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業界コラム

アスベスト断熱材の見分け方 使用箇所・レベル・年代から判断する方法

ご自宅や所有する物件の天井裏・配管まわり・機械室にある断熱材や保温材を見て、「これはもしかしてアスベストではないか」と不安を感じていらっしゃるかもしれません。屋根の折板の裏側や煙突まわりの白っぽい材料を見つけて、調べ始めた方も多いと思います。

結論から申し上げます。アスベストを含む断熱材・保温材の多くは、最も飛散しやすい「レベル1・2」に分類され、よく知られているスレートやケイカル板などの成形板(レベル3)とは危険度が大きく異なります。「成形板なら比較的落ち着いて対処できる」という知識をお持ちの方ほど、断熱材は別物だと知っておく必要があります。

この記事では、アスベスト断熱材を「使用箇所」「レベル」「年代」という3つの判断軸からどう見立てるかを、危険度の高い除去工事を実際に手がける専門業者の立場で整理します。いつまで使われていたのか、どのレベルに当たるのか、どこに潜んでいるのか、どのような見た目なのかを順に確認していきます。

ただし、はじめに正直にお伝えしておきます。アスベストが含まれているかどうかの最終的な判定は、専門機関による分析調査が必要です。築年数や見た目だけで断定はできませんし、ご自身で触れたり剥がしたりするのは大変危険です。この記事は「自分で見立てて、次に取るべき行動を判断する」ための材料としてお読みください。

アスベスト断熱材とは なぜ特に危険なのか

アスベスト対策の話では「成形板(レベル3)」がよく取り上げられます。しかし断熱材・保温材は、それらとは性質も危険度もまったく違う建材です。まずはこの記事全体の出発点として、なぜ断熱材が「特に危険」と言えるのかを押さえておきましょう。ここを理解しておくと、後の章で出てくる「レベル」「見分け方」「やってはいけないこと」がすべて腑に落ちるはずです。

耐熱・不燃性のため熱を扱う場所に多用された

アスベスト(石綿)は、耐熱性・断熱性・不燃性・耐久性に優れ、かつ安価だったことから、かつて「魔法の鉱物」とも呼ばれていました。なかでも断熱材・保温材は、その耐熱性を活かして「熱を扱う場所」「火災から守りたい場所」に集中的に使われてきました。

具体的には、ボイラー本体や蒸気・温水配管の保温材、空調ダクトの断熱材、煙突の内側、屋根折板の裏側、鉄骨の柱や梁を火災から守る耐火被覆などです。住宅よりも、工場・倉庫・ビル・公共施設・機械室といった建物で多く見られます。つまり「熱が関係する場所」に当たりをつけることが、後の見分け方の出発点になります。

成形板と違い、柔らかく密度が低いため飛散しやすい

ここが最も重要な点です。スレートやケイカル板などの成形板は、アスベストをセメントなどで固めて板状にしたもので、通常の状態では繊維が飛び散りにくい構造になっています。一方、断熱材・保温材は、繊維を固めずに綿状・フェルト状・巻き付け状のまま使っているため、密度が低く、もろいのが特徴です。

そのため、ちょっとした衝撃や経年劣化、配管工事や解体の振動などで簡単に崩れ、大量の繊維が空気中に舞い上がります。同じ「アスベスト含有建材」でも、固めてある成形板と、ふわふわのまま使われている断熱材とでは、飛散のしやすさがまるで違うのです。この「飛散しやすさ」こそが、次章で説明する「レベル」の正体です。

【いつまで】アスベスト断熱材が使われた時期と規制の歴史

「うちの建物は何年に建ったから大丈夫だろうか」——年代はリスクを見立てるうえで最も有力な手がかりです。ここでは規制がどのように進んできたかを時系列で整理し、築年別のリスク早見表を用意しました。あわせて、年代だけで断定してはいけない理由もお伝えします。過信も、過剰な不安も、どちらも避けるのが目的です。

規制は段階的に進んだ(1975年・1995年・2004年・2006年)

日本のアスベスト規制は、一度に全面禁止になったのではなく、約40年かけて段階的に強化されてきました。主な節目は次のとおりです。

  • 1975年:石綿を5重量パーセント超えて含む吹付け作業が原則禁止されました。飛散性の高い吹付けに最初のメスが入った年です。
  • 1995年:基準が1重量パーセント超に強化され、特に発がん性が高いとされるアモサイト(茶石綿)・クロシドライト(青石綿)の製造・使用等が禁止されました。
  • 2004年:石綿を1重量パーセント超えて含む建材など10品目の製造・使用等が禁止されました。
  • 2006年9月:含有率の基準が0.1重量パーセント超に引き下げられ、これを超えるアスベスト含有製品の製造・輸入・使用等が原則として全面禁止されました。一般に「アスベストが禁止された年」と認識されているのがこの規制です。
  • 2012年:一部に残っていた猶予措置が撤廃され、事実上すべてのアスベスト製品が使えなくなりました。

この流れから言えるのは、2006年9月より前、特に1975年より前に建てられた建物ほど、アスベスト含有の可能性が高いということです。

断熱材・保温材は主に1980年代頃まで使われた

吹付けアスベスト(後述のレベル1)は1975年の規制以降、新たな施工が大きく減りました。一方で、配管やボイラーの保温材、煙突や折板裏の断熱材といった製品は、その後も製造・使用が続き、おおむね1980年代頃まで広く使われていたとされています。

そのため、1980年代までに建てられた建物の機械室・配管まわり・煙突まわりは、断熱材・保温材としてアスベストが残っている可能性を念頭に置いたほうがよい時期にあたります。建物の用途(工場・倉庫・ビルなど熱設備が多い建物)によっても可能性は変わります。

築年別リスク早見表

ここまでの規制の流れを、築年(着工・竣工の時期)からおおまかにリスクを見立てる早見表にまとめました。あくまで目安であり、確定には分析調査が必要である点はご承知おきください。

建てられた時期 アスベスト含有の可能性 断熱材・保温材についての見立て
1975年(昭和50年)以前 特に高い 吹付け(レベル1)を含め、最も注意が必要な年代。熱を扱う場所の断熱材・保温材も含有の可能性が高い。
1976年〜2006年8月 あり(混在期) 含有・非含有が混在する時期。保温材・断熱材は1980年代頃まで使われたため、機械室・配管・煙突は要注意。
2006年9月以降 原則として低い 全面禁止後のため可能性は低い。ただし在庫建材の使用や改修での古材残存など例外もある。

築年数だけでは断定できない理由

築年は強力な手がかりですが、それだけで「ある・ない」を確定することはできません。理由はいくつかあります。

まず、禁止前に製造された在庫建材が、禁止後しばらく現場で使われたケースがあります。着工と竣工がずれている建物では、登記上の年と実際に施工された年が一致しないこともあります。また、過去の改修やリフォームで、古い断熱材・保温材が部分的に残っていたり、新しく古材が持ち込まれていたりする場合もあります。図面と実際の施工内容が違うことも珍しくありません。

だからこそ「2006年以降だから絶対に安心」「古いから必ず含有」と決めつけるのは危険です。年代で当たりをつけたうえで、次章以降の「レベル」「使用箇所」「見た目」と照らし合わせ、最終的には分析で確かめる、という順序が正しい進め方です。

【レベル】断熱材はレベル1・2 数字が小さいほど危険

この章は、本記事の中心です。アスベストには危険度を示す「レベル」という分類があり、ここで多くの方が直感に反する事実に出会います。それは「数字が小さいレベルほど危険」だということ、そして「断熱材・保温材は、最も危険なレベル1・2に該当する」ということです。成形板(レベル3)の知識でアスベストをイメージしていると、ここで認識を大きく更新する必要があります。

アスベストのレベルは「飛散しやすさ」の分類

アスベストの「レベル」とは、含有建材が空気中にどれだけ繊維を飛散させやすいか(発じん性)による分類です。石綿障害予防規則などに基づき、レベル1・2・3の3段階に分けられています。数字が小さいほど飛散しやすく、危険度が高く、必要な対策も厳重になります。価格や品質のランクではなく、あくまで「飛びやすさ=危なさ」の順番だと理解してください。

レベル1(吹付け石綿)― 綿状で最も危険

レベル1は、最も飛散性が高い吹付けアスベストです。天井や梁、柱、機械室・ボイラー室・エレベーターまわりなどに、綿状・モコモコした状態で吹き付けられています。耐火被覆や断熱・吸音を目的に施工されたもので、わずかな振動や風でも大量に繊維が舞い上がる可能性があります。一般的な木造住宅にはあまり使われず、ビルや工場など大規模建築で見られます。

レベル2(断熱材・保温材の主戦場)― 脆く飛散しやすい

レベル2が、まさに断熱材・保温材の主戦場です。配管やボイラーに巻き付けられた保温材、空調ダクトの断熱材、煙突用断熱材、屋根折板裏の断熱材、鉄骨の耐火被覆などが該当します。密度が低く軽いため、一度崩れると大量に飛散する恐れがあり、除去の際にはレベル1に準じた厳重な飛散防止対策が求められます。

つまり、あなたが「これは断熱材かな、保温材かな」と思っている材料は、その時点でレベル2(場合によっては吹付けでレベル1)の可能性を念頭に置くべき、ということです。固めてある成形板とは扱いがまったく違います。

レベル3(成形板)との違い

レベル3は、スレート屋根、ケイカル板、Pタイル、外壁サイディングなど、アスベストをセメント等で固めて成形した建材です。通常の状態では繊維が飛びにくく、除去も湿潤化と丁寧な手作業が基本になります。レベル1・2と比べれば対策は軽くなりますが、切断や破砕では飛散するため、決して「触って安全」という意味ではありません。

もし前提として成形板(レベル3)の知識をお持ちなら、ここで「断熱材は別物で、より危険なレベル1・2なのだ」という違いをはっきり認識しておいてください。これが本記事を通じて最もお伝えしたいポイントです。

レベル別 早見表

レベルごとの代表的な建材、飛散性、主な使用箇所、必要な対策、除去費用の目安を一覧にまとめました。費用は面積・形状・劣化度・地域などの条件で大きく変動するため、あくまで参考値としてご覧ください。

レベル 代表的な建材 飛散性 主な使用箇所 除去時の対策 除去費用の目安(参考)
レベル1(最も危険) 吹付け石綿、石綿含有吹付けロックウールなど 著しく高い 機械室・ボイラー室の天井や壁、梁・柱、エレベーターまわり 隔離養生・負圧集じん装置・エアシャワー・送気マスクなど最も厳重 約2〜8.5万円/㎡
レベル2(断熱材・保温材) 配管・ボイラーの保温材、ダクトの断熱材、煙突用断熱材、耐火被覆材 高い(脆く崩れやすい) 配管・ダクト・ボイラー・煙突・屋根折板裏・鉄骨 原則として隔離が必要。レベル1に準じた対策を求められることも 約1〜6万円/㎡
レベル3(成形板) スレート屋根、ケイカル板、Pタイル、外壁サイディングなど 比較的低い 屋根・外壁・天井・壁・床 湿潤化と丁寧な手作業が基本。大掛かりな隔離は不要な場合が多い 約0.3〜3万円/㎡

表からも分かるとおり、断熱材・保温材が属するレベル1・2は、最も手厚い対策が必要で、費用もそれに応じて高くなります。これは裏を返せば、「無防備に触れると、それだけ危険な飛散が起きる建材」だということです。

【見分け方】使用箇所・特徴と目視の限界

ここからは、実際にどう見分けるかという実践的な話です。完璧に「ある・ない」を当てることはできませんが、使用箇所と特徴から当たりをつけることはできます。あわせて、目視ではどうしても判別できない限界と、「もし吸い込んだかもしれない」と感じたときの考え方も整理します。見立てたうえで、安全な次の一歩へつなげることがこの章の狙いです。

熱を扱う場所で当たりをつける(機械室・配管・煙突・屋根折板裏)

断熱材・保温材は「熱を扱う場所」「火災から守りたい場所」に使われる、という原則をもう一度思い出してください。まず確認したいのは、ボイラーや給湯設備のまわり、蒸気・温水が通る配管、空調ダクト、煙突、屋根折板の裏側、機械室・電気室の天井や壁、鉄骨の柱や梁です。これらは断熱材・保温材・耐火被覆が使われている可能性が比較的高い場所です。

逆に、一般的な居室の壁紙の下や、固く成形された屋根・外壁などは、断熱材ではなく成形板(レベル3)系の可能性が中心になります。まずは「熱まわり」を意識して建物を見渡すと、見立ての精度が上がります。

建物内のどこに潜むか(使用箇所マップ)

建物のどこに潜みやすいかを、部位ごとに整理しておきます。ご自身の建物を頭の中でなぞりながら確認してみてください。

  • 地下・1階の機械室、ボイラー室:吹付け(レベル1)や保温材(レベル2)の可能性。
  • 配管・ダクトまわり:巻き付けられた保温材・断熱材(レベル2)。エルボ(曲がり部)に厚く盛られていることが多い。
  • 煙突の内部・まわり:煙突用断熱材(レベル2)。
  • 屋根の折板の裏側:結露防止の吹付けや断熱材(レベル1・2)。
  • 鉄骨の柱・梁:耐火被覆(吹付け=レベル1、または成形・巻付け)。
  • 天井裏・パイプスペース:点検口から保温材が見えることがある。

これらは「ここにあれば断熱材・保温材だ」という確定情報ではなく、「ここを重点的に疑うとよい」という地図だと考えてください。

形状・質感・接着剤に含まれるケース

断熱材・保温材の見た目の特徴は、おおむね次のとおりです。綿状・フェルト状でふわっとしている、配管に白っぽい材料が巻かれている、布やテープ、金属の薄板(ラッキング)で覆われている、表面がもろく崩れやすい、といったものです。吹付けの場合は、表面がモコモコ・ザラザラした凹凸のある仕上がりになります。

また、昭和50年代以前の建物では、ビニル床タイルを貼る際の接着剤などにアスベストが含まれているケースもあります。「板そのもの」だけでなく、固定や接着に使われた材料にも含有の可能性がある、という点は見落とされがちです。

グラスウール・ロックウールと酷似し、目視では判別できない

ここで誠実にお伝えしなければならない、重要な限界があります。アスベストを含む断熱材・保温材は、アスベストを含まないグラスウールやロックウール(非含有の断熱材)と外観が非常によく似ています。色も白〜灰色〜黄色っぽいものがあり、綿状・フェルト状という質感も共通しているため、見た目だけで含有・非含有を判別することは、専門家でもできません。

含有を最終的に確定できるのは、建材の一部を採取して専門機関で調べる分析調査(JIS A 1481などの方法)だけです。「グラスウールっぽいから大丈夫」という自己判断は通用しない、ということを必ず覚えておいてください。次の写真の章でも、似ているからこそ見た目では分けられない、という点を改めて確認します。

「吸ったかも」と思ったときの判断フロー

「崩れた断熱材を触ってしまった」「粉を吸い込んだかもしれない」と不安になったときのために、落ち着いて行動するための判断フローを示します。

  • ステップ1(年代):建物が2006年9月より前か。前なら可能性を考える。
  • ステップ2(使用箇所):見つけた場所が機械室・配管・煙突・折板裏など「熱まわり」か。
  • ステップ3(劣化):表面が崩れている、粉が落ちている、損傷しているか。劣化しているほど飛散リスクが高い。
  • ステップ4(行動):自分で触らない・剥がさない・掃除機で吸わない。その場の使用・出入りを控え、まずは事前調査・専門業者への相談へ。

なお、健康への影響についてご心配な場合は、医学的な判断は医師にご相談ください。アスベストに関連する疾患は、吸入から発症まで非常に長い潜伏期間(一般に10〜50年とされます)があるとされており、過度に怖がる必要はありませんが、繰り返しの曝露を避けることが何より大切です。

もしここまで読んで「うちの断熱材、当てはまるかもしれない」と感じたら、それは危険度の高いレベル1・2の可能性があるということです。ご自身で触らず、まずは事前調査・無料相談からはじめてください。私たちエコ・テックは、調査から相談まで低いハードルでお受けしています。判断に迷う段階でのお問い合わせで構いません。

【写真】レベル別・部位別の見た目を確認する

「写真で見た目を確かめたい」というニーズは非常に強いものです。ここでは、レベル別・部位別に代表的な見た目の特徴を言葉で詳しく描写します。実際の現場写真は、ご自身の建物の材料と照らし合わせる際の参考にしてください。なお、見た目が似ていても含有・非含有は分析でしか確定できない点は、引き続き念頭に置いてお読みください。

レベル1 吹付け石綿の見た目(綿状・モコモコ)

レベル1の吹付け石綿は、天井や梁、機械室の壁などに、綿のように吹き付けられた状態で見られます。表面はモコモコ・ザラザラとした凹凸があり、灰白色〜灰色をしています。経年で表面がほつれたり、一部が垂れ下がったり、下に粉や繊維が落ちていることもあります。広い面積に施工されているのが特徴で、見るからに「ふわふわ・もろそう」な質感です。

レベル2 保温材の見た目(配管巻き・板状・フェルト状)

レベル2の保温材・断熱材は、配管やボイラーに白っぽい材料が巻き付けられ、その上から布や金属の薄板で覆われている形が典型です。配管の曲がり部分には厚く盛られていることが多く、覆いが破れて中の白い繊維がのぞいていることもあります。板状・フェルト状のものもあり、いずれももろく、押すと崩れるような質感です。

屋根折板裏・煙突の断熱材

屋根の折板(金属屋根)の裏側には、結露防止や断熱を目的とした吹付けや断熱材が施されていることがあります。下から見上げると、金属面に灰白色の材料が点々と、あるいは面状に付着しているように見えます。煙突では、内部や外周に断熱材が使われ、表面が劣化して崩れていることがあります。どちらも高所・狭所で、無理に近づくのは危険です。

混同しやすい非含有材(グラスウール・ロックウール)

アスベストを含まないグラスウールは、ガラス繊維を綿状にしたもので、黄色〜淡黄色やピンク系のものが多く見られます。ロックウールは灰色〜淡褐色で、こちらも綿状・フェルト状です。問題は、これらがアスベスト含有の断熱材・保温材と質感も色合いもよく似ていることです。並べて比べても、見た目だけで「こちらは安全、こちらは危険」と切り分けることはできません。だからこそ、写真はあくまで当たりをつけるための参考であり、最終確認は分析、という原則が変わらないのです。

含有が疑われたら 調査・除去の流れと費用・法令

「どうやら含有しているかもしれない」となった場合、次に知りたいのは、調査から除去までどう進むのか、費用はどのくらいか、どんな法律上の義務があるのか、という点でしょう。この章では、その全体像を整理します。数値は条件で変動しますが、見通しを持っておくことで、落ち着いて次の判断ができます。

分析調査から除去までの一般的な流れ

一般的な流れは、おおむね次のようになります。

  • 書面調査:設計図書や使用建材の資料から、含有の可能性を確認する。
  • 現地調査(目視):有資格者が現場で建材の種類・劣化状況を確認する。
  • 分析調査:建材の一部を採取し、専門機関でアスベストの有無・含有率を調べる。採取自体に飛散リスクがあるため、専門知識を持つ調査員が行う。
  • 計画・届出:含有が判明した場合、レベルに応じた除去計画を立て、必要な届出を行う。
  • 除去工事:隔離・湿潤化・有資格者対応など、レベルに応じた措置のもとで除去する。
  • 廃棄処分:法令に基づき、適正に運搬・処分する。

なお、分析を行わずに「アスベスト含有とみなして」対策する選択肢もあります。この場合、分析費用はかかりませんが除去工事は必要になるため、全体の費用を踏まえて判断します。

レベルで変わる除去工法・費用・廃棄区分

除去の工法・費用・廃棄物の区分は、レベルによって変わります。レベル1・2では、作業場を隔離し、負圧集じん装置で繊維を外に出さないようにし、作業員は保護具を着用するなど、厳重な措置が必要です。費用の目安は、前掲のとおりレベル1で約2〜8.5万円/㎡、レベル2で約1〜6万円/㎡ですが、面積・形状・高所か狭所か・劣化度・地域などで大きく変動します。

廃棄物の区分も重要です。レベル1・2の除去で出る廃棄物(吹付け石綿や石綿含有保温材など)は「廃石綿等」として特別管理産業廃棄物に区分され、より厳格な管理・処分が求められます。一方、レベル3の成形板は「石綿含有産業廃棄物」として扱われます。区分が違えば処分方法も費用も変わるため、ここでも断熱材・保温材(レベル1・2)は手厚い対応が必要になります。

事前調査結果の報告義務(2022年4月〜・対象規模)

解体・改修工事を行う際の法令も、近年大きく整備されました。主な内容は次のとおりです。

  • 2021年4月〜:原則すべての解体・改修工事で事前調査を行い、その記録を3年間保存することが義務化されました。
  • 2022年4月〜:一定規模以上の工事では、事前調査結果を電子システム(石綿事前調査結果報告システム)で労働基準監督署・自治体へ報告することが義務化されました。対象は、解体部分の床面積80㎡以上の解体工事、請負金額100万円以上(税込)の改修工事などです。
  • 2023年10月〜:建築物の事前調査は、建築物石綿含有建材調査者などの有資格者が行うことが義務化されました。
  • 2026年1月〜:工作物についても、有資格者による事前調査が義務化されます。

これらを怠った場合、石綿障害予防規則や大気汚染防止法に基づき、罰金などが科される可能性があります。法令は条件や規模によって適用が変わるため、工事を予定している場合は、有資格者のいる業者に早めに相談するのが安全です。

アスベスト断熱材でやってはいけないこと

ここまでの内容を踏まえて、絶対に避けていただきたい行動を、行動レベルで明確にしておきます。断熱材・保温材は最も危険なレベル1・2に該当する可能性が高い建材です。次のことは、たとえ少量でも、ご自身では行わないでください。

  • 自分で剥がす・はがし取る:大量の繊維が飛散します。
  • 切る・割る・穴をあける:破砕は飛散を一気に増やします。
  • 崩れた断熱材を掃除機やほうきで掃除する:粉じんをまき散らすことになります。
  • マスクなしで近づく・触る:一般的な家庭用マスクでは繊維を防げません。
  • 「少量だから大丈夫」と自己処分する:少量でも飛散性は変わりません。

レベル1・2の取り扱いは、隔離・湿潤化・有資格者による対応が法的にも求められています。無防備に扱うことが、最も避けるべき大量飛散を招きます。「成形板より圧倒的に危険」——この一点を、行動の場面で必ず思い出してください。

危険度の高い除去こそ専門業者へ

断熱材・保温材のように危険度の高いレベル1・2のアスベストは、「測って終わり」では解決しません。分析で有無や含有率が分かっても、その先の安全な除去・解体・廃棄までを実際に施工できる体制が必要だからです。

私たちエコ・テックは、最も危険なレベル1・2の除去工事を実際に手がけてきた専門業者です。調査から除去、解体、廃棄まで一気通貫で対応できる体制を持ち、これまで3,800件を超える施工実績を積み重ねてきました。官公庁案件をはじめ、危険度の高い除去工事の経験も豊富で、建築物石綿含有建材調査者や特別管理産業廃棄物管理責任者などの有資格者が在籍しています。

「自分の建物の断熱材が心配」「解体やリフォームの前に調べておきたい」という段階で構いません。ご自身で触らず、まずは事前調査・無料相談からはじめてください。調査だけのご依頼でも、除去・解体までのワンストップでも、状況に合わせてご案内します。お電話またはお問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。

まとめ

アスベスト断熱材を見分けるための要点を、最後に整理します。

  • 断熱材・保温材の多くは、最も飛散しやすいレベル1・2に該当し、成形板(レベル3)より危険度が高い。
  • アスベストのレベルは「飛散しやすさ」の分類で、数字が小さいほど危険。
  • 築年は有力な手がかり(2006年9月以前、特に1975年以前は要注意)だが、断定材料にはならない。
  • 熱を扱う場所(機械室・配管・煙突・折板裏など)で当たりはつけられるが、確定には分析調査が必要。
  • グラスウール・ロックウールと見た目が酷似し、目視では判別できない。
  • 自分で触らない・剥がさない・掃除しない。レベル1・2は隔離・有資格者対応が必須。

アスベストに関連する疾患は、吸入から発症まで非常に長い潜伏期間を経るとされ、中皮腫や肺がんなどとの関連が指摘されています。だからこそ、いま大切なのは過度に恐れることではなく、無防備な取り扱いによる飛散を避け、落ち着いて正しい順序で行動することです。

「使用箇所・レベル・年代」で見立てて、写真で照らし合わせ、目視の限界を理解したら、あとは触らずに調査を依頼する——この流れに沿って進めれば、判断に迷うことはありません。危険度の高い除去まで任せられる相談先として、私たちエコ・テックがお手伝いします。

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