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業界コラム

アスベスト規制はいつから強化?2026年までの最新スケジュールと対策

「自分の工事は規制対象になるのか?」「資格がない状態で調査してしまったかもしれない…」そんな不安を抱えている方は、今とても多い状況です。

アスベスト(石綿)に関する規制は、2021年から2026年にかけて年を追うごとに強化されています。特に2023年10月の有資格者義務化、そして2026年1月の工作物への規制拡大は、建設・解体業界にとって大きな転換点となっています。「知らなかった」では済まされない内容が増えており、対応が遅れると工事停止や罰則につながる恐れがあります。

この記事では、いつ・何が変わったのかを年表で整理し、誰が・何をすべきかを具体的なステップで解説します。2026年の最新改正まで網羅していますので、ぜひ最後まで読んで、必要な対応を確認してください。

アスベスト規制強化の全体像と最新スケジュール

アスベスト規制は一度に大きく変わったわけではなく、段階的に強化されてきました。まずは全体の流れを把握することが、自社の工事に何が必要かを判断する第一歩です。

【年表】2021年から2026年までの改正ポイント

2021年以降の主な改正内容をまとめると、以下のとおりです。

・2021年4月:大気汚染防止法の改正が施行。すべての解体・改修工事でアスベストの事前調査が義務化。書面調査と目視調査の実施が必須となり、調査結果の3年間保存も義務付けられました。

・2022年4月:一定規模以上の工事について、調査結果の電子報告が義務化。解体工事は床面積80㎡以上、改修工事は請負金額100万円以上の工事が対象です。

・2023年10月:有資格者(石綿含有建材調査者)による事前調査が完全義務化。無資格者が単独で調査を行うことは認められなくなりました。

・2024年4月:石綿等を切断等する作業において、除じん性能を有する電動工具の使用が義務化。湿潤化と並ぶ飛散防止措置として位置付けられました。

・2025年4月:作業者以外の周辺住民や関係者への安全措置が強化されました。

・2026年1月:工作物(煙突・ボイラー・配管設備・発電設備など)の解体・改修工事でも、有資格者による事前調査が義務化。「工作物石綿事前調査者」という新たな資格区分も設けられました。

このように、毎年何らかの改正が施行されています。「去年対応した」だけでは不十分な場合がありますので、最新の状況を定期的に確認することが重要です。

なぜ今アスベスト規制が厳しくなっているのか?

そもそも、なぜここまで規制が強化されているのでしょうか。背景には、高度経済成長期に大量に使われたアスベスト含有建材の「解体ラッシュ」が到来しているという事情があります。

アスベストは、1970〜80年代を中心に断熱材や耐火材として建物に広く使用されていました。その後、肺がんや中皮腫などの深刻な健康被害が明らかになり、2006年9月には含有率0.1%を超える製品の製造・使用が全面禁止されました。

しかし、現在も多くの既存建築物にアスベストが残っています。建物の老朽化が進み、解体・改修工事の件数が増加している今、飛散による健康被害を防ぐために規制を強化することが急務となっているのです。過去の対応の甘さが教訓となり、調査の形式的な実施だけでなく、「有資格者が確実に行う」という実効性のある仕組みへと転換が図られています。

【いつから?】直近で対応が必要な3つの重要フェーズ

年表で全体像を把握したところで、特に対応が必要な3つのフェーズを詳しく確認しましょう。「まだ自社には関係ない」と思っていても、すでに義務化されているケースも少なくありません。

2023年10月〜:有資格者による事前調査の完全義務化

2023年10月1日以降、建築物の解体・改修工事における事前調査は、資格を持った者しか実施できなくなりました。

対象となる資格は主に3種類あります。一つ目は「特定建築物石綿含有建材調査者」で、すべての建築物の調査が可能な上位資格です。二つ目は「一般建築物石綿含有建材調査者」で、同じくすべての建築物に対応できます。三つ目は「一戸建て等石綿含有建材調査者」で、戸建て住宅や共同住宅の専有部分に限定された資格です。

注意が必要なのは、有資格者に「立ち会ってもらえばよい」ということではなく、調査そのものを有資格者が主体的に行う必要があるという点です。2023年9月30日時点で日本アスベスト調査診断協会に登録されていた者については、引き続き調査を行うことが認められています。

自社に該当資格を持つ人材がいない場合は、資格取得に向けた計画を立てるか、専門の調査会社に依頼する必要があります。「以前から自社でやってきたから大丈夫」という感覚は、この時点から通用しなくなっています。

2025年4月〜:周辺住民や作業者以外への安全措置拡大

2025年4月の改正では、アスベストが飛散した場合の影響が直接作業者だけでなく、現場周辺の住民や関係者にも及ぶことを踏まえた安全措置の強化が行われました。

具体的には、作業の実施状況に関する記録・保存の徹底と、周辺への情報周知に関する義務が拡充されています。工事現場では、アスベストに関する措置の内容を作業者が確認できる位置に掲示することも引き続き求められています。

特に工事の発注者や元請業者は、下請業者への周知徹底について管理責任を問われる立場にあります。「下請けに任せていた」という言い訳は通じません。発注者として、調査や措置が適切に行われているかを確認する体制を整えることが重要です。

2026年1月〜:工作物(煙突・タンク等)の調査義務化と新資格

2026年1月1日以降に着工する工事から、「工作物」の解体・改修工事でも有資格者による事前調査が義務化されました。これが現在の最新改正です。

工作物とは、建築物以外の構造物・設備のことを指します。具体的には次のものが対象となります。

・反応槽、加熱炉、ボイラー・圧力容器
・焼却設備、配管設備(建築物内の設備を除く)
・配電設備・変電設備・送電設備(ケーブルを含む)
・貯蔵設備、発電設備、工業炉

工場やプラント、発電所などの設備を扱う事業者は、これまで「建築物でないから対象外」と考えていた工事についても、新たに調査義務が発生している可能性があります。

工作物の調査には「工作物石綿事前調査者」の資格が必要ですが、工作物の種類によっては従来の建築物向け資格(一般建築物石綿含有建材調査者等)で対応できるケースもあります。詳細は厚生労働省の石綿総合情報ポータルサイトで確認してください。

また、重要な点として、アスベストが使用されていない工作物であっても、事前調査の実施と結果の記録・保存、報告は必要です。「使っていないから調査不要」という判断は認められません。

規制対象となる工事の判断基準

「自社の工事は対象なのか」という疑問に答えるために、判断基準を整理します。ここを理解しておくことで、不要な費用をかけずに、必要な対応を確実に行うことができます。

事前調査が必要な建物の規模・条件

まず前提として、原則としてすべての解体・改修工事で事前調査は必要です。規模の大小にかかわらず、アスベスト含有の可能性がある建材に手を加える場合は、調査を行う義務があります。

ただし、以下のケースでは事前調査が不要となります。

・木材・金属・ガラス・石など、アスベストを含まないことが明らかな建材のみを扱う工事
・釘を打つ・抜くといった、建材をほとんど損傷させない極めて軽微な作業(電動工具を使う場合は原則対象)
・既存の塗膜の上から重ねて塗装するだけの作業(下地調整を行わない場合)
・2006年9月1日以降に着工したことが設計図書等で確認できる建築物

なお、2006年9月1日以降の建物でも、着工年月日を書面で確認・記録する手続きは必要です。「新しい建物だから何もしなくてよい」ということにはなりません。

「報告」まで必要なケースと不要なケースの違い

「調査義務」と「報告義務」は別のルールです。この違いを混同すると、対応漏れにつながります。

報告が必要な工事の条件は次のとおりです。

・解体工事:解体部分の床面積が80㎡以上の建築物
・改修工事:請負代金の合計額が100万円以上

これらの規模に満たない小規模な工事は「報告義務」が免除されますが、事前調査そのものと調査結果の3年間保存は引き続き必要です。「小さな工事だから何もしなくてよい」という判断は誤りですので、注意してください。

報告は「石綿事前調査結果報告システム」と呼ばれる電子システムを使って行います。工事開始の14日前までに報告を完了させる必要があります。

法令違反を避けるための具体的対応ステップ

規制の内容を理解したら、次は実際の対応手順です。以下の3つのステップを順番に進めることで、法令違反なく工事を進めることができます。

ステップ1:有資格者(石綿含有建材調査者)の確保

まず最初に行うべきことは、有資格者の確保です。自社内に資格保有者がいない場合は、専門の調査会社に依頼することになります。

資格取得を検討している場合は、各都道府県で実施されている講習会を確認してください。ただし、資格取得には実務経験を含む一定の要件があり、すぐに取得できるものではありません。直近の工事に間に合わせるためには、外部委託が現実的な選択肢になることが多いでしょう。

調査会社を選ぶ際は、担当者の資格の種類と取得年を確認し、対象建物に対応した資格を持っていることを必ず確かめてください。

ステップ2:石綿事前調査結果報告システムでの電子報告

報告義務の対象となる工事では、調査完了後に電子システムへの報告が必要です。報告の期限は工事開始の14日前まで。余裕を持って手続きを進めることが重要です。

報告の流れは次のとおりです。まず書面調査として、設計図書や施工記録から建物の着工年月日や使用建材を確認します。次に、有資格者が現地で目視調査を行い、アスベスト含有の可能性がある箇所を確認します。書面・目視だけでは判断できない場合は分析調査(サンプル採取と試験)を実施します。それが難しい場合は、アスベストが含まれているとみなして対応する「みなし判定」を選ぶことも可能ですが、その場合は処理コストが増加することがあります。最後に、調査結果を電子システムに入力して報告します。

調査結果の記録は、調査終了日から3年間の保存が義務付けられています。紙でも電子データでも構いませんが、紛失しないよう管理体制を整えておきましょう。

ステップ3:現場での掲示とアスベスト除去の実施

調査の結果、アスベストが含まれていることが判明した場合は、適切な除去措置が必要です。アスベストのレベル(飛散しやすさ)によって、求められる対応が異なります。

レベル1(吹付けアスベストなど:飛散しやすい)やレベル2(保温材・断熱材など)の材料については、除去工事に先立って労働基準監督署への届出が必要です。工事の14日前までに届け出てください。

また、工事現場では作業者が確認できる位置に調査結果や措置の内容を掲示することが義務付けられています。「記録したが現場への掲示を忘れた」というケースも違反となりますので、チェックリストで管理することをおすすめします。

知らないと危ない!アスベスト規制違反の罰則リスク

「気をつけていれば大丈夫」と思っていても、知識不足が原因で違反になるケースがあります。罰則の内容を正確に把握しておくことが、リスク回避の第一歩です。

無報告・虚偽報告による罰金刑

事前調査結果の報告を怠ったり、虚偽の内容を報告したりした場合は、大気汚染防止法に基づいて30万円以下の罰金が科される可能性があります。

さらに、改善命令が出されたにもかかわらずそれに従わなかった場合は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金という、より重い罰則が適用される可能性があります。

「うっかり忘れた」という場合でも免責されません。故意・過失を問わず罰則の対象となりますので、報告期限の管理を徹底してください。工事スケジュールを立てる段階から、調査・報告のタイミングを逆算して組み込む習慣を持つことが重要です。

無資格調査が発覚した場合の工事停止リスク

石綿障害予防規則に基づき、事前調査を行わずに解体等の作業を行った場合は、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。報告義務違反よりも重い罰則です。

また、無資格者が調査を行っていたことが発覚した場合、その調査結果は法的に無効とみなされ、工事を中断させられるリスクがあります。元請業者や発注者は、誰が調査を実施したかについて管理責任を負っています。「下請けが有資格者を使っていると思っていた」という言い訳は通用しません。

実際に、設計図書がなく詳細が不明な建物の解体において目視調査を省略して工事を進め、書類送検されたケースも報告されています。また、事前調査で「アスベストなし」と報告された現場に立入検査が入り、実際にはアスベストが使用されていたことが発覚した事例もあります。こうした事態を避けるためにも、調査体制の整備は欠かせません。

費用を抑えてスムーズに調査を進めるコツ

規制が強化されるにつれ、調査や除去にかかるコストは増加傾向にあります。ただし、使える制度を活用し、スケジュールを工夫することで、負担を軽減することは十分に可能です。

自治体のアスベスト調査補助金・助成金を活用する

国土交通省では、民間建築物のアスベスト調査に対する補助制度を設けています。事前調査・分析調査に対しては最大25万円/棟、除去作業に対しては地方公共団体の補助額の2分の1以内(かつ全体の3分の1以内)の補助を受けられる可能性があります。

ただし、補助の対象や条件は地方公共団体によって異なります。必ず工事前に、管轄の自治体窓口や国土交通省のウェブサイトで最新情報を確認してください。申請のタイミングや必要書類の準備に時間がかかることもあるため、余裕を持って動き始めることが大切です。

信頼できる調査会社を見極める3つのチェックポイント

調査を外部に委託する場合、依頼先の選定は慎重に行う必要があります。以下の3つのポイントを確認してください。

一つ目は、担当者の資格の確認です。調査を担当する人が、対象の建物・工作物に対応した有資格者であることを書面で確認しましょう。資格証の提示を求めることは当然の権利です。

二つ目は、報告書の内容と形式です。調査結果は電子報告システムに入力できる形式で提供してもらえるか、また必要事項がすべて記載されているかを事前に確認してください。

三つ目は、実績と対応範囲です。建築物だけでなく工作物の調査に対応しているか、分析調査まで一括して依頼できるかを確認しておくと、後の手間が省けます。

工期遅延を防ぐための「早めの現地調査」の重要性

アスベスト調査で最も問題になりやすいのが、調査の遅れによる工期の延長です。書面調査だけでは判断がつかず、目視調査・分析調査と進む中で、予想以上に時間がかかることがあります。

特に分析調査は、試料の採取から結果が出るまでに1〜2週間程度かかることがあります。さらにアスベストが検出された場合は、除去工事の段取りも必要になります。工事開始の14日前までに報告を終えるためには、着工予定日から逆算して少なくとも1か月前には調査に着手しておくことが理想です。

「工事直前に調査を依頼したら間に合わなかった」という事態を避けるために、工事計画の段階からアスベスト調査のスケジュールを組み込む習慣を持つことが、スムーズな工事運営につながります。

まとめ

アスベスト規制の強化は、2021年から段階的に進み、2026年1月の工作物への義務拡大で大きな節目を迎えました。規制の全体像を把握し、自社の工事に何が必要かを正確に理解することが、トラブルを防ぐ最善の方法です。

この記事のポイントをまとめます。

・2021年4月から、すべての解体・改修工事で事前調査が義務化
・2022年4月から、一定規模以上(解体80㎡以上・改修100万円以上)の工事は電子報告が必要
・2023年10月から、有資格者(石綿含有建材調査者)による調査が完全義務化
・2026年1月から、工作物(ボイラー・配管設備・発電設備等)の解体・改修でも有資格者調査が義務化
・報告を怠ると30万円以下の罰金、調査なしで作業を行うと最大50万円以下の罰金または懲役
・補助金制度を活用することで、調査コストの一部を軽減できる可能性がある

次に行うべきアクションは、まず自社の工事が今の規制の対象かどうかを確認することです。有資格者が社内にいない場合は、調査会社への問い合わせを早めに行いましょう。補助金の申請も、工事前に時間的余裕を持って動き始めることが大切です。

法改正への対応は、決して難しいことではありません。正しい手順を踏み、必要な資格者と連携することで、安全でスムーズな工事を実現できます。この記事を参考に、一つひとつ確実に対応を進めてください。

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