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業界コラム

業務用焼却炉の導入事例と成功ポイント

「業務用焼却炉を導入したいけど、どの機種を選べばいいのか分からない…」「導入費用が高額だけど、本当に投資回収できるのだろうか?」「法規制が複雑で、コンプライアンス面が不安…」
そう思う方もいるかもしれません。

実は、業務用焼却炉の導入を成功させるには、自社の廃棄物量・種類の正確な把握、法規制への適合確認、そして投資回収期間の明確な試算という3つのポイントを押さえることが重要です。

この記事では、業務用焼却炉を実際に導入した企業の成功事例と失敗しないための選定ポイント、さらに導入後の運用ノウハウまで、施設管理責任者が知っておくべき実践的な情報を詳しく紹介します。

 

業務用焼却炉とは?

業務用焼却炉は、企業や施設で発生する廃棄物を適切に焼却処理するための設備です。一般家庭用とは異なり、大量の廃棄物を高温で安全に処理できる能力を持ち、環境法規制に適合した構造になっています。

ここでは業務用焼却炉の基礎知識について解説します。

 

業務用焼却炉の種類と特徴

業務用焼却炉には、連続式と回分式(バッチ式)の2つの主要なタイプがあります。連続式は24時間稼働が可能で、大量の廃棄物を継続的に処理する大規模施設に適しています。一方、回分式は一定量ごとに焼却を行うタイプで、中小規模の事業所や廃棄物量が変動する施設に向いています。

また、焼却温度によって低温焼却炉(600〜800℃)と高温焼却炉(800℃以上)に分類され、処理する廃棄物の種類によって選択します。

 

一般廃棄物用と産業廃棄物用の違い

一般廃棄物用焼却炉は、オフィスや商業施設から出る紙くずや生ごみなどの処理に使用されます。産業廃棄物用焼却炉は、製造業や医療機関などで発生する特殊な廃棄物を処理するための設備で、より厳格な排ガス基準をクリアする必要があります。

両者は処理できる廃棄物の種類、必要な許可の種類、設置基準が異なるため、自社の廃棄物が一般廃棄物か産業廃棄物かを正確に分類することが大切です。

 

 

業務用焼却炉の選び方

業務用焼却炉の選定を誤ると、導入後に処理能力不足やコスト超過といった問題が発生します。実際に導入に失敗した企業の多くは、自社の廃棄物量の見積もりが甘かったり、ランニングコストを軽視していたりするケースが目立ちます。

ここでは業務用焼却炉の選び方におけるポイントについて解説します。

 

自社の廃棄物量・種類を正確に把握する方法

焼却炉選定の第一歩は、自社で発生する廃棄物の量と種類を正確に把握することです。最低でも3ヶ月間、できれば1年間の廃棄物データを収集し、日平均量、月間最大量、季節変動を分析します。

廃棄物の種類については、可燃物、不燃物、特殊廃棄物に分類し、それぞれの比率を明確にします。また、将来的な事業拡大や生産量の変動も考慮し、処理能力に20〜30%の余裕を持たせることがおすすめです。

 

処理能力と焼却温度の選定基準

焼却炉の処理能力は、1時間あたりまたは1日あたりの処理量(kg/h、kg/日)で表示されます。自社の廃棄物量データをもとに、ピーク時にも対応できる処理能力を選定することが重要です。

焼却温度については、一般的な可燃ごみなら800℃前後、医療廃棄物や特殊な産業廃棄物は1000℃以上が必要になります。温度が低すぎると不完全燃焼が起こり、ダイオキシンなどの有害物質が発生するリスクがあるため、処理する廃棄物の種類に応じた適切な温度帯を選択します。

 

メーカー選定で重視すべき3つの項目

焼却炉メーカーを選定する際には、以下の3つの項目を重視します。

  1. 1. 24時間対応の緊急サポートや定期点検サービスの充実度
  2. 2. 自社と同じ業種・規模での導入実績があるメーカーを優先的に検討
  3. 3. 長期間の部品供給保証と、10年以上の保守サービス提供体制があるか

価格だけで判断せず、導入後10年以上の長期的な関係を見据えてメーカーを選定することが、安定した運用につながります。

 

 

業務用焼却炉の導入事例

業務用焼却炉の導入効果を最も実感できるのは、実際の導入事例を知ることです。業種によって発生する廃棄物の種類や量は大きく異なり、それぞれに適した焼却炉の選定と運用方法があります。

ここでは導入成功事例を紹介し、各現場で得られた具体的な効果と成功のポイントを解説します。

 

製造業での導入事例|木枠・梱包材処理の効率化とコスト削減

富山県の石材加工業Y社では、製品の梱包に使用する木枠や緩衝材、紐などの廃棄物処理が課題となっていました。従来使用していた焼却炉は老朽化により水漏れと煙の発生がひどく、使用できない状態に陥っていました。外部委託も検討しましたが、運搬費用と処理費用が年間で高額になることから、新型焼却炉FL-700S型(水冷式)を導入しました。

導入後は燃焼効率が大幅に向上し、煙の発生も抑制され、廃棄物を敷地内で即座に処理できる体制が整いました。これにより外部委託費用を削減し、作業効率も向上しています。

参照元:イプロスものづくり「焼却炉の採用事例」石材業Y様

 

廃棄物処理施設での導入事例|自動計量システムで業務効率を50%改善

大阪市・八尾市・松原市環境施設組合では、年間約100万トンの一般廃棄物を6つの焼却工場で処理していました。従来は70種類以上の搬入票を用いて手作業で計量業務を行っており、職員の負担が大きく、各工場の搬入状況の把握にも時間がかかっていました。焼却炉と連携した自動計量システムを導入し、ICカードとカメラで搬入車両を自動管理する体制を構築しました。その結果、計量業務に必要な人員が約半分に削減され、搬入状況のリアルタイム把握が可能になり、搬入待ち時間も大幅に短縮されました。

参照元:富士通マーケティング導入事例「大阪市・八尾市・松原市環境施設組合様」

 

 

導入時の法規制と必要な手続き

業務用焼却炉を導入する際に最も注意が必要なのが、法規制への対応です。大気汚染防止法や廃棄物処理法など、複数の法律が関係しており、基準を満たさないと設置許可が下りません。

ここでは導入時の法規制と必要な手続きについて解説します。

 

大気汚染防止法と廃棄物処理法の基準

業務用焼却炉の設置には、大気汚染防止法による排ガス基準の遵守が必須です。ダイオキシン類、窒素酸化物、硫黄酸化物、ばいじんなどの排出濃度について厳格な基準が設けられており、定期的な測定と報告が義務付けられています。

廃棄物処理法では、焼却施設の構造基準として、燃焼室の温度が800℃以上を保持できること、排ガス処理装置を備えていることなどが規定されています。さらに処理できる廃棄物の種類によって一般廃棄物処理施設または産業廃棄物処理施設としての許可が必要になり、基準も異なります。

 

自治体への届出と許可申請の流れ

焼却炉の設置には、自治体への事前届出または許可申請が必要です。処理能力が1時間あたり50kg未満の小型焼却炉は届出制ですが、50kg以上の場合は設置許可が必要になります。申請には設置計画書、焼却炉の仕様書、排ガス処理設備の詳細、周辺環境への影響評価などの書類を提出し、審査を受けます。

審査期間は通常2〜3ヶ月程度かかるため、導入スケジュールに余裕を持たせることが重要です。許可取得後も、使用前検査を受けて合格しなければ稼働できません。

 

環境アセスメントと近隣住民への説明

一定規模以上の焼却施設を設置する場合、環境影響評価(環境アセスメント)の実施が求められます。大気質、騒音、振動、悪臭などについて事前調査を行い、環境への影響を評価します。また、近隣住民への説明会の開催も重要な手続きです。

焼却炉の設置目的、環境対策、安全管理体制などを丁寧に説明し、住民の理解を得ることでトラブルを未然に防ぎます。説明会では想定される質問に対する回答を事前に準備し、環境データや安全対策の具体的な資料を提示することで、信頼関係を構築できます。

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