解体工事は、古い建物や構造物を取り壊す作業であり、安全かつ効率的に進めるためには適切な重機の選定が欠かせません。今回は、解体工事で使用される主要な重機の種類とそれぞれの特徴についてご説明します。

解体工事で主に使用されるのは「油圧ショベル」

解体工事で最も一般的に使用される重機は、「油圧ショベル」です。その汎用性と操作性の高さから、建物の解体や廃材の処理、さらには地盤の整地まで幅広い用途に対応できます。

油圧ショベルとは、掘削機械の一種で、掘る・運ぶ・吊る等の作業を1台で行うことができる機械です。さらにアタッチメントを交換することにより作業の幅を広げることができるため、建設機械の代表格となっています。 

油圧ショベルの種類

油圧ショベルの中には、大規模な解体工事の際に使用する重機もあります。作業現場のニーズや作業内容に応じて、選択することで効率的かつ安全な解体工事を実現できます。以下でみてきましょう。 

(運転席から前方に伸びるアーム部分のことを「ブーム」、ブームの先に取り付けられた中間部分でアタッチメントを細かく動かすことができるのを「アーム」といいます。)

 ①ロングアーム

通常のアームよりも長いアームで、高所や遠方の作業に特化した重機です。高層建物の解体や、深い掘削作業に適しています。通常のアームでは届かない場所での作業が可能となり、解体工事において安全距離を保ちながら作業することができます。

②ツーピースアーム

アームが2つのパーツに分かれており、より柔軟な動きを可能にする重機です。アームの中間部分に関節があり、複雑な動きが可能となり、狭い空間での作業や高い場所への掘削に適しています。アームの角度や長さを細かく調整できるので、都市部など狭い場所での解体工事に適しています。 

③マルチブーム

ブーム部分が複数の関節を持ち、多方面に動ける構造を備えた重機です。ブームに複数の可動部を持ち、自由度が高く、アームやバケットの一を細かく調整することができます。解体や掘削の際、複雑な角度でも対応でき、高所から狭所まで、多様な解体工事に対応し、高い作業精度が求められる現場に適しています。 

油圧ショベルの特徴

油圧ショベルの主な特徴を以下でみていきましょう。

①ブームとアームを使ってさまざまなアタッチメントを取り付けることができる

ブームとアームを使用しさまざまなアタッチメントを取り付けることにより掘削、破砕、積み込みなど多岐にわたる作業に対応できます。

②解体専用のアタッチメントを使用することで、コンクリートや鉄骨の破砕・分別が容易になる

解体専用のアタッチメントには、コンクリートやアスファルトを破壊するためのハンマーのようなもの、コンクリートや鉄骨をつかみ、粉砕するもの、廃材のつかみ上げや運搬に適しているものなどさまざまなアタッチメントがあります。これらのアタッチメントを使用することで、作業効率が大幅に向上し、多様な解体現場に柔軟に対応できます。 

③操作性が高く、狭い現場でも作業ができる

 油圧ショベルは、繊細な操作が可能なため、狭いスペースや複雑な環境でも的確に作業をすすめることができます。これは、油圧システムの精密な制御が可能であることや、オペレーターが簡単に動きを調整できる設計がなされているためです。また、油圧ショベルにはさまざまなサイズがあり、旋回機能やアームの動きの自由度が高いことで、狭い場所でも効率的に解体工事が行えます。 

④サイズが豊富で、小型から大型まで現場に応じて選択できる

 油圧ショベルは、小型モデルから大型モデルまで幅広いサイズが提供されています。現場の広さ、作業内容、搬入経路などに応じて最適なサイズのショベルを選ぶことで、効率的かつ安全な作業が可能になります。

油圧ショベルの構造

油圧ショベルは、その精密な構造により高い操作性とパワーを発揮します。以下で主要な構造部位とその役割を詳しく説明します。

①上部旋回体

上部旋回体とは、旋回フレームにクレーン装置を搭載した装置全般のことです。エンジン・油圧ポンプ・運転席があります。

エンジンは、油圧ショベルの動力源であり、ディーゼルエンジンが一般的に使用されます。近年では、電動エンジンも増えてきています。

油圧ポンプは、エンジンからの動力を利用して油圧を生成し、アームの動作を制御します。

運転席は、オペレーターが操作を行う場所で、レバーやペダルを使用して油圧ショベルを操作します。最新モデルではモニターやカメラが搭載され、視覚性や安全性が向上しています。

②下部走行体

下部走行体とは、機械を走行させるための機器のことです。クローラー・走行モーター・ターンテーブルがあります。 

クローラー(履帯)は、ゴムまたは金属製で構成され、不整地でも高い安定性を発揮します。

走行モーターは、クローラーを動かすためのモーターで、移動速度や方向を制御します。 

ターンテーブルは、上部旋回体と下部走行体を接続し、上部を360度回転させることができます。

③ブームとアーム

運転席から前方に伸びるアーム部分のことを「ブーム」、ブームの先に取り付けられた中間部分でアタッチメントを細かく動かすことができるのを「アーム」といいます。 

ブームは、解体工事や掘削の際に大きな役割を果たします。アームは、アタッチメントを細かく動かします。また、ブームやアームを動かすための主要部品として油圧シリンダーがあります。油圧シリンダーは、油圧ポンプから供給される油圧を利用して伸縮動作を行うものです。 

④アタッチメント

油圧ショベルの先端にはさまざまなアタッチメントが取り付け可能です。アタッチメントはそれぞれ特化した用途を持ち、解体工事の効率化に大きく貢献します。解体工事現場での状況や作業内容に応じて適切なアタッチメントを選択することで、安全かつ効率的な作業が可能になります。アタッチメントの種類は、カッター・グラップル・ハンマー・スケルトンバケット・クラッシャーなどがあります。以下で詳しく説明します。 

カッターは、鉄骨や金属製の構造物を切断するためのアタッチメントで、強力な刃を備え、銅材や鉄筋コンクリートなどを切断することができるため、鋭い切断力で作業効率が向上し、細かい切断作業にも対応することができます。素材に応じて「鉄骨カッター」や「油圧カッター」などの種類があります。

グラップルは、別名「フォーク」とも呼ばれています。廃材や鉄スクラップ、木材をつかむためのアタッチメントで、指のような形状をしており素材をしっかりつかむことができます。ローテーション機能付きのものもあり、効率的な作業が可能になり、材料の搬出や分別作業を効率化してくれます。正確につかむ動作が可能で作業の安全性が向上します。

ハンマーは、別名「ブレーカー」とも呼ばれています。コンクリートやアスファルトの破砕に使用されます。圧縮空気や油圧の力で連続的に打撃を加える構造で、頑丈なコンクリートを効率よく破砕することができる上に簡単に設置ができ、機動性が高いです。

スケルトンバケットは、別名「ふるいバスケット」とも呼ばれています。土砂や廃材のふるい分けに使用されるバケット型のアタッチメントです。バケットに網目状の隙間があり、細かい土砂をふるい落とし、粗い素材を選別でき、土砂に混ざった廃材や石を取り除く作業に適しています。ふるい作業を効率化し、処理コストを削減することができます。

クラッシャーは、コンクリートの破砕と鉄筋の分離に使用されるアタッチメントで強力なあごのような形状をしており、コンクリートをつかみながら破砕することができ、内蔵された刃で鉄筋を切断することができます。コンクリートを効率よく破砕し、同時に鉄筋を分離することができるので、廃材のリサイクル工程を効率化することができます。

最後に

油圧ショベルは、その精密な構造と高度な油圧技術により、解体工事や建設現場で多岐にわたる作業を効率的に遂行します。ブームやアーム、アタッチメントの組み合わせによって柔軟性が高まり、多様な現場ニーズに対応できるのが大きな魅力です。そのため、解体工事に合った適切な油圧ショベルを選定することが重要です。

株式会社エコ・テックの解体工事について

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