主に以下のような理由で解体工事における補助金や助成金が支給されることがあります。特に空き家や長期間人が住んでいないような家に関しては、特定空き家と認定されて補助金や助成金の支給対象となります。

・街の景観を保つため

・放火や犯罪を防ぐため

・不法投棄や害虫の発生などを防ぐため

・違法薬物の取引場所となる可能性を防ぐため

・倒壊などによる近隣への危険性を排除するため

・周辺住民の生活に悪影響を及ぼすことを防ぐため

特定空き家とは、国土交通省が示している基本指針である「倒壊などの著しく保安上危険となる恐れがある状態」「著しく衛生上有害となる恐れがある状態」「著しく景観を損なっている状態」「放置することが不適切である状態」の4項目のいずれかに該当する空き家のことを指します。

解体工事における主な補助金

老朽危険空き家解体補助金

老朽危険空き家解体補助金とは、老朽化により危険な状態にある空き家の自主的な解体を促進するための補助金制度です。安全で安心な住環境の向上を図るため、その解体費用の一部を補助する制度となります。なお、補助金の申請前に、あらかじめ老朽危険空き家に該当するかどうかについて、各自治体の事前調査を受ける必要があります。補助金支給額は、解体費用の2割~5割程度が一般的です。

木造住宅解体工事補助金

木造住宅解体工事費補助事業とは、実際に耐震診断を行った上で倒壊の危険性が高いと判断された家屋に対して解体費用の一部負担をしてくれる制度です。木造住宅の耐震補強工事や解体工事の費用も一部負担してもらうことができます。補助金支給にあたっては、木造住宅の耐震診断を受け、耐震性が低いと判断される必要があります。自治体によっては解体する前年度までに耐震診断を受ける必要がある場合もあるので、補助金を受けることを検討している場合は早めの診断が良いです。

ブロック塀等撤去費補助金

大規模地震が発生した場合にブロック塀等の転倒による被害を防ぐため、転倒のおそれがあるブロック塀等の撤去を行う場合に工事費の一部を補助する補助金制度です。一般的には高さが1メートル以上であることが条件となります。構造については、ブロック塀のほか、コンクリート造や石造り、レンガ造なども対象です。補助金支給額は、解体費用の2割から5割程度が支給されることが多いです。

建て替え費補助金

耐震基準を満たしていない戸建てを解体して、新しく一定の基準を満たす住宅を建築する場合に解体費用や建築費用の一部が支給されます。自治体によって細かい条件が異なるため、補助金を利用したい場合は事前に要綱をよく確認したうえで申請、工事まで進める必要があります。

危険廃屋解体撤去補助金

危険廃屋解体撤去補助金とは、危険があると判断された家屋を対象に補助金が支給される制度です。周辺住民の安全や安心を考慮して、住みやすい環境を整える目的で解体工事を促進するために、補助金や助成金を支給しています。

アスベスト除去に関する補助金

アスベスト除去に関する補助金については、建築物に吹付けアスベスト等が使用されているかどうかを調査したい場合に一定の割合で補助金を支給してもらうことができるものです。実際に建築物に吹付けアスベスト等が使用されており、その除去工事を行う場合にも一定の費用を負担してもらうことができます。

解体工事の際に補助金を受けられる主な条件

空き家であること

補助金を受けられる主な条件として、空き家であることがあります。長年居住されたり利用されたりしていない空き家は補助金支給の対象となる可能性があります。空き家を放置することで、倒壊したり害虫や害獣が棲みついてしまい、周辺環境に悪影響を及ぼすことがあります。また、放火などの犯罪が行われたり、不法投棄を行う場所として利用されるリスクもあります。特に、特定空き家として認定されて周囲に悪影響を及ぼす可能性が高いと判断された空き家に関しては、補助金を受けられる可能性が高くなります。

倒壊の可能性がある

空き家であることで補助金を受けられる可能性がありますが、その可能性を高める条件として、基準を超える破損レベルが挙げられます。破損度合の測り方については各自治体によって異なりますが、耐震診断を用いるケースもあれば、担当者の目視や調査によってレベルを図ることもあります。主に以下の4段階で表されます。

  • 5位以上:倒壊しない
  • 0位以上1.5未満:一応倒壊しない
  • 7以上1.0未満:倒壊する可能性がある
  • 7未満:倒壊する可能性が高い

築年数

各自治体によって異なりますが、昭和50年代後半に設定しているところが多いです。こちらに関しては、昭和56年(1981年)に耐震基準の法改正があったことが影響しています。昭和56年以前に建てられた建物に関しては、現在の基準で当てはめると耐震基準を満たさないことが多く、その分倒壊リスクが高まります。

税金を滞納していないこと

各種税金を滞納している場合は、助成金や補助金を受け取れない可能性が高いです。解体工事の助成金等はほとんど税金から支払われているため、滞納している人に支払われないのは自然ということになります。

所得条件に合致すること

解体工事助成金や補助金は、経済的に苦しい人のための制度です。そのため、所得が高い場合は自己資金で工事可能と判断され、助成金等は受け取れない可能性が高くなります。基本的に前年度の所得が1000万円以上である場合は支給対象外となることが多いようです。中には課税所得金額を明確に定めているところもあります。

解体工事の補助金における注意点

  • 申請から承認までに時間がかかる

通常は審査の結果が判明するまで数週間といわれていますが、状況によっては1ヶ月以上かかることもあります。解体工事助成金等は審査がある場合が多く、申請してから承認されるまで時間がかかる場合もあります。また、審査の結果受け取れない可能性もあります。

  • 助成金・補助金は工事後に支払われる

解体工事助成金や補助金は、工事終了後に領収書などを提出してから金額が決まります。そのため、実際に助成金等を受け取れるのは解体工事が終わってからとなります。工事にかかる費用については、一旦は全額自己負担となることに注意が必要です。

  • 助成金・補助金は自治体によって制度が異なる

解体の補助金は自治体によって異なります。助成や補助を行っていない自治体もありますので、解体予定の自治体の情報は事前に確認する必要があります。

空き家の解体にかかる費用について

費用は家の構造と広さによって決まります。一般的に目安とされている解体費は以下となります。取り壊す家の個別の条件等によって価格に幅がでてきます。

・木造:20坪(70120万円)、30坪(105万円~180万円)、40坪(140万円~240万円)

・軽量鉄骨造:20坪(80140万円)、30坪(120万円~210万円)、40坪(160万円~280万円)

RC造:20坪(110160万円)、30坪(165万円~240万円)、40坪(220万円~320万円)

また、古い建物でアスベスト対策が必要な場合は、上記目安額とは別に費用が発生します。塀や門、駐車場などの外構物なども別に費用がかかるものと考えた方が良いです。アスベスト対策坪単価で数万円程度、外構は坪単価が計算できるものは坪単価で計算しますが、樹木などは本単位で計算することもあります。

 

このように解体工事には様々な費用がかかってきます。そのため、申請ができる補助金を事前に知っておくことが大切です。