解体工事における道路使用許可について

解体工事は、建物や構造物を撤去するために行われますが、その際にはしばしば周辺の道路や歩道を使用する必要があります。しかし、道路使用許可を取得することなく工事を行うと、法律違反となります。今回は解体工事における道路使用許可についてご紹介します。

道路使用許可とは

 道路使用許可とは何でしょうか?道路使用許可は、道路や歩道を工事や作業で一時的に占用する際に必要な許可です。これは他の利用者の安全や通行の妨げとならないように自治体が管理する公共の道路や歩道を利用する際に必要な手続きです。解体工事は大型の重機やトラックが使用されるため、特に道路使用許可を取得することが重要となってきます。

道路使用許可は、道路を使用する行為の形態によって4種類に区分されます。

1号許可・・・道路において工事もしくは作業をしようとする行為

2号許可・・・道路に石碑、広告板、アーチ等の工作物を設けようとする行為

3号許可・・・場所を移動しないで、道路に露店、屋台等を出そうとする行為

4号許可・・・道路において祭礼行事、ロケーション等をしようとする行為

解体工事では①の、1号許可が必要となります。

道路使用許可の許可基準

 解体工事においても必要となる道路使用許可は、その許可基準についても法律上で定められている規定があります。道路交通法第77条第2項で、以下の①から③のいずれかに該当する場合は、警察署長は許可をしなければならないと定められています。 

①現に交通の妨害となるおそれがないと認められるとき

②許可に付された条件に従って行われることにより交通の妨害となるおそれがなくなると認められるとき

③現に交通の妨害となるおそれはあるが公益上又は社会の慣習上やむを得ないものであると認められるとき

この3点が道路使用許可の許可基準となっており、いずれかに該当する場合に道路使用許可を取得することが出来ます。解体工事では③の基準が適用される場合がほとんどです。

道路使用許可の申請手続き

 道路使用許可が必要な場合は管轄する警察署長の許可(道路仕様の許可行為に係る場所が同一の公安委員会の管理に属する2以上の警察署長の管轄にわたるときは、そのいずれかの警察署長の許可)を受けなければなりません。円滑に道路使用許可の手続きを進めるために事前に十分な時間的余裕を持っておくことが良いとされています。

道路使用許可の申請に必要な書類は、下記の書類が必要です。道路交通法施行規則第10条に規定されています。

①道路使用許可申請書(2通)

②道路使用許可申請書の添付書類

・道路使用の場所又は区間の付近の見取図

・道路使用の方法又は形態等を補足するために公安委員会が必要と認めて定めた書類

①道路使用許可申請書には、

・道路使用の目的

・場所又は区間

・期間

・方法又は形態

・添付書類

・現場責任者の住所・氏名

を書く必要があります。 

道路使用許可を受けようとする道路の場所を管轄する警察署(交通規制係)が申請窓口になります。

道路使用許可と道路占用許可

 道路使用許可と似た名前で道路占用許可というものがあります。許可の対象となる道路や目的なのが全く違うものです。道路使用許可と道路占用許可では基になる法律が違います。道路使用許可には道路交通法が、道路占用許可には道路法が定められています。

そのため、「道路」として扱われるものも違ってきます。道路交通法で道路として扱われているのは、

①道路法第2条第1項に規定する道路
一般交通の用に供する道で、高速自動車国道、一般国道、都道府県道、市町村道をいいます。

②道路運送法第2条第8項に規定する自動車道
専ら自動車の交通の用に供することを目的として設けられた道で①以外のものをいいます。

③一般交通の用に供するその他の場所
①、②以外で不特定の人や車が自由に通行することが出来る場所をいいます。(不特定の自由な通行が認められている私道、空地、広場、公開時間中の公園内の道路等)

 道路法で道路として扱われているのは、

①高速自動車国道

②一般国道

③都道府県道

④市町村道

この4つで、いわゆる公道として扱われる部分で私道、空地等は含まれません。道路占用許可は、この4種類の道路で行う場合、それぞれの道路管理者に対して必要となるものです。

つまり、人や車が自由に通行出来るところであれば、ほとんどが道路使用許可の対象になります。

事前協議とは

 事前協議とは、道路使用許可の許可取り扱いに食い違いが生じないように、使いたい道路を管轄する警察署長へ事前に打ち合わせを目的とした連絡を行うことをいいます。事前協議では、道路使用許可を申請する作業者が使用したい道路を管轄する警察署に赴いて具体的な話し合いを行うため食い違いが起こらず、どのような目的で道路を使用するのか、どこからどこまでの範囲を使用するのか等を話し合うことが出来ます。解体工事や作業内容において必要な日数分の許可が下りるのか、初めて道路使用許可の申請をする場合は事前協議を行って警察署からアドバイスを受けることで不安を解消することが出来ます。

情報共有、リスク管理、効率の向上、信頼関係の構築などメリットがあります。

道路使用許可の申請についての注意点

 解体工事において道路使用許可は誰が行うのかという点についてですが、道路使用許可の申請は道路交通法で「作業者」が行うと定められているので業者がおこなうことになっています。基本的には業者が行うものですが、施主が自身で道路使用許可の申請を行うことも出来ます。ただし、解体工事を行う場合は道路使用許可の他にも様々な申請が必要となるため、業者に任せることが無難です。

道路使用許可には使用期限があります。道路使用許可を申請する際にいつからいつまで道路を利用するという形で期限を定めなければなりません。それにあわせて警察署側からも許可が出ます。期限は作業に必要最低限の期間で許可が出ます。希望した期間許可が出るわけではないので注意が必要です。また使用期限の長さに関しては申請内容や許可の種類、都道府県によっても変わってきます。道路使用許可の申請をした期間を1日でも過ぎて道路を使用した場合は、道路交通法によって厳しく処罰が下ることになるのでこちらも注意が必要です。道路使用許可を申請せず道路にはみ出して作業をした場合や期間を1日でも過ぎて道路を使用した場合は、道路交通法119条に違反する行為として3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金が科せられる場合があります。

道路使用許可は解体工事の何日前までに申請すればいいかというと、2週間程度かかるとみておいた方が良いといえます。道路使用許可は申請してすぐ許可が下りるものではありません。申請してから許可が下りるまでの期間は、警察署によって変わりますが大体10日程度だとされています。そのため、道路使用許可を申請する場合は余裕をもって2週間程度かかるとみておくのがよいといえます。

道路使用許可の期間は、解体工事や作業に必要最低限の期間を考えて決めなければなりません。道路使用許可を出すことで一般の人や車両が自由に通行出来なくなるため、長期間にわたって出すことは避けなければなりません。

最後に

 解体工事における道路使用許可は、工事の安全性や周辺環境への配慮を示す重要な手続きです。適切に取得し、許可に基づいて解体工事を進めることで法的なトラブルや近隣との対立を避けることが出来ます。道路使用許可の取得をし、安全かつ円滑な解体工事を行う業者を探すことが重要です。

株式会社エコ・テックの解体工事について

株式会社エコ・テックでは、家屋、建物の事前調査から解体計画の作成だけでなく、解体工事の専門家として様々なアドバイスを行っています。

全国(東京・名古屋・大阪・岡山・福岡等)で、無料相談・無料見積もりを実施しておりますので解体工事に関するご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

参考URL

道路使用許可の概要、申請手続等 | 警察庁
(
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/seibi2/shinsei-todokede/dourosiyoukyoka/permission.html)

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土壌汚染対策の環境モニタリングについて

土壌汚染対策の環境モニタリングは、土壌汚染の早期発見や影響の評価において重要な役割を果たします。定期的なモニタリングによって、汚染源や汚染の程度を把握し、適切な対策を講じることが可能となります。今回は土壌汚染の環境モニタリングについてご紹介します。

土壌汚染対策の環境モニタリングについて

環境モニタリングとは、土壌汚染の措置等を実施する際の周辺環境への影響を把握するための調査です。土壌汚染に遭遇した場合、敷地境界外もしくは安全対策への特定有害物質汚染拡散状況の監視、措置の効果の確認、汚染の除去等の措置施工中の周辺環境及び作業環境の監視のため、地盤中、大気中の特定有害物質のモニタリングを行わなければなりません。また、遭遇した地盤汚染が土壌汚染対策法の適用を受ける場合には、土壌汚染対策法で定められたモニタリングを行います。 

土壌サンプリング

地盤中の特定有害物質の濃度を測定する最も一般的な方法です。特定の深さから土壌試料を採取し、試料中の有害物質の濃度を分析することで行われます。地盤中の濃度は、汚染の程度や広がりをみるために重要です。

地下水環境モニタリング

地下水中の特定有害物質の濃度を評価するために、地下水環境モニタリングが行われます。これは地下水を採取して試料を分析することで、有害物質の濃度を測定します。地下水中の濃度は、地下水の品質や周辺地域への影響を評価するために重要です。

大気環境モニタリング

大気中の特定有害物質の濃度を測定するために、大気モニタリングが行われます。これには大気中の微粒子や揮発性有機化合物(VOC)などの有害物質を測定するためのセンサーやモニタリング装置が使用されます。大気中の濃度は、周辺地域の環境への影響や、作業員の健康と安全のために重要です。

環境モニタリングの目的は3つに分かれます。

①措置範囲内から敷地境界外もしくは保全対象に特定有害物質が達しているかどうかを確認

→特定の土地や敷地内で行われている土壌汚染の調査や対策において、汚染物質が敷地の境界を超えて周辺環境に影響を及ぼしていないかどうかを調査します。 

 

②措置の効果を確認するため地盤中における特定有害物質の挙動を把握

土壌汚染の対策や除去等を行った後、対策の効果を評価するために、地盤中の特定有害物質の挙動を調査します。この作業は、土壌汚染対策の効果を評価し、必要に応じて追加の措置を検討するために重要です。

 

③措置施工中における労働災害発生防止のため、大気中の揮発性有害物質の濃度や特定有害物質が付着する土粒子等の濃度を監視

土壌汚染の措置や除去作業が行われる際に、作業員の健康と安全を保護するために、大気中における有害物質の濃度や土粒子の濃度を定期的に監視し、適切な防護措置を講じることです。この作業は、労働災害や作業員の健康被害を防ぐために重要です。

 

実施時期は土壌汚染に遭遇してすぐの応急処置、土壌汚染の調査段階、土壌汚染の対策段階に行います。

労働災害を防止するための作業環境のモニタリングは、労働安全衛生法を基にモニタリングを行います。特に揮発性の高い物質については大気中の特定有害物質の濃度をモニタリングします。また、土粒子が悲惨しやすい場合は、作業場付近の大気中に含まれる土粒子に付着した特定有害物質の濃度を測定します。

土壌汚染対策の環境モニタリングの流れ

 環境モニタリングの実施にあたっては、特定有害物質の移行特性を考慮し、適切な位置、範囲及び方法について定めます。また、特定有害物質の移行特性は、調査結果及び影響検討結果に基づき決定します。環境モニタリングの流れを下記で見ていきましょう。

①計画

モニタリングを行う適正な位置、範囲及び方法は、特定有害物質の移行特性により異なるため、特定有害物質の修理・濃度、地下水中に達しているか等の存在範囲、地下水の流速、方法がモニタリング計画で重要な要因となってきます。

モニタリング計画は以下の項目が把握出来るように配慮します。

特定有害物質の地盤中、地下水中及び大気中での濃度

土壌の飛散量

地下水の流速・方法 

②地下水のモニタリング範囲および位置

敷地内は汚染の除去等の措置範囲、モニタリング範囲、敷地範囲の3つに分けられます。汚染範囲から一番近いのが措置範囲、その次に近いのがモニタリング範囲、一番遠いのが敷地範囲となります。

モニタリングの範囲、及び位置の目安として、①汚染がほとんど飛散しない・②汚染の飛散が遅い・③汚染の飛散が速い、この3つのケースで分類します。

いずれも影響検討内容は定性的検討、範囲は措置範囲の近傍、位置は地下水の上下流側各1箇所以上となります。

③土壌及び待機のモニタリング範囲及び位置

特定有害物質が地表に分布する場合、まず、土壌が飛散しないように措置を実施します。早期に実施することが困難な場合は、特定有害物質の飛散の有無をモニタリングします。

特に、飛散が予想あるいは確認される場合には、範囲を拡大してモニタリング地点数を増やして飛散の状況を把握します。

また、作業環境の安全性を監視するため、大気中で土粒子とともに飛散する物質及び揮発する物質を対象にモニタリングします。 

④分析方法

モニタリングの方法は、日常モニタリングと定期モニタリングの2つに分けられます。

日常モニタリングは、主に作業者の労働環境の安全性を監視するもので、定期モニタリングは、主に特定有害物質の敷地境界外への拡散及び汚染除去等の措置の効果を確認するものとなります。

分析方法は、特定有害物質の移行特定を以下の3つに分類し適切なものを計画します。 

【定期モニタリング】①地下水を移流・分散する物質(揮発性有機化合物)・・・サンプリングした地下水の公定法による分析等

【定期モニタリング】②地盤中に留っている物質(重金属や農薬)・・・サンプリングした土壌の公定法による分析等

【日常モニタリング】③揮発あるいは飛散する物質(揮発性有機化合物や農薬)・・・サンプリングした待機の感度分光法による分析等 

⑤モニタリング頻度

モニタリング頻度については、影響検討による移行特性を考慮し決定します、施工中においては、週1回~月1回程度を目安とし、施工後においては、地下水の季節変動との関係把握から、定期的に年4回以上測定し、地下水基準を超過しない状態が2間継続することを確認する必要があります。 

⑥土壌汚染対策法の基準値

モニタリングにより得られた値は、地下水基準、土壌溶出量基準、土壌含有量基準を用いて判断します。

土壌溶出量基準及び地下水基準は、土壌に含まれる特定有害物質が溶け出し、地下水等から飲料水にともなって間接摂取して問題ないレベルとしての基準のことです。

土壌含有量基準は、土壌に含まれる特定有害物質を経口又は皮膚より直接接種しても問題ないレベルとしての基準のことです。

濃度が基準値を上回る、あるいは上回る恐れがある場合は、対策を再検討しなければなりません。 

⑦環境モニタリング結果の利用

モニタリング結果から、特定有害物質の濃度の時間変化や分布を把握し、予測される濃度や分布との差異を比較することにより汚染の拡散状況や汚染の除去等の措置の効果、作業環境の安全を確認します。モニタリング結果が予想と大きく異なる場合は、その原因を検討し、必要に応じて影響検討条件の見直しや再調査を行います。また、敷地外への特定有害物質の漏出や作業環境の安全が損なわれる危険のある場合は、新たな対策について検討します。

モニタリング結果として得られる情報は次の2項目です。

①モニタリング結果として得られる特定有害物質の濃度の時間変化

②ある地点における特定有害物質の濃度分布

これらの情報から、特定有害物質の濃度が増大しているか、汚染が拡大しているかを把握するとともに、汚染の除去等の措置の効果や作業環境の安全性を確認します。

最後に

土壌汚染の環境モニタリングは、早期発見と適切な対策によって土壌汚染の影響を最小限に抑えることが出来ます。土壌汚染対策を行う際はしっかりと土壌汚染の措置における環境モニタリングもする業者を探すことが大切です。

株式会社エコ・テックの土壌汚染対策工事について

株式会社エコ・テックでは、調査・分析だけでなく対策方法のプランニングや土地の活用方法のご提案まで、土壌汚染の専門家として様々なアドバイスを行っています。土壌汚染にまつわる一連の問題解決に向け、調査から浄化、リサイクルまで、トータルで承ります。全国(東京・名古屋・大阪・岡山・福岡等)で、無料相談・無料見積もりを実施しておりますので土壌汚染に関するご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

  

参考URL

土壌汚染対策法について(法律、政令、省令、告知、通知)| 環境省
(
https://www.env.go.jp/water/dojo/law/kaisei2009.html)

土壌汚染遭遇時対応マニュアル
https://www.pref.gifu.lg.jp/uploaded/attachment/5221.pdf

パンフレット「土壌汚染対策法のしくみ」| 環境省
(
https://www.env.go.jp/water/dojo/pamph_law-scheme/index.html)

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アスベストに関する都道府県の補助金(福岡県編)について

目次:

アスベスト調査の都道府県の補助金(福岡県編)について

  1. 1. アスベストに関する国の補助金の対象について
  2. 2. アスベスト調査に関する都道府県の補助金(福岡県編)
  3. 3. アスベスト除去に関する都道府県の補助金(福岡市編)
  4. 4. アスベスト除去に関する都道府県の補助金(北九州市編)
  5. 5. まとめ

1. アスベストに関する国の補助金の対象について

アスベストに関する国の補助金につきましては、

https://www.eco-j.co.jp/blog/20230418.html(アスベスト除去の補助金について)

こちらの記事で以前記載しております。

アスベストに関する都道府県の補助金は、実はさまざまな種類がありますので、今回は現時点で公開されている福岡県の補助金について、説明いたします。

※本コラムは、202427日時点での情報を元に記載しております。実際の補助金についてはご相談時に内容が変わっている可能性がございますので、必ず自治体に直接確認するようにお願いいたします。

2. アスベスト調査に関する都道府県の補助金(福岡県)

福岡県では、環境保全施設等整備資金融資制度として、環境保全施設等を整備される中小企業者・中小企業団体向けに、融資の制度があります。補助金については、市単位での補助金となっておりますので、福岡市、北九州市の補助金について解説いたします。

3. 福岡市民間建築物吹付けアスベスト除去等対策事業(福岡市)

福岡市では、アスベストの飛散による市民の健康被害を予防し、良好な生活環境の保全を図ることを目的として、民間建築物の所有者等が行うアスベストの分析調査、及び除去等工事にかかる費用を補助する制度です。

補助対象建築物

当該建築物の除却の予定のないこと。

建築基準法が適用される増改築等の予定のないこと。

これが対象建築物の条件となります。

分析調査事業

吹付けアスベストが施工されているおそれのある建築物

こちらが対象となります。

除去等事業

多数の人が利用する建築物(多数の人が共同で利用する部分で、附属の機械室等を含む)

が対象で、例えば店舗や事務所、共同住宅(共用部分に限ります)や駐車場などの建物です。

補助対象者

・補助対象建築物の所有者又は共同住宅(分譲マンション等)の管理組合などの代表者

・分析調査事業及びアスベスト除去等事業に関し、他の補助金等を受けていないこと。

・市税の滞納がないこと。

・大規模の事業者でないこと。(中小企業基本法第2条第1項第1号から第4号に定められている、資本金の額又は出資の総額及び常時使用する従業員の数を超えてその事業を営むものとする。) 

補助対象事業と補助金額

分析調査事業

・アスベストを含んでいる可能性のある吹付け材について行う分析調査で、建築物石綿含有建材調査者により行われる同調査を補助対象となっています。

(建築物石綿含有建材調査者制度については国土交通省のホームページで、また、建築物石綿含有建材調査者講習及び修了者については日本環境衛生センターのホームページなどで調べることができます。)

・調査に要する費用の全額。ただし、25万円が限度となります。

除去等事業

・アスベストを含む吹付け材(綿状で露出したもの)の除去、封じ込め、囲い込みの措置を行う工事であり、建築物石綿含有建材調査者が関与した作業計画に基づき実施する工事を補助対象とします。

・除去等工事に要する費用の3分の2以内の額で以下の限度額以内ですが、分析調査事業で補助金を受けた場合は、その金額を控除します。 

指定建築物

除去工事:補助限度額300万円

封じ込め工事及び囲い込み工事:補助限度額120万円


それ以外の建築物

除去工事・封じ込め工事及び囲い込み工事:補助限度額120万円

備考:

・指定建築物とは、福岡市建築基準法施行条例第6条の2第1項別表第1の対象区域内(警固断層に着目した建築物の耐震対策)に存する延べ面積が1,000平米以上の建築物を言います。

・アスベストを含む吹付け材とは、「吹付けアスベスト」又は「アスベスト含有ロックウール」でアスベスト含有率が0.1重量%を超えて含有しているものをいいます。

・除去とは、アスベストを含有した建築材料を除去することをいいます。

・封じ込めとは、飛散防止剤を用いてアスベストが含有した建築材料を被覆し、又は含有したアスベストを建築材料に固着させることをいいます。

・囲い込みとは、アスベストが含有した建築材料を板等のアスベストを透過しない材料で、囲い込むことをいいます。

4. 北九州市民間建築物吹付けアスベスト除去等補助事業(北九州市)

北九州市では市民の安全・安心を確保するとともに、新たなアスベスト被害を未然に防止することを目的として、建築物に施工されている吹付けアスベスト等の除去工事等を行う建築物の所有者等に対し、分析調査費用や除去工事等の費用の一部を補助する制度があります。 

事業の概要

建築物に施工されている吹付けアスベスト等の除去工事等を行う建築物の所有者等に対し、分析調査費用や除去工事等の費用の一部が補助されます。

※注意点:

・補助申請にあたり、内容確認のため市と必ず事前相談が必要です。

・アスベストやアスベスト含有ロックウールは、綿状のものに限り補助対象となります。

・解体を予定している建築物は、補助の対象外です。また、既に分析調査や除去工事等が完了している場合も補助の対象となりませんので、注意が必要です。

補助対象建築物

・分析調査:吹付けアスベスト等が施工されているおそれのあるもの

・除去工事等:吹付けアスベスト等が施工されているもの

が対象となります。 

補助対象者

・補助対象建築物の所有者(分譲の共同住宅については管理組合などの団体等)で、下記の要件を満たすものが対象となります。

・国、県及び他の公共団体から同様の補助金の交付を受けていないこと

・大規模な事業者(資本金3億円以上又は従業員300人以上の企業)でないこと

・暴力団員又は暴力団若しくは暴力団等と密接な関係を有する者でないこと

・市税を滞納していないこと

補助の内容

・アスベストを含んだ可能性のある吹付け建材の分析調査費用

・アスベストを含んだ吹付け建材(綿状のもの)の除去、封じ込め又は囲い込みの費用

 補助金の額

・分析調査:対象費用の10/10の額。ただし、25万円が上限となります。

・除去工事等:対象費用の2/3の額。ただし、120万円が上限で、分析調査で補助金を受けた場合は、その額が控除されます(合計120万円)。

()分析調査、除去工事等の対象費用には消費税相当額は含みません。 

代理受領制度について

・代理受領制度:補助申請者との契約により補助事業を実施した者(施工業者等)が、補助申請者の委任を受け、補助金の受領を代理で行うことができる制度となります。この制度を利用することで、補助申請者は工事費等と補助金の差額分のみを資金準備すればよいことになり、当初の費用負担が軽減されるメリットがあります。なお、代理受領制度を利用する場合は補助申請者と施工業者等との両者の合意による届出が必要です。

5. まとめ

アスベストに関する補助金としては、アスベスト調査にかかる費用を補助対象とした補助金と、アスベストの除去にかかる工事費用などを補助対象とした補助金に分けられます。一般的にはアスベスト調査にかかる補助金の方がかかるコストも少ないことから補助金の総額が15万円〜25万円ほどと少なく、一方でアスベスト除去に関する補助金は2/3以内を上限としており、120180万円が上限額(地域によって異なります)とされているなど、比較的大きい金額の補助を受けることができます。

自治体に事前の連絡や相談は必要ですが、202241日にアスベスト関連法令の改正が実施され、アスベスト含有を調べる事前調査の結果報告が義務付けられており、これには当然、調査や除去工事はコストがかかるため、解体工事全般のコスト増が懸念されているという中で、国や都道府県、市区町村などで補助金が適用できるようになっております。

これは福岡県だけでなく、他の都道府県でも補助金がありますので、これらについては追って記事にしたいと思います。本記事の情報をぜひ有効にご活用ください。

株式会社エコ・テックのアスベスト対策工事について

株式会社エコ・テックでは、事前調査からアスベスト除去工事の専門家として様々なアドバイスを行っています。

全国(東京、名古屋、大阪、岡山、福岡など)で無料相談、無料見積もりを実施しておりますので、土壌汚染に関するご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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アスベストに関する都道府県の補助金(愛知県編)について

目次:

アスベスト調査の都道府県の補助金(愛知県編)について

  1. 1. アスベストに関する国の補助金の対象について
  2. 2. アスベスト調査に関する都道府県の補助金(愛知県編)
  3. 3. アスベスト除去に関する都道府県の補助金(愛知県編)
  4. 4. まとめ

1. アスベストに関する国の補助金の対象について

アスベストに関する国の補助金につきましては、
https://www.eco-j.co.jp/blog/20230418.html(アスベスト除去の補助金について)

こちらの記事で以前記載していますが、アスベストに関する都道府県の補助金は、実はさまざまな種類があります。今回は現時点で公開されている都道府県ごとの補助金の一部について、説明いたします。

※本コラムは、202425日時点での情報を元に記載しております。実際の補助金についてはご相談時に内容が変わっている可能性がございますので、必ず自治体に直接確認するようにお願いいたします。

2. アスベスト調査に関する都道府県の補助金(愛知県)

愛知県は、県内の民間建築物吹付けアスベスト対策として補助制度があります。愛知県での建築物のアスベスト対策の補助は、市町村が事業主体として、国及び県の支援を受け実施しています。 

アスベストが施工されている可能性のある吹付け材の分析調査費を補助する制度です。

【対象区域】愛知県の補助制度を創設している市町村内

名古屋市、豊橋市、岡崎市、一宮市、瀬戸市、半田市、春日井市、豊川市、刈谷市、豊田市、安城市、西尾市、小牧市、稲沢市、知立市、岩倉市、豊明市、みよし市、東浦町、犬山市、東海市尾張旭市、蒲郡市

の計23市町が対象となります。 

対象建築物

アスベスト含有の恐れのある吹付け建材(例:吹付けアスベスト、アスベスト含有吹付けロックウール、吹付けバーミキュライト、吹付けパーライト等)が施工されている恐れのある建築物が対象となります。

対象者

対象建築物の所有者又は管理者となります。

補助内容

アスベスト含有の恐れのある吹付け建材について、アスベストの分析調査に要する費用に対し補助されます。なお、この分析調査とは、「建材中の石綿含有率の分析方法について」(平成18年8月21日付け基発第0821002号厚生労働省労働基準局長通達)により示された分析方法が標準となっています。

補助額

対象となる費用について定額25万円以内

補助額は千円未満の端数切捨て等、実際に要した費用と同じにならない場合があります。また、補助にあたっては、実施する市町村の予算等の制約があります。

補助の内訳

市町村が負担する補助金は、国が定額(10/10)で補助を行うこととなります。

この制度の目的

この制度の目的は、既存民間建築物の壁、柱、天井等に吹付けられたアスベストの飛散による人々の健康障害を予防し、生活環境の保全を図るため、建築物の所有者又は管理者が行う分析調査及び除去等に要する経費について支援することにより、アスベスト対策を促進させることを目的としています。

3. アスベスト除去に関する都道府県の補助金(愛知県編)

愛知県では、アスベストが施工されている吹付け材の除去等改修費の一部を補助する制度があります。

【対象区域】愛知県の補助制度を創設している市町村内

名古屋市、豊橋市、岡崎市、一宮市、半田市、春日井市、豊川市、刈谷市、豊田市、安城市、西尾市、小牧市、岩倉市、みよし市、犬山市、東海市、尾張旭市

 17市が対象となります。

対象建築物

吹付けアスベスト等が施工されている建築物(付属する機械室・電気室等を含みます。)

この吹付けアスベスト等の除去等の補助対象としては

・吹付けアスベスト

・吹付けロックウールでその含有するアスベストの重量が当該建築材料の重量の0.1%を超えるもの

これらが対象となります。

対象者

対象建築物の所有者又は管理者となります。

補助内容

吹付けアスベスト等の除去等に要する費用の補助で、上述の吹付けアスベスト等の除去等の補助対象であり、吹付けアスベスト等の除去等として、以下の工事が対象となります。

除去:吹付け材を全て除去する工事

吹付け材が耐火被覆材の場合、除去後は同等の耐火性能を有する部位に戻す工事が必要です。

封じ込め:吹付け材の表面に固化剤を吹付け、塗膜を形成したり、浸透させ、結合力を強化することによりアスベストを封じ込める工事をいいます。

囲い込み:吹付けアスベストが存在する天井、壁等を非石綿建材で覆いアスベストを囲い込む工事をいいます。

補助率

対象となる費用の2/3以内

補助限度額

市町村が定める額(120万円から180万円)以内が限度となります。

また、アスベスト除去等以外の改修に合わせてアスベスト除去等を行う場合には、除去等相当分の費用が補助の対象となります。

(補助の内訳)

市町村の補助金には、国が1/3、県が1/6、市町村が1/6の割合で国と県が支援し、合計で対象工事費の2/3を補助しています。

例:

改修費用が180万円要する場合では、

国が180万円×1/3=60万円

県が180万円×1/6=30万円(補助限度額の45万円以下)

市町村が180万円×1/6=30万円

合計で120万円の補助が受けられます。 

なお、すでに吹付けアスベスト等の分析調査または除去等をおこなったものは、補助の対象となりませんので注意が必要です。 

また、アスベスト除去等に関する事業については、石綿障害予防規則(厚生労働省令第二十一号)第十九条に基づく石綿作業主任者によるアスベスト除去に関する作業計画の策定にあたり、石綿含有建材調査者が関与することが求められております。 

補助を希望される方は、必ず事前に対象となる建築物が所在する市町村にご相談ください。とのことなので、対象の方は相談してみていただければと思います。

問い合わせ先 愛知県建築局公共建築部住宅計画課防災まちづくりグループ

TEL:052-954-6549(ダイヤルイン)
FAX:052-961-8145

4. まとめ

アスベストに関する補助金としては、アスベスト調査にかかる費用を補助対象とした補助金と、アスベストの除去にかかる工事費用などを補助対象とした補助金に分けられます。一般的にはアスベスト調査にかかる補助金の方がかかるコストも少ないことから補助金の総額が15万円〜25万円ほどと少なく、一方でアスベスト除去に関する補助金は2/3以内を上限としており、120180万円が上限額(地域によって異なります)とされているなど、比較的大きい金額の補助を受けることができます。

実際には建物がある(所在している)場所の自治体に事前の確認は必要ですが、202241日にアスベスト関連法令の改正が実施され、アスベスト含有を調べる事前調査の結果報告が義務付けられており、これには当然、調査や除去工事はコストがかかるため、解体工事全般のコスト増が懸念されているという中で、国や都道府県、市区町村などで補助金が適用できるようになっております。

これは愛知県だけでなく、他の都道府県でも補助金がありますので、これらについては追って記事にしたいと思います。本記事の情報をぜひ有効にご活用ください。

株式会社エコ・テックのアスベスト対策工事について

株式会社エコ・テックでは、事前調査からアスベスト除去工事の専門家として様々なアドバイスを行っています。

全国(東京、名古屋、大阪、岡山、福岡など)で無料相談、無料見積もりを実施しておりますので、土壌汚染に関するご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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