株式会社エコ・テック

COLUMN

業界コラム

安全第一:焼却炉の圧力管理方法

「焼却炉の圧力が異常値を示しているけど、このまま運転を続けて大丈夫なのか?」「圧力管理を間違えて事故を起こしたらどうしよう…」と不安に感じている方も多いのではないでしょうか。

実は、焼却炉の圧力管理には、日常点検のポイント、異常時の判断基準、予防保全の3つの要素を押さえることが重要なのです。

この記事では、焼却炉の圧力管理の基本から、事故を未然に防ぐための具体的な管理方法、そして圧力異常が発生した際の対処法までを詳しく解説します。

 

焼却炉の圧力管理が重要な理由

焼却炉の安全な運転には、温度管理と並んで圧力管理が欠かせません。圧力は炉内の燃焼状態や排気システムの正常性を示す重要なポイントであり、適切に管理することで事故を未然に防ぐことができます。
ここでは圧力管理の重要性について解説します。

 

圧力管理の不備が招く重大事故

焼却炉内の圧力が異常に上昇すると、炉体の破損や爆発といった重大事故につながる可能性があります。

また、負圧が不足すると有害な排気ガスが作業場に漏れ出し、作業員の健康被害や環境汚染を引き起こすリスクがあります。圧力管理は施設の安全性を守る最も基本的な要素なのです。

 

法令で定められた圧力管理義務

廃棄物処理法および関連する技術基準では、焼却施設の運転管理者に対して圧力計の設置と定期的な監視が義務付けられています。特に処理能力が一定規模以上の施設では、自動記録装置による連続監視が求められ、異常時の警報システムの設置も必要です。

これらの法令を遵守しない場合、行政処分の対象となるだけでなく、事故発生時には管理者の責任が厳しく問われることになります。日々の圧力管理は法的義務でもあるのです。

 

適正な圧力管理がもたらす運転効率の向上

圧力を適正範囲内に保つことは、安全面だけでなく運転効率の向上にもつながります。適切な炉内圧力は燃焼効率を最適化し、燃料消費の削減や完全燃焼による排気ガスのクリーン化を実現します。

また、安定した圧力条件下では設備への負担が軽減され、メンテナンスコストの削減や設備寿命の延長も期待できるでしょう。

 

 

焼却炉の圧力異常が引き起こす事故リスク

焼却炉の圧力が正常範囲を外れると、様々な事故やトラブルが発生する危険性が高まります。圧力異常は単なる数値の変化ではなく、炉内で何らかの問題が起きているサインです。

ここでは圧力異常が引き起こす具体的なリスクについて解説します。

 

炉内圧力の上昇による爆発リスク

炉内の圧力が基準値より高くなると、炉の扉や接続部分に過度な力がかかり、最悪の場合は爆発する危険があります。圧力上昇の主な原因は、排気ダクトの詰まりや送風バランスの崩れです。特に可燃性ガスが炉内に溜まった状態で圧力が上がると、突然の着火により爆発的な燃焼が起こる可能性があります。

圧力計の数値がいつもより高い場合は、すぐに原因を調べる必要があります。日頃から圧力の変化に注意を払うことが事故防止へつながるのです。

 

負圧異常による排気ガスの漏洩

焼却炉は通常、炉内を少し負圧に保つことで、有害なガスが外に漏れないようにしています。しかし送風機の故障や排気システムの不具合で負圧が弱くなると、炉の隙間から煙や有害ガスが作業場に漏れ出してしまいます。これにより作業員が一酸化炭素中毒やダイオキシン類に暴露する危険があります。

また周辺環境への悪臭や大気汚染の原因にもなります。負圧の維持は作業員の健康と地域環境を守るために欠かせません。

 

 

焼却炉の適正圧力範囲と基準値

焼却炉を安全に運転するには、炉のタイプや規模に応じた適正な圧力範囲を知っておく必要があります。圧力の基準値は施設ごとに異なりますが、基本的な考え方と測定方法を理解することで、日々の管理がスムーズになります。

ここでは焼却炉の適正圧力と測定のポイントについて解説します。

 

焼却炉のタイプ別適正圧力

一般的なストーカ式焼却炉では、炉内圧力はマイナス5〜20パスカル程度の負圧に保つのが標準です。流動床式では負圧がやや強めに設定されることが多く、マイナス10〜30パスカル程度が目安となります。ロータリーキルン式の場合は構造上、さらに幅広い範囲で管理されます。

重要なのは、メーカーが指定する数値や過去の運転データを基準として、普段の圧力状態を把握しておくことです。自分の施設の「いつもの圧力」を知ることが異常検知の基本になります。

 

炉内圧力の測定ポイントと測定方法

圧力測定は主に炉の燃焼室、二次燃焼室、煙道の3カ所で行います。燃焼室では燃焼状態を、二次燃焼室では排気の流れを、煙道では全体の吸引力を確認できます。測定には圧力計の取り付け位置が重要で、炉壁から適切な距離を保ち、詰まりにくい場所を選びます。

測定管が灰やすすで詰まると正確な値が得られないため、定期的な清掃が欠かせません。複数の測定ポイントを比較することで、どこに問題があるかを素早く特定できます。

 

圧力計の種類と正しい読み取り方

焼却炉で使われる圧力計には、U字管マノメータやダイヤフラム式圧力計などがあります。U字管マノメータは水柱の高さで圧力を示すシンプルな仕組みで、目視で簡単に確認できます。ダイヤフラム式は針やデジタル表示で圧力を示し、より精密な測定が可能です。

読み取る際は、計器が水平に設置されているか、ゼロ点がずれていないかを確認します。また圧力は運転状態によって変動するため、安定した状態で複数回測定し、平均値を記録するのが確実です。

 

 

日常点検で押さえるべき圧力管理のポイント

圧力管理で最も大切なのは、毎日の点検を習慣化することです。異常は突然起こるのではなく、小さな変化から始まります。

ここでは実践的な日常点検の方法について解説します。

 

始業前点検での圧力確認チェックリスト

始業前点検は事故を防ぐ最初の砦です。毎日同じ手順で確実に行うことで、わずかな異常も見逃さずに済みます。以下のチェックリストに沿って点検を進めましょう。

  • ・圧力計本体にひび割れや破損がないか目視確認する
  • ・圧力計のゼロ点が正しい位置にあるか確認する
  • ・炉を起動し、各測定ポイントの圧力値を記録する
  • ・前日のデータと比較し、急な変化がないか確認する
  • ・測定管に詰まりや異物がないか点検する
  • ・接続部分からの空気漏れがないか確認する

これらの項目を記録用紙やチェックシートに残すことで、後で振り返る際にも役立ちます。異常を発見した場合は、運転開始前に必ず原因を特定し、対処することが重要です。

 

運転中の圧力モニタリング方法

運転中は1時間ごとに圧力値を確認し、異常な変動がないか監視します。特に廃棄物の投入直後や燃焼負荷が変わる時は、圧力が変動しやすいため注意が必要です。

圧力が徐々に上昇している場合は排気ダクトの詰まりが疑われ、逆に低下している場合は送風機の不調や空気の漏れが考えられます。自動記録計がある施設では、グラフの傾向を見て異常の予兆を読み取ります。異常を感じたら、すぐに廃棄物の投入を止めて状況を確認することが大切です。

 

圧力データの記録と分析の重要性

日々の圧力データを記録し蓄積することで、設備の劣化や季節による変化のパターンが見えてきます。例えば冬場は外気温の影響で圧力が変動しやすいなど、施設ごとの特性が分かります。

異常値が出た際には過去のデータと照らし合わせることで、原因の特定がスムーズになります。またメーカーの定期点検時にもデータを提示すれば、より的確なアドバイスを受けられるため、記録は面倒に感じるかもしれませんが、確実に管理の質が高まるでしょう。

CONTACT

お問い合わせ

           

大規模施設や大型建築物の解体工事もエコ・テックにお任せ下さい。アスベスト対策工事・ダイオキシン対策工事の他、土壌汚染対策工事が必要な解体工事はトータルでご対応致します。

お電話でのお問い合わせ