アスベストを使用した建築物や工作物の解体工事を行う際は、事前にアスベストの使用の有無を調査する必要があります。アスベスト等の使用の有無は、書面による調査と目視調査の2つを行い、その結果によって分析調査を行うか、アスベストを含有するものとして取り扱うかを決めることになります。また、吹付け石綿、石綿含有断熱材・保温材・耐火被覆材が使用されている建築物や工作物の解体作業を行う際は、大気汚染防止法に基づき、石綿の除去等に係る一連の作業を開始する14日前までに、都道府県等に届出を行い、石綿飛散防止のための作業基準を遵守しなければなりません。また、労働安全衛生法や廃棄物処理法等の遵守も必要となります。

石綿障害予防規則

労働者が石綿にばく露され健康障害を受けることを予防するため、石綿則に定める措置を講じることはもとより、作業方法の確立、関係施設の改善、作業環境の整備、健康管理の徹底等の実情に即した適切な対策を積極的に講ずべきことを規定しています。

【第一条】事業者の責務

1.事業者は、石綿による労働者の肺がん、中皮腫その他の健康障害を予防するため、作業方法の確立、関係施設の改善、作業環境の整備、健康管理の徹底その他必要な措置を講じ、もって、労働者の危険の防止の趣旨に反しない限りで、石綿にばく露される労働者の人数並びに労働者がばく露される期間及び程度を最小限度にするよう努めなければならない。

2. 事業者は、石綿を含有する製品の使用状況等を把握し、当該製品を計画的に石綿を 含有しない製品に代替するよう努めなければならない。

事前調査について

解体・改修工事を行う際には、その規模の大小にかかわらず工事前に解体・改修作業に係る部分の全ての材料について、アスベスト含有の有無の事前調査を行う必要があります。
事前調査は、令和3年(2021年)4月から設計図書等による書面調査と、目視による調査の両方が必要となります。

事前調査は、令和5年(2023年)10月から建築物石綿含有建材調査者などの一定の要件を満たす人(以下①②)が行う必要があります。

①建築物石綿含有建材調査者講習の修了者

  • ・特定建築物石綿含有建材調査者
  • ・一般建築物石綿含有建材調査者
  • ・一戸建て等石綿含有建材調査者(※一戸建て住宅及び共同住宅の住戸の内部に限る)

②令和5年9月30日以前に日本アスベスト調査診断協会に登録され、事前調査を行う時点においても引き続き同協会に登録されている者

また、令和3年(2021年)4月から事前調査の結果の記録を作成して3年間保存するとともに、調査結果を作業場所に備え付け、概要を労働者に見やすい箇所に掲示する必要があります。令和4年(2022年)4月からは、一定規模(解体工事の場合は解体部分の延べ床面積80㎡、改修工事の場合は請負金額が100万円)以上の解体工事の場合、事前調査の結果を労働基準監督署に電子システムで報告する必要があります。

工事開始前の労働基準監督署への届出について

令和3年(2021年)4月から、アスベストが含まれている保温材等の除去工事の計画は14日前までに労働基準監督署に届け出ることが義務になります。

1.労働安全衛生法に定める計画届について

労働安全衛生法第88条により、事業者は、一定の建設物、機械等の設置、移転又は主要構造部分の変更等をしようとする場合や、一定の規模・種類の建設工事を開始する場合は、事前にその計画内容を所轄労働基準監督署長に届け出ることが義務づけられています。アスベスト除去等の工事については、以下(2.)のものについて、14日前までに、労働安全衛生規則様式第21号による届書に、添付書類を添えて所轄労働基準監督署長に届け出る必要があります。

2.計画届の対象工事(石綿関係)

① 建築物、工作物又は船舶(鋼製の船舶に限る)に吹き付けられている石綿等(石綿等が使用されている仕上げ用塗材を除く。)の除去、封じ込め、又は囲い込みの作業を行う仕事

② 建築物、工作物又は船舶(鋼製の船舶に限る)に張り付けられている石綿等が使用されている保温材、耐火被覆材(耐火性能を有する被覆材をいう。)等の除去、封じ込め又は囲い込みの作業(石綿等の粉じんを著しく発散するおそれのあるものに限る。)を行う仕事

労働者に対するばく露防止措置について

解体・改修作業に従事する労働者に対するアスベストによるばく露を防止するため、アスベスト等を切断等する際の湿潤化や呼吸用保護具・保護衣等の使用、レベル12建材の除去等を行う際の負圧隔離、労働者への特別教育などの措置が必要となります。また、令和3年(2021年)4月から、除去工事が終わって作業場の隔離を解く前に、資格者によるアスベスト等の取り残しがないことを目視により確認が義務となります。

資格者取り残し確認を行う者

  • ・建築物石綿含有建材調査者(建築物に係る除去作業に限る)
  • ・当該除去作業に係る石綿作業主任者

また、労働者の健康被害を防止するために、作業計画については、石綿障害予防規則第4条にて定められています。

【第四条】(作業計画)

1.事業者は、石綿等が使用されている解体等対象建築物等(前条第五項ただし書の規定により石綿等が使用されているものとみなされるものを含む。)の解体等の作業(以下「石綿使用建築物等解体等作業」という。)を行うときは、石綿による労働者の健康障害を防止するため、あらかじめ、作業計画を定め、かつ、当該作業計画により石綿使用建築物等解体等作業を行わなければならない。

2. 前項の作業計画は、次の事項が示されているものでなければならない。

  • 一 石綿使用建築物等解体等作業の方法及び順序
  • 二 石綿等の粉じんの発散を防止し、又は抑制する方法
  • 三 石綿使用建築物等解体等作業を行う労働者への石綿等の粉じんのばく露を
    防止する方法

3.事業者は、第一項の作業計画を定めたときは、前項各号の事項について関係労働者に周知させなければならない。

作業の記録・保存について

事前調査結果の掲示やアスベスト除去作業中の状況などは、写真や動画により記録し、3年間保存しなければなりません。また、労働者ごとに、アスベストの取扱い作業に従事した期間、従事した作業の内容、保護具の使用状況などを記録し、40年間保存する必要があります。事前調査を適切に行わずに解体等の作業を行った事例、吹き付けられた石綿等があるにもかかわらず法第 88 条第3項に基づく届出を行わないまま作業を行った事例、必要な石綿ばく露防止のための措置を講じずに作業を行った事例等が認められた一方、解体工事や改修工事は工事終了後に措置が適切に実施されたかどうかを行政等が確認することは困難であることから、第35条の2において、工事終了後においても、措置が適切に実施されたかどうかを確認することができるよう、作業計画に基づく作業について、写真その他実施状況を確認できる方法により記録し、保存しなければならないこととしています。

【第 35 条の2】(作業計画による作業の記録)

1. 事業者は、石綿使用建築物等解体等作業を行ったときは、当該石綿使用建築物等解体等作業に係る第四条第一項の作業計画に従って石綿使用建築物等解体等作業を行わせたことについて、写真その他実施状況を確認できる方法により記録を作成するとともに、次の事項を記録し、これらを当該石綿使用建築物等解体等作業を終了した日から三年間保存するものとする

  • 一 当該石綿使用建築物等解体等作業に従事した労働者の氏名及び当該労働者ごとの当該石綿使用建築物等解体等作業に従事した期間
  • 二 周辺作業従事者の氏名及び当該周辺作業従事者ごとの周辺作業に従事した期間

. 事業者は、前項の記録を作成するために必要である場合は、当該記録の作成者又は石綿使用建築物等解体等作業を行う仕事の発注者の労働者(いずれも呼吸用保護具(吹付石綿等除去作業が行われている場所に当該者を立ち入らせるときは、電動ファン付き呼吸用保護具等に限る。)及び作業衣又は保護衣を着用する者に限る。)を第六条第二項第一号及び第六条の二第二項第一号(第六条の三の規定により準用する場合を含む。)の規定により隔離された作業場所に立ち入らせることができる。