解体後の整地の費用について

建物の解体をした後そのままで終わりではなく、整地をすることによりその後の土地の使い道にメリットがあります。今回は整地と更地の違い、整地のメリット、解体後の整地の種類と種類別の費用についてご紹介します。

そもそも整地とは・更地との違い

 建物解体後は整地をする必要があります。整地とは、土をならして平坦にするなど、土地や地面をきれいに整えることです。解体工事後の土地は廃棄物、大きな石や砂利などにまみれています。このような不要物を取り除き平らな状態にすることが「整地」です。

重機で土地に圧力をかけて固めるという転圧作業も行います。不要物を取り除き、土地に何もない状態にした後、重機で均一にして踏み固めて地盤を安定させます。

解体後の土地の二次活用を考えている場合は整地までした方が後に役立ちます。

「整地」と類似する言葉で「更地」があります。整地の場合は建物がない状態で土地を平らな状態に整えることを言いますが、更地とは、土地に建物がない状態のことを指します。そのため更地の場合は整地された土地のように地面が平らではなくでこぼこしており、大きな石や砂利などが残っている場合もあります。そのためそのままでは土地活用が出来ないため、更地の土地活用を考えている場合は整地も必要となります。

解体後の整地のメリット・デメリット

 解体後に更地のままにするのではなく整地することのメリットは大きく分けて3つあります。1つずつ見ていきましょう。

①すぐに工事が始められる

土地を二次活用する場合は更地ではなく整地作業を行う必要があります。整地には時間がかかるため、解体後すぐに整地を行っておけば、今後土地の二次活用をする際にすぐに土地を活用することが出来ます。

 

②土地を少しでも高く売却出来る

整地をする際の理由として挙げられるのが、土地を少しでも高く売却するということです。大きな石、砂利や不要物がある場合買い手が整地しなければならなくなるため、買い手がつかない可能性が出てきます。整地されている土地は整地されていない土地と比べ高く売却される傾向があります。土地を売却するのであれば、整地が必要といえます。

 

③土地活用の幅が広がる

整地後の土地は二次活用として、そのまま建設するか売却するかという点からも様々な活用用途の選択肢を得ることが出来ます。

例えば

  • ・新しい家を建てる
  • ・アパートやマンションを建てる
  • ・駐車場として利用する
  • ・太陽光発電システムを設置する
  • ・コインランドリーを運営する
  • ・コンテナ型トランク運営する

など様々な用途があります。

このように整地しておくことで土地の二次活用にすぐ着手することが出来ます。

解体後の整地のメリットを述べてきましたが、解体後の整地のデメリットはあるのでしょうか。

解体後の整地のデメリットとして挙げられるのは、費用がかかることです。どうしても重機を使って整地を行うので費用がかかってしまいます。

それ以外にデメリットは特にないといえるので、土地を二次活用したい場合は整地をするのが良いといえます。

整地の種類と費用について

ひとえに整地と言っても土地の活用別にその土地に合った整地にするために、整地の仕上げ方には種類があります。種類と種類別の1平方メートルあたりの費用について見ていきましょう。

①粗仕上げ(粗整地)

粗仕上げ(粗整地)とは、整地の中で最も簡単な整地方法で、土地を平らにすることを主としています。解体後のコンクリート、ガラス、石、木くずなどを除去し重機もしくはトンボで地面を平らに固めます。

地面にごみや不要物がなければ良いというのが粗仕上げ(粗整地)であるので、費用は一番安く、トンボを使用することにより施工主自ら行うことも可能です。

費用は、1平方メートルあたり300円~600円です。

②砕石整地(砕石舗装)

砕石整地(砕石舗装)とは、基本的には粗仕上げ(粗整地)とは変わりませんが、砕石整地(砕石舗装)の場合は整地後に石を適当な大きさに砕いた石を敷く、砕石という方法でタイヤローラーや振動ローラーを使用し地面を転圧しきれいな状態に仕上げます。

よりきれいに整地するのが砕石整地(砕石舗装)の特徴であるため、時間やコストがかかりやすい方法といえます。

費用は、1平方メートルあたり2,000円~7,000円です。

③砂利整地

砂利整地とは、砕石整地(砕石舗装)と似た整地方法です。砂利整地の場合は砕石も含みますが、その他の石や砂も混ざった状態で仕上げていきます。砂利を敷き詰めることにより雑草対策に効果があります。砕石整地(砕石舗装)よりは費用を安く済ませることが出来ます。

費用は、1平方メートルあたり1,000円~1,500円です。

④真砂土舗装

真砂土舗装とは、花崗岩が風化して出来た土、真砂土で、砕石整地(砕石舗装)と同様にタイヤローラー、振動ローラーを使用して地面を転圧ししっかりと締め固めて仕上げます。土地活用においてさまざまな選択肢を持つことが出来るのが特徴です。特に土地売却の際に取り入れられる方法です。

費用は、1平方メートルあたり3,000円~4,000円です。

⑤コンクリート整地・アスファルト整地

コンクリート整地・アスファルト整地とは、コンクリートやアスファルトで舗装する方法のことです。

砕石で舗装してから型枠メッシュなどを入れてコンクリートまたはアスファルトで舗装します。

コンクリート整地は耐用年数が長く補修回数が少ないというメリットがります。ただしアスファルト整地と比べて初期費用が高く養生期間が長くなるデメリットがあります。

アスファルト整地は費用は安いですが補修回数が多くなる傾向にあります。

費用は、コンクリート整地が、1平方メートルあたり5,000円~10,000円・アスファルト整地が、1平方メートルあたり3,500円~6,000円です。

⑥防草シート仕上げ

防草シート仕上げとは、その名の通り雑草が生えてくるのを防ぐことに適した仕上げ方です。また種子の根付けを防ぎたい場合も効果的です。特殊なシートで日光を遮るため雑草を寄せ付けなくなります。

ただし防草シートだけだと見栄えがよくないため上に砂利を敷くなどすることが多いです。防草シートを覆う場合はすでに生えている雑草や小石をしっかり取り除くことが大切です。

費用は、1平方メートルあたり1,000円~6,000円です。

ご紹介した費用は1平方メートルあたりの金額なので、基本的に整地する面積が広くなればなるほど金額も上がります。また雑草が多い場合や、傾斜がある場所での整地作業は作業内容も難しく、作業員の技術力もいるため、金額も上がります。

目的別おすすめ整地方法

 建物の解体後土地の二次利用をどのように活用していくかにより整地の種類は変わっていきます。適した整地の方法を紹介します。

①土地を売却する場合

土地を売却する場合は、仕上がりが美しい真砂土舗装での整地を行うのがおすすめです。土地を探している人の購買意欲が高まる仕上がりといえます。

②駐車場として利用する場合

駐車場として利用する場合は、コンクリート整地・アスファルト整地を行うのがおすすめです。駐車場として利用する場合は整地後基本的に工事期間が少なくすぐ開始することが出来ます。

③土地を利用する予定がない場合

建物を解体後、土地をどう二次活用していくか決まっていない場合は、一番コストを抑えられる粗仕上げ(粗整地)を行うのがおすすめです。

最後に

解体後の整地について述べてきました。整地は解体後の土地二次活用において重要なステップです。解体して終わりではなく最後の整地まですることによりメリットの享受が多いため解体工事は整地まですることをおすすめします。

また、信頼できる業者に任せないと作業内容の出来に差が出るため後悔する可能性が出てきます。そのため信頼できる業者に託すことが大切といえます。

株式会社エコ・テックの解体工事について

株式会社エコ・テックでは、家屋、建物の事前調査から解体計画の作成だけでなく、解体工事の専門家として様々なアドバイスを行っています。

全国(東京・名古屋・大阪・岡山・福岡等)で、無料相談・無料見積もりを実施しておりますので解体工事に関するご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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土壌汚染対策の項目について

土壌や地下水に含まれることが原因で人の健康に被害を生ずるおそれがある特定有害物質。どのような使用用途がある物質かご存知ですか?そこで今回は土壌汚染対策法の特定有害物質について基準値の一覧と項目の使用用途についてご紹介します。

土壌汚染対策法の基準値について

 土壌の特定有害物質による汚染から私たちの健康を維持し環境保全する必要があります。

土壌汚染対策法基準は、特定有害物質による土壌汚染等の有無を判断する基準であり、土壌溶出量基準、土壌含有量基準、地下水基準の3つからなっています。

特定有害物質とは土壌や地下水に含まれることが原因で人の健康に被害を生ずるおそれがある有害物質として土壌汚染対策法施行令で定めた26物質のことです。

第一種特定有害物質(揮発性有機化合物)、第二種特定有害物質(貴金属等)及び第三種特定有害物質(農薬等)があり、各物質ごとに土壌溶出量基準や土壌含有量基準等の基準値が設定されています。

①地下水摂取などによるリスクからは土壌溶出量基準が、②直接摂取によるリスクからは土壌含有量基準が定められています。

土壌溶出量基準及び地下水基準は、土壌に含まれる特定有害物質が溶け出し、地下水等から飲料水にともなって間接摂取して問題ないレベルとしての基準です。

土壌含有量基準は、土壌に含まれる特定有害物質を経口又は皮膚より直接接種しても問題ないレベルとしての基準です。

土壌含有量基準については、すべての特定有害物質に設定されていますが、土壌含有量基準については、特定有害物質のうち貴金属を中心とする9物質についてのみ定められています。

土壌汚染対策法の基準値一覧

  土壌汚染対策法の基準値一覧を掲載します。

土壌溶出量基準は、土壌に水を加えた場合に溶出する特定有害物質の量に関する基準で、1リットル中のミリグラム(mg/l)で表します。

土壌含有量基準は、土壌に含まれる特定有害物質の量に関する基準で、1キログラム中のミリグラム(mg/kg)で表します。

地下水基準は、地下水に含まれる特定有害物質の量に関する基準で、1リットル中のミリグラム(mg/l)で表します。(2)

第一種特定有害物質(揮発性有機化合物)

第一種特定有害物質は、土壌含有量基準がないため「-」で表しています。

特定有害物質の種類

土壌溶出量基準

土壌含有量基準

クロロエチレン

検液1Lにつき0.002mg以下であること

-

四塩化炭素

検液1Lにつき0.002mg以下であること

-

1,2-ジクロロエタン

検液1Lにつき0.004mg以下であること

-

1,1-ジクロロエチレン

検液1Lにつき0.1mg以下であること

-

1,2-ジクロロエチレン

検液1Lにつき0.004mg以下であること

-

1,3-ジクロロプロペン

検液1Lにつき0.002mg以下であること

-

ジクロロメタン

検液1Lにつき0.002mg以下であること

-

テトラクロロエチレン

検液1Lにつき0.01mg以下であること

-

1,1,1-トリクロロエタン

検液1Lにつき1mg以下であること

-

1,1,2-トリクロロエタン

検液1Lにつき0.006mg以下であること

-

トリクロロエチレン

検液1Lにつき0.01mg以下であること

-

ベンゼン

検液1Lにつき0.01mg以下であること

-

 

第二種特定有害物質(貴金属等)

特定有害物質の種類

土壌溶出量基準

土壌含有量基準

カドミウム及びその化合物

検液1Lにつきカドミウム0.003mg以下であること

土壌1kgにつきカドミウム45mg以下であること

六価クロム化合物

検液1Lにつき六価クロム0.05mg以下であること

土壌1kgにつき六価クロム250mg以下であること

シアン化合物

検液中にシアンが検出されないこと

土壌1kgにつき遊離シアン50mg以下であること

水銀及びその化合物

検液1Lにつき水銀0.0005mg以下であり、検液中にアルキル水銀が検出されないこと

土壌1kgにつき水銀15mg以下であること

セレン及びその化合物

検液1Lにつきセレン0.01mg以下であること

土壌1kgにつきセレン150mg以下であること

鉛及びその化合物

検液1Lにつき鉛0.01mg以下であること

土壌1kgにつき鉛150mg以下であること

砒素及びその化合物

検液1Lにつき砒素0.01mg以下であること

土壌1kgにつき砒素150mg以下であること

ふっ素及びその化合物

検液1Lにつきふっ素0.8mg以下であること

土壌1kgにつきふっ素4,000mg以下であること

ほう素及びその化合物

検液1Lにつきほう素1mg以下であること

土壌1kgにつきほう素4,000mg以下であること

 

第三種特定有害物質(農薬等/農薬+PCB

第三種特定有害物質は、土壌含有量基準がないため「-」で表しています。

特定有害物質の種類

土壌溶出量基準

土壌含有量基準

シマジン

検液1Lにつき0.003mg以下であること

-

チオベンカルブ

検液1Lにつき0.02mg以下であること

-

チウラム

検液1Lにつき0.006mg以下であること

-

ポリ塩化ビフェニル(PCB)

検液中に検出されないこと

-

有機りん化合物

検液中に検出されないこと

-

パンフレット「土壌汚染対策法のしくみ」| 環境省 (https://www.env.go.jp/water/dojo/pamph_law-scheme/index.html)より

 

第一種特定有害物質(揮発性有機化合物)の項目について

 第一種特定有害物質(揮発性有機化合物)の項目について一つずつ使用用途をご紹介します。

クロロエチレン・・・合成樹脂原料や塗料として使用されます。

■四塩化炭素・・・合成原料、農薬原料や試薬として使用されます。

■1,2-ジクロロエタン・・・殺虫剤、洗浄溶剤、工業用反応溶剤、合成樹脂原料として使用されます。

1,1-ジクロロエチレン・・・合成樹脂原料として使用されます。

■1,2-ジクロロエチレン・・・溶剤原料、染料溶剤、香料溶剤、合成樹脂溶剤として使用されます。

■1,3-ジクロロプロペン・・・農薬(殺虫剤)として使用されます。

■ジクロロメタン・・・金属洗浄剤、電子機器・部品洗浄剤、医薬・農薬抽出溶剤、エアゾール噴射剤、塗料剥離剤、工業用反応溶剤、接着剤として使用されます。

■テトラクロロエチレン・・・代替フロン原料、ドライクリーニング溶剤、洗浄溶剤、塗料溶剤として使用されます。

■1,1,1-トリクロロエタン・・・代替フロン原料、試薬として使用されます。

■1,1,2-トリクロロエタン・・・合成原料、ゴム溶剤、ワックス溶剤として使用されます。

■トリクロロエチレン・・・金属洗浄剤、合成原料、塗料溶剤、ゴム溶剤として使用されます。

■ベンゼン・・・合成原料として使用されます。

第二種特定有害物質(貴金属等)の項目について

第二種特定有害物質(貴金属島)の項目について一つずつ使用用途をご紹介します。

■カドミウム及びその化合物・・・顔料、電池材料、合金原料、めっき薬剤、電気・電子材料として使用されます。

■六価クロム化合物・・・メッキ塗料、酸化剤として使用されます。

■シアン化合物・・・工業材料として使用されます。

■水銀及びその化合物・・・蛍光灯、水銀体温計、水銀温度計として使用されます。

セレン及びその化合物・・・顔料原料、写真・印刷薬品として使用されます。

鉛及びその化合物・・・鉛管、顔料、染料、殺虫剤、合金として使用されます。

砒素及びその化合物・・・合成原料、試薬として使用されます。

ふっ素及びその化合物・・・ふっ素樹脂の原材料、殺虫剤、消毒材料、ふっ素を含む合成樹脂として使用されます。

■ほう素及びその化合物・・・ロケット燃料、試薬として使用されます。

第三種特定有害物質(農薬等/農薬+PCB)の項目について

第三種特定有害物質(農薬等/農薬+PCB)の項目について一つずつ使用用途をご紹介します。

■シマジン・・・農薬(除草剤)として使用されます。

■チオベンカルブ・・・農薬(除草剤)として使用されます。

■チウラム・・・農薬(殺菌剤)、ゴム加硫剤として使用されます。

■ポリ塩化ビフェニル(PCB)・・・塗料、印刷インキ、潤滑剤、絶縁油剤として使用されます。

有機りん化合物・・・農薬(殺虫剤)として使用されています。

最後に

 土壌汚染に関する問題は土壌汚染が存在すること自体ではなく、土壌に含まれる有害な物質が私たちの体の中に入ってしまう経路が存在していることです。この経路を遮断するような対策を取れば有害物質から私たちを守れます。土壌汚染対策法基準を超えた土壌汚染が見つかった場合には、有害物質等取扱事業者や土地改変者が土壌汚染等対策指針に従って適切な措置を講ずることとなります。

株式会社エコ・テックの土壌汚染対策工事について

株式会社エコ・テックでは、調査・分析だけでなく対策方法のプランニングや土地の活用方法のご提案まで、土壌汚染の専門家として様々なアドバイスを行っています。土壌汚染にまつわる一連の問題解決に向け、調査から浄化、リサイクルまで、トータルで承ります。全国(東京・名古屋・大阪・岡山・福岡等)で、無料相談・無料見積もりを実施しておりますので土壌汚染に関するご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

 

参考URL

土壌汚染対策法について(法律、政令、省令、告知、通知)| 環境省 (https://www.env.go.jp/water/dojo/law/kaisei2009.html)

パンフレット「土壌汚染対策法のしくみ」| 環境省 (https://www.env.go.jp/water/dojo/pamph_law-scheme/index.html)

ケミココ(ここから探せる化学物質情報)| 環境省 (https://www.chemicoco.env.go.jp/)

土壌汚染対策法|公共財団法人日本環境協会

(https://www.jeas.or.jp/dojo/law/outline.html)

 

土壌汚染対策法の対象物質と指定基準|岐阜市

(https://www.city.gifu.lg.jp/kurashi/kankyo/1003103/1003131/1003134.html)

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アスベスト除去作業主任者について

アスベストの有無に関わらず、建築物の解体・改修・補強工事において、アスベストが含まれているか否かの調査報告を遅延なく行う必要があります。

工事・解体を行う際にはどのような対応や資格が必要となるでしょうか。

この記事ではアスベストに関わる資格や責任について説明していきます。

アスベストに関する資格

アスベスト処理工事を行ううえで「石綿作業主任者の選任」、「労働者全員に石綿特別教育を実施 」、「特別管理産業廃棄物管理責任者の設置」などが必要です。

その他にも以下の役割の担当者を選定する必要があります。

  • ・石綿取扱作業従事者
  • ・石綿作業主任者
  • ・特別管理産業廃棄物管理責任者
  • ・アスベスト診断士
  • ・建築物石綿含有建材調査者
  • ・作業環境測定士

それぞれ詳しく見ていきましょう。

石綿作業主任者

石綿作業主任者は、労働安全衛生法で定められた国家資格です。技能講習を修了した人の中から事業者によって選任されます。石綿作業主任者は、労働者をアスベストの汚染から守るにはどの方法がよいのかを選び、予防装置を点検したり、保護具の使用状況を監視したり、現場での指揮も行います。現場監督のような存在ですが、除去作業もするので労働者でもあるのです。

石綿作業主任者技能講習修了者とは
特定化学物質等作業主任者技能講習修了者(平成18年3月まで)

第1種の作業環境測定士

  • ・建築士法に基づく、一級建築士及び二級建築士の免許登録者
  • ・建設業法に基づく、一級施工管理技士(建築施工管理)の資格を有する者
  • ・労働安全衛生法に基づく、労働衛生コンサルタントの資格を有する者
  • ・アスベストを含むものの除去に関し、3年以上の実務経験をもつ者
  • ・アスベスト有無の事前調査に関し、1年以上の実務経験をもつ者

石綿作業主任者と似た資格名に「石綿作業従事者」があります。

これは、アスベストを扱う現場で実際に作業する者が認定を受けなければならない資格です。アスベストを含む建材を扱う現場では、建材を移動させるだけでも資格がないと作業できません。認定を受けるには、石綿取扱作業従事者特別教育を受講します。

「石綿作業従事者」の資格は現場での作業に必須ですが、現場の指揮や監督はできません。

計画から作業まで、アスベスト除去全般にわたって関与するには、石綿作業主任者の資格が必要です。

石綿作業主任者取得の流れ

石綿作業主任者の資格取得は次のような流れです。

  1. 1.技能講習参加
  2. 2.修了試験に挑戦

技能講習の申し込み方法や修了試験の内容など、それぞれ詳しく解説します。

受講資格

特になし

講義内容

・石綿による障害とその予防措置

・作業環境の改善方法

・労働衛生保護具

・関係法令

受講料

<東京都の場合>

・受講料

・テキスト代

※講習会場によって、受講料、テキスト・資料代は異なります

受講資格は特にありませんが、18歳未満は労働基準法年少者労働基準規則第8条により、石綿を扱う作業ができません。
そのため、受講制限をしている都道府県もありますので注意してください。

日程、費用、会場の詳細は、各都道府県によって異なります。

申し込みの際、詳細を把握しておきましょう。

修了試験

技能講義を修了した後、修了試験を受けることができます。

修了試験の結果は、試験終了後30分ほどで発表されます。

その場でカード型の修了証が発行される場合もあれば、後日郵送される場合もあるので、申し込む際に確認しておくとよいでしょう。

問題数

25問

合格基準

・各科目40%以上、かつ総合で60点以上の得点

試験方法

・三者択一式

その他の資格について

石綿取扱作業従事者

石綿取扱作業従事者はアスベストを取り除くための専門の資格です。石綿取扱作業従事者の特別教育を受けていない場合、作業関係者以外は現場に入ることはできません。

監督内容

  • ・粉じんの吸引を防止するための作業指示
  • ・吸排気措置などの予防装置の点検
  • ・保護具の確認
  • ・退避指示

特別管理産業廃棄物管理責任者

事業所は、特別管理産業廃棄物管理責任者を設置しなければなりません。特別管理産業廃棄物管理責任者は、アスベスト除去作業後の廃棄処理業務が最後まできちんと実施されるように管理します。主な業務は、現場から廃棄物がどのくらい排出されているのかを把握する、現場に適した処理計画を立てる、保管状況を確認する、委託業者を選ぶなどです。

アスベスト診断士

アスベスト診断士は、既存の建築物のアスベスト調査や取り扱いのアドバイスができる資格です。「石綿の有無の調査の基本がわかる者」や「石綿処理工事の監査ができる者」などの養成を目的として発足しました。主な仕事内容としては、以下の通りです。

  • ・アスベストの使用場所の調査
  • ・処理の要否と処理方法の判断
  • ・アスベストを含む建物の解体工事が適正判断
  • ・アスベスト診断士の取得方法

建築物石綿含有建材調査者

建築物石綿含有建材調査者は、建築物の解体や改修を行う際にアスベストの有無を調査する資格です。「一般」「一戸建て」「特定」という3つの種類があり、それぞれで従事できる建築物が異なります。

一戸建ては、戸建て住宅の調査の専門の資格であり、一般と特定は、一戸建ても含めた、全ての建築物、構造物を調査できます。また、令和5年10月1日より、建築物石綿含有建材調査者が調査にあたることが義務付けられたため、取得は必須となります。

作業環境測定士

作業環境測定士は、アスベストが飛散する可能性がある場所で、濃度やサンプリングの解析ができる資格です。労働安全衛生法に定められた国家資格で、第一種と第二種の2種類があります。

第一種作業環境測定士:デザイン・サンプリング、分析(解析を含む)のすべて

第二種作業環境測定士:デザイン・サンプリング、簡易測定器による分析業務のみ

第二種作業環境測定士は従事できる業務が定められているため、取得前に必要な作業内容を確認しておきましょう。

実際に解体作業に係る資格

1.建設機械施工技師(1級や2級)

2.土木施工管理技士(1級や2級)

3.建築施工管理技士(1級や2級)

4.とび技能士(1級や2級)

5.解体工事施工技士

アスベストを含む建築物の解体工事業者を選ぶ際は、安すぎる業者には注意をすること、調査資格から解体工事に係る資格を保有する業者の選定が重要です。アスベスト含有調査では、気が付かない箇所の見落としが原因で健康被害のリスクがあります。また、解体工事における大きな問題に不法投棄があります。廃棄費用を削って利益を上げる目的で行われるようですが、不法投棄が発覚した場合、解体業者と排出業者に行政から原状回復の措置命令が出され、この命令に従わなかった場合、5年以下の懲役、または1,000万円以下の罰金、あるいはその両方が適用されることになっています。

労働者全員への石綿特別教育が必要です。

労働者がアスベスト除去作業を行う場合、事業者は「石綿特別教育」を実施しなければなりません。(石綿障害予防規則 2005年7月1日施工)※1これは、労働者をアスベストの汚染から守るために必要な講習なのです。

2023年10月からの大気汚染防止法が改正に伴い、アスベスト除去に必要な資格が変わりました。アスベストの有無にかかわらず、2023年10月1日以降着工の解体・改修工事において事前調査と報告が義務化されます。

調査を行える資格は以下の通りです。

  • ・特定建築物石綿含有建材調査者(特定調査者)
  • ・一般建築物石綿含有建材調査者(一般調査者)
  • ・一戸建て等石綿含有建材調査者(一戸建て調査者)
  • 2023年9月30日以前に(一社)日本アスベスト調査診断協会に登録されている者

改正以降はアスベスト診断士の事前調査が認められなくなるため注意しましょう。

しかし、アスベスト診断士であれば日本アスベスト調査診断協会に入会できます。

アスベスト解体工事は専門的な知識と技術が必要です

アスベストは人体に有害であり、取扱いには十分な注意が必要です。アスベスト解体工事を請け負う業者は「アスベストの有害性」「粉じんの発散防止」「保護具の使用方法」など必要な講習を受ける義務があります。解体業者に工事を依頼する際は、アスベスト除去工事の経験と実績が豊富な業者を選ぶことが大切です。また、補助金の活用も視野に地方公共団体の補助金制度に関しても確認しておきましょう。

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アスベスト調査のサンプリングについて

アスベストが含まれる建物を解体する際は、通常の解体工事作業に加え、アスベスト除去の工事も実施する必要があります。アスベストの除去工事は危険を伴うため、専門知識や特別な措置や作業が必要です。また、大気汚染防止法および石綿障害予防規則の改正により、令和4年4月1日以降、個人宅を含む一定規模以上の解体・改造・補修工事について、アスベストの有無に関わらず石綿(アスベスト)の事前調査結果の報告が義務化されます。さらに令和5年(2023年)10月からは有識者によるアスベストの事前調査・分析が義務化されることが決まっています。この記事ではアスベスト調査のサンプリングについて説明していきます。

アスベストとは

石綿(アスベスト)は安価で、耐火性、断熱性、防音性、絶縁性耐、薬品性、耐腐食性、耐摩耗性など多くの機能において優れていたため、耐火、断熱、防音等の目的で使用されてきました。しかし、アスベストに関する健康への被害が判明し、1975年に5重量%を超えるアスベストの吹き付けが原則禁止とされました。

アスベストの危険性

アスベストは肉眼では見ることができない程繊維が細かいため、飛散しやすく人が吸い込んだ際に人体に影響を及ぼすことが判明しています。またその健康被害はアスベストを吸い込んでから長い月日をかけて現れると言われており、その潜伏期間は平均40年ということがわかっています。また、WHOの報告により、アスベストの繊維は、肺線維症(じん肺)、悪性中皮腫の原因になることがわかっており、肺がんを起こす可能性があることが知られています。

アスベスト調査とは?

解体予定の建物にアスベストが含まれているかどうかの調査を意味します。アスベストが含まれた建物をそのまま解体してしまうと、作業者や近隣住民に重大な健康被害をもたらす可能性があるため、解体前にしっかりとアスベストの有無を調査した上でアスベストが含まれていた場合は慎重に除去作業を行う必要があります。

アスベスト調査の流れ

書面調査

現地調査

検体採取

分析

事前調査報告

⒈書面調査

書面調査では、使用されている建築材料に石綿が使用されているか否か、石綿(アスベスト)含有建材データベース等を使用した調査を行います。

図面などの書面や聞き取りから情報をできる限り入手し、それらの情報からできる限り多く、石綿の使用の有無に関係する情報を読み取ります。

 

⒉現地調査

石綿の使用状況を網羅的に把握するため、現地で目視調査を行います。

 

⒊検体採取

分析を行うこととなった建材の試料採取については、目的とする分析対象を採取できるよう同一材料と判断される建築材料ごとに、代表試料を選定し、採取しなければなりません。一般に分析は、分析対象の代表性と変動性(均一性)を考慮したものとすべきであり、建材の石綿分析においては、具体的には、現地での目視調査において同一と考えられる範囲を適切に判断し、試料採取において建材にムラがあることを考慮しなければなりません。

 

⒋分析

大防法及び石綿則において、石綿含有ありとみなす場合を除き、石綿含有の有無が不明な場合は分析を行うことが義務づけられています。分析方法は、日本工業規格(JIS)A 1481 規格群をベースとし、その実施に当たっては、厚生労働省の「石綿則に基づく事前調査のアスベスト分析マニュアル」の記載内容を優先する必要がある点に留意する必要があります。これに基づく石綿分析の流れとしては、まず、建材中の石綿の含有の有無を調べるための定性分析を行います。定性分析で石綿が含有していると判定された場合は、含有率を調査するための定量分析を行い、建材中の石綿の含有率(0.1%以下か否か)を確定させます。ただし、定性分析で石綿ありと判定された場合において、定量分析を行わずに、石綿が 0.1%を超えているとして扱うことも可能です。

サンプル採取作業について

採取場所の養生

サンプル採取の際は保護具の着装と採取場所の養生を行います。採取作業時に床に落ちたり、飛散したりする可能性があり、通行人や周囲の第三者が吸引してしまう恐れがあります。必ず養生は行いましょう。また、採取場所に第三者が近づいたり通行する場合、近づかないように周知や立ち入り禁止区画をしましょう。

採取作業

採取場所の養生が完了したら、実際にサンプル採取作業を行います。サンプル採取は建材ごとに異なり、主な建材は以下の4つに分かれます。

・吹付材

・形成板

・保温材・断熱材・耐火被覆材

・仕上げ塗料材

それぞれの建材によって、採取方法や使用する道具が異なります。

吹付材

1つ目の建材は、吹付材です。吹付材は、主に天井や壁に使用されている場合が多いです。採取方法としては、採取箇所に水を使って飛散防止措置を行います。このとき、スプレー用の容器に入れて吹くと、効率よく飛散防止ができます。

採取箇所が湿ったら、約10㎤程度をスクレーパーで採取します。約3箇所分の採取ができたら、最後に採取部分に飛散防止材を吹き付けて完了です。

形成板

2つ目の建材は、形成板です。形成板は、主に床や壁、天井に使用されている場合が多いです。採取方法は、採取箇所に水を使用して飛散防止を行います。採取箇所が湿ったら、約100㎤程度をカッターで採取します。約3箇所分の採取ができたら、補修用のプレートで採取箇所の穴を塞ぐと完了です。

保温材・断熱材・耐火被覆材

3つ目の建材は、保温材・断熱材・耐火被覆材です。主に、天井裏の建材として使用されている場合が多いです。採取方法は、基本的に吹付材と同様の採取方法となっており、カッターやスクレーパーで採取していきます。

仕上げ塗料材

4つ目の建材は、仕上げ塗装材です。仕上げ塗装材は、主に内壁や外壁などに使用されている場合が多いです。採取方法は、採取箇所をビニール袋や養生材で手元を簡易養生します。養生ができたら、約10㎠程度をハンマーとスクレーパーを使って採取します。

このとき、ハンマーで削っていくと、サンプルの破片が飛んでくる恐れがあるため、目に入らないようにゴーグルを確実にしておきましょう。採取ができたら、飛散防止材や変性シリコンなどで補修すれば完了です。

アスベストの主な分析方法

「定性分析」と「定量分析」

アスベストの分析方法である「定性分析」と「定量分析」の違いは以下の通りとなります。

・定性分析:アスベストの有無を調査

・定量分析:アスベストの含有率を調査

アスベストが含まれているかどうかを調べるためには定量分析を行い、アスベストがどの程度含まれているかを調べるためには定量分析を行います。

いずれの分析方法も、試料を採取して検査する点では同じですが、分析の仕方によってアスベストが含まれているかどうか、あるいはアスベストがどの程度含まれているかを調べられます。

定性分析 偏光顕微鏡法

定性分析の方法として「偏光顕微鏡法」があります。アスベストを分析する方法は厚生労働省によって指定されており、偏光顕微鏡法は日本工業規格の「JIS A 1481-1」が該当します。偏光顕微鏡を使用すると、偏光と呼ばれる光を試料に当てることで試料の色の変化や輝度を観察することができます。なお、偏光とは光の振動が規則的であるものを指します。

アスベスト繊維そのものは一般的な顕微鏡である実体顕微鏡で観察できますが、アスベストの種類までは判別できません。判別するためには偏光顕微鏡を利用します。実体顕微鏡で確認した繊維に特定の液剤を浸し、偏光顕微鏡で観察すると、アスベストの種類によって色が変化したり、光の屈折の状態を調べたりすることができます。偏光顕微鏡で観察した状況に基づいて、アスベストの種類を特定することが可能となります。

定性分析 X線回折分析法・位相差分散顕微鏡法

そのほか、定性分析の方法として、「X線回折分析法」と「位相差分散顕微鏡法」があります。これらの分析方法は、日本工業規格の「JIS A 1481-2」が該当します。

X線回折による分析とは、試料にX線を照射した場合に、X線がどのような反応するかを調べたうえで、アスベストの種類を特定する方法です。

ただし、X線回折分析法では、アスベストの種類のうち、トレモライトとアクチノライトを判別することができません。それを判別するための方法が「位相差分散顕微鏡法」です。

位相差分散顕微鏡法では、アスベストを特殊な液剤に浸し、顕微鏡で観察します。アスベストの屈折率に基づいてアスベストの種類を判断します。

定量分析 X線回折分析法

X線回折分析法は、定性分析のほかに定量分析でも行われます。この分析方法は、日本工業規格の「JIS A 1481-3」が該当します。

X線回折装置を利用して試料にX線を照射すると、アスベストが含まれている場合にはX線が反射します。反射したデータをくわしく調べることにより、資料に含まれているアスベストの質量が求められます。

なお、たいていはアスベストの含有率が低いため、試料を作る際に加熱処理をして試料の質量をできる限り減らしておくことで、より正確な含有率を測定できます。加熱後の試料の質量を加熱前の試料の質量で割れば、減量率が求められます。

アスベスト事前調査の報告内容

事前調査結果は、都道府県・労働基準監督署へ提出・報告が必要です。

具体的には一部抜粋になりますが以下のような内容になります。

工事概要、建築物等の概要、調査概要、建材ごとの調査結果と石綿「有」「みなし」の場合の作業時の措置など、細かく記載し報告しなければなりません。事前に報告内容も確認するようにしましょう。

【 報告内容(一部抜粋)】

・書面による調査・及び目視を行った者

・分析に夜調査を行った箇所

・分析による調査を行った者の氏名及び所属する機関又は法人の名称

・建築材料の種類

 ┗事前の調査の結果(石綿有・みなし・石綿無)

 ┗特定建材に該当しない場合の判断

  (①目視 ②設計図面 ③分析 ④建設材料製造者による照明 ⑤建築材料の製造年月日)

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