建設工事に係る資材の再資源化に関する法律(通称:建設リサイクル法、建設資材リサイクル法)第二十一条の規定により、解体工事業を営もうとする者は、解体工事を行おうとする区域を管轄する都道府県知事の登録を受けなければなりません。解体工事業の登録をしていると、建設業許可がなくても、請負金額が500万円(税込)未満の解体工事を行うことができるようになります。請負金額が500万円(税込)以上の解体工事を請け負うためには、解体工事業の登録に加えて、建設業許可が必要となります。また、請負金額に関わらず、解体工事を請け負うためには解体工事業の登録が必須となります。
今回の記事では、解体工事業の登録に必要な要件、申請先や提出書類、費用や有効期間について説明いたします。

解体工事業の登録に必要な要件

解体工事業の登録を受けるためには、必要な要件は2つあります。
①技術管理者の設置
②登録の拒否事由(欠格要件)に該当しないこと
です。また、解体工事業の登録は、解体工事を施工する都道府県ごとに申請が必要です。
解体工事業の登録のために配置が必要な技術管理者は、解体工事現場の安全管理、廃棄物処理や建設資材のリサイクルについての監督・指導をする役割を持ちます。技術管理者であると認められるためには、国土交通省令で定める要件を満たしている必要があります。技術管理者の登録要件は、都道府県によって異なる場合があるので、注意が必要です。以下では、大阪府住宅まちづくり部建築振興課の『解体工事業登録申請等の手引き』(令和3年10月改訂版)の内容に沿って、技術管理者の要件について説明していきます(1)。

技術管理者の要件

技術管理者の登録には、
①必要な実務経験年数を満たすこと、
もしくは②特定の資格を持っていること、
のいずれかが必要になります。①は建設リサイクル法の第三十一条、②は同法の第二十四条で定められています(2)。
技術管理者に必要な実務経験年数については、解体工事の実務経験でなければいけません。実務経験の証明者が証明期間に建設業許可業者(木工事業、建築工事業、解体工事業)または解体工事業登録業者でなければ、実務経験として認められないため、注意が必要です。また、技術管理者となるために必要な実務経験年数は、学歴によって異なります。
①大学、高等専門学校で土木工学科等を卒業後、2年以上の実務経験を有する者、
②高等学校で土木工学科等を卒業後、4年以上の実務経験を有する者、
③学歴・資格の有無を問わず、解体工事に関して8年以上の実務経験を有する者、
これらが、技術管理者となるために必要な実務経験年数となります。なお、①②で言うところの土木工学科等には、土木工学(農業土木、鉱山土木、森林土木、砂防、治山、緑地、造園に関する学科を含む)、都市工学、衛生工学、交通工学、建築学に関する学科が該当します。①②③のいずれの場合においても、公益社団法人全国解体工事業団体連合会が実施する「解体工事施工技術講習」を受講した者は必要な実務経験期間がそれぞれ1年短縮されます。
また、実務経験が以上の基準を満たしていなくても、国が定めた特定の資格を保有している場合、技術管理者を務めることができます。保有者が技術管理者として認められる資格とは、
①建設業法による技術検定(一級建設機械施工技士、二級建設機械施工技士(第一種又は第二種)、一級土木施工管理技士、二級土木施工管理技士(土木)、一級建築施工管理技士、二級建築施工管理技士(建築又は躯体))、
②技術士法による第二次試験(技術士「建設部門」)
③建築士法による建築士(一級建築士、二級建築士)
④職業能力開発促進法による技術検定(一級とび+とび工、二級とび+解体工事実務経験1年、二級とび工+解体工事実務経験1年)、
⑤国土道交通大臣が指定する試験(解体工事施工技士試験合格者)です。

解体工事業登録の拒否事由について

繰り返しになりますが、解体工事業の登録を受けるためには、
①技術管理者の設置
②登録の拒否事由(欠格要件)に該当しないこと、
の二つの要件を満たす必要があります。以上に述べた要件を満たす技術管理者を配置していても、「建設工事に係る資材の再資源化に関する法律」第二十四条の登録の拒否事由(欠格要件)に該当してしまうと、解体工事業の登録を行うことができません。また、申請書や添付書類の重要な事項について虚偽の記載がある場合、もしくは重要な事実の記載が欠けている場合にも、登録は拒否されてしまいます。また、同法第三十五条の規定により、不正な手段による登録や、虚偽の届出が発覚した場合には、登録が取り消され、半年以内の事業の一部もしくは全部の停止が命じられる場合があります。
解体工事業登録の拒否事由は、以下の9つになります。
①解体工事業の登録が取り消され、その処分のあった日から二年を経過しない者、
②解体工事業の登録を取り消された法人において、その処分日の前30日以内に役員であり、その法人の処分日から二年を経過していない者、
③解体工事業の停止を命ぜられ、その停止の期間を経過していない者、
④建設リサイクル法に違反して罰金以上の刑に処せられ、その執行が終わってから二年を経過しない者、
⑤暴力団員である、もしくは暴力団員でなくなった日から五年を経過しない者、
⑥事業者が未成年者である、もしくはその法定代理人が拒否事由に該当する者、
⑦登録を申請する法人において、役員のうちに上記の拒否事由に該当する者があるもの、
⑧技術管理者を選任していないも者、
⑨暴力団員等の反社会的勢力がその事業活動を支配する者です。以上のいずれかに該当する場合は、解体工事業の登録を行うことはできません。

解体工事業の登録方法

解体工事業を営むためには、解体工事を行おうとする区域ごとに、その区域の都道府県知事の登録を受ける必要があります。解体工事業の登録先は、各都道府県で、大阪府の登録手数料は新規の場合で33,000円、更新の場合で26,000円となります。必要な提出書類は
①解体工事業申請書(規則様式第一号)、
②誓約書(規則様式第二号)、
③技術管理者の資格要件を確認する書類(実務経験証明書、卒業証書・資格証明書・解体工事施工技術講習修了証の写し等)、
④登録申請者の調書(規則様式第四号)、
⑤申請者の所在確認書類(商業登記簿謄本、住民票)、
⑥技術管理者の在籍を確認する書類(技術管理者の健康保険証、雇用保険証、給与台帳等)、
⑦営業所の所在地を確認する書類(賃貸契約書の写し、建物登記簿謄本等)、
⑧本人確認書類(運転免許証、パスポート等)
です。また、更新申請の場合は、解体工事業登録通知書の原本または写しも必要です。これに加えて、申請者が未成年者の場合には法定代理人の証明書の写しおよび住民票、代理人が申請する場合には委任状の原本が必要となります。
解体工事業の登録にかかる期間は、申請書の受理から4~5週間程度です。登録の有効期間は5年間で、登録を更新するためには有効期間満了の30日前までに更新手続きを行う必要があります。更新をしないまま有効期間が終わってしまうと無登録状態になるため、その状態で解体工事業を行った場合は「一年以下の懲役または五十万円以下の罰金刑」が課され、以後二年間解体工事業の登録をすることができなくなってしまうため、注意が必要です。また、商号、所在地、役員、技術管理者等に変更があった場合や、法人の合併、破産等によって廃業した場合、その日から30日以内に届け出が必要です。ほかに、解体工事業者の登録を受けた後、建設業法に基づく「土木工事業」、「建築工事業」、「解体工事業」の許可を受けた場合は、許可後30日以内に都道府県に通知書を提出しなければなりません。