解体工事における廃棄物処理は、環境への影響が大きく、資源の有効活用が急務です。建設リサイクル法は、この課題に取り組むための重要な法律です。今回は建設リサイクル法について詳しくご紹介します。

建設リサイクル法とは

 建設リサイクル法は、平成125月に制定されました。近年、廃棄物の発生量が増大し、廃棄物の最終処分場のひっ迫及び廃棄物の不適正処理等、廃棄物をめぐる問題が深刻化しています。建設工事に伴って廃棄されるコンクリート塊、アスファルト・コンクリート塊、建設発生木材の建設廃棄物は、産業廃棄物全体の排出量及び最終処分量の約2割を占めている背景と、今後建設廃棄物の排出量の増大が予想される背景から、この解決策として、資源の有効な利用を確保する点から、これらの廃棄物について再資源化を行い、再び利用していく建設リサイクル法が制定されました。

建設リサイクル法では、特定建設資材(コンクリート(プレキャスト板等を含む)、アスファルト・コンクリート・木材)を用いた建築物に係る解体工事又はその施工に特定建設資材を使用する新築工事等であって一定規模以上の建設工事(対象建設工事)について、その受注者に対して分別解体等及び再資源化等を行うことを義務付けています。

建設リサイクル法の対象及び概要

 建設リサイクル法の主な内容は、次の3点です。

①建築物等に使用されている建設資材に係る分別解体及び建設資材廃棄物の再資源化等の義務付け

②発注又は自主施工者による工事の事前届出、元請業者からの発注者への書面による報告の義務付け

③解体工事者の登録制度や技術管理者による解体工事の監督

以下詳しくみていきましょう。 

①建築物等に使用されている建設資材に係る分別解体及び建設資材廃棄物の再資源化等の義務付け

→特定建設資材を用いた建築物等の解体工事、特定建設資材を使用する新築工事等で一定規模以上の工事(対象建設工事)については、特定建設資材廃棄物を基準に従って工場現場で分別(分別解体等)し、再資源化等することが義務付けられています。

特定建設資材とは、

・コンクリート

・コンクリートと鉄から成る建設資材

・アスファルト・コンクリート

のことを指します

対象建設工事の種類

規模の基準

建築物の解体工事

床面積の合計80

建築物の新築・増築工事

床面積の合計500

建築物の修繕・模様替等工事(リフォーム等)

工事金額の額1億円

建築物以外の工作物の工事(土木工事等)

工事金額の額500万円

建設工事の実施にあたっては『分別』と『リサイクル』が必要です|東京都
(https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/seisaku/recy/recy_pamphlet.pdf)より

ここでの解体工事とは、建築物の場合、基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、斜材、床版、屋根板又は横架材で建築物の自重若しくは積載荷重、積雪、風圧、土圧若しくは水圧又は自身その他の振動若しくは衝撃を支える部分を解体することをさします。

②発注又は自主施工者による工事の事前届出、元請業者からの発注者への書面による報告の義務付け

→対象建設工事の発注者及び自主施工者は、工事に着手する日の7日前までに届出を各市町村へ出さなければなりません。

③解体工事者の登録制度や技術管理者による解体工事の監督

→解体工事を行うには、以下の建設業に関する許可を得なければなりません。

建築工事業

土木工事業

とび・土木工事業

これらの工事業許可を得ている業者であれば解体工事を行うことができます。一方で、建築工事業や土木工事業などの許可がない場合、解体工事業登録を行うことが求められます。 

解体工事を行う際、現場管理を行う者を技術管理者といいます。技術管理者は、建設工事の施工にあたり、その施工計画を作成し、具体的な工事の工程管理や工事目的物、工事仮設物、工事用資材等の品質管理を行う、一定規模以上の建設工事の施工にあたり、下請人を適切に指導、監督する、工事規模が大きくなることによって複雑化する工事監理を行う者のことを指します。技術管理者になるためには下記の資格が必要となります。 

実務経験(主なもの)

大学(指定学科卒):2年以上

高校(指定学科卒):4年以上

その他:8年以上

資格者

1級建設機械施工技士

2級建設機械施工技士(1or2種に限る)

1級土木施工管理技士

2級土木施工管理技士(土木)

1級建築施工管理技士

2級建築施工管理技士(建築、躯体)

1級建築士

2級建築士

技術士

とび技能士

解体工事施工技士

解体工事に求められる技術者資格について|国土交通省
(https://www.mlit.go.jp/common/001050229.pdf)より

分別解体等の手順について

 分別解体等は以下の手順で行います。

①対象建築物等に関する調査の実施

対象となる建築物等、その周辺状況、作業場所、搬出経路、残存物品の有無等の調査を行います。

②分別解体等の計画の作成

次の事項を内容とする計画を策定します。

(イ)対象建築物等に関する調査の結果及び工事着手前に講じる措置の内容

(ロ)工事の工程の順序及び工程ごとの作業内容と分別解体等の方法

(ハ)対象建築物等に用いられた特定建設資材廃棄物の種類ごとの量の見込み及びその発生が見込まれる場所

(ニ)その他分別解体等の適正な実施を確保するための措置 等

③工事着手前に講じる措置の実施

工事の実施前に作業場所及び搬出経路の確保等を図ります。また、残存物等、特に家電リサイクル法の対象物について、発注者が事前に搬出を行ったか確認します。

④工事の施工

計画に基づいて解体工事を施工します。工事は、技術上、安全管理上等の条件を踏まえ、必要に応じて手作業又は手作業及び機械作業の併用により行います。 

建築設備・内装材等の取り外し

内装材に木材がある場合は、木材と一体となった石膏ボード等の建設資材→木材の順序で取り外します。

屋根ふき材の取り外し

土木建造物の解体の場合、土木建造物の付属物土木建造物本体基礎・基礎ぐいの順に解体します。

外装材・上部構造部分の取り壊し

上部構造部分とは、構造耐力上主要な部分のうち、基礎・基礎ぐいを除いた部分のことです。

基礎及び基礎ぐいの取り壊し

分別解体等・再資源化等の発注から実施への流れ

 工事の発注者や元請負業者等は次のことを行う必要があります。適正な分別解体等及び再資源化等の実施を確保するために、発注者による工事の事前届出や元請負業者から発注者への完了報告、現場における標識の掲示などが義務付けられています。また、発注者から受注者への適正なコストの支払いを確保するため、契約書面に解体工事に要する費用や再資源化等に要する費用等を明記することが必要です。 

①受注者は、対象建設工事の策定及び発注者への説明を行う

対象建設工事の元請業者は、発注者に対し、建築物等の構造、工事着手時期、分別解体等の計画等について書面を交付して説明することが必要です。

②発注者は元請負業者と契約を行う

発注者が元請業者とかわす対象建設工事の契約書面においては、分別解体等の方法、解

体工事に要する費用及び再資源化等に要する費用や、再資源化等のために特定建設資材

廃棄物を持ち込む予定の施設の名称等の明記が必要です。

③発注者は各市町村に事前届出を出す

発注者は、工事着手の7日前までに、分別解体等の計画等について、都知事(特別区の長又は一部の市長)に届け出ることが必要です。

④受注者は下請負人に告知と契約を行う

元請業者が下請負人とかわす対象建設工事の契約書面においては、分別解体等の方法、

解体工事に要する費用及び再資源化等に要する費用や、再資源化等のために特定建設資

材廃棄物を持ち込む予定の施設の名称等の明記が必要です 

⑤受注者は分別解体等・再資源化等の実施、技術管理者による施工の管理、現場における標識の掲示を行う

分別解体等、再資源化等の実施にあたっては、解体工事業者は、解体工事の現場ごとに、公衆の見やすい場所に標識を掲示します。また、工事の施工を管理する技術管理者の配置が必要です。なお、建設業許可業者が工事を行う場合は、建設業法に基づく標識の掲示や技術者の配置が必要となります。

⑥受注者は元請負業者へ再資源化等の完了の確認及び発注者への報告を行う

→元請業者は、再資源化等が完了したときは、その旨を発注者に報告するとともに、再資源化等の実施状況に関する記録を作成、保存します。

建設工事の実施にあたっては『分別』と『リサイクル』が必要です|東京都
(https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/seisaku/recy/recy_pamphlet.pdf )より

最後に

建設リサイクル法は、解体工事における廃棄物の処理とリサイクルを適正化することで、環境保護と資源の有効活用を促進する重要な法律です。建設リサイクル法を遵守し、解体工事における廃棄物の適切な処理と再利用に務める業者(受注者)を探すことが重要です。

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