地下解体の手順や工法について

地下解体工事は、老朽化した建物の撤去、地下施設のリノベーションなどにおいて不可欠な作業です。地上の解体工事と比べて特有の課題が伴います。今回は地下解体の手順や工法についてご紹介します。

地下解体工事の概要

地下解体工事とは、地下に存在する構造物を撤去する工事のことで、都市部の再開発や老朽化した施設の解体工事において重要な役割を果たします。地上の解体工事と異なり、地下解体は特殊な条件下での作業が求められるため、高度な技術と慎重な計画が必要です。

 地下解体は、主に以下のような目的で行われます。

 ①土地利用の向上や再開発

都市部では地下空間が限られているため、既存の地下構造物を解体し、新しい建物や施設を建設するケースが多く見られます。

②老朽化した施設の撤去

耐用年数を過ぎた地下構造物は、安全性の観点から解体が必要となります。特に、鉄筋コンクリート製の施設では、経年劣化が顕著になることがあります。

③地中環境の修復

地下に埋没されたタンクや汚染された構造物の撤去を通じて、環境汚染を防止または改善することが目的となる場合もあります。

地下解体工事の手順について

地下解体工事をする際は、先に地上部分を解体してから地下構造物に取り掛かるのが一般的です。以下で地下解体工事の基本的な流れをみていきましょう。

①地上部分を解体する

地下解体工事を行う前に、地上部分の解体工事が必要です。地上部分を撤去することで、地下構造物へのアクセスが容易になり、作業スペースが確保されます。

②支保工(しほこう)の設置

地下解体工事において最も重要なのが支保工(しほこう)の設置です。支保工とは、地盤や構造物を支えるために設置する仮設構造物のことです。地下解体工事や掘削作業中に地盤崩壊や周辺建物への影響を防ぐ役割を果たし作業中の安全性を確保する重要な設備です。また、地下解体工事作業中の安全性を確保するだけでなく、周囲の建物や道路への影響を最小限に抑えるための重要な役割を果たします。

③地下部分を解体する

地下解体工事は、まず地下構造物の一部を解体し、内部へのアクセスを確保します。この段階では作業空間を広げるために最小限の解体を行い、安全確認を徹底します。

その後、鉄筋コンクリートや鉄骨で作られた地下構造物の本体を解体します。 

④解体工事で出た廃棄物の搬出

地下で発生した廃材や瓦礫は、特設された搬出ルートやシャフトを使用して地上へ運び出されます。この際、資源を分別し、リサイクル可能なものを適切に処理します。

⑤埋め戻しをする

地下解体工事が終わったら、埋め戻しを行います。埋め戻しとは、解体工事などで浄化槽などの地中埋設物を撤去した場合や、井戸や地下室の解体工事を行った場合に生じる空間を埋める作業のことを指します。埋め戻しを行わないと、大きな穴が残り、地盤の不安定化や安全上のリスクが生じます。

地下に存在する空間が埋め戻されずに放置されると、地盤が不安定になり、沈下や崩壊のリスクが高まります。地盤の安定性は、後に建設される建物の安全性にも直結します。適切な埋め戻しにより、地盤の安定性を確保し、将来的なトラブルを防ぐことができます。

⑥整地をする

建物の解体後は整地をする必要があります。整地とは、土をならして平坦にするなど、土地や地面をきれいに整えることです。解体工事後の土地は廃棄物、大きな石や砂利などにまみれています。このような不要物を取り除き平らな状態にすることが整地です。

重機で土地に圧力をかけて固めるという転圧作業も行います。不要物を取り除き、土地に何もない状態にした後、重機で均一にして踏み固めて地盤を安定させます。

解体後の土地の二次活用を考えている場合は整地までした方が後に役立ちます。

⑦立ち会い

整地後、現場を解体工事施主が確認し了承が出て、なおかつ近隣への解体工事完了の挨拶等が全て終わると解体工事完了となります。

地下解体工事の課題と特徴

地下解体には地上の解体工事と比べて特有の課題と特徴があります。

・制約された作業空間

・地盤や周辺施設への影響

・地下水や地質条件の影響 

地下構造物は周囲を地盤で囲まれているため、作業スペースが限られます。重機の搬入や解体物の搬出も困難であり、効率的な動線の確保が重要です。

また、地下解体工事では、地盤の安定性を保ちながら作業を進める必要があります。周囲の建物や地下インフラに損傷を与えないよう、慎重な設計や振動の抑制が求められます。

さらに、地下水位が高い地域や不安定な地盤では、解体中に土砂崩れや浸水のリスクが伴います。これに対応するため、ポンプによる排水や地盤改良が行われることがあります。

地下解体工事を安全かつ効率的に進めるためには

地下解体工事を安全かつ効率的に進めるためには、以下の重要な要素が求められます。

①事前調査と計画

解体工事対象となる地下構造物や周辺環境について詳細な調査を行い、地質データや地下水の状況、構造物の設計図を確認します。この情報をもとに、適切な解体工法や重機の選定、廃材の搬出計画を策定します。また、法規制や環境基準を遵守するため、必要な許可の取得も欠かせません。 

②安全対策

地下解体工事では、地盤崩壊や周辺建物への影響を防ぐため、支保工を適切に設置します。

また、地下空間は換気が不十分なため、有毒ガスや粉塵の発生を抑える対策が必要です。さらに、作業員の安全確保のため緊急避難ルートや安全教育の徹底も重要です。

③適切な工法の選択

対象構造物の材質や規模に応じて、最適な解体方法を選びます。例えば鉄筋コンクリートにはダイヤモンドワイヤーや油圧クラッシャーを使用し、振動や騒音を抑えます。狭小空間では分割解体工法や小型重機が効率的です。

地下解体工事の工法について

地下解体工事の工法は、解体工事対象の構造物や周辺環境、作業スペースなどの条件に応じて変わってきます。以下でみていきましょう。

 ①手作業による解体

手作業による解体は、重機が入れない場所や、振動や騒音を極力抑える必要がある場合に有効です。ハンマー、チゼル、電動ハンマードリルなど小型の工具が使用されます。

②重機による解体

重機を使用した解体は、地下構造物が比較的大きく、スペースに余裕がある場合に採用されます。油圧ショベル、ブレーカー、クラッシャー、ダイヤモンドワイヤー切断機などが用いられます。構造物の一部を順次破壊しながら、解体物を搬出します。

③カッター工法

カッター工法は、鉄筋コンクリートや鉄骨構造物を正確に切り離すための方法です。ダイヤモンドワイヤーソーを使用してコンクリートや鉄筋を切断する、ダイヤモンドワイヤー工法、コンクリート構造物の一部を取り外す際に使用されるコアドリル工法などがあります。

 ④爆破解体工法

爆破解体工法は、大規模な地下構造物を効率的に解体する方法です。ただし、都市部や周辺に建物がある場合にはほとんど採用されません。爆薬を使用して構造物を一気に崩壊させる工法で、広範囲を短時間で解体することができます。

⑤ジャッキダウン工法

ジャッキダウン工法は、地下構造物を下部から徐々に解体する特殊な工法です。地下構造物の天井部分を支保工で支えながら、下部から順次解体を進めます。構造物の高さを調整しながら作業を行うため、安全性が高いのが特徴です。

⑥分解解体工法

分解解体工法は、地下構造物を小さなブロック単位に分割して解体する方法です。狭い空間での解体作業に適しており、重機の使用が難しい場合にも対応可能です。構造物を切断して小型化し、搬出しやすくします。切断にはダイヤモンドワイヤーやコアドリルが利用されます。

最後に

地下解体工事では、対象物の材質や規模、周辺環境、予算などに応じて最適な工法を選択することが重要です。また、複数の工法を組み合わせることで、作業効率を最大化し、安全性を高めることができます。 

株式会社エコ・テックの解体工事について

株式会社エコ・テックでは、家屋、建物の事前調査から解体計画の作成だけでなく、解体工事の専門家として様々なアドバイスを行っています。

 全国(東京・名古屋・大阪・岡山・福岡等)で、無料相談・無料見積もりを実施しておりますので解体工事に関するご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください

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ダイオキシンの健康被害などリスクについて

ダイオキシンは、人間の健康や環境に深刻な影響を及ぼず可能性がある有害な化学物質の一種です。特に焼却施設や産業廃棄物の不適切な処理によって発生しやすく、空気や水、土壌に蓄積されやすいため、環境を通じて人間の体内に入りやすい性質があります。今回は、ダイオキシンの健康被害などのリスクについてご紹介します。

ダイオキシンとは

ダイオキシンは、ポリ塩化ジベンゾ-p-ジオキシン(PCDDs)やポリ塩化ジベンゾフラン(PCDFs)などの化学物質の総称で、約400種類の異なる化合物を含んでいます。その中でも、2,3,7,8-四塩化ジベンゾ-p-ジオキシン(TCDD)は特に毒性が高い物質として知られています。ダイオキシンは自然環境ではほとんど分解されず、土壌や水中に長期間残留します。1980年代以降、毒性が強く、環境中で分解されにくいことが問題視され、特定の種類は「持続性有機汚染物質」(POPs)にも分類されています。これらの物質は、微量でも人体に深刻な悪影響を与える可能性があるため、国際的な規制の対象となっています。

ダイオキシンは、主としてものを燃やすところから発生し、処理施設で取り切れなかった部分が大気中に出ます。また、かつて使用されていたポリ塩化ビフェニル(PCB)や一部の農薬に不純物として含まれていたものが環境中に蓄積している可能性があります。 

ダイオキシンの主な発生源は以下の通りです。

■廃棄物の焼却処理(特に不完全燃焼)

■化学工業による副産物

■農業や除草剤の使用

■森林火災や家庭ごみの焼却

ダイオキシンは意図的に作られることはありません。炭素・酵素・水素・塩素を含む物質が熱せられるような過程で自然にできてしまう副生成物です。 

通常は無色の固体で、水に溶けにくく、蒸発しにくい反面、脂肪などには溶けやすいという性質を持っています。また、ダイオキシンは他の化学物質や酸、アルカリにも簡単に反応せず、安定した状態を保つことが多いのですが、太陽光の紫外線で徐々に分解されるといわれています。

ダイオキシンの発生源と拡散メカニズム

ダイオキシンの発生源として、特に問題とされているのが産業廃棄物の焼却や森林火災、家庭用ごみの焼却などです。ダイオキシンは高温で塩素を含む物質が燃焼した際に副産物として生成されるため、不完全燃焼が起こる焼却プロセスで発生しやすい特徴があります。焼却施設で発生したダイオキシンは空気中に放出され、周囲の大気、土壌、そして水を汚染し、最終的には食物連鎖を通じて生物の体内に蓄積されます。

環境中に出た後の動きの詳細はまだよくわかっていませんが、例えば、大気中の粒子などにくっついたダイオキシンは地上に落ちてきて土壌や水を汚染し、様々な経路から長い年月の間に土壌など環境の中にすでに蓄積されているものも含めて、プランクトンや魚介類に食物連鎖を通じて取り組まれていくことで生物にも蓄積されていくと考えられています。

さらに、ダイオキシンは脂肪に溶けやすい性質を持つため、生物の体内では脂肪組織に蓄積されることが多く、一度体内に取り込まれると排出されにくくなります。この蓄積性と生体濃縮性が、特に人間の健康リスクを高める原因の一つとなっています。

ダイオキシン発生抑制のためにできること

ダイオキシンはものを焼却する過程などで発生するため、ごみの量を減らすことがダイオキシンの発生量を抑制する上でも効果的です。そのため、ものを大切に長く使ったり、使い捨て製品を使わないようにすることを心がけ、ごみを減らし、再利用やごみの分別・リサイクルに協力することがとても重要です。

ダイオキシンの健康被害

ダイオキシンは、「青酸カリよりも毒性が強く、人工物質としては最も強い毒性を持つ物質」といわれることがありますが、これは日常生活の中で摂取する量の数十万倍の量を摂取した場合の急性毒性のことです。ダイオキシンは意図的に作られる物質ではなく、実際に環境中や食品中に含まれる量は超微量なので、私たちが日常生活で摂取する量により急性毒性が生じることはないと考えられます。

ダイオキシン自体の発がん性は比較的弱く、遺伝子に直接作用して発がんを引き起こすのではなく、他の発がん物質による遺伝子への直接作用を受けた細胞のがん化を促進する作用であるとされています。(プロモーション作用)

しかし、現在の日本において通常の環境の汚染レベルではダイオキシンによりがんになるリスクはほぼないと考えられています。

私たちが日常生活で摂取する量により急性毒性が生じることはないと考えられていますが、以下で具体的な健康リスクについて詳しくみていきましょう。

発がん性リスク

ダイオキシンは国際がん研究機関(IARC)によって「ヒトに対して発がん性がある」と分類されています。研究によれば、ダイオキシンに長期間さらされることで、特に皮膚がんや肝臓がんなどのリスクが高まるとされています。ダイオキシンは細胞内の遺伝子に損傷を与え、異常な細胞増殖を引き起こす可能性があるため、がん発生のメカニズムに直接関与することが示唆されています。 

②生殖および発達への影響

ダイオキシンは生殖機能や胎児の発達にも悪影響を与えることが確認されています。特に妊婦がダイオキシンにさらされると、胎児の成長に影響を与え、先天的な発達障害や異常を引き起こすリスクが高まるとされています。また、ダイオキシンの曝露は精子の質の低下やホルモン異常を引き起こし、不妊や子どもの発育不全につながる可能性もあります。 

③免疫系への影響

ダイオキシンは免疫系に悪影響を及ぼし、免疫力の低下を招くことがわかっています。免疫系が弱まることで感染症にかかりやすくなり、健康全般に悪影響が出る可能性があります。特に子どもや高齢者など、免疫力がもともと弱い人々にとって、ダイオキシン曝露はさらにリスクを高める要因となります。

④内分泌攪乱物質としての作用

ダイオキシンは内分泌系に影響を与える「内分泌攪乱物質」としても知られており、ホルモンの分泌や代謝に悪影響を及ぼします。これにより、成長や発達、さらには代謝機能にまで幅広い影響が及び、生活習慣病のリスクが増加する可能性があるとされています。

ダイオキシンの摂取量について

ダイオキシンの耐用一日摂取量(TDI)は、1日・体重1kg当たり4pg-TEQとされています。一方厚生労働省の調査によると、日本人の一般的な食生活で1日に取り込まれるダイオキシンの量は、合計で1日・体重1kg当たり約1.06pg-TEQと推定され、この水準は耐用一日摂取量(TDI)を下回っており、健康に影響を与えるものではないとされています。

ダイオキシンは脂肪組織に溶けやすく残留しやすいため、食生活で取り込まれるダイオキシンのうち、魚介類からの摂取量が約90%を占め、肉、卵、乳、乳製品を含めた3食品群で約99%を占めていますが、国民の平均的な食品の摂取量であれば耐用一日摂取量(TDI)を下回るものであり、各種の食品に含まれる栄養素は健康のために大切なので、たくさんの種類の食品をバランスよく食べることが大切であるとされています。 

食品に含まれるダイオキシンの量は、食品の種類によって異なるほか、同じ食品でも産地や時期によっても異なります。なお、ダイオキシンが体内に入ると、その大部分は脂肪に蓄積されて体内にとどまります。分解されたり体外に排出される速度は非常に遅く、人間の場合は半分の量になるのに約7年かかるとされています。

最後に

ダイオキシンは極めて有害で蓄積性の高い化学物質であり、人間や環境に深刻な影響を与えるリスクがあるため、注意が必要です。ダイオキシン発生抑制のためにも、私たち一人一人が持続可能な社会を目指して、ごみを減らし再利用やごみの分別・リサイクルに協力することが求められています。 

株式会社エコ・テックの土壌汚染対策工事について

株式会社エコ・テックでは、調査・分析だけでなく対策方法のプランニングや土地の活用方法のご提案まで、土壌汚染の専門家として様々なアドバイスを行っています。土壌汚染にまつわる一連の問題解決に向け、調査から浄化、リサイクルまで、トータルで承ります。全国(東京・名古屋・大阪・岡山・福岡等)で、無料相談・無料見積もりを実施しておりますので土壌汚染に関するご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。 

参考URL

関係省庁パンフレット ダイオキシン類| 環境省
(https://www.env.go.jp/chemi/dioxin/pamph/2012.pdf)

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建築解体に関する都道府県の補助金(大阪編)について

目次:
建築解体に関する都道府県の補助金(大阪編)について

1. 建築解体に関する補助金について

家屋や建物の解体工事には多額の費用がかかることも珍しくなく、施主としては少しでも費用負担を軽減したいと考えることもあるでしょう。そこで活用したいのが補助金や助成金といった制度です。

全国約800の自治体には、耐震化促進事業などの一環として、解体費用を賄うための助成金制度がありますが、この助成金制度がまだ一般的にはあまり知られていないようです。ここでは、現時点で公開されている大阪府の補助金(2024年11月6日時点)について説明いたします。

2. 大阪府内の自治体で受けられる解体工事の補助金

大阪府内で受けられる補助金は下記のとおりです。その他の市町村でも建築解体に関する補助金制度が設定されている可能性があります。詳細は各市町村の公式サイトや担当部署で確認することをお勧めします。

今回はこれらのうち、大阪市と東大阪市の例について紹介します。 

大阪市

・建替建設費補助制度(集合住宅への建替え、戸建住宅への建替え)

・狭あい道路沿道老朽住宅除却促進制度

・防災空地活用型除却費補助制度

東大阪市

・空き家解体費補助制度

八尾市

・木造住宅除却補助制度 

堺市

・住宅市街地総合整備事業補助金(新湊地区内に限る)

高槻市

・除却工事費の一部補助(木造住宅)

岸和田市

・不良空き家除却事業の募集 

和泉市

・老朽危険空家除却補助金について

・木造住宅の除却工事費補助事業について

豊中市

・木造住宅等の除却費補助

3. 大阪市で受けられる解体工事の補助金・助成金

(1) 建替建設費補助制度(集合住宅への建替え、戸建住宅への建替え) 

対象となる条件

集合住宅への建て替えで対象となるのは、大阪市内で重点対策地区とされたエリア。戸建て住宅への建て替えの場合は、大阪市内で重点対策地区に加えて対策地区とされているエリアです。 

対象となる建て替え前の建築物は、集合住宅に建て替える場合も戸建て住宅の場合も、昭和56年5月31日以前に建てられた住宅です。 

建て替え後の要件は、集合住宅への建て替えなら

・敷地面積:100平方メートル以上

・階数:3階建て以上

・住戸規模:35平方メートル以上120平方メートル以下

・空地・緑地の整備:接道部の周辺に敷地面積の5%以上の空地(緑地含む)を設置

戸建て住宅への建て替えなら以下の通りです。

・戸建住宅(耐火建築物、準耐火建築物など)

・住宅部分の面積:50平方メートル以上

・壁面や塀等を道路境界線から0.5m以上後退または接道部周辺に敷地面積の5%以上の空地を確保

補助内容

古いアパートや長屋などを集合住宅であるマンション・アパートに建て替える場合に、設計費や解体費、共同施設の整備費の一部が補助されるというものです。

大阪市では「大阪市密集住宅市街地整備プログラム」が策定され、これに基づいて戸建てや集合住宅への建て替え建設費を補助する制度が施工されたのです。

集合住宅の設計費・解体費・共同施設整備費ともに補助率は2/3以内、戸建て住宅の場合は対策地区なら設計・解体費に要する1/2以内、重点対策地区なら2/3以内です。

(2) 狭あい道路沿道老朽住宅除却促進制度

対象となる条件 

大阪市内の「大阪市密集住宅市街地整備プログラム」の、対策地区および重点対策地区と定められたエリアが補助の対象となっています。 

対策地区の場合には、以下の条件を満たす建物が、 

・幅員が4m未満の道路に面する敷地

・昭和25年以前に建てられた木造住宅 

重点対策地区の場合には以下の条件を満たす建物が対象となります。 

・幅員が6m未満の道路に面する敷地

・昭和56年5月31日以前に建てられた木造住宅 

重点対策地区の場合、店舗や事務所等との併用住宅であれば床面積合計の1/2以上が住宅用とされている必要があるなど、細かな条件も存在します。

補助内容

この制度で補助が適用されるのは、建物の解体および整地に必要な費用だけです。建物内に残っている残存物を撤去するための費用などは、補助の対象外とされているため注意が必要です。

補助率は対策地区の場合、「解体および整地に要する費用」と「大阪市が定める額」の低い方の1/2以内。重点対策地区の場合にはこれの2/3以内までの費用が認められます。

補助の限度額は対策地区の戸建て住宅が75万円/棟、集合住宅なら150万円/棟。重点対策地区なら戸建て住宅で100万円/棟、集合住宅で200万円/棟です。

解体後の敷地の利用目的や用途は問われません。

(3) 防災空地活用型除却費補助制度 

対象となる条件 

対象となるのは、「大阪市密集住宅市街地整備プログラム」の対象エリアのうち、重点対策地区となっているエリアのみです。 

補助が認められるのは、以下の要件を満たす建物です。

・幅員6m未満の道路に面する敷地に存する昭和56年5月31日以前に建築された木造住宅を解体

・避難に有効な大規模空地や幹線道路に隣接していない敷地

・面積が50㎡以上で、地域の防災性の向上に有効な形状である敷地

・土地所有者等が5年以上の土地の無償使用貸借契約を市と締結

・土地所有者等、地域住民等、市の三者で防災空地の管理等に関する協定を締結 

補助内容

木造住宅の解体費用のうち、一部が補助されます。補助率は2/3であり、補助限度額は以下のように決められています。

・戸建住宅:100万円

・集合住宅:200万円

・長屋等の一部解体は100万円 

空地の整備費用の場合には、一部である2/3の補助率で補助が受けられます。整備項目は舗装・植栽・防災倉庫の設置・かまどベンチなど。補助限度額は120万円です。

4. 東大阪市で受けられる解体工事の補助金・助成金

(1) 空き家解体費補助制度

対象となる条件

測定基準表において、評点の合計が100点以上の住宅を「不良住宅」とし、職員が随時現地確認してから補助の対象として認めます。

補助を受けるには、以下の8つの要件をすべて満たし、証明する必要があります。

・申請者は1名とし、空家等対策の推進に関する特別措置法第2条第2項に規定する「特定空家等」または、住宅地区改良法第2条第4項に規定する「不良住宅」に該当する空き家を解体する者であること

・申請者が空き家の所有者と異なる場合、もしくは空き家の所有者が複数の場合には、補助金を受けて解体することについて、不利益を受けることになるすべての者から承諾を得ていること。

・補助金の交付決定日までに、解体工事に着手していないこと

・補助金の交付決定日から60日以内に着手すること

・補助金の申請年度内の3月15日または、3月15日が休日の場合は直後の休日でない日までに解体工事の完了報告の提出が見込まれること

・同一物件の解体に関して、本市における各事業の補助金の交付を受けないもの

・解体する空き家に所有権以外の権利が設定されていないこと

・申請者は、暴力団もしくは暴力団員または暴力団密接関係者でないこと 

補助内容

周辺の生活環境に悪影響を及ぼしているとされる、「特定空き家等」もしくは「不良住宅」に該当する、危険な空き家を解体する費用を一部補助するものです。

補助金額は以下の3通りの方法で算出した額のうち、最も低い額が補助限度額とされます。

・補助対象空き家の解体に要する費用【業者見積額】(税抜)×補助率(4/5)

・補助対象空き家の延床面積[平方メートル]×単価12,000円

・補助限度額 500,000円/棟

解体工事を完了した後も、敷地が管理不全の状態にならないように自己責任で管理する必要があります。

5. まとめ 

解体工事に利用できる補助金の給付額は自治体によって異なるものの、空き家の場合で解体費用の1/5から1/2程度がほとんどです。また、その上限は、平均で20〜100万円の範囲となっている地域が多いようです。

補助金制度の有無はもちろん、対象となる条件、助成率や上限金額には自治体によって大きな差がありますので、詳細は自治体ごとに公式ホームページや窓口で確認してください。

今後、大阪府以外の他の都道府県の補助金についても記事にしたいと思います。本記事の情報をぜひ有効にご活用ください。 

株式会社エコ・テックの解体工事について 

株式会社エコ・テックでは、家屋、建物の事前調査から解体計画の作成だけでなく、解体工事の専門家として様々なアドバイスを行っています。

全国(東京・名古屋・大阪・岡山・福岡等)で、無料相談・無料見積もりを実施しておりますので解体工事に関するご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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アスベストに関する都道府県の補助金(島根編)について

目次:
アスベストに関する都道府県の補助金(島根編)について

1. アスベストに関する国の補助金の対象について

 アスベストに関する国の補助金につきましては、

https://www.eco-j.co.jp/blog/20230418.html(アスベスト除去の補助金について)

こちらの記事で以前記載しております。 

アスベストに関する都道府県の補助金は、実はさまざまな種類がありますので、今回は現時点で公開されている島根県の補助金について、説明いたします。

※本コラムは、2024年11月5日時点での情報を元に記載しております。実際の補助金についてはご相談時に内容が変わっている可能性がございますので、必ず自治体に直接確認するようにお願いいたします。

2. 吹付けアスベスト等の対策に関する補助制度について(島根県)

島根県にはフリーダイヤルをはじめとしたアスベストに関する相談窓口が設置されていますが、具体的な補助金制度については市町村ごとの対応となります。 

2024年11月5日現在で、島根県内でアスベストに関連する補助金制度を設けていることが確認できているのは、下記の市町村となります。

・浜田市(都市建設部 建築住宅課)※除去工事のみ 

その他の市町村でもアスベストに関する対策が進められている可能性があります。詳細は各市町村の公式サイトや担当部署で確認することをお勧めします。

3. 吹付けアスベスト除去等事業補助金交付(浜田市)

浜田市では、令和5年4月1日より吹付けアスベストの除去等に対する補助制度を設けています(令和8年3月31日まで)。

補助対象建築物

市内に存する建築物(国、地方公共団体その他の公共団体が所有し、又は所有していた建築物を除く。)であって、アスベスト含有調査により吹付けアスベスト等が施工されていることを確認されたもの

補助対象事業

補助対象建築物について吹付けアスベスト除去等を行う事業。

補助対象建築物の敷地内に存する全ての補助対象建築物について当該吹付けアスベスト除去等を行うことが条件となります。

吹付けアスベスト等の除去を行う場合は、交付申請日の属する年度の3月31日までに耐火被覆等の施工を行ってください。ただし、当該吹付けアスベスト等の除去を行った後に、補助対象建築物を使用せず、当該年度の翌年度の3月31日までに当該補助対象建築物の解体を開始する場合については、この限りではありません。

次のいずれかに該当するものは補助対象事業とはなりません。

  • ①アスベスト含有調査
  • ②申請日の属する年度の 3月 31 日までに補助対象事業が完了しないもの
  • ③他の同種の補助金等の交付を受けて行うもの
  • ④その他市長が適当でないと認めるもの

補助対象者

補助対象建築物の所有者又はその相続人

補助対象経費

吹付けアスベスト除去等の工事(補助対象建築物の天井等の撤去及び復旧に係る工事を除きます。)に要する経費(吹付けアスベスト等の除去を行った後に講じる耐火被覆等の施工に係る経費を含みます。)

補助金額

補助対象経費の3分の2以内の額(その額に1,000円未満の端数が生じたときは、これを切り捨てた額)とします。ただし、500万円を限度とし、補助金の総額については、予算の範囲内とします。 

交付申請

次に掲げる書類を添えて、補助対象事業の着手前7日までに市長宛に提出してください。

  • ①補助対象者であることを証する書類
  • ②補助対象建築物の位置図
  • ③アスベスト含有調査報告書(アスベスト含有調査により、吹付けアスベスト等が施工されていることを確認できる書類をいう。以下同じ。)の写し
  • ④特定管理産業廃棄物管理責任者証(廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則(昭和 46年厚生労働省令第 35号)第 8条の 17に規定する特別管理産業廃棄物管理責任者の資格を証する書類をいう。以下同じ。)及び石綿作業主任者証(石綿障害予防規則(平成 17 年厚生労働省令第21 号)第 19 条に規定する石綿作業主任者の資格を証する書類をいう。以下同じ。)の写し
  • ⑤吹付けアスベスト除去等の工事着工前の写真
  • ⑥見積書の写し
  • ⑦その他市長が必要と認めるもの

なお、この申請は、補助対象建築物の敷地当たり1回に限り行うことができます。

実績報告

補助事業が完了したときは、速やかに吹付けアスベスト除去等事業実績報告書(様式第3号)に次に掲げる書類を添えて、市長宛に提出してください。

  • ①領収書の写し
  • ②吹付けアスベスト除去等の工事期間中及び工事完了後の写真
  • ③マニフェストE票の写し(吹付けアスベスト等の除去を行う場合に限る。)
  • ④その他市長が必要と認めるもの

交付請求

補助金の交付の請求をしようとするときは、吹付けアスベスト除去等事業補助金交付請求書(様式第5号)に市長が必要と認める書類を添えて、市長宛に提出してください。

申請から補助金振込までの流れ 

①交付申請書(様式第1号)の提出【申請者→建築住宅課】

 ※工事着工の7日前までに提出

    ↓

②交付決定通知書の交付【建築住宅課→申請者】 ※概ね1週間程度

    ↓

③アスベスト除去等の契約と工事着手

  ↓

④アスベスト除去等の工事完了

    ↓

⑤実績報告書(様式第3号)の提出【申請者→建築住宅課】

  ↓

⑥確定通知書の交付【建築住宅課→申請者】 ※概ね1週間程度

    ↓

⑦請求書(様式第5号)の提出【申請者→建築住宅課】

    ↓

⑧補助金の振り込み【建築住宅課→申請者】

 ※概ね1か月程度

 

※必ず、除去等の工事着手前に申請を行ってください。工事着手後の申請は受付けておりませんのでご注意ください。

※申請書等の作成・提出・受取については、申請者に代わって工事業者が行っていただきますようお願いいたします。なお、補助金は申請者の口座に振り込みます。

※予算がなくなり次第、申請の受付を終了します。 

Q&A ※一部のみ掲載

Q:既に吹付けアスベストを除去しましたが、補助の申請をすることはできますか。

A:できません。補助の対象となるのは、除去等を行う前の申請のみです。

 

Q:自分で吹付けアスベストを除去しても補助の対象となりますか。

A:補助の対象とはなりますが、吹付けアスベストは有資格者でなければ除去することができません。なお、適正に撤去・処分を行っていないものは補助の対象となりません。

 

Q:以前公共建築物だったものに吹付けアスベストがあった場合も補助の対象となりますか。

A:公共建築物又は公共建築物であったものは補助の対象となりません。市内にある民間建築物のみが補助の対象となります。

 

Q:建築物の所有者が共有名義となっている場合は、他の所有者の同意書の添付は必要ですか。

Q:建築物に抵当権等の他の権利がある場合は、その権利者の同意書の添付は必要ですか。

A:同意書の添付は不要ですが、申請者において他の所有者や権利者の同意を取っておいてください。なお、所有者や権利者に関するトラブルが発生しても、市では対応いたしません。

 

Q:吹付けアスベスト除去等の工事業者は、申請者になれますか。

A:工事業者は申請者にはなれません。建築物の所有者か相続者に限定しています。

問合先

浜田市 都市建設部 建築住宅課

〒697-8501 島根県浜田市殿町1番地

電話番号:0855-25-9632

4. まとめ

アスベストに関する補助金としては、アスベスト調査にかかる費用を補助対象とした補助金と、アスベストの除去にかかる工事費用などを補助対象とした補助金に分けられます。一般的にはアスベスト調査にかかる補助金の方がかかるコストも少ないことから補助金の総額が15万円〜25万円ほどと少なく、一方でアスベスト除去に関する補助金は2/3以内を上限としており、120~180万円が上限額(地域によって異なります)とされているなど、比較的大きい金額の補助を受けることができます。 

自治体に事前の連絡や相談は必要ですが、2022年4月1日にアスベスト関連法令の改正が実施され、アスベスト含有を調べる事前調査の結果報告が義務付けられており、これには当然、調査や除去工事はコストがかかるため、解体工事全般のコスト増が懸念されているという中で、国や都道府県、市区町村などで補助金が適用できるようになっております。

これは島根県だけでなく、他の都道府県でも補助金がありますので、これらについては追って記事にしたいと思います。本記事の情報をぜひ有効にご活用ください。

株式会社エコ・テックのアスベスト対策工事について

株式会社エコ・テックでは、事前調査からアスベスト除去工事の専門家として様々なアドバイスを行っています。

全国(東京、名古屋、大阪、岡山、福岡など)で無料相談、無料見積もりを実施しておりますので、土壌汚染に関するご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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