マンション解体費用の相場について

マンション解体費用の相場について

1964年の東京オリンピック以降マンションの開発が進み日本も戸建住宅のみでなくマンションも入り混じるイメージに変わってきました。築40年以上を超えるマンションも増え、マンションの法定耐用年数は47年と国税庁が設定されています。これを越えて住むことは出来ますが資産価値が下がるため建替え・解体することもあります。マンションの構造について述べた後、構造別解体費用の相場についてご紹介していきます。

マンションの寿命は?

マンションの寿命とは何を基準に判断されるかというと、メンテナンスを定期的にされているかによって異なります。国税庁が設定しているマンションの法定耐用年数は47年とされており、この法定耐用年数とは会計上の建物の資産価値がなくなるまでの年数を表しているもので、建設47年でマンションに住めなくなるという意味ではなく、資産価値が下がるとされている年数のことです。

マンションを売ることを考えていないのであれば、メンテナンスを定期的にし、修繕・補修を行うことにより100年近く住むことが出来るとされています。

マンションの建替え・解体理由

マンションはメンテナンスを定期的にすると100年近く住むことが出来るとお伝えしましたが、老朽化したエレベーターなどの設備や外壁・共用部分の補修、水回りなど修繕・補修を行うには膨大な費用がかかります。

建替えの場合は、エレベーターがないマンションにエレベーターの設置やバリアフリー化、リフォームなどがつきまといます。

また地震の多い日本では老朽化したマンションでは耐震化対策がされているかも問題視されます。新耐震基準と呼ばれる1981年の建築基準法施行令改正以降の耐震基準を満たしていないと震度6以上の大きな地震に対して崩壊しない保証がないため安全性でも不安が残ります。

このような背景から老朽化したマンションは建替え・解体されることが多いです。

マンションの構造の種類・種類別の解体費用

マンションを解体する場合、構造の種類別に解体費用は異なってきます。またマンションの解体費用の相場は戸建住宅と比べて費用は大幅に高くなります。マンションの構造は、大きく分けて鉄筋コンクリート造(RC造)・鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)、鉄骨造(S造)の3種類に分かれます。

1.鉄筋コンクリート造(RC)

鉄筋コンクリート造(RC)とは、型枠と呼ばれる建物の形をした仮設の枠の中に鉄筋を組み、コンクリートを流し込んで固めた構造のことです。

メリットとしては耐久性・耐震性・耐火性・断熱性・防音性が高いこと、デメリットとしてはコンクリートや鉄筋でできた重量が大きいため鉄骨造(S)と比べると大きな空間が作りにくいこと、気密性が高いため結露が発生しやすいことが挙げられます。

さまざまな規模、高さのマンションで採用されている構造です。

鉄筋コンクリート造(RC)の解体費用は鉄骨造(S)より高く坪単価平均は45,000円です。解体にかかる振動や音が大きいため解体に時間がかかります。

2.鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC)

鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC)とは、鉄筋コンクリート造(RC)の芯の部分に鉄骨を入れた構造のことです。

メリットとしては鉄筋コンクリート造(RC)に鉄骨を組み合わせることえ硬く、粘り強くなり耐震性に優れていること、デメリットとしては鉄筋コンクリート造(RC)同様に気密性が高いため結露が発生しやすいこと、鉄筋コンクリート造(RC)に比べ建設コストが高いことが挙げられます。

中高層マンションに採用されることが多い構造です。

鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC)の解体費用は、鉄筋コンクリート造(RC)・鉄骨造(S)と比べ最も高く坪単価平均は60,000円です。鉄筋コンクリート造(RC)・鉄骨造(S)のいいとこ取りをした造りのため最も高額となり、解体にも時間がかかります。

3.鉄骨造(S)

鉄骨造(S)とは、柱や梁などに鉄骨を使用した構造で鉄骨の厚さが6mm以上は重量鉄骨造、6mm未満は軽量鉄骨造に分類されます。

メリットとしては建設コストが比較的安価なこと、工期が比較的短くすむこと、デメリットとしては鉄筋コンクリート造(RC造)や鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC)と比べ遮音性・耐久性・耐震性などが劣ることが挙げられます。

重量鉄骨造は3階以上の建物で採用され、鉄筋コンクリート造(RC)よりも大きな空間がつくりやすく広さが必要な工場などで使われる構造です。軽量鉄骨造は2階建ての住宅や小規模な店舗で採用されることが多い構造です。

鉄骨造(S)の解体費用は、鉄筋コンクリート造(RC)・鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC)と比べ最も安く坪単価平均は35,000円です。解体の時間も鉄筋コンクリート造(RC)、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC)と比べて短くなっています。

 

このようにマンションの構造の種類によって解体費用は異なります。

マンションの解体費用は誰が負担するか

マンションの解体には膨大な費用がかかります。では、この解体費用は誰が負担するのでしょうか。賃貸マンションの解体の場合は、解体費用についてはオーナーが負担します。

賃貸マンションの場合は居住者が負担することはないといえます。ただし解体が決まった場合は退去しなくてはなりません。

分譲マンションで売却のためにマンションを解体する場合は、解体費用については居住者が負担します。マンション内で問題にならないために分譲マンションを売却する場合は居住者の5分の4の賛成が必要です。居住者に解体するか否か判断する権利があることを、「建物の区分所有等に関する法律」を略して一般的には区分所有法と言います。

分譲マンションで新しいマンションに建て替える場合は、毎月集める修繕積立金の一部から出る場合があり、その場合は修繕積立金で賄えない部分を居住者が負担することが多いです。

修繕積立金の積立金額により解体費用が決まるといえます。

高額なマンションの解体費用の補助金

マンションの解体には全額負担であれば莫大な費用がかかります。そこで国土交通省がマンションの解体費用に関連し補助金を出してくれる場合があります。

補助金の制度として優良建築物等整備事業・都心共同住宅供給事業・都市再生住宅制度があります。

優良建築物等整備事業とは、市街地の環境の整備改善、良好な市街地住宅の供給のため土地の利用の共同化、高度化等に寄与する優良建築物等の整備を国が支援する事業です。10人以上の区分所有者により老朽化したマンションの建替えを補助してくれます。

都心共同住宅供給事業とは、居住に関する機能が低下している大都市の都心地域における住宅供給を推進するための事業です。他の居住者と土地を共同化することにより土地を有効活用できます。土地整備料や共同施設整備費を補助してくれます。

都市再生住宅制度は、マンション建替え、市街地再開発事業などにより自宅からの転出や住宅に困窮することになる居住者のために住宅を補助・支援し供給する制度のことです。事業者には事業費用の一部に対しての補助や居住者には家賃補助を補助してくれます。

 

これらの補助に関して対象になるかどうかは確認する必要があります。

最後に

マンションの解体工事の費用はマンションの構造により異なることを述べてきました。また解体工事そのものの費用に加え重機回送費、廃棄物運搬費、その他役費が加わります。解体時にアスベストが使用されている場合はさらに費用が高くなります。マンションを解体する場合は解体業者に見積もり依頼することが大切です。

株式会社エコ・テックの解体工事について

株式会社エコ・テックでは、家屋、建物の事前調査から解体計画の作成だけでなく、解体工事の専門家として様々なアドバイスを行っています。

全国(東京・名古屋・大阪・岡山・福岡等)で、無料相談・無料見積もりを実施しておりますので解体工事に関するご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください

参考URL

マンション政策|国土交通省
(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk5_000040.html)

耐用年数(建物/建物附属設備) | 国税庁 (https://www.keisan.nta.go.jp/h30yokuaru/aoiroshinkoku/hitsuyokeihi/genkashokyakuhi/taiyonensutatemono.html)

建物の区分所有等に関する法律| e-Gov法令検索
(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=337AC0000000069)

優良建築物等整備事業|国土交通省
(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk5_000080.html)

都心共同住宅供給事業|国土交通省
(https://www.mlit.go.jp/notice/noticedata/sgml/048/77000255/77000255.html)

都市再生住宅制度|国土交通省
(https://www.mlit.go.jp/toshi/crd_machi_tk_000021.html)

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土壌汚染対策法の基準値一覧について

環境問題の一つとして挙げられる土壌汚染。土壌汚染には人間により生じた汚染、自然由来で生じた汚染の2種類あります。

土壌汚染について、土壌汚染対策法の施行背景と土壌の特定有害物質による汚染から私たちの健康を維持し環境保全する際に使用される土壌汚染対策法の基準値の一覧を掲載いたします。

土壌汚染とは

土壌は私たち人間を含め地中にいる生き物が生活する場であり、土壌に含まれる水分や養分が私たちの食の元となる農作物を育てています。そのため土壌は私たち人間を含んだ生き物が生きていく上でなくてはならないものです。

土壌汚染とは、土壌が人間にとって有害な物質により汚染された状態のことをいいます。原因としては工場の操業に伴い原料として用いる有害な物質を不適切に取り扱ってしまったり、有害な物質を含む液体を地下に染み込ませてしまったりすることなどが考えられます。土壌汚染の中には人間の活動に伴って生じた汚染だけでなく、自然由来で汚染されているものも含まれます。 (1)

土壌汚染対策法とは

土壌汚染対策法とは、土地の汚染を見つけるための調査や、汚染が見つかったときにその汚染により私たちに悪い影響が生じないように土壌汚染のある土地の適切な管理の仕方について定める、いわば健康を保護することを目的とされた法律です。

平成14年に土壌汚染対策法が成立しました。課題として上がっているものを解決するために、

①法律に基づかない土壌汚染の発見の増加調査のきっかけを増やすことで解決させる

②汚染土壌を掘り出す掘削除去に偏重→健康リスクの考え方を理解してもらうことで解決させる

③汚染土壌の不適正処理→汚染土壌をきちんと処理してもらうことで解決させる

これらを実施することを目的として平成214月に土壌汚染対策法の改正法が成立され平成224月から改正法が施行されました。

その後も施行状況の見直し検討が行われ平成29519日に土壌汚染対策法の一部を改正する法律が公布され第1段階が平成3041日に施行され第2段階は平成3141日に施行されました。(1)

毎年のように改正され最新の改正は令和47月に土壌汚染対策法施行規則の一部を改正する省令施行・汚染土壌処理業に関する省令の一部を改正する省令施行が施行されました。

土壌汚染のリスク

土壌の汚染があってもすぐ私たちの健康に影響があるわけではなく、土壌汚染対策法では、土壌汚染による健康リスクを以下の2つの場合に分けて考えています。

①地下水等経由の摂取リスク

土壌に含まれる有害物質が地下水を溶け出して、その有害物質を含んだ地下水を口にすることによるリスク
例:土壌汚染が存在する土地の周辺で、地下水を飲むための井戸や蛇口が存在する場合

②直接摂取リスク

土壌に含まれる有害物質を口や肌などから直接摂取することによるリスク
例;子どもが砂場遊びをしているときに手についた土壌を口にする、風で飛び散った土壌が直接口に入ってしまう場合

土壌汚染対策法はこれらの健康リスクをきちんと管理するために作られました。同法では、①地下水等経由の摂取リスクの観点からすべての特定有害物質について土壌溶出量基準が、②直接摂取リスクの観点から特定有害物質のうち9物質について土壌含有量基準が設定されています。

土壌汚染に関する問題とは、土壌汚染が存在すること自体ではなく、土壌に含まれる有害な物質が私たちの体の中に入ってしまう経路(摂取経路)が存在していることです。この経路を遮断するような対策を取れば有害な物質は私たちの中に入ってくることはなく、土壌汚染による健康リスクを減らすことができます。つまり土壌汚染があったとしても、摂取経路が遮断されきちんと健康リスクの管理ができていれば私たちの健康に何も問題はありません。(2)

土壌汚染対策法の基準値について

土壌の特定有害物質による汚染から私たちの健康を維持し環境保全する必要があります。

土壌汚染対策法基準は、特定有害物質による土壌汚染等の有無を判断する基準であり、土壌溶出量基準、土壌含有量基準、地下水基準の3つからなっています。 (3)
特定有害物質とは土壌や地下水に含まれることが原因で人の健康に被害を生ずるおそれがある有害物質として土壌汚染対策法施行令で定めた26物質のことです。

第一種特定有害物質(揮発性有機化合物)、第二種特定有害物質(貴金属等)及び第三種特定有害物質(農薬等)があり、各物質ごとに土壌溶出量基準や土壌含有量基準等の基準値が設定されています。(1)

くり返しになりますが、①地下水摂取などによるリスクからは土壌溶出量基準が、②直接摂取によるリスクからは土壌含有量基準が定められています。

土壌溶出量基準及び地下水基準は、土壌に含まれる特定有害物質が溶け出し、地下水等から飲料水にともなって間接摂取して問題ないレベルとしての基準です。

土壌含有量基準は、土壌に含まれる特定有害物質を経口又は皮膚より直接接種しても問題ないレベルとしての基準です。(3)

土壌含有量基準については、すべての特定有害物質に設定されていますが、土壌含有量基準については、特定有害物質のうち貴金属を中心とする9物質についてのみ定められています。(1)

土壌汚染対策法の基準値一覧

土壌汚染対策法の基準値一覧を掲載いたします。

土壌溶出量基準は、土壌に水を加えた場合に溶出する特定有害物質の量に関する基準で、1リットル中のミリグラム(mg/l)で表します。

土壌含有量基準は、土壌に含まれる特定有害物質の量に関する基準で、1キログラム中のミリグラム(mg/kg)で表します。

地下水基準は、地下水に含まれる特定有害物質の量に関する基準で、1リットル中のミリグラム(mg/l)で表します。(3)

■第一種特定有害物質(揮発性有機化合物)

第一種特定有害物質は、土壌含有量基準がないため「-」で表しています。

特定有害物質の種類

土壌溶出量基準

土壌含有量基準

クロロエチレン

検液1Lにつき0.002mg以下であること

-

四塩化炭素

検液1Lにつき0.002mg以下であること

-

1,2-ジクロロエタン

検液1Lにつき0.004mg以下であること

-

1,1-ジクロロエチレン

検液1Lにつき0.1mg以下であること

-

1,2-ジクロロエチレン

検液1Lにつき0.004mg以下であること

-

1,3-ジクロロプロペン

検液1Lにつき0.002mg以下であること

-

ジクロロメタン

検液1Lにつき0.002mg以下であること

-

テトラクロロエチレン

検液1Lにつき0.01mg以下であること

-

1,1,1-トリクロロエタン

検液1Lにつき1mg以下であること

-

1,1,2-トリクロロエタン

検液1Lにつき0.006mg以下であること

-

トリクロロエチレン

検液1Lにつき0.01mg以下であること

-

ベンゼン

検液1Lにつき0.01mg以下であること

-

■第二種特定有害物質(貴金属等)

特定有害物質の種類

土壌溶出量基準

土壌含有量基準

カドミウム及びその化合物

検液1Lにつきカドミウム0.003mg以下であること

土壌1kgにつきカドミウム45mg以下であること

六価クロム化合物

検液1Lにつき六価クロム0.05mg以下であること

土壌1kgにつき六価クロム250mg以下であること

シアン化合物

検液中にシアンが検出されないこと

土壌1kgにつき遊離シアン50mg以下であること

水銀及びその化合物

検液1Lにつき水銀0.0005mg以下であり、検液中にアルキル水銀が検出されないこと

土壌1kgにつき水銀15mg以下であること

セレン及びその化合物

検液1Lにつきセレン0.01mg以下であること

土壌1kgにつきセレン150mg以下であること

鉛及びその化合物

検液1Lにつき鉛0.01mg以下であること

土壌1kgにつき鉛150mg以下であること

砒素及びその化合物

検液1Lにつき砒素0.01mg以下であること

土壌1kgにつき砒素150mg以下であること

ふっ素及びその化合物

検液1Lにつきふっ素0.8mg以下であること

土壌1kgにつきふっ素4,000mg以下であること

ほう素及びその化合物

検液1Lにつきほう素1mg以下であること

土壌1kgにつきほう素4,000mg以下であること

■第三種特定有害物質(農薬等/農薬+PCB

第三種特定有害物質は、土壌含有量基準がないため「-」で表しています。

特定有害物質の種類

土壌溶出量基準

土壌含有量基準

シマジン

検液1Lにつき0.003mg以下であること

-

チオベンカルブ

検液1Lにつき0.02mg以下であること

-

チウラム

検液1Lにつき0.006mg以下であること

-

ポリ塩化ビフェニル(PCB)

検液中に検出されないこと

-

有機りん化合物

検液中に検出されないこと

-

 

パンフレット「土壌汚染対策法のしくみ」| 環境省 (https://www.env.go.jp/water/dojo/pamph_law-scheme/index.html)より

最後に

土壌汚染は調査をしなければ汚染されているか否か判断が難しい場合があります。土壌汚染対策法基準を超えた土壌汚染が見つかった場合には、有害物質等取扱事業者や土地改変者が土壌汚染等対策指針に従って適切な措置を講ずることとなります。

株式会社エコ・テックの土壌汚染対策工事について

株式会社エコ・テックでは、調査・分析だけでなく対策方法のプランニングや土地の活用方法のご提案まで、土壌汚染の専門家として様々なアドバイスを行っています。土壌汚染にまつわる一連の問題解決に向け、調査から浄化、リサイクルまで、トータルで承ります。全国(東京・名古屋・大阪・岡山・福岡等)で、無料相談・無料見積もりを実施しておりますので土壌汚染に関するご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

(1)パンフレット「土壌汚染対策法のしくみ」| 環境省
(
https://www.env.go.jp/water/dojo/pamph_law-scheme/index.html)

(2)土壌汚染対策法|公共財団法人日本環境協会
(https://www.jeas.or.jp/dojo/law/outline.html)

(3)土壌汚染対策基準|愛知県
(https://www.pref.aichi.jp/kankyo/kansei-ka/houreii/jyorei-1/rinku/d-kijyun.html)

参考URL

土壌汚染対策法について(法律、政令、省令、告知、通知)| 環境省 (https://www.env.go.jp/water/dojo/law/kaisei2009.html)

パンフレット「土壌汚染対策法のしくみ」| 環境省 (https://www.env.go.jp/water/dojo/pamph_law-scheme/index.html)

土壌汚染対策法の対象物質と指定基準|岐阜市(https://www.city.gifu.lg.jp/kurashi/kankyo/1003103/1003131/1003134.html)

土壌汚染対策法|公共財団法人日本環境協会(https://www.jeas.or.jp/dojo/law/outline.html)

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アスベスト除去方法について

アスベストが含まれる建物を解体する際は、通常の解体工事作業に加え、アスベスト除去の工事も実施する必要があります。アスベストの除去工事は危険を伴うため、専門知識や特別な措置や作業が必要です。この記事ではアスベストの除去方法を解説していきます。

アスベストとは

石綿(アスベスト)は安価で、耐火性、断熱性、防音性、絶縁性耐、薬品性、耐腐食性、耐摩耗性など多くの機能において優れていたため、耐火、断熱、防音等の目的で使用されてきました。しかし、アスベストに関する健康への被害が判明し、1975年に5重量%を超えるアスベストの吹き付けが原則禁止とされました。

アスベストが問題視されている理由

アスベストは肉眼では見ることができない程繊維が細かいため、飛散しやすく人が吸い込んだ際に人体に影響を及ぼすことが判明しています。またその健康被害はアスベストを吸い込んでから長い月日をかけて現れると言われており、その潜伏期間は平均40年ということがわかっています。

また、WHOの報告により、アスベストの繊維は、肺線維症(じん肺)、悪性中皮腫の原因になることがわかっており、肺がんを起こす可能性があることが知られています。

アスベストのレベルについて

そこでアスベストを含む建造物の解体・改修作業を行う際の「アスベスト粉じんの飛散のしやすさ(発じん性)」において3つのレベル分けがされています。

アスベストのレベルは1から3までの3段階に分けられます。アスベストにおいてはレベル1が最も危険な段階です。通常数値が低い方が危険レベルも低く表記されることが一般的ですが、アスベストにおいてはレベル1が最も危険レベルが高くなっているので、注意が必要です。
アスベストレベルは発塵性によってレベル分けされており、飛散性が高ければそれだけ、解体工事での飛散リスクにつながり近隣への影響も及ぼしやすくなります。
そのため、飛散の危険性にあわせて飛散防止策を講じなければなりません。

レベル1:発じん性が非常に高い

最も危険性が高いレベル1は発じん性が高く、取り扱い建材の種類として代表的なのは「石綿含有吹付け材」です。見た目は綿のように白くモコモコしており、解体する際にこの綿のようなアスベストが飛び広がってしまうので大変危険です。

レベル1に分類される建材は「石綿含有吹付け材」です。石綿含有吹付け材は、アスベストにセメントやバーミキュライト、ロックウールなどを混ぜ、吹付け機で施工したものです。表面は綿状で柔らかく、深さが数cm程度あるのが特徴です。

レベル2:発じん性が高い

2番目に危険性が高く、取り扱い建材の種類は石綿含有保温材、耐火被覆材、断熱材などが挙げられます。これらはレベル1程の飛散は見られませんが、密度が低いため軽く一度崩れると一気に飛び広がる可能性があるため、こちらも危険と言えます。

レベル3:発じん性が比較的低い

3つの中では最も危険度が低いレベル3はアスベストを含む建材を指します。

アスベスト含有建材はアスベストが建材の内部に含まれているので、アスベストレベル1や2と比較するとアスベストが飛散する可能性は低いものの、建材の破損などにより内部からアスベストが飛散する恐れがるので注意が必要です。

事前作業

アスベストレベルに関わらず以下の作業が共通で発生します。

1.事前調査
2.作業計画の作成と周知
3.解体等の作業における法届け出
4.事前調査結果・作業内容の掲示・表示
5.資格者の設置・教育・健康診断
6.呼吸用保護具用意
7.作業記録の保存
8.湿潤化

アスベストレベル1・2・3の除去作業

アスベストレベル1・2・3共通で用いられる除去作業の工法があります。

除去工法

アスベスト含有吹き付け材を下地から取り除いていく工法を除去工法と呼びます。
専用の機材を使用して除去していくため、費用は高額になるケースが多いです。
リムーバル工法とも呼ばれるもので、アスベスト含有層を下地から取り除く方法。アスベストを完全に取り除いてしまうため、建物の解体時などの際に、再度、除去する必要もなく、もっとも推奨される工法です。

アスベストレベル1・2の除去作業

アスベストレベル1・2・3共通で用いられる除去作業には3つの工法があります。

①封じ込め工法

既存のアスベスト含有吹き付け材の上から溶剤を吹きかけることで外側からアスベストが飛散しないように封じ込める工法を封じ込め工法と言います。

除去工法と比較すると、もともとあったアスベストが残ってしまう点が難点で、建物自体を解体する時にアスベストを除去しなければなりません。

②囲い込み工法

アスベスト層部分を板材などのアスベストではない素材のものを取り付けて、完全に覆うことによりアスベストを密封することでアスベストの飛散を防ぐ方法を「囲い込み工法」と呼びます。

「囲い込み工法」も「封じ込め工法」と同様にもともとあったアスベストが残ってしまうのが難点です。

アスベストレベル3の除去作業

③剥離工法

薬品でアスベストが含まれている仕上塗材や下地調整材をやわらかくして取り除く方法です。薬品によって湿潤化されるため、散水をする必要がなく、作業後の処理も楽。取り残しがある場合、他の工法との併用が必要。この工法は主にアスベストレベル3の除去作業で用いられることが多いです。

アスベストレベル2の除去作業

超高圧水を噴射してアスベストを含んだ塗材を除去する方法。アスベスト含有層を十分に湿潤化することが出来るので、アスベストの飛散を抑えることができます。水だけを使用しているので、環境への影響も低いといわれています。この工法は主にアスベストレベル2の除去作業で用いられることが多いです。

解体・撤去方法の注意点

屋根・外壁工事の場合

・建築物等の4面に、建築物等の高さ以上の防じんシート、プラスチックシート等を設置

・原則、原形のまま壊さずに手ばらし

・外した成形板の投下・重機による踏みつけ厳禁

・散水などにより十分湿潤化して、撤去作業を行う

・足場つなぎのため、外装材を部分的に撤去する場合には、部分的な湿潤化、又は高性能真空掃除機で吸引しながら撤去

内装・天井裏に石綿含有吹付けがある場合

・長年の劣化により吹付け材が劣化・脱落し、天井上に堆積しているおそれがあるとき、隔離養生後に天井解体することが必要(天井のみの取替え改修工事でも隔離養生が必要、届出が必要となることもあります。)

・場合によっては、天井上の堆積物を分析し、堆積物の石綿の有無を確認することも必要

除去処分に関して

飛散防止対策を施し、特別管理産業廃棄物として処理します。

処分の手順

廃棄物は耐水性の材料で二重に梱包するか、固形化する。

廃棄物の運搬を委託する場合は、当社にて収集運搬し、処分については、「特別管理廃棄物処分業者」に委託する。

管理票において適切に処分されたことを確認する。

補助金について

アスベストレベル1に該当する解体作業には補助金が支給される場合があります。

民間建築物に対するアスベスト除去、または囲い込み、封じ込めに関して、国で補助金制度を設けており、補助金制度がある地方公共団体では地方公共団体経由で補助金が支給されます。しかしながら、補助制度を導入していない地方公共団体もあるので、補助金制度に関しては近くの地方公共団体に確認が必要です。

補助金の概要

①補助事業の内容:建築物の吹付けアスベスト等1)のアスベスト除去、または囲い込み、封じ込め

②対象建築物:吹付けアスベスト等1)が施工されている建築物

③対象とする費用内容:対象建築物の所有者等が行う吹付けアスベスト等の除去、封じ込めまたは囲い込みに要する費用(建築物の解体・除去を行う場合にあってはアスベスト除去に要する費用相当分)

④補助率: 2/3以内(ただし地方公共団体の補助額を超えない範囲)

1)アスベスト除去等で補助対象としているのは、吹付けアスベスト、アスベスト含有吹付けロックウールです。

参考:”アスベスト対策Q&A - “,”国土交通省”https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/Q&A/index.html#a43

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エアコン工事におけるアスベスト調査の必要性について

アスベスト調査に関して

大気汚染防止法および石綿障害予防規則の改正により、令和4年4月1日以降に着工する一定規模以上の解体・改造・補修工事について、アスベストの有無に関わらず、アスベスト調査結果の報告が必要になりました。さらに令和5年(2023年)10月からは有識者によるアスベストの事前調査・分析が義務化されることが決まっています。

この記事では報告が義務化されたアスベスト調査や、アスベスト調査におけるエアコン工事の必要性について解説していきます。

アスベストとは
石綿(アスベスト)は安価で、耐火性、断熱性、防音性、絶縁性耐、薬品性、耐腐食性、耐摩耗性など多くの機能において優れていたため、耐火、断熱、防音等の目的で使用されてきました。しかし、アスベストに関する健康への被害が判明し、1975年に5重量%を超えるアスベストの吹き付けが原則禁止とされました。

アスベストの危険性

アスベストは肉眼では見ることができない程繊維が細かいため、飛散しやすく人が吸い込んだ際に人体に影響を及ぼすことが判明しています。またその健康被害はアスベストを吸い込んでから長い月日をかけて現れると言われており、その潜伏期間は平均40年ということがわかっています。また、WHOの報告により、アスベストの繊維は、肺線維症(じん肺)、悪性中皮腫の原因になることがわかっており、肺がんを起こす可能性があることが知られています。

アスベストがもたらす病気について

1.中皮腫

中皮腫は、肺を取り囲む胸膜、肝臓や胃などの臓器を囲む腹膜、心臓及び大血管の起始部を覆う心膜、精巣鞘膜にできる悪性の腫瘍です。

2.アスベスト肺

アスベスト肺とは、アスベストを大量に吸い込んでしまうことにより、肺が線維化してしまう肺線維症(じん肺)という病気の一種です。

3.肺がん(原発性肺がん)

原発性肺がんは気管支あるいは肺胞を覆う上皮に発生する悪性の腫瘍です。中皮腫と異なり、喫煙をはじめとして石綿以外の多くの原因でも発生します。

 

アスベストを吸い込んだ量と中皮腫や肺がんなどの発病との間には相関関係が認められていますが、どの程度以上のアスベストを、どのくらいの期間吸い込めば、発症に至のかということは今だ不明な点が多いです。

アスベストのレベルについて

アスベストのレベルは先述した通り、「アスベスト粉じんの飛散のしやすさ(発じん性)」によって分けられています。アスベストのレベルは1から3までの3段階に分けられます。アスベストにおいてはレベル1が最も危険な段階です。通常数値が低い方が危険レベルも低く表記されることが一般的ですが、アスベストにおいてはレベル1が最も危険レベルが高くなっているので、注意が必要です。

アスベスト調査とは?

解体予定の建物にアスベストが含まれているかどうかの調査を意味します。アスベストが含まれた建物をそのまま解体してしまうと、作業者や近隣住民に重大な健康被害をもたらす可能性があるため、解体前にしっかりとアスベストの有無を調査した上でアスベストが含まれていた場合は慎重に除去作業を行う必要があります。

アスベスト調査の必要性について

先述したようにアスベストは人の健康に被害を与える可能性がある物質だということが明らかになっています。

アスベストが使用された建物を調査せずに解体してしまうと作業者だけでなく、近隣に住む人たちへも重大な健康被害が及ぶリスクが懸念されています。法改正によってアスベスト調査の報告が義務付けられていますので、しっかりと有識者に依頼し、アスベスト調査を行うことが必要です。

〇法改正によりアスベスト調査の結果報告が必須に
大気汚染防止法および石綿障害予防規則の改正により、令和4年4月1日以降に着工する一定規模以上の解体・改造・補修工事について、アスベストの有無に関わらず、アスベスト調査結果の報告が必要になりました。さらに令和5年(2023年)10月からは有識者によるアスベストの事前調査・分析が義務化されることが決まっています。

アスベストが使用される箇所とは?

アスベストは、耐熱性や絶縁性、耐薬品性にも優れ、また繊維状のため、糸や布に織り上げることができ、曲げやひっぱり、摩擦に強く、産業機械、化学設備、家庭用品まで幅広く利用されてきました。

中でも、原則1975年に禁止された、セメントなどの結合材と混ぜて、鉄骨材の耐火被覆、空調設備などの吸音・断熱材として吹き付け施工された「吹き付けアスベスト」は劣化や解体・加工などにより、最も飛散性が高いものです。比較的規模の大きい鉄骨造の建築物の耐火被覆として使用されている場合が多くあります。

エアコン工事におけるアスベスト調査の必要性について

先述した通り、アスベストは優れた機能を持つと考えられていたため、建物の中で多くの箇所に使用されている可能性があります。中でも空調設備などの吸音・断熱材としてアスベストが用いられている場合は「吹き付けアスベスト」を使用している可能性が高く、最も飛散しやすくアスベストレベル1に位置づけられています。また、天井にアスベストが含まれていることが多くあります。空調設備が天井に隣接している場合、アスベスト調査を行わず空調設備の工事を行ってしまうと作業者だけでなく、その後多くの人に健康被害を与えてしまう可能性があります。

したがって、エアコンなど空調設備の工事を行う際には作業者や工事後使用する人のためにアスベスト調査を行っておきましょう。

アスベストの含有が確認された場合は、規定にのっとって除去を行い、その後に空調設備の工事に取り掛かる必要があります。

使用中の建物のアスベストの対応

アスベストを含む吹付け材がある場合には、次の対応が必要となります。

傷みがひどい場合は、アスベスト飛散のおそれがあるため、除去、封じ込め、囲い込み等の措置が必要です。また、天井裏等で空調・電気工事を行う場合にも、吹付け材にアスベストが含まれていることを報告する必要があります。

除去作業には3つの工法があります。

①除去工法

アスベスト含有吹き付け材を下地から取り除いていく工法を除去工法と呼びます。
専用の機材を使用して除去していくため、費用は高額になるケースが多いです。

②封じ込め工法

既存のアスベスト含有吹き付け材の上から溶剤を吹きかけることで外側からアスベストが飛散しないように封じ込める工法を封じ込め工法と言います。

除去工法と比較すると、もともとあったアスベストが残ってしまう点が難点で、建物自体を解体する時にアスベストを除去しなければなりません。

③囲い込み工法

アスベスト層部分を板材などのアスベストではない素材のものを取り付けて、完全に覆うことによりアスベストを密封することでアスベストの飛散を防ぐ方法を「囲い込み工法」と呼びます。

「囲い込み工法」も「封じ込め工法」と同様にもともとあったアスベストが残ってしまうのが難点です。

先述した通り、「封じ込め工法」と「囲い込み工法」は既存のアスベストが残ってしまいますが、どちらも以下のメリットがあります。

・費用が比較的安い
・工事期間が短い
・アスベストが飛散を抑えられる

アスベスト調査の補助金について

上記のように、アスベストの解体前のアスベスト調査は必須となります。そこでアスベスト調査を行う際の補助金について触れていきます。

民間の建築物のアスベスト調査などに関して、国土交通省は補助制度を設けており、それぞれの自治体によって補助制度は異なります。補助制度がある地方公共団体は活用することが可能です。

補助対象とする石綿(アスベスト)は、吹付けアスベスト、アスベスト含有吹付けロックウールです。
※ 補助制度がない地方公共団体もありますので、詳細はお住まいの地方公共団体にお問い合わせください。

1. 対象建築物:吹付けアスベスト等が施工されているおそれのある住宅・建築物
2. 補助内容:吹付け建材中のアスベストの有無を調べるための調査に要する費用
3. 国の補助額:限度額は原則として25万円/棟(民間事業者等が実施する場合は地方公共団体を経由)

※1)アスベスト含有調査で補助対象としているのは、吹付けアスベスト、アスベスト含有吹付けロックウールです。

上記の内容をまとめると、アスベストの分析調査に対して給付される補助金があり、国が示している支給条件は以下のようになります。

・補助事業の対象:建築物の吹付け材のアスベスト含有の有無に関する調査
・対象建築物:吹付けアスベスト、アスベスト含有吹付けロックウール、吹付けバーミキュライト、吹付けパーライトが使用されている可能性がある建築物
・補助額:限度額は原則として25万円/棟

補助金に関しては積極的に調べ、活用していくことをおすすめします。

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