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業界コラム

焼却炉に関連する法律改正の最新情報

「焼却炉の法律って複雑で分かりにくい…」「うちの焼却炉、法律違反になっていないか不安」「最新の法改正に対応できているのだろうか?」そう思う方もいるかもしれません。

実は、焼却炉に関する法律は近年大きく改正されており、廃棄物処理法・大気汚染防止法・ダイオキシン類対策特別措置法の3つの法律を正しく理解することが大切です。

この記事では、焼却炉に関連する最新の法律改正情報や、遵守すべきポイントを分かりやすく解説します。

 

焼却炉に関連する3つの主要法律とは

焼却炉を設置・運用する際には、複数の法律が関係してきます。特に重要なのが廃棄物処理法、大気汚染防止法、ダイオキシン類対策特別措置法の3つです。

ここでは、焼却炉に関連する3つの法律について解説します。

 

廃棄物処理法の基本

廃棄物処理法は、正式名称を「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」といい、平成14年12月1日に大きく改正されました。この法律の最も重要な点は、規模に関わらずすべての廃棄物焼却炉に適用されるということです。

焼却炉の構造基準として、燃焼ガスが800℃以上の状態で廃棄物を焼却できること、外気と遮断された状態で定量ずつ廃棄物を投入できること、温度測定装置と助燃装置が設けられていることなどが求められています。また、野焼きは原則禁止されており、違反した場合は5年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金が科されます。

参照元:環境省 環境再生・資源循環「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)」

 

大気汚染防止法が規制する焼却炉の要件

大気汚染防止法は、事業場などから排出される大気汚染物質について基準を定めた法律です。焼却炉に関しては、火格子面積が2平方メートル以上、または焼却能力が200kg/h以上の場合にこの法律が適用されます。この法律の主な目的は、焼却時に発生する「ばい煙」、つまりいおう酸化物、ばいじん(スス)、有害物質の排出を規制することです。

対象となる焼却炉を設置する場合は、環境省のホームページで届出先を確認し、適切な手続きを行う必要があります。

 

ダイオキシン類対策特別措置法の目的と対象

ダイオキシン類対策特別措置法は、平成12年1月15日に施行された法律で、ダイオキシン類による環境汚染を防止することを目的としています。焼却炉に関しては、火床面積が0.5平方メートル以上、または焼却能力が50kg/h以上の場合に適用されます。

火床面積とは燃焼室の床面積のことで、例えば幅700mm×奥行700mmの場合は0.49平方メートルとなり対象外です。この法律の対象となる焼却炉を新設する場合は、工事着手の60日前までに都道府県知事に届出を提出する必要があり、設置後は年1回以上、排ガス、ばい塵、焼却灰などのダイオキシン類を測定し報告することが義務付けられています。

参照元:環境省 ダイオキシン類対策特別措置法の施行について

 

 

焼却炉の規模別・法律適用の基準を徹底解説

焼却炉に適用される法律は、その規模によって大きく異なります。火床面積や焼却能力といった具体的な数値基準によって、届出が必要かどうか、どのような規制を受けるのかが決まってきます。

ここでは、焼却炉の規模別・法律適用の基準について解説します。

 

火床面積と焼却能力による法律適用の違い

焼却炉に関する法律の適用基準は、主に「火床面積」と「焼却能力」という2つの指標で判断されます。火床面積とは燃焼室の床面積のことで、平方メートル(㎡)で表されます。焼却能力とは1時間あたりに安全に焼却できる廃棄物の量のことで、キログラム毎時(kg/h)で表されます。

例えば、火床面積0.5㎡未満かつ焼却能力50kg/h未満の小型焼却炉は、ダイオキシン類対策特別措置法の対象外です。ただし、廃棄物処理法は規模に関わらずすべての焼却炉に適用されるため、構造基準は満たす必要があります。

 

小型焼却炉(火床面積0.5㎡未満)は届出不要?

火床面積0.5㎡未満かつ焼却能力50kg/h未満の小型焼却炉は、ダイオキシン類対策特別措置法と大気汚染防止法の対象外となるため、これらの法律に基づく届出は不要です。例えば、幅700mm×奥行700mmの焼却炉の場合、火床面積は0.49㎡となり該当します。

ただし、廃棄物処理法で定められた構造基準、つまり800℃以上での焼却、外気遮断構造、温度測定装置、助燃装置などの要件は満たす必要があります。また、消防法については地域ごとに基準が異なるため注意が必要です。

 

中型焼却炉(火床面積0.5㎡以上2㎡未満)に必要な手続き

火床面積0.5㎡以上2㎡未満、または焼却能力50kg/h以上200kg/h未満の中型焼却炉は、ダイオキシン類対策特別措置法の対象となります。この規模の焼却炉を新設する場合は、工事着手の60日前までに都道府県知事に届出を提出しなければなりません。

設置後は年1回以上、排ガス、ばい塵、焼却灰などのダイオキシン類を測定し報告する義務があります。また、消防法についても据付面積2㎡以上の場合は設置7日前までに消防長への届出が必要です。

 

大型焼却炉(火床面積2㎡以上)の厳格な規制内容

火床面積2㎡以上、または焼却能力200kg/h以上の大型焼却炉は、ダイオキシン類対策特別措置法に加えて大気汚染防止法の対象となり、最も厳格な規制を受けます。大気汚染防止法では、ばい煙(いおう酸化物、ばいじん、有害物質)の排出基準が設けられており、これに適合しない場合は罰則が課されます。

さらに、ダイオキシン類の測定義務、廃棄物処理法の構造基準、消防法の届出と保有距離の確保など、複数の法規制をすべてクリアしなければなりません。

参照元:環境省 ダイオキシン類対策特別措置法の施行について

 

 

ダイオキシン類対策特別措置法の届出義務と排出基準

ダイオキシン類対策特別措置法は、焼却炉から発生するダイオキシン類による環境汚染を防止するための重要な法律です。この法律の対象となる焼却炉を設置・運用する場合には、事前の届出、定期的な測定、そして厳格な排出基準の遵守が求められます。

ここでは、ダイオキシン類対策特別措置法の届出義務と排出基準について解説します。

 

設置届出の提出先と提出期限(工事着手60日前)

ダイオキシン類対策特別措置法の対象となる焼却炉を新設する場合、工事着手の60日前までに都道府県知事に届出を提出する必要があります。この60日という期間は、行政が届出内容を審査し、必要に応じて指導を行うための期間です。届出には焼却炉の構造、規模、処理能力などの詳細な情報を記載しなければなりません。

 

年1回以上のダイオキシン類測定義務

ダイオキシン類対策特別措置法の対象となる焼却炉を設置した事業者は、年1回以上、排ガス、ばい塵、焼却灰などに含まれるダイオキシン類を測定し、その結果を都道府県知事に報告する義務があります。この測定は、環境計量士などの有資格者が行う必要があり、専門的な分析機関に依頼することが一般的です。測定結果が排出基準を超えた場合は、直ちに改善措置を講じなければなりません。

 

排ガス・ばい塵・焼却灰の排出基準値

ダイオキシン類対策特別措置法では、焼却炉の規模に応じて排出基準が定められています。火床面積0.5㎡以上2㎡未満、または焼却能力50kg/h以上200kg/h未満の焼却炉の場合、排ガスの排出基準は5ng-TEQ/㎥N、ばい塵と焼却灰の排出基準は3ng-TEQ/㎥Nです。
ng-TEQとは、ダイオキシン類の毒性を表す単位で、数値が小さいほど安全性が高いことを示します。これらの基準を遵守するためには、適切な燃焼温度の維持、定期的なメンテナンス、そして適切な廃棄物の投入管理が不可欠です。

参照元:環境省 ダイオキシン類対策特別措置法の施行について

 

 

廃棄物処理法が定める焼却炉の構造基準

廃棄物処理法では、規模に関わらずすべての焼却炉が満たすべき構造基準が定められています。これらの基準は、不完全燃焼による有害物質の発生を防ぎ、環境への悪影響を最小限に抑えるために設けられたものです。

ここでは、廃棄物処理法が定める焼却炉の構造基準について解説します。

 

燃焼ガス800℃以上での焼却が必須な理由

廃棄物処理法では、焼却炉の燃焼室において発生するガスの温度が800℃以上の状態で廃棄物を焼却できることを求めています。この800℃という温度は、ダイオキシン類やその他の有害物質を分解するために必要な最低温度です。温度が低いと不完全燃焼が起こり、有害物質が大気中に放出される危険性が高まります。

そのため、焼却炉には燃焼ガスの温度を測定するための装置の設置が義務付けられており、常に適切な温度管理を行う必要があります。また、高温を維持するための助燃装置も必須となっています。

 

外気遮断構造と定量投入装置の重要性

廃棄物処理法では、空気取入口と煙突の先端以外に焼却設備内と外気とが接することなく焼却できる構造であることを求めています。外気と遮断することで、燃焼室内の温度と酸素濃度を適切に管理し、完全燃焼を実現することができます。また、外気と遮断された状態で定量ずつ廃棄物を燃焼室に投入できる装置の設置も義務付けられています。

ただし、ガス化燃焼方式など構造上やむを得ないと認められる焼却設備の場合は例外とされています。これらの構造基準を満たすことで、安全で環境に配慮した焼却が可能になります。

 

温度測定装置と助燃装置の設置義務

廃棄物処理法では、燃焼室中の燃焼ガスの温度を測定するための装置が設けられていることを義務付けています。この温度計により、常に800℃以上の燃焼温度が維持されているかを確認することができます。また、燃焼ガスの温度を保つために必要な助燃装置の設置も必須です。

助燃装置とは、バーナーなどの加熱設備のことで、廃棄物の種類や量によって燃焼温度が下がった場合でも、適切な温度を維持するために使用されます。これらの装置を適切に運用することで、法律で定められた基準を満たした安全な焼却ができます。

参照元:環境省 環境再生・資源循環「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)」

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