株式会社エコ・テック

COLUMN

業界コラム

埋設物とは?地中埋設物・地下埋設物の違いと事前調査の重要性

解体工事の見積書や土地の売買契約書を読んでいると、「地中埋設物」「地下埋設物」という言葉が出てきます。似た言葉が混在していて、何を指すのか分かりにくいと感じた方もいるでしょう。地面の下は目で確かめられないため、「掘ってみたら何か出てくるのでは」という不安もつきまといます。

この記事では、埋設物の意味、地中と地下の違い、代表的な種類、着工や売却の前に事前調査が重要な理由とその考え方の4点を整理します。まず押さえたいのは、契約書や仕様書で用語の定義を確認し、着工や売却の前に資料確認から調べ始めることです。これがトラブルを避ける第一歩になります。なお、見つかった後の対応手順や撤去費用は別記事で扱います。

埋設物とは?意味と読み方の基本

まずは「埋設物」という言葉そのものの意味と、使われる場面による意味の幅を確認します。

▼埋設物の意味と読み方

埋設物は「まいせつぶつ」と読み、地面の下に埋められている物の総称です。「埋設」は、配管やケーブルなどを意図的に地中に設置することを指します。そこから転じて、建設や不動産の分野では、意図的に設置された物だけでなく、過去の建物の基礎や廃材のように結果として地下に残った物も含めて「埋設物」と呼ぶことがあります。

▼文脈によって指す範囲が変わる

埋設物という言葉は、使う人や場面で指す範囲が変わります。道路工事や掘削工事の現場では、主にガス管や水道管などのライフラインを指すのが一般的です。一方、土地の売買や解体工事の場面では、旧建物のコンクリートガラや杭、浄化槽など「工事の邪魔になる残置物」を指して使われる傾向があります。

同じ「埋設物」でも、片方は守るべき設備、もう片方は取り除く対象と、扱いが正反対になる点に注意が必要です。

地中埋設物と地下埋設物の違い

用語が混在しやすい「地中埋設物」と「地下埋設物」は、実務上は対象が異なるものとして使い分けられることが多い言葉です。違いを整理しておくと、契約書や業者の説明が格段に読みやすくなります。

▼地下埋設物は既設のインフラ配管類

地下埋設物は、ガス管・上下水道管・電力ケーブル・通信ケーブルなど、現在も使われているライフラインの管路を指して使われるのが一般的です。工事ではこれらを傷つけないよう、位置を確認して防護することが求められます。

国土交通省中部地方整備局の営繕工事向けの資料でも、地下埋設物をガス管や水道管などの既設の管路とし、地中の既設構造物や工作物とは分けて扱う考え方が示されています。損傷すればガス漏れや断水、通信障害につながるため、「壊してはいけないもの」と考えると分かりやすいでしょう。

▼地中埋設物は土地に残された障害物

地中埋設物は、過去の建物や土地利用の名残として地中に残っている物を指して使われることが多い言葉です。旧建物の基礎や杭、コンクリートガラ、使われなくなった浄化槽、産業廃棄物などがこれにあたります。新しい建物の基礎工事や土地の利用を妨げるため、多くの場合は撤去の対象として扱われます。

▼違いを表で比較する

両者の違いを一覧にすると、次のようになります。

項目 地下埋設物 地中埋設物
主な対象 ガス管・水道管・下水管・電気や通信のケーブル 旧基礎・杭・ガラ・浄化槽・井戸・廃棄物
状態 現在も使用中のことが多い 使われずに残置されていることが多い
工事での扱い 位置を確認し、損傷させないよう防護する 工事の支障になれば撤去を検討する
主な確認先 ガス会社・水道局・電力会社・通信会社など各管理者 土地・建物の所有者、過去の図面や施工記録
問題になりやすい場面 掘削・解体・外構工事 建替え・土地売買・造成

▼定義は文書ごとに異なるため確認が必要

ここまでの使い分けはあくまで実務上の一般的な傾向で、法律で統一された定義があるわけではありません。発注者ごとの仕様書や不動産会社の契約書では、「地中埋設物」に配管類を含めていることもあります。

そのため、契約書や見積書に埋設物という言葉が出てきたら、どこまでを含むのか、見つかった場合に誰が対応するのかを文面で確認しておきましょう。言葉の解釈がずれたまま契約すると、後で「想定外だった」という食い違いが起こりやすくなります。

埋設物の主な種類

埋設物にどのような物があるかを知っておくと、自分の土地にどんなリスクがありそうかを想像しやすくなります。地中埋設物と地下埋設物に分けて代表例を紹介します。

▼地中埋設物の例(ガラ・旧基礎・杭・浄化槽・井戸・廃棄物)

土地に残されている代表的な地中埋設物は次のとおりです。

  • コンクリートガラ・レンガ・瓦:以前の解体工事で出た廃材が、地中に埋め戻されたまま残っているもの
  • 旧建物の基礎:過去の解体で基礎だけが撤去されずに残ったもの
  • 杭:ビルや工場など、地盤を支えるために打ち込まれたコンクリート杭や鋼管杭
  • 浄化槽・汲み取り槽:下水道への切り替え後も撤去されず、地中に残された槽
  • 井戸:使われなくなり、埋め戻された古い井戸
  • 廃棄物:生活ごみや産業廃棄物、木くず、タイヤなどが埋められていたもの
  • 地下タンク・地下室:ガソリンスタンドや工場の燃料タンク、旧建物の地下ピット

昭和期に建てられた建物の跡地では、当時の解体でガラを埋め戻していた例が珍しくありません。古い住宅地でも浄化槽や井戸が残っていることがあり、建物の規模に関係なく起こり得ます。解体工事の場面で地中埋設物がどう扱われるかは、別の記事で詳しく紹介しています。

▼地下埋設物の例(ガス管・水道管・排水管・電気や通信のケーブル)

地下埋設物として代表的なのは、生活や事業を支えるライフラインです。

  • 都市ガスの本管・引込管
  • 上水道の配水管・給水管
  • 下水道管・排水管・雨水管
  • 電力ケーブル(地中化された電線を含む)
  • 電話・光ファイバーなどの通信ケーブル

工場やプラントの敷地内では、これに加えて蒸気配管や薬品の移送配管、消火設備の配管などが埋設されていることもあります。

▼公共のインフラと敷地内の私設配管の違い

地下埋設物は、道路などの公共部分にある管と、敷地内に引き込まれた私設の管に分けて考える必要があります。道路下の本管はガス会社や水道局などの事業者が管理しており、工事で近くを掘る場合はそれぞれの管理者との協議や立ち会いが求められます。

一方、敷地内の給水管や排水管、電気の引込線などは、基本的に土地や建物の所有者の持ち物です。そのため、位置や状態は所有者側で把握しておく必要があります。古い建物では配管の図面が残っていないことも多く、ここが埋設物トラブルの起点になりがちです。

埋設物の事前調査が重要な理由

埋設物は、工事や取引が始まってから見つかると影響が大きくなります。事前に調べておくべき理由を4つの観点から整理します。

▼工事の中断や工期の遅れにつながる

掘削中に想定外の埋設物が見つかると、工事をいったん止めて、何が埋まっているのか、どう扱うかを判断する必要があります。撤去に必要な重機の手配や、関係者との協議に日数がかかることも少なくありません。新築や店舗の開業日、テナントの退去期限などが決まっている場合は、数日の遅れでも計画全体に響きます。

ガス管や水道管を誤って損傷させた場合は、周辺の住民や事業所にまで影響が及び、工事の中断だけでは済まないこともあります。

▼追加費用が生じやすくなる

解体工事の見積もりは、一般に地上の建物と把握できている基礎を前提に組まれています。地中から想定外の物が出てきた場合、撤去・運搬・処分の費用は見積もりの範囲外として、追加精算になるのが一般的です。

事前に埋設物の可能性を把握しておけば、見積もりの段階で対応方針や精算の考え方を取り決められます。解体の途中で埋設物が見つかった場合の対応方法については、別記事で手順を整理しています。

▼土地売却後の契約不適合責任に発展することがある

土地を売却した後に買主が地中埋設物を見つけた場合、売主が契約不適合責任を問われることがあります。民法では、引き渡した物が契約の内容に適合しない場合に、買主が修補(撤去など)や代金の減額、損害賠償、契約の解除を求められると定めています。

売主自身が埋設物の存在を知らなかったとしても、責任を免れるとは限りません。相続した土地のように過去の経緯が分からない場合ほど、売却前に調べておく意味が大きくなります。

▼地中は見えず、図面と現況が合わないことも多い

地中の状態は目で確かめられません。そのうえ、図面があっても現況と一致しているとは限らない点にも注意が必要です。増改築や配管の付け替えが図面に反映されていない、過去の解体で撤去したはずの基礎が残っていた、といった食い違いはよくあります。

「図面があるから大丈夫」と考えず、複数の方法で裏付けを取る姿勢が欠かせません。

事前調査の考え方と進め方

埋設物の調査は、いきなり地面を掘るのではなく、費用や手間の少ない方法から順に情報を集めていくのが基本です。一般的には「資料確認→現地確認→探査→試掘」の順で進めます。

▼資料確認(設計図・竣工図・施工記録・土地の利用履歴)

最初に行うのは、手元や関係先にある資料を集めることです。主に次のような資料が手がかりになります。

  • 建物の設計図・竣工図(基礎や杭の位置、配管ルート)
  • 過去の解体や改修の施工記録
  • 登記簿や旧土地台帳(以前の地目や所有者)
  • 古い住宅地図・航空写真(過去にどんな建物や施設があったか)

過去に工場やガソリンスタンド、クリーニング店などがあった土地は、地下タンクや配管、汚染物質が残っている可能性も考えられます。土地の利用履歴を調べる地歴調査の進め方と費用も参考にしてください。資料集めは面倒に感じるかもしれませんが、登記簿や航空写真はインターネットや法務局で比較的手軽に取得できます。

▼現地確認と立ち会い

資料で見当をつけたら、現地で痕跡を確認します。地表に出ているマンホールや桝(ます)、ガスや水道のメーター、配管の立ち上がり、地盤の不自然な沈みなどは、地下に何かがあることを示す手がかりです。

解体業者や調査会社に現地調査を依頼する場合は、所有者や施設管理者も立ち会うと、建物の使われ方や過去の工事について情報を補えます。

▼地中レーダーなどの探査と、その限界

掘らずに地中を調べる方法として、地中レーダー探査があります。地表から電磁波を送り、反射の様子から配管や空洞、構造物の位置を推定する方法です。広い範囲を短時間で調べられる反面、万能ではありません。

  • 塩化ビニル管などの樹脂管は、金属管に比べて反応が弱いことがある
  • 粘土質の地盤や地下水位が高い場所では、電磁波が届きにくい
  • 深い位置にある物や、小さな物は捉えにくい

探査の結果だけで「何もない」と判断せず、図面の情報や次の試掘と組み合わせて精度を高めることが大切です。

▼必要に応じた試掘

資料や探査で疑わしい箇所が見つかった場合や、確実に位置を確かめたい場合は、試掘(部分的に掘って直接確認すること)を行います。配管の近くでは損傷を避けるため、重機ではなく人力で慎重に掘るのが一般的です。

敷地全体を掘る必要はなく、ポイントを絞って行えば負担を抑えられます。土地の売却前であれば、試掘の結果を記録として残しておくことで、買主への説明材料にもなります。

▼公共インフラは管理者へ、私設分は所有者へ確認する

確認先を間違えないことも、調査を効率よく進めるコツです。道路下のガス管や水道管、電力・通信ケーブルは、それぞれの事業者が埋設位置の資料を持っています。工事の前には各管理者へ照会し、必要に応じて立ち会いを依頼しましょう。

敷地内の私設配管や残置物は、所有者や過去にその建物を管理していた人、施工した会社が情報源になります。どこに聞けばよいか迷ったら、「道路側は事業者、敷地側は所有者」と覚えておくと整理しやすくなります。

解体・土壌汚染・アスベストと併せて確認したいこと

埋設物の調査は、単独で考えるよりも、解体工事や土壌汚染、アスベストの調査とあわせて計画すると無駄が少なくなります。特に工場跡地や相続した古い物件では、複数の課題が同時に見つかることがあります。

▼古い工場跡地や店舗跡地は埋設物と汚染が同時に見つかることがある

工場やガソリンスタンド、クリーニング店などの跡地では、地下タンクや配管と一緒に、油や有害物質による土壌汚染が見つかることがあります。土壌汚染対策法では、有害物質を使用していた特定施設を廃止した場合などに土壌汚染状況調査が求められます。また、一定規模以上(原則3,000㎡以上)の土地の形質変更を行う場合は、着手の30日前までに都道府県知事等への届出が必要です(環境省「土壌汚染対策法のしくみ」)。

建物側にも目を向ける必要があります。大気汚染防止法と石綿障害予防規則により、解体・改修工事の前にはアスベスト(石綿)の事前調査が義務づけられており、一定規模以上の工事では調査結果の報告も必要です(環境省・厚生労働省)。古い工場のプラント設備や配管の保温材には、アスベストが使われている例があります。

▼調査を別々に進めず、事前の段階から一体で相談する利点

埋設物、土壌汚染、アスベストの調査をそれぞれ別の会社に依頼すると、資料確認や現地確認を何度も繰り返すことになり、日程調整の負担も増えます。土地の利用履歴の確認は、埋設物と土壌汚染の両方に共通する作業です。

最初の段階でまとめて相談すれば、調査の重複を避けやすくなります。解体工事の計画にも、調査結果をそのまま反映できます。建設リサイクル法では一定規模以上の解体工事で事前の届出や分別解体が求められるため、工程を早めに固めておく利点もあります。

▼履歴が分からない相続物件の調べ方

相続した土地や空き家は、所有者本人も過去の経緯を知らないことが多く、不安を感じる方も少なくありません。履歴が分からない場合でも、次のような手順で手がかりを集められます。

  1. 登記簿や旧土地台帳で、過去の地目や所有者の移り変わりを確認する
  2. 古い住宅地図や航空写真で、建物や施設の変遷をたどる
  3. 近隣の方や、親族、以前の管理会社に当時の様子を聞く
  4. 自治体の窓口で、浄化槽の設置記録や下水道への接続状況を確認する

こうした情報を集めたうえで専門業者に相談すると、必要な調査の範囲を絞り込めます。売却を考えている場合は、土地売却で契約不適合責任のトラブルを防ぐ手順も確認しておくと安心です。

よくある質問

埋設物の意味や事前調査について、よくある疑問に答えます。

▼地中埋設物と地下埋設物は、どちらの言い方が正しいのですか?

どちらも使われる言葉で、一方が誤りというわけではありません。実務では、地下埋設物はガス管や水道管などのライフライン、地中埋設物はガラや旧基礎などの残置物を指す使い分けが一般的です。ただし文書によって定義が異なるため、契約書や仕様書での定義を確認するのが確実です。

▼更地なら埋設物の心配はありませんか?

更地でも、過去の建物の基礎やガラ、浄化槽が地中に残っていることがあります。地表がきれいに整地されていても、地中の状態は分かりません。過去にどんな建物があったかを資料で確認しておくと安心です。

▼地中レーダー探査だけで埋設物の有無を判断できますか?

地中レーダー探査は有効な方法ですが、樹脂管や深い位置の物、粘土質の地盤では捉えにくいことがあります。探査の結果は、図面などの資料確認や、必要に応じた試掘と組み合わせて判断するのが基本です。

▼事前調査はいつ始めればよいですか?

解体工事や土地の売却を具体的に検討し始めた段階で、資料確認から着手するのがおすすめです。見積もりや売買契約の前に情報がそろっていれば、埋設物が見つかった場合の取り決めを契約に盛り込めます。

まとめ

埋設物は地面の下にある物の総称です。実務では、守るべきライフラインを指す「地下埋設物」と、撤去の対象になりやすい残置物を指す「地中埋設物」に使い分けられることが多くなっています。ただし定義は文書ごとに異なるため、言葉の意味を契約書や仕様書で確かめることが出発点です。

  • 地下埋設物はガス管・水道管・ケーブルなど、地中埋設物はガラ・旧基礎・杭・浄化槽などが代表例
  • 道路側の配管は各事業者、敷地内の配管や残置物は所有者が確認先になる
  • 事前調査を怠ると、工期の遅れや追加費用、売却後の契約不適合責任につながることがある
  • 調査は「資料確認→現地確認→探査→試掘」の順に、負担の少ない方法から進める
  • 工場跡地や相続物件では、土壌汚染やアスベストの調査とあわせて計画すると効率がよい

まずは手元にある図面や登記簿、古い航空写真を集めて、土地の履歴を確認するところから始めてみてください。解体や土地売却を控えていて、埋設物に加えて土壌汚染やアスベストも気になる場合は、計画の早い段階で専門業者に相談すると、必要な調査を整理しやすくなります。エコ・テックでは、解体工事・アスベスト対策・土壌汚染対策をまとめてご相談いただけます。見えない地中のリスクを着工前に把握しておくことが、安心して次の計画へ進むための確かな準備です。

CONTACT

お問い合わせ

           

大規模施設や大型建築物の解体工事もエコ・テックにお任せ下さい。アスベスト対策工事・ダイオキシン対策工事の他、土壌汚染対策工事が必要な解体工事はトータルでご対応致します。

お電話でのお問い合わせ