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空き家問題を放置すると税金が6倍に?増税リスクと賢い解決方法を解説

実家を相続したものの、誰も住む予定がなく空き家のまま放置してしまっている方は少なくありません。「いずれ処分しなければ」と思いつつも、忙しさや親への申し訳なさから決断を先延ばしにしてしまうケースが多いでしょう。

しかし、空き家の放置は想像以上に大きなリスクを抱えています。2023年の法改正により、管理が不十分な空き家は固定資産税が最大6倍に跳ね上がる可能性が出てきました。さらに老朽化による倒壊や火災、近隣住民とのトラブルなど、金銭的にも精神的にも大きな負担となります。

この記事では、空き家を放置することで生じる具体的なリスクと、行政書士などの専門家を活用した解決方法、さらには空き家を「負債」から「資産」に変えるビジネス活用の可能性まで詳しく解説します。大切な実家を後悔のない形で引き継ぐために、今できることを一緒に考えていきましょう。

空き家を放置する4つの大きなリスク


空き家を放置することで生じるリスクは、金銭的な負担だけではありません。ここでは、特に深刻な4つのリスクについて詳しく見ていきます。

固定資産税が最大6倍になる「管理不全空家」とは

2023年12月施行の改正空家等対策特別措置法により、新たに「管理不全空家」という概念が導入されました。これは従来の「特定空家」よりも軽度な状態でも指定される可能性があり、多くの空き家所有者に影響を与えています。

通常、住宅が建っている土地には「住宅用地の特例」が適用され、固定資産税が最大6分の1に軽減されています。たとえば、評価額1,000万円の土地であれば、本来は年間14万円程度の固定資産税がかかるところ、住宅用地の特例により約2.3万円まで軽減されているのです。

しかし、管理不全空家に指定されるとこの特例が適用されなくなり、固定資産税が一気に6倍に跳ね上がります。年間2.3万円だった税金が14万円になれば、年間約12万円の負担増です。10年放置すれば120万円もの差額が生じる計算になります。

管理不全空家に指定される基準は、以下のような状態です。

  • 窓ガラスが割れたまま放置されている
  • 雑草が繁茂し、隣地にまで越境している
  • 外壁の一部が剥がれかけている
  • 門扉が破損し、不審者が侵入できる状態

これらは決して珍しい状態ではありません。年に数回しか訪れない空き家であれば、数年で該当してしまう可能性が高いのです。

老朽化による倒壊・火災と損害賠償の責任

空き家は人が住んでいる家よりも劣化のスピードが速く進みます。換気がされないことで湿気がこもり、木材の腐食やシロアリ被害が進行しやすいためです。

特に怖いのは、老朽化した建物が倒壊したり、台風で屋根瓦が飛んで通行人にケガをさせてしまうケースです。この場合、所有者には民法上の工作物責任(民法717条)が発生し、多額の損害賠償を請求される可能性があります。

実際に、空き家の外壁が崩れて隣家の車を破損させたケースでは、修理費用や代車費用を含めて100万円以上の賠償を求められた事例もあります。さらに、人身事故に発展すれば数千万円規模の賠償責任が生じることも珍しくありません。

また、放火や不審火のリスクも無視できません。空き家は不審者が侵入しやすく、放火のターゲットになりやすい傾向があります。火災が発生して隣家に延焼した場合、重過失が認められれば失火責任法の適用外となり、やはり多額の賠償責任を負うことになります。

近隣住民とのトラブルや治安悪化の懸念

空き家の放置は、近隣住民との関係悪化を招く大きな原因となります。

雑草が伸び放題になれば、害虫の発生源となり隣家に迷惑をかけます。特に夏場の蚊やハチ、ゴキブリなどは深刻な問題です。また、野良猫やハクビシン、アライグマなどの野生動物が住み着くと、糞尿による悪臭や夜間の騒音で周辺環境が悪化します。

さらに、誰も管理していないことが明らかな空き家は、不審者のたまり場になるリスクがあります。実際に、空き家が薬物の取引現場として使われていた事例や、家出人が無断で居住していたケースも報告されています。

こうした状況が続けば、近隣住民から苦情が寄せられ、自治体に通報されることになります。最悪の場合、損害賠償請求や、地域コミュニティでの信頼関係の崩壊につながりかねません。

行政代執行による強制解体と高額な費用請求

自治体からの改善指導や勧告を無視し続けた場合、最終的には行政代執行により建物が強制的に解体されることがあります。

行政代執行とは、所有者に代わって自治体が解体工事を行い、その費用を後から所有者に請求する仕組みです。解体費用は建物の規模によりますが、木造2階建ての一般的な住宅でも150万円〜300万円程度かかります。さらに、行政代執行の場合は競争入札ではなく随意契約となるケースが多く、通常の解体費用よりも割高になる傾向があります。

請求された費用を支払えない場合、財産の差し押さえや強制執行に発展する可能性もあります。空き家を放置することで、想定外の巨額の支出を強いられるリスクがあるのです。

空き家問題が複雑化する背景と2030年問題

空き家問題は、個人の判断だけでなく、社会構造の変化や法制度の影響も大きく関わっています。

相続登記の義務化と法改正の最新動向

2024年4月から相続登記が義務化されました。これまで任意だった不動産の相続登記が法律で義務づけられ、相続を知った日から3年以内に登記しなければ10万円以下の過料が科される可能性があります。

この背景には、所有者不明土地の増加という社会問題があります。国土交通省の調査によれば、所有者不明土地は全国で約410万ヘクタール、九州本島の面積に匹敵する規模に達しています。相続が繰り返されるたびに所有者が複雑化し、空き家の処分や活用が困難になっているのです。

さらに、2030年頃には団塊の世代が後期高齢者となり、大量の相続が発生すると予測されています。いわゆる「2030年問題」です。野村総合研究所の試算では、2033年には全国の空き家率が30%を超える可能性も指摘されており、今後ますます空き家問題は深刻化していくでしょう。

こうした状況を受けて、国も空家等対策特別措置法を改正し、管理不全空家の概念を導入するなど、空き家対策を強化しています。今後も法規制が厳しくなる方向は間違いなく、早めの対応が求められています。

「親に申し訳ない」という心理的抵抗と決断の先延ばし

空き家問題の解決を困難にしている大きな要因のひとつが、所有者の心理的な抵抗感です。

「親が大切にしていた家を手放すのは申し訳ない」「思い出の詰まった実家を処分するのは忍びない」といった感情は、多くの相続人が抱える共通の悩みです。特に、親が存命中から「実家は守ってほしい」と言われていた場合、その期待を裏切るような決断はなかなかできません。

また、兄弟姉妹が複数いる場合、誰が主導して処分を進めるかという問題も生じます。「自分が言い出すと金目当てだと思われるのではないか」と遠慮してしまい、結局誰も動かないまま時間だけが過ぎていくケースは少なくありません。

さらに、「そのうち誰かが住むかもしれない」「将来孫が使うかもしれない」といった曖昧な期待も、決断を先延ばしにする理由となります。しかし、実際には住む可能性は極めて低く、維持管理費用だけが積み重なっていくのが現実です。

こうした心理的なハードルを乗り越えるためには、第三者である専門家の助けを借りることが有効です。感情と実務を切り分けて考えることで、後悔のない決断ができるようになります。

解決の第一歩は「行政書士」への相談が有効な理由

空き家問題の解決には、法律や行政手続きの知識が不可欠です。ここでは、なぜ行政書士への相談が有効なのかを解説します。

複雑な相続人調査と遺産分割協議書の作成代行

空き家を処分するには、まず相続登記を完了させる必要があります。しかし、相続が何代も前から放置されている場合、誰が相続人なのかを調査するだけでも大変な作業です。

たとえば、祖父名義のまま放置されている不動産を処分しようとすると、祖父の子(すでに亡くなっている場合も)の配偶者や孫まで相続人となり、10人以上に及ぶケースもあります。全員の戸籍謄本を取得し、連絡を取り、同意を得るのは、一般の方には非常に困難です。

行政書士は、こうした相続人調査を代行してくれます。戸籍を遡って相続関係を明らかにし、相続人全員に連絡を取り、遺産分割協議をまとめるサポートをしてくれるのです。

また、遺産分割協議書の作成も行政書士の得意分野です。協議書は法的に有効な形式で作成する必要があり、不備があると後々トラブルになりかねません。専門家に依頼することで、安心して手続きを進められます。

行政書士への報酬は、相続人調査で5万円〜15万円程度、遺産分割協議書の作成で3万円〜10万円程度が相場です。自分で調査する時間と労力を考えれば、十分にメリットがあります。

自治体の補助金申請や空き家バンク登録のサポート

多くの自治体では、空き家の解体費用や改修費用に対する補助金制度を設けています。たとえば、解体費用の2分の1(上限50万円〜100万円)を補助する制度や、移住者向けにリフォーム費用を補助する制度などがあります。

しかし、こうした補助金制度は申請書類が複雑で、添付書類も多岐にわたります。建物の登記事項証明書、固定資産評価証明書、見積書、現場写真、誓約書など、慣れない方には準備が大変です。

行政書士は、こうした補助金申請の手続きを代行してくれます。どの補助金が利用できるかの調査から、必要書類の準備、申請書の作成、自治体との調整まで一貫してサポートしてくれるため、スムーズに手続きが進みます。

また、空き家バンクへの登録サポートも行政書士の業務範囲です。空き家バンクとは、自治体が運営する空き家の情報サイトで、移住希望者とのマッチングを支援する仕組みです。登録には物件情報の整理や写真撮影、PR文の作成などが必要ですが、行政書士がこうした作業をサポートしてくれます。

司法書士や不動産業者との違いと賢い使い分け

空き家問題の相談先として、行政書士以外にも司法書士や不動産業者があります。それぞれの専門分野を理解して、賢く使い分けることが大切です。

司法書士は、相続登記や不動産登記の専門家です。相続人が確定し、遺産分割協議が整った後、実際に法務局で登記手続きを行うのは司法書士の仕事です。また、相続放棄の手続きや遺言書の検認なども司法書士が対応します。

行政書士は、遺産分割協議書の作成や相続人調査、各種許認可申請や行政手続きの専門家です。登記以外の相続手続き全般をサポートしてくれます。

不動産業者は、空き家の売却や賃貸の仲介を行います。市場価格の査定や買い手の紹介など、実際の取引をサポートしてくれます。

実務的には、行政書士が相続人調査と遺産分割協議書の作成を行い、司法書士が登記を担当し、不動産業者が売却を仲介する、という流れで連携するケースが多くあります。初めての相談先として行政書士を選び、そこから必要に応じて他の専門家を紹介してもらうのがスムーズです。

空き家を「負債」から「資産」に変える出口戦略

空き家は必ずしも処分するだけが選択肢ではありません。活用方法によっては、収益を生む資産に変えることも可能です。

売却・自治体への寄附・無償譲渡の手順

まず基本となるのが売却です。不動産業者に査定を依頼し、相場を把握した上で売却活動を進めます。立地や建物の状態によっては、想定以上の価格で売れることもあります。

ただし、築年数が古く老朽化が進んでいる場合や、立地が悪い場合は、買い手がつかないことも少なくありません。その場合は、更地にしてから売却する方法もありますが、解体費用がかかるため慎重に判断する必要があります。

売却が難しい場合の選択肢として、自治体への寄附があります。ただし、自治体も管理コストがかかるため、すべての物件を受け入れてくれるわけではありません。公共目的で利用できる可能性がある場合や、災害時の避難場所として活用できる場合など、条件が限られます。

無償譲渡も選択肢のひとつです。NPO法人や地域団体に譲渡し、地域活性化のために活用してもらうケースもあります。所有権を手放すことで固定資産税の負担から解放されるため、維持費を払い続けるよりはメリットがあります。

DIY型賃貸や民泊として収益化するコツ

空き家をリフォームして賃貸に出す方法もありますが、初期投資が大きくなりがちです。そこで注目されているのが「DIY型賃貸」です。

DIY型賃貸とは、入居者が自由にリフォームできる条件で貸し出す仕組みです。大家側はリフォーム費用を負担せず、入居者が自分好みに改装することを許可します。DIY好きな若者やクリエイターに人気があり、通常よりも安い家賃設定でも入居者が見つかりやすい傾向があります。

また、民泊として活用する方法もあります。観光地や都市部であれば、Airbnbなどのプラットフォームを活用して短期宿泊施設として貸し出せます。ただし、住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく届出が必要で、年間180日以内という営業日数の制限があります。

民泊運営には、清掃や鍵の受け渡し、ゲスト対応などの手間がかかりますが、代行サービスを利用すれば負担を軽減できます。月数万円の収益が見込めれば、固定資産税や維持管理費をカバーできるでしょう。

コワーキングスペースやサテライトオフィスへの転用事例

近年、リモートワークの普及により、地方でのコワーキングスペースやサテライトオフィスの需要が高まっています。空き家をこうした用途に転用する事例が増えています。

たとえば、広いリビングをフリーアドレスの作業スペースに改装し、個室を会議室や集中作業ブースとして活用する形です。Wi-Fi環境と電源、デスクと椅子を整えるだけで、最低限のコワーキングスペースとして機能します。

地方自治体によっては、こうした起業支援施設やリモートワーク拠点の整備に補助金を出しているケースもあります。改修費用の一部を補助してもらえれば、初期投資を抑えて事業を始められます。

また、企業が地方にサテライトオフィスを設置する際、空き家を借り上げるケースもあります。自治体が仲介役となり、企業とマッチングする仕組みを設けている地域もあるため、役場の企画課や移住定住促進課に相談してみる価値があります。

収益化が難しい場合でも、地域貢献として子ども食堂やコミュニティスペースとして無償提供する選択肢もあります。社会的意義を感じられる活用方法を見つけることで、「親の家を意味ある形で残せた」という満足感が得られるかもしれません。

親が元気なうちに検討したい「将来の空き家」対策

空き家問題は、相続が発生してからでは選択肢が限られてしまいます。親が元気なうちから対策を考えておくことが重要です。

認知症による資産凍結を防ぐ家族信託の活用

親が認知症になると、法律上の判断能力が失われたとみなされ、不動産の売却や賃貸契約ができなくなります。これを「資産凍結」と呼びます。

成年後見制度を利用すれば本人に代わって財産管理ができますが、後見人は本人の利益を最優先する必要があるため、実家の売却には家庭裁判所の許可が必要になるなど、手続きが非常に煩雑です。

そこで注目されているのが「家族信託」です。家族信託とは、親が元気なうちに子に財産の管理を任せる契約を結んでおく仕組みです。親が認知症になった後でも、子が信託契約に基づいて不動産を売却したり、賃貸に出したりできます。

家族信託の設定には、信託契約書の作成や不動産の信託登記が必要で、専門家(司法書士や弁護士)への報酬として30万円〜50万円程度かかりますが、将来の資産凍結リスクを考えれば有効な対策です。

実家の片付けと遺品整理を少しずつ進める方法

空き家問題を複雑にする要因のひとつが、家の中に大量の家財道具や思い出の品が残っていることです。親が亡くなった後、遺品整理に何ヶ月もかかるケースは珍しくありません。

親が元気なうちから、少しずつ片付けを進めておくことをおすすめします。年末年始や盆の帰省時に、「断捨離を手伝おうか」と声をかけて、一緒に不要な物を処分していくのです。

この際、親の気持ちを尊重することが大切です。「これもう使わないから捨てよう」と一方的に進めるのではなく、「これは思い出があるから残したいよね」と共感しながら進めることで、親も前向きに片付けに取り組めます。

また、大切な思い出の品は写真に残してデジタル化し、物理的には処分するという方法もあります。子どもの頃の作品や親の若い頃の写真などは、スキャンしてクラウドに保存すれば場所を取らず、家族で共有することもできます。

こうした準備を進めておくことで、いざ相続が発生したときに、スムーズに空き家の処分や活用を進められるようになります。

まとめ

空き家を放置することで生じるリスクは、固定資産税の増税だけではありません。老朽化による倒壊や火災、近隣とのトラブル、行政代執行による強制解体など、金銭的にも精神的にも大きな負担となります。

特に2023年の法改正により、管理不全空家に指定されれば固定資産税が最大6倍になる可能性があり、早めの対策が求められています。

解決の第一歩として、行政書士などの専門家に相談することをおすすめします。複雑な相続人調査や遺産分割協議書の作成、自治体の補助金申請など、専門的な手続きをサポートしてもらえます。

また、空き家は必ずしも処分するだけが選択肢ではありません。DIY型賃貸や民泊、コワーキングスペースなど、活用方法によっては収益を生む資産に変えることも可能です。

今すぐできる行動のチェックリスト

  • 空き家の現状を確認し、管理不全空家に該当しないか点検する
  • 自治体の空き家相談窓口や補助金制度を調べる
  • 行政書士や司法書士に無料相談の予約を入れる
  • 親が元気なうちに、実家の片付けや家族信託について話し合う
  • 兄弟姉妹がいる場合、早めに今後の方針を共有する

空き家問題は、先延ばしにするほど選択肢が狭まり、コストも増大します。「親に申し訳ない」という気持ちは大切ですが、放置することで親が大切にしていた家が廃墟になり、近隣に迷惑をかける方がよほど申し訳ないことかもしれません。

大切な実家を後悔のない形で引き継ぐために、今できることから始めてみましょう。専門家の力を借りながら、あなたと家族にとって最善の道を見つけてください。

 

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