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焼却炉設置時の許可申請と注意点

「焼却炉を設置したいけど、どんな許可が必要なの?」「申請手続きが複雑そうで不安…」「法律違反にならないか心配」と多くの方が悩んでいるかもしれません。

実は、焼却炉の設置には廃棄物処理法や大気汚染防止法に基づく複数の許可が必要で、事前の準備と正しい手続きを踏めば、スムーズに導入することができます。

この記事では、焼却炉設置時に必要な許可の種類、申請手続きの流れ、そして設置時の注意点についてわかりやすく解説します。

 

焼却炉設置に必要な許可の種類

焼却炉を設置する際には、複数の法律に基づいた許可や届出が必要です。主に廃棄物処理法と大気汚染防止法が関係しており、焼却する廃棄物の種類や焼却炉の規模によって必要な手続きが異なります。

ここでは焼却炉設置に必要な許可の種類について解説します。

 

廃棄物処理法に基づく許可

廃棄物処理法では、産業廃棄物を焼却する施設を設置する場合、都道府県知事または政令市の市長から産業廃棄物処理施設設置許可を取得する必要があります。この許可は、処理能力が1時間あたり200キログラム以上または火格子面積が2平方メートル以上の焼却施設が対象となります。

許可申請には施設の構造や処理方法、維持管理の計画などを詳細に記載した書類の提出が求められます。自社の廃棄物のみを処理する場合でも、この基準を超える施設であれば許可が必要となる点に注意が必要です。

 

大気汚染防止法に基づく届出・許可

大気汚染防止法では、焼却炉を「ばい煙発生施設」として規制しています。火格子面積が0.5平方メートル以上または焼却能力が1時間あたり50キログラム以上の焼却炉を設置する場合は、都道府県知事または政令市の市長への届出が必要です。届出は工事開始の60日前までに行う必要があり、施設の構造や排出ガスの処理方法などを明記します。

また、排出されるばい煙には硫黄酸化物や窒素酸化物、ばいじんなどの濃度基準が定められており、これらの基準を満たす必要があります。

 

その他関連する法令と許可

焼却炉の設置には上記以外にも関連する法令があります。建築基準法では、一定規模以上の焼却炉は建築確認申請が必要となる場合があります。また、消防法では火災予防の観点から消防署への届出や設備の設置基準が定められています。

さらに、ダイオキシン類対策特別措置法により、排出ガスや焼却灰中のダイオキシン類濃度の測定と報告が必須です。地域によっては自治体独自の環境条例で追加の規制がある場合もあるため、設置予定地の自治体へ事前に確認しましょう。

 

 

焼却炉の許可申請に必要な書類と手続きの流れ

焼却炉の許可申請は複数の書類を準備し、決められた手順に従って進める必要があります。申請書類に不備があると審査が遅れたり、差し戻しになったりする可能性があるため、事前に必要書類を確認し漏れなく準備することが重要です。

ここでは焼却炉の許可申請に必要な書類と手続きの流れについて解説します。

 

申請前に準備すべき書類一覧

焼却炉設置の許可申請には多くの書類が必要となり、書類の不備は審査の遅延につながります。申請前に以下の書類を漏れなく準備しておくことが重要です。

  • ・産業廃棄物処理施設設置許可申請書
  • ・施設の設置場所を示す図面
  • ・施設の構造を説明する設計図書
  • ・処理する廃棄物の種類と量を記載した書類
  • ・維持管理計画書
  • ・周辺地域の生活環境への影響調査書
  • ・申請者の資格や能力を証明する書類
  • ・大気汚染防止法のばい煙発生施設設置届出書
  • ・排出ガスの処理方法を記載した書類

これらの書類は専門的な内容を含むため、環境コンサルタントや行政書士のサポートを受けることも検討すべきです。

 

許可申請の具体的な手続きステップ

許可申請は計画的に進めることで、スムーズな許可取得につながります。一般的な手続きの流れは以下の通りです。

  1. 1. 設置計画の策定
  2. 2. 関係法令の確認と必要な許可・届出の種類の特定
  3. 3. 申請書類の作成
  4. 4. 行政窓口での事前相談の実施
  5. 5. 正式な申請書類の提出
  6. 6. 行政による書類審査と現地調査
  7. 7. 補正事項への対応(必要な場合)
  8. 8. 許可証の交付
  9. 9. 工事着工
  10. 10. 工事完了後の完了検査
  11. 11. 稼働開始

各ステップでは担当部署との綿密なコミュニケーションが重要となります。特に事前相談では、書類作成の注意点や審査のポイントを確認しておくことで、申請後のトラブルを防ぐことができます。

 

申請先の行政機関と窓口

産業廃棄物処理施設設置許可の申請先は、都道府県庁または政令指定都市の廃棄物対策課などの環境部門となります。大気汚染防止法のばい煙発生施設設置届出は、同じく都道府県または政令市の環境部門が窓口です。建築確認申請は市区町村の建築指導課または民間の指定確認検査機関に提出します。

消防関連の届出は管轄の消防署が窓口ですが、自治体によって担当部署の名称や窓口が異なる場合があるため、事前に電話やウェブサイトで確認することをお勧めします。また、複数の許可が必要な場合は、各窓口で手続きのタイミングや順序を調整することが円滑な申請につながります。

 

 

焼却炉設置時の法令上の注意点

焼却炉を設置・運用する際には、法令で定められた技術基準や環境基準を遵守する必要があります。これらの基準を満たさない場合、許可が下りないだけでなく、稼働後に行政指導や改善命令を受ける可能性があります。

ここでは焼却炉設置時の法令上の注意点について解説します。

 

焼却炉の構造基準と技術基準

焼却炉には廃棄物処理法に基づく構造基準が定められています。燃焼室の温度は800度以上を保つ必要があり、廃棄物の燃焼ガスの温度を測定する装置や、燃焼状態を監視する装置の設置が義務付けられています。

また、外気と遮断された状態で廃棄物を投入できる構造や、燃焼ガスの温度を保つための助燃装置の設置も求められます。煙突の高さや排出口の位置にも基準があり、周辺環境への配慮が必要です。

これらの技術基準を満たさない焼却炉は許可が得られないため、設計段階から専門家の助言を受けることが重要です。

 

排ガス基準と環境規制への対応

焼却炉から排出されるガスには厳しい環境基準が設けられています。大気汚染防止法では、ばいじん、硫黄酸化物、窒素酸化物などの排出濃度基準が定められており、これらを遵守する必要があります。

また、ダイオキシン類対策特別措置法により、排出ガス中のダイオキシン類濃度は極めて低い基準値以下に抑えなければなりません。そのため、高性能な排ガス処理装置の設置が不可欠です。定期的な測定と行政への報告義務もあるため、測定計画と維持管理体制をしっかりと構築しておく必要があります。

 

無許可設置のリスクと罰則

焼却炉を必要な許可を取得せずに設置・運用した場合、非常に重い罰則が科されます。廃棄物処理法違反の場合、5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、または併科が規定されています。法人の場合は3億円以下の罰金が科される可能性があります。

大気汚染防止法違反でも、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。さらに、無許可操業が発覚した場合、施設の使用停止や撤去命令が出され、事業活動に重大な支障をきたします。行政処分だけでなく、社会的信用の失墜や取引先との関係悪化など、企業経営に長期的な悪影響を及ぼすため、必ず適法な手続きを踏むことが重要です。

 

 

許可取得にかかる期間と費用

焼却炉の設置を計画する際、許可取得にかかる期間と費用を事前に把握しておくことは事業計画を立てる上で非常に重要です。

ここでは許可取得にかかる期間と費用について解説します。

 

許可申請から取得までの標準的な期間

産業廃棄物処理施設設置許可の審査期間は、申請書類の受理から通常3か月から6か月程度です。書類に不備がある場合や補正が必要な場合は、さらに期間が延びることがあります。大気汚染防止法のばい煙発生施設設置届出は、届出から60日間は工事着手ができない期間が設けられています。

これらに加えて、事前相談や書類準備の期間を含めると、計画開始から許可取得まで最低でも6か月から1年程度を見込む必要があります。さらに、工事期間や完了検査の期間も考慮すると、稼働開始まで1年半から2年程度の余裕を持った計画が望ましいです。

 

申請手数料と設備投資の概算費用

産業廃棄物処理施設設置許可の申請手数料は、自治体によって異なりますが、一般的に10万円から30万円程度です。大気汚染防止法の届出には手数料がかからない場合が多いですが、自治体によっては数千円程度の手数料が必要な場合もあります。

焼却炉本体の設備投資は、処理能力や性能によって大きく異なりますが、小規模なもので数百万円から、大規模なものでは数千万円から億単位の費用がかかります。さらに、排ガス処理装置、測定機器、建屋などの付帯設備も必要となります。ランニングコストとして、定期的な排ガス測定費用や維持管理費用も年間数十万円から数百万円程度発生します。

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