平成26年6月4日に、「建設業法等の一部を改正する法律(改正建設業法)」が公布され、それまで「とび・土工・コンクリート工事業」に含まれていた「解体工事業」が29種目の建設業許可の業種区分として新設されました。
新たな建設業許可区分への移行期間として、それまで解体工事に携わっていたとび・土工工事業の許可業者、とび・土工・コンクリート工事業の技術者に対して、新設された解体工事業の営業許可を受けなくても、しばらくは当該営業を営むことができる経過措置期間が設けられました。解体工事業の新設に伴う経過措置期間については、「解体工事業の建設業許可」と、「解体工事業の技術者要件」に関するものでそれぞれ期間が異なります。
今回の記事では、建設業法改正の背景とその内容、解体工事業の新設に伴う法律上の変化や、建設業許可区分の変更に伴う経過措置について解説いたします。

建設業法改正の背景

建設業法の改正により、それまで28種類だった建設業許可業種に、解体工事業が新設され、29種目の許可業種となりました(建設業法第二条第一項の別表第一を参照)。改正前は、解体工事は「とび・土工・コンクリート工事業」に含まれており、とび・土工・コンクリート工事業の建設業許可を受けていれば解体工事を行うことができました。しかし、近年は高度経済成長期に造られた建築物や工作物等の老朽化が進行しており、解体工事現場における公衆災害・労働災害の増加や、防災面および環境面への配慮の必要性の高まりなどを背景として、平成26年6月4日公布の建設業法改正(平成28年6月1日施行)により、解体工事業は新たな建設業許可区分のひとつとして独立しました。この解体工事業の新設は、疎漏工事や公衆災害・労働災害を防止するとともに、専門工事業の地位の安定・技術の向上を目的としています(1)。解体工事は、現場の安全管理や建設産業廃棄物の処理、建築資材のリサイクル方法についての高度に専門的な知識・技術が要求されるということで、今回の業種区分や技術者資格の見直しに繋がりました。

建設業法改正による変更点

解体工事業を営もうとする者は、解体工事を行おうとする区域を管轄する都道府県知事の登録を受けなければなりません。解体工事業の登録をしていると、建設業許可がなくても、請負金額が500万円(税込)未満の解体工事を行うことができるようになります。請負金額が500万円(税込)以上の解体工事を請け負うためには、解体工事業の登録に加えて、建設業許可が必要となります。また、請負金額に関わらず、解体工事を請け負うためには解体工事業の登録が必須となります。
建設業法の改正に伴って、それまで「とび・土工・コンクリート工事業」の建設業許可で解体工事を行っていた許可業者や、解体工事業許可の新規申請をする業者は、新たに解体工事業の許可申請の手続きを行う必要があります。また、とび・土工・コンクリート事業の技術者が解体工事業の技術者とみなされるためには、登録解体工事講習および規定の実務経験年数の要件を満たさなければいけません。
解体工事業の許可を得るためには、技術力・経営能力・誠実性・財産的基礎が必要であり、①技術管理者の設置②登録の拒否事由(欠格要件)に該当しないこと、の二つの要件を満たす必要があります。また、解体工事業の登録は、解体工事を施工する都道府県ごとに申請が必要です。
解体工事業の技術管理者の登録には、

①必要な実務経験年数を満たすこと、もしくは

②特定の資格を持っていること

のいずれかが必要になります。①は建設リサイクル法の第三十一条、②は同法の第二十四条で定められています(2)。解体工事における監理技術者要件は、

①1級土木施工管理技士

②1級建築施工管理技士

③技術士(建設部門又は総合技術監理部門(建設))

④主任技術者としての要件を満たす者のうち、元請として4,500万円以上の解体工事に関し2年以上の指導監督的な実務経験を有する者

のいずれかの条件を満たすこととなります。
また、解体工事における主任技術者要件は、

①監理技術者の資格のいずれか

②2級土木施工管理技士(土木)

③2級建築施工管理技士(建築又は躯体)

④とび技能士(1級)

⑤とび技能士(2級)合格後、解体工事に関し3年以上の実務経験を有する者

⑥登録技術試験(種目:解体工事)

⑦大卒(指定学科)3年以上、高卒(指定学科)5年以上、その他10年以上の実務経験

⑧土木工事業及び解体工事業に係る建設工事に関し12年以上の実務の経験を有する者のうち、解体工事業に係る建設工事に関し8年を超える実務の経験を有する者

⑨建築工事業及び解体工事業に係る建設工事に関し12年以上の実務の経験を有する者のうち、解体工事業に係る建設工事に関し8年を超える実務の経験を有する者

⑩とび・土工工事業及び解体工事業に係る建設工事に関し12年以上の実務の経験を有する者のうち、解体工事業に係る建設工事に関し8年を超える実務の経験を有する者

のいずれかを満たすこととなります(3)。この経過措置期間中に新しい許可要件を満たせなかった場合、解体工事業許可は取り消し処分となります。なお、同法の施工日時点で許可を取得していない建設業者については、経過措置は適用されません。

建設業法改正に伴う解体工事資格の経過措置について

国土交通省「とび・土工工事業の技術者を解体工事業の技術者とみなすこととする経過措置期間の延長について」(https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/001394746.pdf)より

「建設業法等の一部を改正する法律(平成26年法第55号)」は、平成26(2014)年6月4日付けで公布され、平成28(2016)年6月2日に施工されました。解体工事業の新設に伴う経過措置期間は、「解体工事業の建設業許可」と、「解体工事業の技術者要件」でそれぞれ異なります。解体工事業の建設業許可については、施行日時点でとび・土工工事業の許可を受けて解体工事業を営んでいる建設業者は、令和元年(2019年)5月31日までの3年間は解体工事業の許可を受けずに解体工事を施工することが可能であるとされました。解体工事業の技術者要件については、令和3(2021)年3月31日までの5年間は、既存のとび・土工工事業の技術者も解体工事業の技術者とみなす経過措置が取られました(4)。解体工事業の技術者にまつわる経過措置については、新型コロナウイルス感染症の拡大による登録解体工事講習の受講機会の減少等を受け、経過措置期間が令和3(2021)年6月30日までに延長されました(5)。
解体工事業の建設業許可については、経過措置期間は令和3(2021)年3月31日で終了しました。また、解体工事業の技術者要件についても、令和3(2021)年6月30日に経過措置期間が終了しました。つまり、令和3(2021)年6月30日で、すべての経過措置期間が終了したことになります。

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