材、アスファルト・コンクリートの資材が使われている構造物が対象となります。
2つ目は、工事の種類や規模の確認です。上記の資材の使用が確認された後に行います。
建築物の解体工事は床面積の合計が80平方メートル以上、新築・増築工事の場合は床面積の合計が50平方メートル以上です。確認ができたら、建設リサイクル法の届出が必要となります。解体工事の発注者(施主)が工事開始の7日前までに都道府県に対して行いましょう。他には、「着手時期及び工期、工程表」「分別解体の計画」「廃材量の見込み」も工事開始の7日前までに都道府県に対して行いましょう。
❸ 各種廃止届
「低圧電灯電力撤去申込み(→各電力会社へ、廃止7日前)」
「自家用電気廃止申込み(→各電力会社へ、廃止30日前)」
「電話機撤去申込み(→NTTへ、廃止7日前)」
「水道使用中止届(→各水道局へ、廃止7日前)」
「ガス装置撤去申込み(→各ガス会社へ、廃止7日前)」
「危険物貯蔵所廃止届(→各消防署へ、遅滞なく)」
「消防指定水利廃止届(→各消防署へ、工事前)」
「ボイラー廃止報告書(→各監督署へ、遅滞なく)」
「昇降機廃止届(→都道府県へ、廃止する時)」などがあります。
❹ 使用機器廃止並びに保管管理報告書(→各通産局へ、迅速に行う)
その他、埋蔵文化財関連の解体(取り壊し)を行う場合は、工事開始30日前までに文化庁に行わなければならない。
株式会社エコ・テックの解体工事について
株式会社エコ・テックでは、家屋、建物の事前調査から解体計画の作成だけでなく、解体工事の専門家として様々なアドバイスを行っています。全国(東京、名古屋、大阪、岡山、福岡など)で無料相談、無料見積もりを実施しておりますので、解体工事に関するご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
2022/11/08
土壌汚染対策法における届出の対象について
事前の届出が必要
一定規模以上の土地の形質変更(工事のこと)を行う場合は、土壌汚染対策法第4条第1項により事前の手続きが必要であると明記されています。条文(文末の★参考①に掲載)を読んでもピンと来ないので、少し深読みしてみます。
届出手続きの概要
形質を変更する土地の面積が「3000平方メートル以上」の時、着工する日の30日前までに、当該の土地所在地等を都道府県知事に届けなければならない、というものです。
(※注 有害物質使用特定施設が設置されている工場・事業場の敷地であって、同法第3条第1項本文の調査を実施予定等の土地は900平方メートル以上)
その届出に対して、同知事は、当該の土地において土壌汚染のおそれがあると判断した場合には、土地所有者に対して土壌汚染状況調査の実施及び、その結果の報告を命じることができます(同法第4条第2項)というのが概要です。いわば、行政から土壌汚染のおそれあり、とジャッジされたら調査が入るということです。
届出をしないと懲役や罰金
届出対象となる「土地形質の変更」とは、土地の形状を変更する行為全てのことを指します。
届出をせず、又は虚偽の届出をして、土地の形質の変更をした場合は、同法第66条第2項により、三月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処せられるのでご注意を。
届出をする者とは
届出の義務を負う者は、具体的に形質変更を施行することにおいて計画を実行する権限を持っている者です。例えば、土地の所有者と土地を借りている開発業者では、開発業者が「届出の義務を負う者」になります。簡潔に言えば、一般的には発注者がそれに該当します。
対象となる土地
それでは、対象となるのは具体的にどのような土地でしょうか。「3000平方メートル以上」という基準は文頭に書いた通りですが、その面積要件は、以下の5つ全てを合わせた合計となります。
①盛土
②土壌の仮置き
③舗装の撤去・敷設
④地盤改良
⑤深さ50センチ以上の掘削で杭打ち、鋼矢板の打設
以上の合計面積です。
対象となる土地の注意点
他に注意が必要なのが工区(発注年度)が別れていても、同じと見なされることがあります。
例えば、同じ事業計画ので複数の工区がそれぞれ時期が違っていても、同じ目的のもとで行われており、個別行為の時間的近接性、実施主体等から総合的に判断されます(文末の★参考②参照)。
次に届出対象外についてみてみます。
①盛土のみの土地形質変更
②形質変更の区域外へ土壌搬出がない
③形質変更に伴い、周辺への土壌の飛散・流出が生じない
④形質変更に係る部分の深さ(掘削深度)が全て50センチ未満
以上4項目のいずれにも該当していなければなりません(通常の農業、林業の作業路網の整備で区域外に土壌を搬出しない行為、非常災害のために必要な応急措置、鉱山関係の土地では必要なしです)。
届出書類
いつも煩雑な書類ですが、同法第4条第1項に基づき、提出しなければならない書類は以下の通りです。各自治体によって差異がありますので、それぞれホームページで確認してください。届出書類は図面も含め、原則A4またはA3で提出します。
○例えば兵庫県の場合
1 一定の規模以上の土地の形質の変更届出書(土壌汚染対策法施行規則様式第6)
2 土地の形質の変更をしようとする場所を明記した図面
・周辺の地図(形質の変更を行う土地)
・土地形質変更図面(土地の形質の変更が行われる範囲について掘削部分及び盛土部分を区別して明示)
・平面図に最大掘削深度の記載又は縦・横断図を添付
3 土地形質の変更の実施についての同意書
・届出者が土地所有者等と異なる部分の土地については、同法第4条第1項に規定する土地の形質の変更の実施に関し、土地所有者等の同意が必要となります
4 土地の登記事項証明書
5 公図の写し等(形質の変更を行う土地の所在)
・公図や合成公図等の上に、形質変更を行う部分を赤線で囲むなどして明示
6 土地の履歴情報
・有害物質の使用履歴、現在及び過去の土地利用状況、土壌調査結果等がわかるもの
詳しくは土地がある都道府県のホームページなどを参照して必ず確認してください。
同法第4条第1項の流れ
最後に同法第4条第1項に関して、届出の流れをみておきます。
①届出
②土壌汚染のおそれ
「なし」→工事着工
「あり」→・特定有害物質による汚染が明らかな土地
・特定有害物質が埋設、飛散、流出、地下に浸透した土地
・特定有害物質を製造、使用、処理した事業用地
・特定有害物質を貯蔵、保管した事業用地
・上記と同様の汚染のおそれのある土地
③調査命令
各都道府県等の土壌汚染対策法を所管する部署が判断します。
・水質汚濁防止法、大気汚染防止法等の届出書類
・ガソリンを貯蔵する地下タンクの設置記録
・埋め立て用材由来の汚染が確認されている同じ埋め立ての土地に隣接している場合
・自然由来の汚染が確認されている同じ地質の土地に隣接している など
④土壌汚染状況調査
環境大臣等の指定を受けた指定調査機関に委託して実施
・地歴調査を行って、試料採取等を行う特定有害物質及び区画を選定
・試料を採取して、濃度計量証明じ事業所にて分析
⑤調査結果の報告
「基準に適合した」→工事着工
・適切な地歴調査が行われているかを確認
・試料採取が適切に行われ、分析した結果が土壌汚染対策法で規定されている基準に適合しているかを確認
「基準に不適合」→⑥要措置区域等に指定
⑥要措置区域等に指定
汚染が判明した場合・状況に応じて、調査対象地の舗装状況、周辺の飲用井戸の分布状況によって、要措置区域又は形質変更時用届出区域に指定、もしくは場合によって、工事費や工期、その後の土地利用等に影響する
株式会社エコ・テックのと土壌汚染対策法に伴う届出等について
株式会社エコ・テックでは、土地の形質変更に伴う行政への書類提出などを代行しています。
全国(東京、名古屋、大阪、岡山、福岡など)で無料相談、無料見積もりを実施しております。行政に提出する書類は不備がないものを用意しなければ、受け付けてくれません。何度も足を運ぶことになり面倒です。そこで弊社では土壌汚染対策法に伴う届出に関するご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
★参考①(土壌汚染のおそれがある土地の形質の変更が行われる場合の調査)
第四条
1 土地の形質の変更であって、その対象となる土地の面積が環境省令で定める規模以上のものをしようとする者は、当該土地の形質の変更に着手する日の三十日前までに、環境省令で定めるところにより、当該土地の形質の変更の場所及び着手予定日その他環境省令で定める事項を都道府県知事に届け出なければならない。ただし、次に掲げる行為については、この限りでない。
一 前条第一項ただし書の確認に係る土地についての土地の形質の変更
二 軽易な行為その他の行為であって、環境省令で定めるもの
三 非常災害のために必要な応急措置として行う行為
2 前項に規定する者は、環境省令で定めるところにより、当該土地の所有者等の全員の同意を得て、当該土地の土壌の特定有害物質による汚染の状況について、指定調査機関に前条第一項の環境省令で定める方法により調査させて、前項の規定による土地の形質の変更の届出に併せて、その結果を都道府県知事に提出することができる。
3 都道府県知事は、第一項の規定による土地の形質の変更の届出を受けた場合において、当該土地が特定有害物質によって汚染されているおそれがあるものとして環境省令で定める基準に該当すると認めるときは、環境省令で定めるところにより、当該土地の土壌の特定有害物質による汚染の状況について、当該土地の所有者等に対し、指定調査機関に前条第一項の環境省令で定める方法により調査させて、その結果を報告すべきことを命ずることができる。ただし、前項の規定により当該土地の土壌汚染状況調査の結果の提出があった場合は、この限りでない。
★参考②(一体とみなすことができる工事の定義)
「同一の事業の計画や目的の下で行われるものであるか否か。個別の行為の時間的近接性、実施主体等を総合的に判断」(環水大土発第1903015号 環境省水・大気環境局長通知より抜粋)
★参考③(開発行為に係る届出等が規定されている法令)
土壌汚染対策法だけではなく、以下にあげる法令にも開発行為に係る届出等が規定されています。
都市計画法、建築基準法、工場立地法、土地改良法、道路法、農地法、農業振興地域整備法、宅地造成等規制法、急傾斜地崩壊防止法、自然公園法、騒音規制法、振動規制法、森林法、文化財保護法等
株式会社エコ・テックの土壌汚染調査及び対策工事について
株式会社エコ・テックでは、調査・分析だけでなく対策方法のプランニングや土地の活用方法のご提案まで、土壌汚染の専門家として様々なアドバイスを行っています。土壌汚染にまつわる一連の問題解決に向け、調査から浄化、リサイクルまで、トータルで承ります。全国(東京・名古屋・大阪・岡山・福岡等)で、無料相談・無料見積もりを実施しておりますので、土壌汚染に関するご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。