解体工事業登録の資格

解体工事とは、マンションや戸建てなどの住宅や公共施設、倉庫、車庫といった「建築物」を取り壊す工事のことを言います。解体工は、解体現場の最前線に立っている職人であり、人力や重機の使用によって建物の解体作業を進めることが主な仕事となります。ユンボなどの重機を操作して大体な部分を壊す方法と、ハンマーやバールなどの工具や溶接機を用いて人力で解体する方法を使い分けて作業することになります。解体工事は常に危険が伴う作業のため、どんな現場でも、最前線に立つ作業員には安全への意識や近隣住民への気配りなどが求められます。また、雨や風、雷など、天気にも左右されやすいといった環境を踏まえると解体業において最もハードな仕事の一つとも言えます。

解体業に必要な許可申請

解体業を始めるには、「建設業許可」または「解体事業者の登録」が必要となります。また、工事内容によって必要な許可申請が異なるので、注意が必要です。

①建設業許可

建設業許可とは、建設工事を請け負って営業するための許可です。2つ以上の都道府県に営業所を設置する場合は国土交通大臣、1つの都道府県内だけで営業する場合は該当する都道府県知事が許可します。建設業許可は有効期限があり、5年ごとに更新が必要となります。解体業を営むためには、解体工事業以外、土木一式工事、建築一式工事、とび・コンクリート工事業のいずれかの建設業許可が必要です。

②解体工事業登録

解体工事業登録とは、建設業許可を保有しない場合でも解体工事ができる登録制度です。ただし、請負える工事の金額は500万円未満(税込)に限定されます。建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)に基づく規定です。営業所や施工する工事現場ごとに必要な標識、帳簿の記載や保存も定められています。小規模な解体専門業が多く登録しています。

500万円以上(税込)の解体工事を請け負う場合

平成2861日の改正建設業法施行により、「解体工事業」が新設されたため、平成3161日以降に500万円以上(税込)の解体工事を請け負う場合は、建設業許可「解体工事業」を受けることが必要となります。ただし、移行期間があり、「とび・土工工事業」の建設業許可を受けて解体工事業を行なっていた業者の場合は、平成31531日までは、「解体工事業」の許可を得ずに工事できます。

500万円未満(税込)の解体工事のみ請け負う場合

税込500万円未満の解体工事を請け負う場合、建設業許可は不要となります。ただし、「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」により、「解体工事業者の登録」が必要と定められています。また、解体工事業者の登録は、工事を行う都道府県ごとに必要となります。

解体工事業登録に関する要件

都道府県ごとに受ける

解体工事業の登録は、工事を施工する都道府県ごとに申請が必要です。申請書には、会社名や個人の場合は氏名、住所、営業所の名称と所在地などを記載します。複数の都道府県で施工する時は管轄ごとに申請しますが、営業所の設置は不要です。登録は5年ごとの更新となります。解体工事業の登録業者が、建築一式や土木一式、とび工事の建設業許可を得た場合は、許可が重複するため失効します。

技術管理者の配置

解体工事の現場には、常勤の技術管理者を配置しなければなりません。技術管理者の要件としては、解体工事に8年以上の実務経験を有する人となります。学歴により実務経験は短縮されます。施工技士や施工管理技士、建築士、とび・とび工技能検定合格者、社団法人全国解体工事業団体連合会主催の「解体工事施工技士」試験合格者が該当者となります。技術管理者は適切な廃棄物処理と、建設リサイクル法に則した施工管理が目的です。

欠格要件に該当しないようにする

解体工事業登録を行う際、要件を満たさない欠格要件の場合は登録できません。欠格要件は解体工事業の登録取り消しから2年未満や業務停止命令期間が経過していないなどです。建設リサイクル法で罰金刑以上の違反後、2年以内の場合も対象で、法人と役員が該当します。技術管理者を選定していない場合も欠格要件にあたります。虚偽の申請を行った場合や、変更後の届けを怠った場合も同様です。

解体工事業の建設業許可要件

下記の資格を取得することで、解体工事業の専任技術者になることができます。

①土木施工管理技士

平成27年度までの合格者については、解体工事に関する実務経験1年以上又は登録解体工事講習の受講が必要となります。土木施工管理技士は、道路や橋、トンネル、河川等の土木工事においての施工計画を作成し、現場で様々な作業工程の管理、安全や品質、コストの管理する仕事を行います。また、施工計画、工程管理以外にも、用地の確保から役所への手続き、書類の処理、周辺住民への説明など、幅広い範囲の仕事を任されます。

また、土木施工管理技士には、1級と2級があります。1級はすべての土木工事で、作業工程ごとの責任者である「主任技術者」と現場の全体を指揮する「監理技術者」の両方に選任されることができ、あらゆる土木工事で施工管理や安全管理の業務に従事することができます。2級は1級と資格形態が異なり、試験内容が「土木」「鋼構造物塗装」「薬液注入」の3種類に分かれています。この中で合格した工事のその専門分野において、作業工程ごとの責任者である「主任技術者」として施工管理を行うことができます。

②建築施工管理技士

平成27年度までの合格者については、解体工事に関する実務経験1年以上又は登録解体工事講習の受講が必要となります。

建築施工管理技士は建設現場において、施工計画を作成し、現場の工程管理や安全管理、品質管理など、工事全体の進行の管理、監督を行います。他にも、発注者との打ち合わせをはじめ、現場の技術者や職人の監督、指導、資材の発注、予算管理など、仕事内容は多岐にわたります。建築施工管理技士には1級と2級があります。1級建築施工管理技士は管理できる工事の規模に上限がないため、大規模な建設工事現場に関われる資格となっています。また、1級建築施工管理技士の資格を取得すると、業者が新たに営業所を立ち上げる場合に必要な一般建設業および特定建設業の専任技術者になることができます。2級建築施工管理技士は主任技術者までの資格となっており、監理技術者にはなることは出来ませんが、1級建築施工管理技士は主任技術者と管理技術者どちらにもなることができます。

 

その他、「技術士(建設部門・総合技術監理部門)」や「技能検定(一級とび、二級とび)、「解体工事施工技士」などがあります。

解体工事事業登録に関する罰則

①解体工事業登録を受けないで解体工事業を営んでいる場合は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金

②技術者や事業所の地域等の変更届を提出しなかった場合や、虚偽の届け出を提出した場合には、30万円以下の罰金

③技術管理者を専任しなかった場合には、20万円以下の罰金

④事業所と解体工事現場に標識を掲げていない場合や、帳簿備付けがなされていない、帳簿に虚偽がある場合などは、10万以下の過料

 

解体工事業登録を受けないで解体工事をした場合、上記のような罰則がありますが、解体工事業登録を受けずとも請け負える工事があり、罰則適用対象外となりますので、事前に確認をお勧めします。

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アスベスト法改正に伴う罰則

大気汚染防止法の一部を改正する法律が2021年(令和3年)41日から順次施行され、202241日以降に着工する、解体・改修工事を対象として、石綿に関する事前調査結果を、労働基準監督署・自治体に報告する制度がはじまりました。建築物等の解体等工事における石綿の飛散を防止するため、全ての石綿含有建材への規制対象の拡大、県への事前調査結果報告の義務付け及び作業基準の徹底のための直接罰の創設等、対策が一層強化されました。

事前調査は、原則としてすべての工事が対象となります。工事規模や請負金額は関係ありません。ただし、下記の条件を満たす工事は、施工業者が前もって労働基準監督署および自治体に、事前調査結果を報告しなければなりません。

・解体部分の床面積が80㎡以上の解体工事

・請負金額が税込100万円以上の改修工事

・請負金額が税込100万円以上の一定の工作物の解体・改修工事

電球交換などの軽作業、道路の補修作業など、一部の作業についてはアスベスト調査が免除されますので、詳しくは、各自治体に確認した方が良いです。

①規制対象の拡大

アスベスト規制対象改正前

・吹付け石綿(レベル1)、石綿含有仕上塗材(レベル1

・石綿含有断熱材・保温材・耐火被覆材(レベル2)

アスベスト規制対象改正後

・吹付け石綿(レベル1

・石綿含有断熱材・保温材・耐火被覆材(レベル2)

・石綿含有成形板等(レベル3

・石綿含有仕上塗材(レベル3

全ての石綿含有建材が規制対象となり、石綿含有仕上塗材が「レベル1」から「レベル3」の取り扱いに変更されています。

②アスベスト調査結果の作成・報告・保存

改正前

・事前調査結果を発注者へ書面で説明

・事前調査結果を解体工事の場所に掲示

改正後

・事前調査結果を発注者へ書面で説明

・事前調査結果を解体工事の場所に掲示

・事前調査結果の記録の作成を行い、3年間の保存

・事前調査結果の報告を義務化 ※令和42022年)年41日から適用

事前調査結果の報告が必要となる工事規模は以下の通りで、石綿の有無によらず調査結果の報告が必要となります。

報告対象となる工事

・解体部分の延床面積が80㎡以上の建築物の解体工事

・請負金額が税込100万円以上の建築物の改修工事

・請負金額が税込100万円以上の特定の工作物の解体または改修工事

アスベスト事前調査結果の、記録の作成・保存・報告が義務化されました。建築物や工作物を解体・改造・補修する際は、アスベストの事前調査を行う必要があります。事前調査結果の報告に関しては令和4年(2022年)41日に施行されました。

③直接罰の新設

適切な隔離等をせずにアスベストの除去作業を行った際は、直接罰が課せられます。

改正前

除去対象:吹付材(レベル1)、断熱材・保温材・耐火被覆材(レベル2)

・作業基準に違反した際は、適合命令や作業の一時停止命令が出される。

・上記の命令に違反した際は罰則(6月以下の懲役又は50万円以下の罰金)

改正後

除去対象:吹付材(レベル1)、断熱材・保温材・耐火被覆材(レベル2)、成形板(レベル3

・作業基準に違反した際は、適合命令や作業の一時停止命令が出される。

・上記の命令に違反した際は罰則(6月以下の懲役又は50万円以下の罰金)

アスベスト除去作業は適切な処理をきちんと行わなくてはならず、工事前に「工事計画届」を労働基準監督署長に提出する必要があります。

・違法なアスベスト(レベル1、レベル2)の除去作業をした際は罰則(3カ月以下の懲役または30万円以下の罰金)

法律で決められた除去方法での施工や、飛散防止対策がしっかり行われていない場合が対象となります。解体工事の際、アスベスト除去を行う場合は、「特定粉じん排出等作業の届出」を都道府県知事へ提出する必要があります。

アスベスト調査及び報告の流れ

①専門家に依頼

アスベストの事前調査は、アスベストに関する知識と、建築物の調査に精通した専門家に依頼する必要があります。建築物アスベスト含有建材調査者、一般社団法人日本アスベスト調査診断協会に登録された者、アスベスト作業主任者のうちアスベスト除去作業の経験を有する者などが対象となります。202310月からは、厚生労働省が実施するアスベスト調査の講習を修了していることが追加条件となります。

②書面および現地調査

設計図書や関係者からの聞き取りなどでの書面調査と、目視での現地調査を行う必要があります。場合によっては、現地で採取したサンプルをアスベストの定性分析にかけます。

③報告書の作成

調査結果をもとに報告書を作成し、労働基準監督署や自治体に提出します。報告書は、解体工事開始の14日前までに提出する必要があり、3年間の保存が義務づけられています。また、実際に解体工事を進める際には、工事に関わるすべての建材についてアスベスト含有の有無を掲示しなければなりません。アスベストが一切含まれていない場合でも、掲示をする必要があります。掲示は、施主ではなく元請業者が担当します。

アスベスト除去工事の流れ

届出の提出

①建築物解体等作業届

アスベスト障害予防規則に基づき、石綿含有温材、石綿含有耐火被覆材、石綿含有熱材の解体などでは、工事開始日までに「建築物解体等作業届」を労働基準監督署に提出しなければなりません。提出時には、建築物または工作物の概要に関する図面を添付します。

②特定粉じん排出等作業実施届

大気汚染防止法により、吹付けアスベスト、アスベスト含有断熱材、アスベスト含有耐火覆材、アスベスト含有保温材の建材を除去する場合は、工事開始の14日前までに「特定粉じん排出等作業実施届」を自治体などに届け出る必要があります。

③工事計画届

労働安全衛生法に基づき、耐火・準耐火建築物の吹付けアスベストを除去する場合には、労働基準監督署宛に、工事開始の14日前までに「工事計画届」を提出する必要があります。「工事工程表」や「図面」、「整理台帳」、「技術基準適合比較表」などの書類も必要となるため注意が必要です。

除去工事の実施

①近隣の店舗・住民などへの挨拶

工事実施によるトラブルを防ぐため、あらかじめ近隣の店舗や住民などへ挨拶をすることをお勧めします。アスベストの粉塵による健康被害があるため、挨拶が抜けると後に大きな問題となる可能性があります。現場の担当者だけでなく、施主と一緒に訪問して、工事の進め方や注意点を説明した方が良いです。

②除去工事の実施

アスベスト除去の工事については、一般の工事よりも安全対策に気をつける必要があります。工事の実施時には、工事内容(有害性など)についての掲示物を掲げ、工事関係者以外の立ち入り禁止を徹底する必要があります。作業時には、建物周辺で足場を組み、養生シートで建物を覆います。工事中にアスベストが周辺に飛散しないよう、ブロックするものです。作業員にもマスクや保護衣、作業衣を着用させることが義務づけられています。

③アスベストを廃棄

アスベストは、特別管理産業廃物の「廃石綿等」として処理する必要があります。収集や運搬、処分の方法が定められています。通常の廃棄物とは扱いが異なる点に注意が必要です。

アスベストに関する法律は日々改正されており、規制や罰則も厳しくなっています。アスベストに係る工事を行う際は、専門業者に依頼することをお勧めします。万が一違反した際は懲役または罰金が科せられますので、注意が必要です。

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土壌調査会社について

土壌汚染対策法によって土地の所有者等に義務づけられた土壌汚染状況調査は、指定調査機関に実施させなければなりません。また、指定調査機関による調査を必要としない場合や、自主的な調査であっても、指定調査機関が請け負う場合が多くなっています。
今回は、指定調査機関の趣旨や役割、土壌調査が必要になるケース、土壌調査全体の流れについて解説いたします。

指定調査機関の趣旨・役割

土壌汚染状況調査は、その後の土壌汚染対策の方針を決定する重要なものですが、試料の採取地点の選定や、試料の採取方法などにより結果が大きく作用されます。土壌汚染状況調査等を行う際に、不適切な調査を防止し、調査結果の信頼性を確保するため、技術的能力等を有し環境大臣によって指定された指定調査機関が調査を行うことが、土壌汚染対策法によって定められています(1)。同法によって、指定調査機関は、五年ごとに指定の更新を受けなければならないことや、技術管理者を選任しなければならないことが規定されています。また、指定調査機関は、土壌汚染状況調査等を行うことを求められた時には、正当な理由がある場合を除いて、遅滞なく調査を行う義務があり、個々の指定調査機関はそれぞれ業務規程を定め、環境大臣に届け出る必要があります。業務規程で定めるべき事項は、「土壌汚染対策法に基づく指定調査機関及び指定支援法人に関する省令」の第十九条によって定められています(2)。

土壌調査が必要になるケース

土壌調査には、法的な義務による調査(法定調査)と、自主調査(任意調査)の2種類があります。土壌汚染の調査義務は、平成14年5月に成立・公布された土壌汚染対策法、または各都道府県が定める条例に該当する場合に生じます。法的な義務に因らない自主調査の主な目的には、土地を担保に金融機関から融資を受けるための正確な担保価格の把握、土地売買の取引成立後のトラブル防止、土地の買い手への安全性のアピール等が挙げられます。特定有害物質を取り扱わない工場や、特定施設には含まれないガソリンスタンド等の跡地を売却する際など、取引成立後に訴訟トラブルになるリスクを無くすため、自主調査を行うケースがあります。

法定調査について、土壌汚染対策法によって調査義務が生じる条件には、以下の三つがあります。法的に義務付けられているこれらの調査は、対応する土壌汚染対策法の条文によって、それぞれ

3条調査
4条調査
5条調査

とも呼ばれます。これらの場合には、原則的に土地の所有者が、必要な届出を提出し、土壌汚染の調査を指定調査機関に依頼し、その調査結果を都道府県知事に報告する義務を負います。

① 特定有害物質を製造、使用又は処理する施設の使用が廃止された場合(3条)

② 一定規模以上の土地の形質の変更の際に土壌汚染のおそれがあると都道府県知事が認める場合(4条)

③ 土壌汚染により健康被害が生ずるおそれがあると都道府県知事が認める場合(5条)

3条調査は、水質汚濁防止法第二条第二項で定義されている有害物質使用特定施設(以下、特定施設と表記)を廃止する際に、行う必要がある調査です。特定施設とは、「特定有害物質をその施設において製造し、使用し、又は処理するもの(土壌汚染対策法第三条第一項)」を指します。特定有害物質は、水質汚濁防止法第二条第二項第一号で「人の健康に係る被害を生ずるおそれがある物質として政令で定める物質」とされており、土壌汚染対策法施行令によって鉛、砒素、トリクロロエチレン等、26種類の物質が特定有害物質として指定されています(土壌汚染対策法施行令第1条)。特定有害物質は、揮発性有機化合物の第一種特定有害物質、重金属等の第二種特定有害物質、農薬・PCB等の第三種特定有害物質の3種類に分類されています(3)

3000㎡以上の土地の形質の変更をする際には、各都道府県知事への届出が必要になりますが、その際に土壌汚染のおそれがあると認められた場合には、4条調査が義務付けられます。ここでの「土地の形質の変更」とは、アスファルトの敷設・引きはがし、道路工事、抜根、土壌の仮置き、建物解体に伴う基礎土壌の掘削、整地、埋蔵文化財調査、くい打ち等を指します(4)

5条調査は、土壌汚染対策法3条および4条の規定にはあてはまらないが、「土壌汚染により健康被害が生ずるおそれがあると都道府県知事が認める場合」に行われます。対象となる土地の監督行政庁が発する調査命令によって、調査の範囲、特定有害物質の種類、報告の期限が定められ、人の健康被害が生ずるのを防ぐために調査および除去等の措置がとられます。

土壌調査の流れ

土壌調査の手順は、土壌汚染対策法施行規則(平成14年)によって定められており、自主調査の場合でもそれらに準拠した方法で進められることが一般的です(5)。土壌調査から土壌汚染対策工事の施工までの流れは、しばしば以下の3つのフェーズに分けて説明されます。

  • フェーズ1:地歴調査
  • フェーズ2:状況調査・詳細調査
  • フェーズ3:土壌汚染対策

フェーズ1の地歴調査は、住宅地図や航空写真、古地図、登記簿謄本、関連法令の届出、地質・地下水の特質等から対象地の利用履歴を調べ、現地踏査やヒアリング調査と合わせて土壌汚染のリスクを判定する調査となります。土壌汚染対策法施行規則(第三条の二)では、この地歴調査により以下の3分類を行うものとしています。その3分類とは、[1]土壌汚染が存在するおそれがないと認められる土地、[2]土壌汚染が存在するおそれが少ないと認められる土地、[3]土壌汚染が存在するおそれがあると認められる土地になります。

フェーズ2の状況調査・詳細調査は、実際に対象となる土地の土壌を採取、分析し、土壌汚染の有無や、汚染の分布範囲を測定する調査です。フェーズ2は、状況調査と詳細調査の二段階に分けられます。

状況調査では、土壌ガス調査及び表層土壌調査によって、表層から50cmまでの土壌試料と、土壌中のガスを採取し、特定有害物質の有無や、平面的な汚染の分布を調べます。土壌汚染対策法では、特定有害物質は大きく3つに分類されており、それぞれの種類によって、最適な調査方法が異なります。

状況調査の結果、特定有害物質の濃度が基準値を満たしていれば、土壌汚染のない土地と判断することができますが、基準値を超える濃度で特定有害物質が検出された場合には、汚染の深度を測定するため、該当する区画で詳細調査(ボーリング調査)を実施します。ボーリング調査の範囲は原則10mまでとされており、一般的には、1.0m毎に土壌を分析し、2深度連続して基準を満たした地点が、対策深度となります。また、必要に応じて地下水の流れや水質についても調査する場合があります。これらの状況調査・詳細調査を行うことで、特定汚染物質の基準超過項目や、汚染土壌の平面分布と深度(ボリューム)が明確になります。

土壌汚染の範囲と深度を詳細に調査した後、フェーズ3に当たる土壌汚染対策工事に入ります。原位置浄化や掘削除去など、さまざまな手法があり、予算や作業環境、特定有害物質の種類によって最適な手法は異なります。土壌汚染対策工事における汚染の除去等の工程は、汚染が確認された部分の土壌(基準不適合土壌)を掘削して区域外の汚染土壌処理施設で処理する「区域外処理」と、基準不適合土壌の掘削の有無に関わらず区域内で浄化等の処理や封じ込め等の措置を行う「区域内措置」の2つに区分されます。また、後者の「区域内措置」はさらに、基準不適合土壌の掘削を行い、かつ汚染土壌処理施設への搬出を行わない「オンサイト措置」と、基準不適合土壌の掘削を行わず原位置で汚染の除去をする「原位置措置」に分けられます(6)

株式会社エコ・テックの土壌汚染調査及び対策工事について

株式会社エコ・テックでは、調査・分析だけでなく対策方法のプランニングや土地の活用方法のご提案まで、土壌汚染の専門家として様々なアドバイスを行っています。土壌汚染にまつわる一連の問題解決に向け、調査から浄化、リサイクルまで、トータルで承ります。全国(東京・名古屋・大阪・岡山・福岡等)で、無料相談・無料見積もりを実施しておりますので、土壌汚染に関するご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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解体工事業登録について

解体工事業を営むためには、建設業法に基づく建設業の許可(解体工事業)または建設工事に係る資材の再資源化に関する法律(通称:建設リサイクル法、建設資材リサイクル法)に基づく解体工事業の登録のいずれかが必要となります。どちらが必要であるかは、工事請負金額によって決まります。工事請負金額が500万円未満の解体工事のみであれば、解体工事業の登録あるいは「土木」または「建築一式」の建設業許可があれば行うことができます。

建設業許可との違い

平成2664日に、「建設業法等の一部を改正する法律(改正建設業法)」が公布され、それまで「とび・土工・コンクリート工事業」に含まれていた「解体工事業」が29種目の建設業許可の業種区分として新設されたため、現在では工事請負金額が500万円以上の解体工事を行うためには、建設業許可(「解体工事」)が必要となります。

建設業許可を受けるためには、

①経営業務の管理責任者の要件
②専任の技術者の配置
③財産的要件
④欠格要件等に該当しないこと
⑤建設業の営業を行う事務所を有すること

5つの要件を満たす必要があります(1)

解体工事業登録制度の設立の背景

建設業法の改正により、それまで28種類だった建築業許可業種に、解体工事業が新設され、29種目の許可業種となりました(建設業法第二条第一項の別表第一を参照)。改正前は、解体工事は「とび・土工・コンクリート工事業」に含まれており、とび・土工・コンクリート工事業の建設業許可を受けていれば解体工事を行うことができました。しかし、近年は高度経済成長期に造られた建築物や工作物等の老朽化が進行しており、解体工事現場における公衆災害・労働災害の増加や、防災面および環境面への配慮の必要性の高まりなどを背景として、平成2664日公布の建設業法改正(平成2861日施行)により、解体工事業は新たな建設業許可区分のひとつとして独立しました。この解体工事業の新設は、疎漏工事や公衆災害・労働災害を防止するとともに、専門工事業の地位の安定・技術の向上を目的としています(2)。解体工事は、現場の安全管理や建設産業廃棄物の処理、建築資材のリサイクル方法についての高度に専門的な知識・技術が要求されるということで、今回の業種区分や技術者資格の見直しに繋がりました。

解体工事業登録の要件

解体工事業の登録を受けるためには、必要な要件は2つあります。

①技術管理者の設置
②登録の拒否事由(欠格要件)に該当しないこと

です。また、解体工事業の登録は、解体工事を施工する都道府県ごとに申請が必要です。

解体工事業の登録のために配置が必要な技術管理者は、解体工事現場の安全管理、廃棄物処理や建設資材のリサイクルについての監督・指導をする役割を持ちます。技術管理者であると認められるためには、国土交通省令で定める要件を満たしている必要があります。技術管理者の登録要件は、都道府県によって異なる場合があるので、注意が必要です。以下では、大阪府住宅まちづくり部建築振興課の『解体工事業登録申請等の手引き』(令和310月改訂版)の内容に沿って、技術管理者の要件について説明していきます(3)

技術管理者の登録には、

①必要な実務経験年数を満たすこと、もしくは
②特定の資格を持っていること、

のいずれかが必要になります。①は建設リサイクル法の第三十一条、②は同朋の第二十四条で定められています(4)

技術管理者に必要な実務経験年数については、解体工事の実務経験でなければいけません。実務経験の証明者が証明期間に建設業許可業者(木工事業、建築工事業、解体工事業)または解体工事業登録業者でなければ、実務経験として認められないため、注意が必要です。また、技術管理者となるために必要な実務経験年数は、学歴によって異なりますが、公益社団法人全国解体工事業団体連合会が実施する「解体工事施工技術講習」を受講した者は必要な実務経験期間がそれぞれ1年短縮されます。

また、実務経験が以上の基準を満たしていなくても、国が定めた特定の資格を保有している場合、技術管理者を務めることができます。保有者が技術管理者として認められる資格とは、

①建設業法による技術検定
②技術士法による第二次試験(技術士「建設部門」)
③建築士法による建築士(一級建築士、二級建築士)
④職業能力開発促進法による技術検定
⑤国道交通大臣が指定する試験(解体工事施工技士試験合格者)

です。

以上に述べた要件を満たす技術管理者を配置していても、「建設工事に係る資材の再資源化に関する法律」第二十四条の登録の拒否事由(欠格要件)に該当してしまうと、解体工事業の登録を行うことができません。解体工事業登録の拒否事由は、以下の9つになります。

①解体工事業の登録が取り消され、その処分のあった日から二年を経過しない者
②解体工事業の登録を取り消された法人において、その処分日の前30日以内に役員であり、その法人の処分日から二年を経過していない者
③解体工事業の停止を命ぜられ、その停止の期間を経過していない者
④建設リサイクル法に違反して罰金以上の刑に処せられ、その執行が終わってから二年を経過しない者
⑤暴力団員である、もしくは暴力団員でなくなった日から五年を経過しない者
⑥事業者が未成年者である、もしくはその法定代理人が拒否事由に該当する者
⑦登録を申請する法人において、役員のうちに上記の拒否事由に該当する者があるもの
⑧技術管理者を選任していないも者
⑨暴力団員等の反社会的勢力がその事業活動を支配する者

です。以上の拒否事由のいずれかに該当する場合は、解体工事業の登録を行うことはできません。

解体工事業登録手続きについて

解体工事業を営むためには、解体工事を行おうとする区域ごとに、その区域の都道府県知事の登録を受ける必要があります。解体工事業の登録先は、各都道府県で、大阪府の登録手数料は新規の場合で33,000円、更新の場合で26,000円となります。必要な提出書類は

①解体工事業申請書(規則様式第一号)
②誓約書(規則様式第二号)
③技術管理者の資格要件を確認する書類(実務経験証明書、卒業証書・資格証明書・解体工事施工技術講習修了証の写し等)
④登録申請者の調書(規則様式第四号)
⑤申請者の所在確認書類(商業登記簿謄本、住民票)
⑥技術管理者の在籍を確認する書類(技術管理者の健康保険証、雇用保険証、給与台帳等)
⑦営業所の所在地を確認する書類(賃貸契約書の写し、建物登記簿謄本等)
⑧本人確認書類(運転免許証、パスポート等)

です。また、更新申請の場合は、嘉一ア工事業登録通知書の原本または写しも必要です。これに加えて、申請者が未成年者の場合には法定代理人の証明書の写しおよび住民票、代理人が申請する場合には委任状の原本が必要となります。

解体工事業の登録にかかる期間は、申請書の受理から45週間程度です。登録の有効期間は5年間で、登録を更新するためには有効期間満了の30日前までに更新手続きを行う必要があります。更新をしないまま有効期間が終わってしまうと無登録状態になるため、その状態で解体工事業を行った場合は「一年以下の懲役または五十万円以下の罰金刑」が課され、以後二年間解体工事業の登録をすることができなくなってしまうため、注意が必要です。また、商号、所在地、役員、技術管理者等に変更があった場合や、法人の合併、破産等によって廃業した場合、その日から30日以内に届け出が必要です。ほかに、解体工事業者の登録を受けた後、建設業法に基づく「土木工事業」、「建築工事業」、「解体工事業」の許可を受けた場合は、許可後30日以内に都道府県に通知書を提出しなければなりません。

 

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