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業界コラム

最新の焼却炉種類別メリットとデメリット

「焼却炉を導入したいけど、どの種類を選べばいいのかわからない…」「それぞれの焼却炉にはどんなメリット・デメリットがあるの?」「コストと性能のバランスが取れた焼却炉はどれ?」そう思う方もいるかもしれません。

実は、焼却炉選びで失敗しないためには、処理する廃棄物の種類、処理量、設置場所の条件に合わせて、各焼却炉の特徴を正しく理解することが重要です。

この記事では、最新の焼却炉を種類別に分類し、それぞれのメリットとデメリットを詳しく解説します。

 

焼却炉の基本知識と選び方のポイント

焼却炉の導入を検討する際、まず理解しておくべきは焼却炉の基本的な仕組みと、自社の条件に最適な機種を選定するためのポイントです。

ここでは、焼却炉の基本的な仕組みから選定時の重要なポイント、廃棄物種類別の適用機種について解説します。

 

焼却炉とは?基本的な仕組みと役割

焼却炉は、廃棄物を高温で燃焼させることにより体積を大幅に減らし、同時に有害物質を分解・無害化する設備です。現代の焼却炉は単なる燃焼装置ではなく、燃焼制御システム、排ガス処理装置、熱回収システムを統合した高度な環境保全設備として位置づけられています。

基本的な処理プロセスは、廃棄物の投入、乾燥、燃焼、後燃焼の4段階で構成されます。特に重要なのは、ダイオキシン類の発生を抑制するため、燃焼温度を850度以上に維持し、完全燃焼を実現することです。

参照元:国立環境研究所 環境技術解説「焼却処理」

 

焼却炉選定時に確認すべき3つのポイント

焼却炉選定において最も重要なポイントは、処理能力、設置条件、環境基準への適合性の3点です。
処理能力については、日々発生する廃棄物量に対して適切な余裕を持った設計が必要です。一般的には、平均処理量の1.5倍程度の能力を確保することが推奨されています。また、廃棄物の性状変化にも対応できる柔軟性も重要な判断材料となります。

設置条件では、敷地面積、搬入路の確保、電力供給能力、上下水道の接続可能性を事前に詳細に調査することが不可欠です。特に都市部では、騒音や振動に関する近隣への配慮も重要な検討事項となります。

参照元:環境省 「廃棄物処理施設の基幹的設備改良マニュアル」

 

処理する廃棄物の種類別適用焼却炉

廃棄物の種類により、最適な焼却炉は大きく異なります。一般廃棄物や産業廃棄物の混合物には汎用性の高いストーカ炉が適しており、水分含有量の多い汚泥類には流動床炉が効果的です。

医療廃棄物や化学物質を含む特殊な廃棄物については、高温処理が可能なロータリーキルン炉が選択されることが多く、処理対象物質の特性を十分に把握した上での機種選定が重要となります。

 

 

ストーカ炉の特徴とメリット・デメリット

ストーカ炉は、現在最も広く普及している焼却炉の一つで、階段状に配置された火格子(ストーカ)上で廃棄物を燃焼させる方式です。日本の多くの自治体や民間施設で採用されており、安定した燃焼性能と優れた処理能力を誇ります。

ここでは、ストーカ炉の構造と燃焼プロセス、導入時に知っておくべきメリットとデメリットについて解説します。

 

ストーカ炉の構造と燃焼プロセス

ストーカ炉の最大の特徴は、階段状に配置された可動式火格子です。この火格子が前後に動くことで、廃棄物を撹拌しながら燃焼室内を移動させ、段階的な燃焼を実現します。
以下がその工程です。

  1. 1. 乾燥ゾーン:廃棄物に含まれる水分を蒸発させる工程
  2. 2. 燃焼ゾーン:可燃物を高温で完全燃焼させる主要工程
  3. 3. 後燃焼室:未燃ガスを完全に酸化分解する最終工程
  4. 4. 灰冷却装置:燃焼残渣を安全に処理できる温度まで冷却

この一連の工程により、安定した燃焼状態を長時間維持することが可能となり、環境基準を満たす排ガス処理が実現できるのです。

 

ストーカ炉のメリット5つ

ストーカ炉は多くの施設で採用される理由として、優れた特性を複数持ち合わせています。
主なメリットは以下の5つです。

  1. 1. 多様な廃棄物への高い適応性:一般廃棄物から産業廃棄物まで、水分や可燃分の含有量が異なる様々な廃棄物を安定して処理
  2. 2. 優れた運転安定性:自動制御システムにより24時間連続運転が可能で、熟練オペレーターに依存しない安定した運用を実現
  3. 3. メンテナンス性の良さ:定期点検や部品交換が比較的容易に行える設計となっており、長期間の安定稼働を支える
  4. 4. 処理能力の柔軟性:廃棄物の投入量や性状に応じて燃焼条件を調整でき、処理量の変動に対応しやすい特性がある性
  5. 5. 高い熱回収効率:発生する燃焼熱を蒸気や温水として有効活用することで、エネルギーの循環利用を実現

これらのメリットにより、ストーカ炉は幅広い用途において信頼性の高い選択肢となっています。

 

ストーカ炉のデメリットと注意点

ストーカ炉の導入を検討する際には、いくつかの課題や制約について十分に理解しておくことが重要です。
導入時のデメリットと注意点は以下のとおりです。

  1. 1. 高額な初期投資費用:火格子の精密な機械構造や制御システムのため、他の焼却炉と比較して建設コストが高額
  2. 2. 継続的なメンテナンス要求:可動部分が多く、特に高温環境下で稼働する火格子部分は定期的な部品交換が必要
  3. 3. 維持管理コストの継続発生:耐火材や駆動部品の交換頻度が高く、長期的な運用コストが嵩む傾向がある
  4. 4. 処理困難な廃棄物への制約:金属類や不燃物が多い廃棄物の場合、火格子への負荷が大きくなり設備損傷リスクが高まる
  5. 5. 高い熱回収効率:適切な燃焼を実現するため、廃棄物の分別や前処理工程が重要

これらのデメリットを十分に検討した上で、総合的な判断を行うことが導入のポイントです。

 

 

流動床炉の特徴とメリット・デメリット

流動床炉は、砂などの不活性な粒子を高温で流動させながら廃棄物を燃焼させる独特な方式の焼却炉です。この流動砂が廃棄物と激しく混合することにより、効率的な熱伝達と完全燃焼を実現します。

ここでは、流動床炉の独特な仕組みと特殊な燃焼方式、導入時に把握すべきメリットとデメリットについて解説します。

 

流動床炉の仕組みと特殊な燃焼方式

流動床炉の核心技術は、炉底から供給される燃焼用空気により砂粒子を流動化させる点が特徴です。この流動砂層は液体のような動きで、廃棄物との接触面積を劇的に増大させます。

  1. 1. 流動砂層の形成:炉底からの空気供給により砂粒子が浮遊状態となり、活発な混合を開始
  2. 2. 廃棄物の投入と分散:投入された廃棄物が流動砂と瞬時に混合され、均一な温度分布を実現
  3. 3. 急速加熱による燃焼:高温の流動砂により廃棄物が急速に加熱され、効率的な燃焼が進行
  4. 4. 完全燃焼の達成:激しい混合作用により酸素と可燃分の接触が促進され、未燃分の残留を防ぐ

この特殊な燃焼メカニズムにより、従来の固定床燃焼では困難な高水分廃棄物の安定した処理が可能です。

 

流動床炉のメリット4選

流動床炉は独特の燃焼方式により、他の焼却炉では得られない特徴的なメリットがあります。
主なメリットは以下の4つです。

  1. 1. 流動砂の継続的な補充:燃焼過程で流動砂が徐々に消耗するため、定期的な砂の補充が必要
  2. 2. 複雑な運転制御:流動状態の維持には精密な空気流量制御が求められ、運転技術の習得が重要
  3. 3. 複雑な運転制御:流動状態の維持には精密な空気流量制御が求められ、運転技術の習得が重要
  4. 4. 高い電力消費量:流動を維持するための送風機電力により、他の焼却炉と比較して電力コストが高い

これらの課題を十分に検討し、適切な運用体制を構築することが流動床炉の効果的な活用につながります。

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