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業界コラム

スレート屋根・外壁のアスベストの見分け方|年代と製品確認の手順

築年数の経った戸建ての屋根や、工場・倉庫の波板。リフォームや解体の見積もりを取る段階で「このスレート、アスベストが入っていませんか」と不安になる方は少なくありません。結論から言えば、スレートは色や形を眺めただけでは含有の有無を断定できません。判断の軸になるのは「施工された年代」と「製品名・裏面刻印の照合」という2つの手順です。この記事では、その進め方に加えて、自分で剥がしてはいけない理由、撤去・処分費用の相場、2022年から義務になった石綿事前調査結果の報告までを解説します。

スレートとは?屋根材・外壁材としての種類と特徴

ひとくちにスレートといっても、住宅の屋根に葺かれる薄い板と、工場の屋根や外壁に張られる波板では製品も使われ方も違います。まずは自分の建物がどのタイプかを整理しておくと、その後の年代判定や製品確認が進めやすくなります。

化粧スレート・波形スレート・スレート瓦の違い

現在「スレート」と呼ばれているものの大半は、セメントに繊維を混ぜて板状に成形した繊維強化セメント板です。天然の粘板岩(天然スレート)を使った屋根もありますが、日本の住宅ではごく一部に限られます。

  • 化粧スレート:厚さ5mm前後の平板で、戸建て住宅の屋根に最も多く使われてきたタイプ。商品名の「カラーベスト」「コロニアル」で呼ばれることも多く、スレート瓦もほぼ同義で使われます。
  • 波形スレート(大波・小波):波打った形状の大判の板で、工場・倉庫・畜舎などの屋根や外壁に張られます。ボルトで母屋に留めてあるのが特徴です。
  • 天然スレート:粘板岩を薄く割った天然石材。セメント系ではないため、アスベストとは無関係です。

含有が問題になるのは、原則としてセメント系の化粧スレートと波形スレートです。屋根に上がらなくても、地上から「薄い平板が段状に重なっている」なら化粧スレート、「波打った大判の板がボルト留めされている」なら波形スレート、と当たりをつけられます。

スレートボードとの違いと使われる場所

スレートボードは、同じ繊維強化セメント板でも内装の下地材や間仕切り、軒天などに使われる平板です。けい酸カルシウム板やスラグせっこう板と並んで、内装側に潜んでいることが多い建材にあたります。

解体やリフォームの現場では、屋根のスレートだけを調べて安心してしまう例がよくあります。実際には天井裏の断熱材、配管の保温材、内装ボードなど、複数の部位に別々の石綿含有建材が使われているのが一般的です。部位ごとに判断も除去方法も変わるため、アスベスト断熱材の見分け方(使用箇所・レベル・年代別の判断方法)もあわせて確認し、建物全体で洗い出す視点を持っておくと調査の手戻りを防げます。

スレートにアスベストが含まれる年代の目安

含有を絞り込む最初の手がかりは、その部位が施工された年代です。法規制の節目がはっきりしているため、年代だけでもかなりの精度で可能性を判断できます。

1970〜1990年代がアスベスト含有スレートのピーク

石綿は繊維が細く、セメントに混ぜると割れにくく軽い板になるため、屋根材・外壁材の補強材として長く使われてきました。とくに1970年代から1990年代に施工されたスレートは、重量比で10〜15%程度の石綿を含む製品が主流です。工場・倉庫の波形スレートも同様で、この年代の建物は「含有している前提」で計画を立てるのが実務上の基本になります。

2000年前後から各社が無石綿品への切り替えを進めますが、切り替え初期の一部製品は耐久性に課題があり、後年に不具合が指摘されたものもあります。「2000年代初頭=安心」とは言い切れず、含有の有無とは別に劣化状況の確認も必要です。

2004年に製造・使用が原則禁止に

2004年10月、労働安全衛生法施行令の改正により、石綿を重量の1%を超えて含有する建材の製造・輸入・使用が原則禁止されました。石綿含有の屋根用スレート、波形スレート、スレートボードはこのときの禁止対象に含まれています(出典:厚生労働省「石綿障害予防規則等関係」)。

したがって2004年10月以降に製造されたスレートであれば、含有の可能性は大きく下がります。ただし禁止直前の在庫が施工に回った例もあるため、着工が2004年〜2006年の建物は年代だけでシロと判断しないのが安全側の考え方です。

2006年の全面禁止で無石綿化が完了

2006年9月には規制が強化され、石綿の含有率が0.1%を超えるすべての製品の製造・使用が禁止されました。以後、一部の適用除外品も2012年までに姿を消しています。実務では、2006年9月以降に着工した建物であれば、スレートに石綿が含まれている可能性はほぼないと扱われます。

着工・施工の時期 スレートの石綿含有の可能性 取るべき対応
1970〜1990年代 非常に高い 含有前提で調査・計画
2000年〜2004年9月 製品による 製品名・刻印で必ず照合
2004年10月〜2006年8月 低いが在庫施工の余地あり 図面・納入記録で確認
2006年9月以降 ほぼなし 着工時期の裏付け資料を保管

なお増改築や葺き替えを経ている建物では、築年数と屋根材の施工年が一致しません。基準はあくまでその部位が施工された年です。

製品ラベル・裏面刻印で正確に確認する手順

年代で見当がついたら、次は製品そのものを特定する段階です。スレートは工業製品なので、メーカー名と製品名・型番さえ分かれば公的なデータベースで含有の有無を照合できます。

製品名・型番の確認方法

最も確実で、しかも手間がかからないのが書類からの確認です。次の順で探すと見つかりやすくなります。

  • 竣工図書・仕様書:屋根伏図や仕上表に「屋根材:〇〇(メーカー名・製品名)」と記載されています。工場や事務所ビルでは残っている確率が高い資料です。
  • 過去の見積書・工事写真:リフォームや葺き替えの書類に製品名が残っていることがあります。
  • 建築確認申請書の副本:着工年の裏付けになり、年代判定と製品確認を同時に進められます。
  • 施工したメーカー・工務店への問い合わせ:納入記録が残っていれば型番まで特定できます。

書類が見つからなくても、無理に屋根へ上がる必要はありません。高所作業は転落の危険があるうえ、板を割ってしまえば粉じんを飛散させることになります。

裏面刻印とメーカー公表データベースの照合

スレートには、裏面にメーカー名の略号・製品記号・製造年月などが刻印されている製品が多くあります。既に一部が外れている、割れて裏面が見えるといった状況なら、そこから型番を読み取れることがあります。

読み取れた情報は、国土交通省・経済産業省が公開する石綿(アスベスト)含有建材データベースで照合します。メーカー名や製品名で検索すれば、石綿を含むか、含む場合は種類や含有率、製造期間まで確認できます。無石綿化した後継品と旧製品は名称が似ていることがあるため、製造年とセットで確認するのがポイントです。

特定できない、刻印が判読できないという場合は分析調査という選択肢があります。JIS A 1481に基づく定性分析で、1検体あたり3万〜5万円程度が目安です。一方、分析せずに「石綿含有とみなして」工事を進めることも法令上認められています。検体数が多いならみなし判定のほうが総額を抑えられる場合もあるので、業者に両方の見積もりを出してもらうと判断しやすくなります。

見た目だけでは判断できない理由

「グレーで薄い板だからアスベスト入り」「新しく見えるから大丈夫」といった見た目の判断は通用しません。含有品と無石綿品は同じ形状・同じ色で作られており、外観上の差がほとんどないためです。石綿繊維は直径が数マイクロメートル以下で、断面を拡大しても目視では判別できません。塗装が乗っていれば刻印も隠れます。

だからこそ、年代と書類・データベースという「記録から辿る」手順が必要になります。見た目での判別が難しい理由と年代から絞り込む考え方はアスベストは見た目で判断できるのか|特徴と年代による確実な見分け方で建材全般について整理しているので、スレート以外の部位を調べる際の参考になります。

アスベスト含有スレートはレベル3建材|安全な除去と飛散対策

石綿が含まれていると分かっても、過度に恐れる必要はありません。スレートは飛散性が最も低い分類の建材です。ただし「飛散しにくい」のは壊さなければという条件付きで、割る・砕く・切断する行為が加わると話が変わります。

レベル3建材としての法的な位置づけ

石綿含有建材は飛散のしやすさで3段階に分けられます。吹付け石綿がレベル1、保温材・耐火被覆材などがレベル2、スレートを含む成形板がレベル3です。レベル3は繊維がセメントで固められているため、通常の使用状態では飛散しにくいとされています。

ただし2021年4月の改正大気汚染防止法の施行により、レベル3を含むすべての石綿含有建材が規制の対象になりました。「レベル3だから届出も対策も不要」という認識は現在の法令には合いません。なお、見た目が石綿とよく似たロックウール(人造鉱物繊維)は石綿ではありませんが、断熱材や吸音材として同じ建物内に併存していることが多く、混同されがちです。違いはロックウールとアスベストの違いと年代・見た目での見分け方で整理しています。

DIY除去を避けるべき理由

工具が手軽に手に入るため、自分で剥がそうと考える方もいます。しかし、スレートの自己撤去はおすすめできません。理由は3つあります。

  • 破砕すると飛散する:グラインダーで切ったり落として割ったりすると、繊維が一気に舞います。石綿は吸い込んでから発症までの潜伏期間が長く、その場で異常を感じないまま曝露してしまう点が最大のリスクです。
  • 廃棄物として捨てられない:石綿含有スレートは石綿含有産業廃棄物にあたり、家庭ごみや通常の廃材として処分できません。他の廃棄物と混ざらないよう分別し、許可を持つ処理業者へ委託する必要があります。
  • 法令上の義務が課される:解体・改修工事には、規模によって事前調査と結果報告の義務が生じます。個人の自宅であっても、業者に発注すればその工事は規制対象です。

高所作業そのものの危険も見過ごせません。費用を抑えたい気持ちは自然ですが、ここは専門業者に任せる領域だと考えてください。

除去時に必要な飛散防止対策

レベル3の除去では、レベル1のような気密養生(隔離)や負圧除じん装置までは求められません。その代わり、石綿障害予防規則に基づく次の対策が基本になります。

  • 原則として切断・破砕しない:ボルトや釘を外して1枚ずつ手作業で取り外す「手ばらし」が原則です。
  • 湿潤化:作業前に散水や薬液で湿らせ、粉じんの発生を抑えます。
  • 保護具の着用:取替え式防じんマスクなど適切な呼吸用保護具と、使い捨ての保護衣を使用します。
  • 作業計画の作成と掲示:作業方法・順序、飛散防止の方法を定め、石綿使用の有無や作業内容を現場の見やすい場所に掲示します。
  • 荷姿の管理:取り外した板は破損させないよう丁寧に降ろし、飛散しない措置を講じて搬出します。処分はマニフェストに「石綿含有産業廃棄物」と明記し、最終処分まで追跡します。

見積書にこれらの項目(湿潤化、手ばらし、保護具、廃棄物処分費)が明記されているかは、業者を選ぶ際の実務的なチェックポイントになります。

スレートのアスベスト撤去・処分費用の目安

費用は屋根材の撤去費だけでは決まりません。足場、廃棄物処分、下地の補修、新しい屋根材の施工まで含めて総額を見ておく必要があります。ここでは撤去・処分に絞った相場を示します。

㎡単価と総額の費用相場

国土交通省が示す石綿除去費用の目安では、レベル3建材の処理費用はおおむね1㎡あたり3,000円〜8,500円とされています。これに次の費用が加算されます。

項目 費用の目安 備考
スレート撤去・処分(レベル3) 3,000〜8,500円/㎡ 手ばらし・湿潤化・処分費を含む
足場設置・解体 700〜1,200円/㎡ 屋根勾配・高さで変動
分析調査 3万〜5万円/検体 みなし判定を選べば省略可

屋根面積100㎡程度の戸建てなら、撤去・処分だけで30万〜85万円、足場を含めて40万〜100万円前後が目安です。工場・倉庫の波形スレートは面積が大きいぶん㎡単価が下がる傾向にありますが、総額は数百万円規模になることもあります。

既存のスレートを撤去せず上から新しい屋根材を重ねる「カバー工法」なら、撤去・処分費と飛散リスクを抑えられます。ただし将来の解体時には結局撤去が必要になり、建物の重量も増えます。近いうちに解体や売却を予定しているなら葺き替え、当面住み続けるならカバー工法、という選び方が現実的です。

費用が変わる主な要因

同じ面積でも見積額に差が出るのは、主に次の要素によります。

  • 劣化の程度:既に割れや反りが進んでいると手ばらしが難しく、養生や集じんの手間が増えます。
  • 建物の高さと立地:3階建てや隣家との距離が近い敷地では、足場・養生の費用が上がります。
  • 他のレベル1・2建材の有無:軒天や外壁裏に吹付け材が見つかると、隔離養生が必要になり単価は大きく変わります。
  • 処分場までの距離:石綿含有産業廃棄物を受け入れる処分場が遠い地域では運搬費が増えます。
  • 補助制度の活用:自治体によっては石綿の調査費・除去費への補助金制度があります。着工前の申請が条件になることがほとんどなので、見積もり段階で確認しておくと取りこぼしを防げます。

2022年以降義務化された石綿事前調査結果報告への対応

見落とされやすいのが行政への報告義務です。2022年4月1日以降、一定規模以上の工事では、事前調査の結果を着工前に電子システムで届け出ることが義務づけられました。

報告が必要な工事の規模・要件

大気汚染防止法および石綿障害予防規則に基づき、次のいずれかに該当する工事は報告の対象です(出典:厚生労働省・環境省「石綿事前調査結果報告システム」)。

  • 建築物の解体工事で、解体部分の床面積の合計が80㎡以上
  • 建築物の改修工事で、請負金額が税込100万円以上(屋根の葺き替え、外壁の張り替えを含む)
  • 特定の工作物の解体・改修工事で、請負金額が税込100万円以上

報告は原則として元請業者が「石綿事前調査結果報告システム」から電子申請します。加えて2023年10月からは、事前調査を建築物石綿含有建材調査者などの有資格者が行うことが義務になりました。発注者にとっては、依頼先が有資格者による調査体制を持っているかの確認が実質的なリスク管理になります。

調査結果は石綿の有無にかかわらず記録を作成し、3年間保存します。築浅で含有なしと判断した場合も、その根拠を残す必要がある点は押さえておきましょう。こうした義務が追加されてきた経緯はアスベスト規制はいつから強化された?2026年までの規制スケジュールで時系列に整理しています。

報告を怠った場合の罰則

事前調査結果の報告をしなかった場合や、虚偽の報告をした場合には、大気汚染防止法に基づき30万円以下の罰金が科されます。また、作業基準に適合しない方法で除去を行った場合には、2020年改正で新設された直接罰として、3か月以下の拘禁刑(改正前の懲役)または30万円以下の罰金の対象となります。

罰則以上に重いのが、工事の差し止めや近隣とのトラブル、後年の健康被害をめぐる責任です。売却や相続にともなう解体では、適正に調査・除去した記録の有無が取引の信頼性そのものに関わります。報告義務は面倒な手続きではなく、資産の履歴を証明する手段だと捉えておくと判断を誤りにくくなります。

よくある質問

この記事に関してよく寄せられる質問をまとめました。

アスベストが入っているスレート屋根は、何年頃に建てられたものですか

1970年代から1990年代に施工されたスレートは、石綿を含んでいる可能性が非常に高い年代です。2004年10月に含有率1%超の建材が原則禁止、2006年9月に0.1%超で全面禁止となったため、2006年9月以降に着工した建物であればほぼ含有はありません。ただし判断の基準は建物の築年ではなく、その屋根が施工された年である点に注意してください。

スレート屋根のアスベストは、そのままにしていても健康に影響がありますか

スレートは石綿がセメントで固められた成形板のため、割れや大きな劣化がなく、通常の状態で使われている限りは繊維が飛散しにくい建材です。過度に心配する必要はありません。ただし、破損している箇所がある場合や、切断・破砕を伴う工事を行う場合には飛散のおそれがあるため、専門業者に状態を見てもらうことをおすすめします。

自分でスレートを剥がして処分することはできますか

おすすめできません。破砕によって繊維が飛散するリスクがあるうえ、石綿含有スレートは石綿含有産業廃棄物にあたり、家庭ごみや通常の建設廃材としては処分できないためです。高所作業の危険もあります。撤去から処分まで、許可と資格を持つ業者に依頼してください。

分析調査をせずに工事を進めることはできますか

できます。分析せず「石綿含有とみなして」除去する方法は法令上認められており、検体数が多い場合は費用を抑えられることがあります。ただし、みなし判定では含有建材として扱うため処分費が上がる可能性があります。分析費と処分費の差を業者に試算してもらい、総額で比較するのが確実です。なお2023年10月以降、事前調査そのものは有資格者が行う必要があります。

まとめ

スレートのアスベストは、見た目で判断しようとすると必ず行き詰まります。年代で可能性を絞り込み、製品名・裏面刻印とデータベースの照合で確定させる。この2段階を踏めば、専門知識がなくても現状をかなり正確に把握できます。

  • 1970〜1990年代施工のスレートは含有の可能性が高く、2004年10月に原則禁止、2006年9月に全面禁止となった
  • 基準は建物の築年ではなく、その屋根・外壁が施工された年
  • 製品名・型番は竣工図書や裏面刻印から辿り、石綿含有建材データベースで照合する
  • スレートはレベル3建材だが、2021年4月以降はすべての石綿含有建材が規制対象
  • 撤去・処分はレベル3で3,000〜8,500円/㎡程度が目安、足場や処分場までの距離で変動する
  • 解体80㎡以上、改修は税込100万円以上で石綿事前調査結果の報告が必要

次に取るべき行動はシンプルです。まず竣工図書や過去の工事書類を探し、施工年と屋根材の製品名を確認してください。書類が見当たらない、年代が微妙で判断がつかないという場合は、その時点で専門業者に相談すれば十分です。屋根に上がって自分で確かめる必要はありません。

エコ・テックでは、建築物・プラントの解体からアスベスト調査・除去、廃棄物の適正処理までを一貫して行っています。有資格者による事前調査、結果報告、除去計画の立案までまとめて対応できますので、スレート屋根や波形スレートの扱いにお悩みの際は、現地調査・お見積もりからお気軽にご相談ください。相続した空き家や工場跡地など、解体と土地活用をあわせて検討したい場合もご相談いただけます。

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