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業界コラム

焼却炉設置に必要な許可と手続き

「焼却炉を設置したいけれど、そもそも許可が必要なの?」「どんな手続きをすればいいのか全然わからない…」と困っていませんか?

業務で必要な焼却炉の導入を検討しているものの、役所とのやり取りや法律面での不安が先立って、なかなか前に進めないという声もよく聞きます。

この記事では、焼却炉を設置するために必要な主な許可の種類や手続きの流れ、申請時に注意すべきポイントについて、具体的にわかりやすく解説します。これから導入を考えている方が、スムーズに準備を進められるよう、実務的な視点から情報をまとめました。

 

焼却炉の設置に必要な許可とは?

焼却炉を設置するには、法的な許可が必要となる場合があります。これは、環境保護や公衆衛生を守るために、設置場所や炉の種類によって規制が設けられているためです。知らずに設置を進めてしまうと、後々大きなトラブルにつながる恐れもあります。

ここでは、まず焼却炉設置に関する基本的な許可制度について解説します。

 

なぜ焼却炉の設置に許可が必要なのか

焼却炉は、廃棄物を処分するための設備ですが、その運用によっては有害物質や臭気、煙などが発生し、周辺環境や住民の生活に悪影響を与える可能性があります。

このため、国や自治体では焼却炉の設置や運転に対して厳しいルールを設けており、一定規模以上の焼却炉には行政の許可が義務づけられています。特に、ダイオキシン類の排出抑制や安全な燃焼管理が求められるため、設計段階から法規制に基づいた対応が求められます。

 

許可が必要な焼却炉と不要なケースの違い

一般的に、焼却炉の処理能力や用途によって、許可が必要かどうかが判断されます。たとえば、家庭用や小規模な農業目的で使用される焼却炉は、条件によっては「野焼き禁止条例」の対象外となるケースもありますが、事業目的や一定規模以上のものは例外なく許可が必要です。

また、焼却対象が「産業廃棄物」に該当する場合、さらに厳しい審査を受けることになります。無許可でこれらの焼却炉を設置・稼働させた場合、罰則の対象となることがあるため、判断に迷ったら必ず自治体に確認することが大切です。

 

行政への相談はどこにすればいい?窓口の確認方法

焼却炉の設置に関する相談は、地域を管轄する市区町村の環境課や生活衛生課、または都道府県の廃棄物対策課が窓口となるのが一般的です。

実際の許可手続きは、廃棄物処理法やダイオキシン対策法に基づいて進められるため、各自治体のウェブサイトや窓口で最新の情報を確認しましょう。

初回の相談では、炉の規模や使用目的、設置場所などの情報を整理しておくと、スムーズに案内を受けられます。自治体によっては事前相談を義務化しているところもあるため、計画段階で早めにアクションを起こすことが望まれます。

 

 

焼却炉の種類と用途ごとの許可要件の違い

焼却炉には、用途や処理能力に応じてさまざまな種類があり、それぞれで求められる許可の条件が異なります。許可の有無や手続き内容は、「何を」「どのように」「どれくらいの規模で」焼却するかによって決まります。

ここでは、焼却炉の分類とそれに伴う許可要件の違いについて詳しく解説します。

 

廃棄物焼却炉の種類と出力による分類

焼却炉は大きく分けて、「一般廃棄物焼却炉」と「産業廃棄物焼却炉」の2つに分類されます。さらに、処理能力(1時間あたりの処理量)によって、小型・中型・大型に区分され、出力が一定以上のものは都道府県や市町村からの厳格な許可が必要です。

たとえば、1時間あたり200kg以上の処理能力を持つ焼却炉は、廃棄物処理法により都道府県知事等の許可が必要となり、施設の構造基準や運転管理についても詳細な審査を受けます。逆に、処理能力が小さい炉であっても、設置場所や処分物の内容によっては許可対象となることもあるのです。

参照元:環境省資料「廃棄物処理法における廃棄物処理施設の設置の許可制度」

 

一般廃棄物処理と産業廃棄物処理での違い

一般廃棄物とは、家庭ごみや事業活動に伴って生じる紙くず・生ごみなど、日常的に発生する廃棄物を指します。一方、産業廃棄物は、製造業や建設業などの事業活動で発生する廃材や廃油、有害物質を含むごみを含みます。

産業廃棄物を焼却するための炉は、特に厳しい規制の対象となります。設置するためには、排ガス処理設備やダイオキシン排出対策が義務付けられ、事業者の管理体制や実施体制についても審査されるのです。

一方、一般廃棄物処理のための焼却炉も、一定規模以上のものは同様に許可が必要ですが、比較的緩やかな基準で運用されています。

 

農業・林業用と事業用の許可要件の違いとは

農業や林業における焼却(例:剪定枝や雑草の処理)は、廃棄物処理法上の「例外規定」により、一定条件下で許可を得ずに行うことが認められています。いわゆる「野焼きの例外」とされるこれらの焼却は、地域によっては簡易な構造の焼却炉を利用するケースもあるでしょう。

ただし、これらも「常時使用する焼却炉」である場合や、住宅地に近い場所に設置する場合は、許可や届出が必要になることがあります。また、事業として焼却処理を行う場合は、たとえ農業用であっても産業廃棄物処理業に該当する可能性があるため、注意が必要です。

 

 

焼却炉設置の手続きの流れと準備すべき書類

焼却炉を設置するには、用途や規模に応じた行政手続きが不可欠です。申請には複数の書類や計画図面が求められ、場合によっては住民説明や環境影響評価も必要な場合があります。

ここでは、許可取得までの具体的な流れと準備するべき書類について詳しく解説します。

 

設置までの基本的なステップ

焼却炉の設置は、思いついたらすぐに進められるものではありません。法律や自治体ごとの基準をクリアしながら、段階的に準備を進める必要があります。

以下に、一般的な設置までの流れを時系列に沿って整理しました。

1. 地域の自治体(市町村や都道府県)に事前相談を行う
2. 必要書類を準備する/span>
3. 申請書類を提出する
4. 行政による審査・現地調査の実施する
5. 許可の取得と設置工事に取り掛かる
6. 運転前の確認と記録体制の整備を実施する

このように、焼却炉の設置にはいくつもの段階と確認事項があります。スムーズに進めるためには、事前相談を早めに行うことが鍵となります。

 

許可申請に必要な書類と作成のポイント

焼却炉設置の申請に必要な書類は、自治体ごとに多少異なりますが、以下のような資料が一般的に求められます。

焼却炉の構造仕様書(処理能力、排気処理装置の有無などを明記)
設置場所の周辺図と配置図
排ガス処理設備の設計図
使用目的と焼却対象物の詳細
管理体制と運転記録の計画書

書類を作成する際は、「安全性」「環境配慮」「近隣への配慮」といった観点が重要です。環境への悪影響がないこと、排出ガスの管理が適切であることを明確に伝えることで、審査の通過率が高まります。

 

申請から許可取得までにかかる期間と注意点

申請から許可が下りるまでの期間は、焼却炉の規模や自治体の審査体制にもよりますが、1~3か月程度が一般的です。ただし、提出書類に不備があったり、設置予定地に問題がある場合は、審査が長引いたり、修正の指示が入ることもあります。

また、周辺住民への影響が懸念される地域では、説明会の開催や書面による意見聴取を求められることがあります。これを怠ると、地域トラブルや申請差し戻しのリスクがあるため、事前の段取りが非常に重要です。

 

 

焼却炉設置に関する法律と規制のポイント

焼却炉の設置には、さまざまな法律や規制が関係しており、これらを理解せずに計画を進めると行政指導や罰則の対象となることがあります。特に環境保護を目的とした規制が多く、地域によっては条例や独自の基準も設けられています。

ここでは、設置にあたって知っておきたい主要な法制度とその注意点を整理します。

 

廃棄物処理法とダイオキシン類対策特別措置法

焼却炉の設置に大きく関係するのが「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)」です。この法律では、事業者が廃棄物を処理する際の方法や基準、許可制度が明確に定められています。とくに焼却炉を使って廃棄物を処分する場合、設置許可・管理基準・定期報告といった義務が発生します。

加えて、焼却時に発生する有害物質であるダイオキシン類の排出を抑える目的で、「ダイオキシン類対策特別措置法」も適用されます。この法律により、焼却炉の構造や燃焼管理の条件、排出濃度の測定義務などが細かく定められており、違反があれば厳しい行政処分の対象となります。

 

地方自治体ごとの規制と条例の確認

国の法律に加えて、各自治体は地域の実情に応じた独自の条例を定めています。例えば、住宅地が密集する地域では、焼却炉の設置自体を制限していたり、一定距離以内に住居がある場合には追加の安全対策を求めるケースもあります。

さらに、近隣住民への説明義務や、自治会との調整を義務化している自治体も存在します。こうした地域特有のルールを見落とすと、たとえ国の基準を満たしていても許可が下りないことがあります。したがって、事前に地域の担当部署で規制内容を十分に確認することが欠かせません。

 

環境アセスメントや近隣住民との調整は必要?

焼却炉の規模や性質によっては、簡易的な「環境影響評価(アセスメント)」や、騒音・悪臭・排煙などへの影響についての説明責任が課される場合もあります。とくに中・大型の焼却炉の場合、設置前に周辺住民への説明会開催や同意取得を求められることもあります。

このような調整を怠ると、設置後に苦情や反対運動が起きる可能性があり、結果として運用開始が大きく遅れるリスクも生じます。許可取得をスムーズに進めるためには、法律上の条件を満たすだけでなく、地域との関係性にも配慮した丁寧な対応が求められます。

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