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COLUMN

業界コラム

解体工事における不法投棄防止の取り組み

解体工事の現場では、正しい廃棄物の処理が強く求められており、万が一の不法投棄が企業の信用や法的責任につながる時代となっています。

本記事では、「不法投棄を防止するための具体的な対策」や「法令遵守と信頼確保のために押さえる廃棄物の管理方法」について詳しく解説します。本記事を通じて、解体工事業におけるリスクマネジメントを理解しましょう。

 

解体工事における不法投棄の現状

解体工事の現場では、コスト削減や手間の回避を目的とした不適正処理、いわゆる不法投棄が存在しています。不法投棄は単なる法律違反にとどまらず、社会的な信用の失墜や行政処分につながるため、業者にとって重大なリスクを伴います。

ここでは、その現状と社会的な影響について解説します。

 

不法投棄が社会問題として注目される理由

不法投棄は、山林や河川敷、空き地などの公共・私有地に廃棄物を無断で投棄する行為を指し、廃棄物処理法により厳しく規制されています。

近年では、環境保護意識の高まりとともに、このような違法行為に対する社会の目も一段と厳しくなっています。特に、建設業・解体業が排出する産業廃棄物は量が多く、放置された場合の影響も大きいため、行政機関による監視体制が強化されているのです。

また、不法投棄は周辺住民の生活環境に悪影響を及ぼすだけでなく、地域全体の景観や安全にも深刻なダメージを与えます。そのため、建設業界において大きな社会課題として扱われているのです。

 

解体工事における廃棄物の発生とその実態

建物の解体にともなって発生する廃棄物は、コンクリートがら、木くず、金属くず、ガラス、石膏ボードなどさまざまです。これらの廃棄物は、法令に基づいた分別・保管・搬出が求められる一方で、実際には見えにくい処分経路によって不適切な扱いをされてしまうケースも存在します。

特に、小規模な解体業者や下請け業者の中には、コスト削減や時間短縮のために、無許可の運搬業者や不適切な処理施設を利用するケースも見受けられます。こうした背景が、不法投棄の原因となっているのです。

 

行政や自治体による取り締まり

不法投棄対策として、行政や自治体は監視カメラの設置、パトロールの強化、通報制度の充実など、さまざまな取り組みを進めています。違反が発覚した場合には、企業や責任者に対して厳しい指導や罰則が科され、再発防止に向けた改善命令が出されることもあります。

また、近年では情報開示の観点から、処分業者の認可状況や違反履歴が公開されるケースも増えており、業界全体に対し取り締まりの判断が厳しくなっています。業者としては、こうした行政動向を的確に把握し、リスク管理を徹底することが求められるでしょう。

 

 

なぜ不法投棄が問題になるのか?

不法投棄は、解体業者にとって「知らなかった」では済まされない重大な法令違反です。一度発覚すれば、刑事・民事の責任を問われるだけでなく、事業継続そのものが難しくなる可能性もあります。

ここでは、廃棄物処理法における義務と、不法投棄がもたらすリスクについて詳しく見ていきましょう。

 

廃棄物処理法における解体業者の義務

日本の廃棄物処理法では、産業廃棄物を適正に分別・運搬・処分することが義務付けられています。特に解体工事においては、廃棄物の発生量が多く、種類も複雑なため、管理体制が不十分だと違反対象です。

たとえば、産業廃棄物を運搬する場合には「産業廃棄物収集運搬業」の許可が必要であり、処理を委託する際には「処理委託契約書」と「マニフェスト(産業廃棄物管理票)」の作成・管理が求められます。これらを怠ると、不法投棄と見なされるリスクが高まるでしょう。

出典:東京都環境局【産業廃棄物収集運搬業及び処分業の許可申請・届出等】

 

元請・下請それぞれに求められる責任

不法投棄に関する責任は、必ずしも実行犯だけに限定されません。元請企業が下請業者に廃棄物処理を委託していた場合でも、監督責任や選任責任が問われることがあります。つまり、信頼できる協力会社を選び、管理体制を明確にしておかないと、元請自体が行政処分を受ける可能性があるのです。

近年の裁判例では、下請け業者による不法投棄が発覚した際に、元請業者にも管理監督の不備があるとして指導が行われるケースが増えています。契約上の責任範囲を明確にすると同時に、実際の現場でのチェック体制も重要です。

 

不法投棄が発覚した際に起こりうるトラブル事例

不法投棄が発覚した場合、事業者は多くのトラブルに直面します。行政からの改善命令や業務停止命令はもちろんのこと、元請からの契約打ち切りや損害賠償請求、さらには報道による企業イメージの失墜など、事業へのダメージは計り知れません。

実際に、ある解体業者が下請け先のずさんな処分方法を放置していたために、地域住民の通報で不法投棄が発覚。自治体から行政指導を受けたうえに、元請との契約を解除され、取引先の信用も大きく落とす事態となりました。こうした事例は、どの業者にとっても他人事ではありません。

 

 

不法投棄を防止するための具体的な取り組み

不法投棄のリスクを減らすは、法令順守だけでは不十分です。現場でのオペレーション、協力会社の選定、業務フローの透明化など、複数の観点から具体的な取り組みを実行する必要があります。

ここでは、実際の現場で行われている防止策や取り組み事例を紹介します。

 

再発防止に向けた現場での教育とルールづくり

まず基本となるのが、作業員や協力会社を含めた関係者への教育です。解体現場では廃棄物の種類や処分方法が多様であるため、「どれが不法投棄にあたるのか」を明確に理解してもらう必要があります。そのために、定期的な法令研修や現場指導を行い、ルールを徹底する体制づくりが不可欠です。

さらに、社内で独自のマニュアルを整備し、「誰が、いつ、どのように処分したのか」を追跡できるようにすることで、責任の所在を明確化できます。これにより、不正行為を未然に防ぐ効果も期待できます。

 

信頼できる産業廃棄物処理業者の選定ポイント

廃棄物処理を外部に委託する場合は、許可の有無だけでなく、処理実績やトラブル歴、マニフェストの扱いなどを総合的にチェックすることが重要です。見積書や契約書に「処分方法」や「中間処理施設の名称」を明記させることで、後からのトラブルを回避できます。

近年では、インターネット上で処理業者の行政処分歴を確認できる仕組みも整備されており、業者選びの透明性が高まっています。複数業者からの見積比較や、現地視察も合わせて行うことで、信頼できるパートナーと継続的な関係を築くことが可能です。

 

トレーサビリティ強化のためのITツール導入

近年では、廃棄物の移動や処分履歴をデジタルで管理するシステムが注目されています。たとえば、マニフェスト管理をクラウド上で一元化するソフトウェアや、GPS機能付きの運搬記録アプリを活用することで、廃棄物の流れの可視化が可能です。

こうしたツールは、担当者の負担軽減にもつながり、書類の不備や紛失といった人為的なミスを防ぐ効果もあります。また、行政からの調査や元請からの監査に対しても、迅速に対応できる点が評価されつつあります。

 

 

解体現場での廃棄物管理とマニフェスト制度の活用

解体現場で不法投棄を防止するためには、発生した廃棄物の種類・量・処分先を正確に把握し、管理することが欠かせません。特に「マニフェスト制度」は、廃棄物の流れを管理し、違反行為の抑止につながる仕組みです。

ここでは、現場での実践的な管理方法と制度の活用法について紹介します。

マニフェスト制度の基本と役割

マニフェスト制度とは、産業廃棄物の排出事業者が「どのような廃棄物を」「誰に」「どのように委託したか」を記録し、最終処分が完了するまで責任を持って管理する制度です。これにより、排出者が委託した廃棄物が不法投棄されていないかを追跡することが可能になります。

紙ベースの管理だけでなく、電子マニフェストの活用も進んでおり、登録・照合・保存といった手続きが効率化されると同時に、改ざんや不正記録のリスクも低減されます。特に複数の下請けや処理業者が関わる解体工事では、この制度の徹底が不可欠です。

出典元:日本産業廃棄物処理振興センター【マニフェスト制度とは】

 

適正なマニフェスト管理のチェックポイント

制度を導入していても、適切に運用されていなければ意味がありません。具体的には、記載内容が法令に即しているか、記入漏れや誤記がないか、交付後の回収確認ができているかなどを日常的に点検する必要があります。

また、委託先に処分が完了したことを証明する最終処分終了報告書を提出させ、実際に処理が行われたかどうかを照合することも大切です。こうした細やかな確認作業が、将来的なトラブル防止につながります。

 

廃棄物の分別と保管方法の工夫

現場での廃棄物管理では、まず分別の徹底が不可欠です。コンクリート、木材、金属、石膏ボードなどを適切に分けることで、処理業者による再資源化がスムーズになり、不適正処理のリスクを減らすことができます。

また、一時的な保管場所の明確化や、雨水や飛散を防ぐためのカバー設置などの工夫も重要です。これにより、周辺住民への配慮や、行政からの現場チェックへの対応もしやすくなり、事業者としての信頼性を高める結果にもつながります。

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