2024/01/29
解体工事における地中埋設物について
建物の解体工事中、解体工事後に地中埋設物が見つかる場合があります。地中埋設物とは土壌や地下に埋められた建物基礎やコンクリートガラなどのことで、地中埋設物を放置したまま土地売買を行うとトラブルにつながります。今回は解体工事における地中埋設物について説明していきます。
解体工事における地中埋設物について
地中埋設物とは、土壌や地下に埋められた各種の物質を指します。これらは建物やインフラの一部として配置されており、解体工事中や解体工事後に見つかることがあります。
地中埋設物には建物基礎、井戸や浄化槽のような大きなものから、瓦やコンクリートガラといった残置物、岩などさまざまなものがあります。
建物基礎
これから解体しようとしている建物以前の建物基礎が残っている場合があります。建物基礎は解体工事に伴い取り崩し処分して更地にしなければなりません。
井戸や浄化槽
井戸や浄化槽は、これから解体しようとしている建物以前にそのまま放置されたり埋め戻されたりしている場合があり地中埋設物となっている場合があります。
瓦やコンクリートガラ
瓦やコンクリートガラは最も多く見つかる地中埋設物の一つです。瓦やコンクリートガラは建築廃材と呼ばれます。これから解体しようとしている建物以前に建築廃材を撤去していれば地中から見つかることはないのですが、ずさんな解体工事など地中に埋めてしまっていると、解体工事の際に見つかることがあります。
岩
地中から岩が発見される場合はほとんどが自然発生です。重機などを使って掘り起こしをしていると見つかることがあります。
地中埋設物の撤去が必要なのはなぜ?
地中埋設物は撤去することが必要とされています。安全性の観点から見ると、地中埋設物を正確に特定されずに解体工事が進められると、事故や損傷が発生する可能性があります。
また、地中埋設物には有害な物質や古い設備が含まれている可能性があります。これらを放置すると地下水や土壌への漏洩が発生し環境に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、土地の売買後に地中埋設物が発見されると程度によっては重機による掘り起こしなどが必要となり費用もかさむので土地購入者から損害賠償請求をされたり、契約不適合責任を追求される場合もあります。契約不適合責任とは、あらかじめ目的物に対して取り決めた種類や品質・数量に関して、契約内容に適合しない引き渡しをおこなった場合につき売主側で負担する責任のことを言います。2020年4月施行の改正法民法で定められた制度で債務不履行責任の一つされています。
契約不適合責任以前は瑕疵(かし)担保責任という、当事者が想定している商品の品質、性能、状態が不完全である瑕疵(かし)すなわち欠陥状態のことをいっており地中埋設物も、売買された土地に隠された瑕疵(かし)があるとされていました。
瑕疵(かし)担保責任後改正で契約不適合責任になっても、地中埋設物は、隠されたものかどうかが問題でなく、引き渡された目的物が取り決めた種類や品質・数量に関して契約の内容に合っているかどうかが問題視されるため契約不適合責任も地中埋設物は該当します。
このような理由から地中埋設物は撤去することが必要とされています。
地中埋設物の調査方法と費用
地中埋設物は基本的に解体工事が始まってから見つかることが多いですが、事前に調べることも可能です。調べる方法として、①地歴調査、②非破壊検査、③ボーリング調査の3種類あります。下記でみていきましょう。
①地歴調査
地歴調査とは、地中に埋設された物質や施設の歴史的な文書や図面、記録を収集し、それを基に現地での調査を行うプロセスです。歴史的な地図や建設プラン、建物の設計図などの資料を参照し、地中埋設物の位置や性質を把握します。地歴調査によって、地中埋設物の種類や用途、過去の変更点などが明らかになり、調査の方針や計画を立てる上で重要な情報源になります。3種類の調査方法の中で一番手軽に行うことが出来ます。
地歴調査の費用は、簡易的な調査で5~10万円程度かかります。
②非破壊検査
非破壊検査とは、地中埋設物を損傷せず調査するために使用され、主に地中の状態や位置を確認するプロセスです。非破壊検査の中でも地中レーダー探査が一般的です。地中レーダー探査は、高周波の電磁波を地中に送りこみ、その反射パターンを解析して地中埋設物を検知します。地中レーダー探査は、非常に迅速で地下の異なる密度の物質を区別することが出来ます。実際の現場に行って調査する点から地歴調査と比べてより実践的な調査方法です。地歴調査・非破壊検査の両方を組み合わさることにより地中埋設物を見つける精度が高くなります。
非破壊検査の費用は、一般的な住宅の場合、10~15万円程度かかります。
③ボーリング調査
地歴調査、非破壊検査を経て、地中埋設物がある可能性が高い場合に、ボーリング調査が行われます。ボーリング調査では地中に直径の異なる穴(ボーリング)を掘り進め、その穴に挿入された試料を分析することで地下構造を詳細に調査します。土壌汚染を発見するのにも有効です。地中埋設物がある場合、ボーリング調査を通じてこれらの情報を得ることが出来ます。
ボーリング調査の費用は、30万円程度かかります。
地中埋設物の撤去方法と費用
3種類の調査の結果、地中埋設物があることが分かった場合は撤去する必要があります。
地中埋設物の撤去は様々なプロセスを用いて行われます。撤去の方法は埋設物の種類や性質、大きさにより異なります。一般的な地中埋設物の撤去方法について下記で説明します。
掘削と引き上げ
一般的に、地中埋設物を直接掘り起こし、引き上げる方法を行います。これは地中埋設物を重機や掘削機器を使って掘り進め、その後引き上げるプロセスです。
切断と分解
地中埋設物が大きな建物基礎等である場合、切断と分解が有効な方法となります。建物の基礎や構造物を一部切断して取り外すことです。切断は専門の切削機器や工具を使用して行われます。
解体工事中や終了後に地中埋設物が見つかった場合、基本的には追加費用で撤去することになります。解体工事前から地中埋設物があることがわかっている場合は見積もりに組み込むことが出来ますがほとんどが解体工事中や終了後にわかるパターンなので、追加費用がかかることを覚悟しておく必要があります。
地中埋設物の種類と撤去費用は業者によって異なりますが、1㎡あたりの大体の相場を取り上げます。
・コンクリートガラ・・・12,000~/㎡
・木くず・・・5,000~/㎡
・レンガ・瓦・・・22,000~/㎡
・タイル・・・25,000~/㎡
・カーペット・・・16,000~/㎡
・井戸や浄化槽・・・100,000~/㎡
地中埋設物の撤去に関して注意ポイント
地中埋設物の撤去に関してトラブルなく撤去できるように念頭に置いておきましょう。
第一に、信頼出来る業者に依頼することが大切です。解体工事中に地中埋設物が出てきた場合、業者は施主へ報告して撤去する流れが一般的ですが、中には連絡しないまま撤去し高額費用を請求する悪徳業者もいます。そうならないためにも、解体工事開始前に、地中埋設物が見つかった場合は追加費用が発生することを説明してくれる業者を選ぶことが大切です。
また、口頭でのやり取りはトラブルの元となるため、地中埋設物が発見された場合はどう対応するのかを契約書に記載することも大切です。
最後に
地中埋設物は今後のトラブルに繋がらないようにするためにも撤去することが重要です。地中埋設物の撤去を含め、解体工事をスムーズに進めるためにもコミュニケーションを取りやすく、サポートが万全な業者を見つけることが大事といえます。
株式会社エコ・テックの解体工事について
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2024/01/22
土壌汚染調査技術管理者について
土壌汚染対策法に基づく指定調査機関は、土壌汚染調査技術管理者という、国家資格「土壌汚染調査技術管理者試験」に合格した者を設置しなければならないことが土壌汚染対策法によって規定されています。今回は土壌汚染対策法の目的、指定調査機関について述べた後、土壌汚染調査技術管理者についてご紹介します。
土壌汚染対策法の目的
土壌汚染とは、土壌が人間にとって有害な物質によって汚染された状態をいいます。原因としては工場の操業に伴い原料として用いる有害な物質を不適切に取り扱ってしまったり、有害な物質を含む液体を地下に染み込ませてしまったりすることなどが考えられます。土壌汚染の中には人間の活動に伴って生じた汚染だけでなく、自然由来で汚染されているものも含まれます。この土壌汚染による人の健康被害を防止するために出来たのが土壌汚染対策法です。土壌汚染対策法では、土壌汚染を見つけ(調査のきっかけ及び方法)、公に知らせ(区域の指定及び公示)、健康被害が生じる恐れがある土地は汚染の除去等の措置を行い、健康被害が生じないような形で管理していく(形質変更時及び搬出時の事前届出等)しくみを定めています。(1)
土壌汚染対策法に基づく指定調査機関について
土壌汚染が見つかった場合、土壌汚染対策法に基づく調査を行わなくてはなりません。この土壌汚染状況調査には大きく分けて4つあります。
①有害物質使用特定施設の使用の廃止時
②一定規模以上の土地の形質変更の届出の際に土壌汚染のおそれがあると都道府県知事が認めるとき
③土壌汚染により健康被害が生ずるおそれがあると都道府県知事が認めるとき
④自主調査
いずれも環境大臣又は都道府県知事が指定する指定調査機関が環境省令で定める方法により調査を行わなければならなくなっています。
この土壌汚染対策法に基づく指定調査機関とは、土壌汚染対策法第3条、第4条、第5条及び第16条に基づいて土壌汚染状況調査等を実施することのできる唯一の機関のことです。指定調査機関以外が行う調査は法に基づいた調査とはなりません。指定調査機関は、土壌汚染状況調査等を行うことを求められた時には、正当な理由がある場合を除き土壌汚染状況調査等を行わなければならない義務が課せられています。
土壌汚染の調査は、試料の採取地点の選定、試料の採取方法などにより結果が大きく左右されるため、調査結果の信頼性を確保するためには調査を行うものに一定の技術的能力が求められます。そのため、調査を的確に実施出来る者を環境大臣又は都道府県知事が指定し、土壌汚染対策法に基づく調査を行う者は、当該指定を受けたもののみに限るとともに、指定調査機関について、必要な監督等を行っています。(2)
土壌汚染対策法における土壌汚染調査技術管理者の規定について
土壌汚染対策法において、第三十三条・第三十四条で、土壌汚染調査技術管理者について規定されています。
(技術管理者の設置)第三十三条
指定調査機関は、土壌汚染状況調査等を行う土地における当該土壌汚染状況調査等の技術上の管理をつかさどる者で環境省令で定める基準に適合するもの(次条において「技術管理者」という。)を選任しなければならない。
(技術管理者の職務)第三十四条
指定調査機関は、土壌汚染状況調査等を行うときは、技術管理者に当該土壌汚染状況調査等に従事する他の者の監督をさせなければならない。ただし、技術管理者以外の者が当該土壌汚染状況調査等に従事しない場合は、この限りではない。
土壌汚染対策法について(法律、政令、省令、告知、通知)| 環境省 (https://www.env.go.jp/water/dojo/law/kaisei2009.html)より
このように土壌汚染対策法で、土壌汚染調査技術管理者を置くことが規定されているため、土壌汚染譲許調査をする指定調査機関は、土壌汚染調査技術管理者を必ず設置しなければなりません。
土壌汚染調査技術管理者になるためには
土壌汚染調査技術管理者になるためには、土壌汚染調査技術管理者試験に合格しなければなりません。
土壌汚染調査技術管理者試験は、環境大臣が実施する土壌汚染対策法に基づく技術管理者の資格取得のための試験です。前述したように土壌汚染対策法に基づく指定調査機関は、土壌汚染状況調査等の技術上の管理をつかさどる者として技術管理者を専任し、土壌汚染状況調査等に従事する他の者を監督させなければなりません。
技術管理者は環境大臣が実施する試験に合格し、環境大臣が交付する技術管理者証の公布を受けた者である必要があります。(3)
この技術管理者の制度は平成22年の土壌汚染対策法改正によって指定調査機関の指定基準の厳格化の一貫であり、土壌汚染調査技術管理者試験に合格した技術管理者、3年以上の実務経験等がなければ指定調査機関としての要件を満たせず土壌汚染対策法に基づく調査を行うことが出来ません。
土壌汚染調査技術管理者試験自体は、年齢、学歴、実務経験など関係なく受験することが出来ますが、合格後、技術管理者証の発行には土壌汚染対策法に基づく指定調査機関及び指定支援法人に関する省令第5条1項第2号の規定に適合することを証明した書類が必要となります。
以下のイ~ハのいずれかに該当する者である必要があります。
イ.土壌の汚染の状況の調査に関し3年以上の実務経験を有する者(3年以上とは、技術管理者証の交付申請時において、年1回以上調査を実施した年が3回以上あり、かつ、最初に調査を行った時期から交付申請日までに3年間以上の期間が経過していることが必要です。)
ロ.地質調査業又は建設コンサルタント業(地質又は土質に係わるものに限る。)の技術上の管理をつかさどる者
ハ.土壌の汚染の状況の調査に関しイ及びロに掲げる者と同等以上の知識及び技術を有すると認められる者
パンフレット「令和5年度 土壌汚染調査技術管理者試験受験の手引き」| 環境省 (https://www.env.go.jp/content/000134700.pdf)より
令和5年度の土壌汚染調査技術管理者試験の受験申請者数は910名、受験者数は709名、合格者数は71名の合格率は10.0%でした。年に1回の試験なので計画を立てて勉強することが大切です。
技術管理者証の更新・再交付について
技術管理者証には有効期限があり、5年で更新となります。有効期限の更新を受けたい場合は、有効期限が満了する日の1年前から満了する日までの間に、環境大臣が行う講習を受講し、更新講習を修了した旨の証明書を受け取り、これを添付して環境大臣に提出する必要があります。更新講習を受講しただけでは技術管理者証は更新されないため注意が必要です。また、技術管理者証の有効期限が満了する日の直前ではなく可能な限り早めに受講・申請することが大切です。
技術管理者証の交付を受けている者が技術管理者証を破り、汚し、又は失ったときは、再交付の申請ができます。再交付の場合は指定の申請書に再交付申請手数料分の収入印紙を貼ることにより納付して申請する必要があります。
土壌汚染調査技術管理者に求められるスキル
土壌汚染調査技術管理者は広範な知識と専門技術を持つ必要があります。土壌汚染調査技術管理者試験の出題範囲も、①土壌汚染の調査に関する技術的事項・②土壌汚染の対策並びに汚染土壌の搬出、運搬及び処理に関する技術的事項・③土壌汚染対策法その他環境関係法令に関する事項となっており、広範な知識と専門技術が不可欠です。
また、最新の調査技術や分析手法に精通しており、それらを実践的に適用する能力が求められます。
土壌汚染調査技術管理者は、土壌汚染状況調査等の全体を統括し、チームを指導する役割も担います。計画、進捗管理、報告書の作成などプロジェクト全体の管理にも携わります。依頼者とのコミュニケーション能力も重要であり、調査結果や提案される対策について適切に説明するスキルが求められます。
最後に
総じて土壌汚染調査技術管理者は高度な技術力、リーダーシップ、コミュニケーション能力が求められる職種であるといえます。プロジェクト全体の統括や法令遵守も担い、土壌汚染対策に不可欠な存在です。その土壌汚染調査技術管理者になるための、土壌汚染調査技術管理者試験は年に1度の開催な上合格率も低いため試験に合格するためには計画的に勉強することが大切です。
株式会社エコ・テックの土壌汚染対策工事について
株式会社エコ・テックでは、調査・分析だけでなく対策方法のプランニングや土地の活用方法のご提案まで、土壌汚染の専門家として様々なアドバイスを行っています。土壌汚染にまつわる一連の問題解決に向け、調査から浄化、リサイクルまで、トータルで承ります。全国(東京・名古屋・大阪・岡山・福岡等)で、無料相談・無料見積もりを実施しておりますので土壌汚染に関するご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
(1) パンフレット「土壌汚染対策法のしくみ」| 環境省
(https://www.env.go.jp/water/dojo/pamph_law-scheme/index.html)
(2) 土壌汚染対策法に基づく指定調査機関の指定について| 神奈川県
(https://www.pref.kanagawa.jp/docs/pf7/dojyou/tyousakikan-sitei.html)
(3) 土壌汚染調査技術管理者試験について| 環境省
(https://www.env.go.jp/water/dojo/kikan/exam/post_23.html)
参考URL
・土壌汚染対策法について(法律、政令、省令、告知、通知)| 環境省
(https://www.env.go.jp/water/dojo/law/kaisei2009.html)
・土壌汚染調査技術管理者試験について| 環境省
(https://www.env.go.jp/water/dojo/kikan/exam/post_23.html)
・令和5年度土壌汚染調査技術管理者講習について| 環境省
(https://www.env.go.jp/water/dojo/kikan/exam/post_25.html)
2024/01/15
一般建築物石綿含有建材調査者の試験や合格率について
目次:
一般建築物石綿含有建材調査者の試験や合格率について
6. 一般建築物石綿含有建材調査者の試験に必要なその他の情報
1. 一般建築物石綿含有建材調査者の試験の概要
建築物石綿含有建材調査者になるには、建築物石綿含有建材調査者講習を受講し、修了する必要があります。
令和5年10月1日着工の工事から、建築物の解体等の作業を行うときは、「建築物石綿含有建材調査者」、又は令和5年9月30日までに日本アスベスト調査診断協会に登録された者による事前調査を行う必要があります。なお、令和5年9月30日以前着工の工事についても資格者による調査を行うことが望ましいとされています。
建築物石綿含有建材調査者の種類としては以下の3つがあります。
・一般建築物石綿含有建材調査者: 一般建築物石綿含有建材調査者に係る講習を修了した者で、全ての建築物の調査を行う資格です。
・一戸建て等石綿含有建材調査者: 一戸建て住宅および共同住宅の内部に限った調査(共有部分は除く)を行う資格です。
・特定建築物石綿含有建材調査者: 一般建築物石綿含有建材調査者の講習内容に加えて、実地研修や、口述試験を追加したもので、全ての建築物の調査を行う資格です。
建築物石綿含有建材調査者講習の実施機関としては、建築物石綿含有建材調査者講習の実施機関は、建築物石綿含有建材調査者講習登録規程(平成30年厚生労働省・国土交通省・環境省告示第1号)に基づき、都道府県労働局に登録された機関をいいます。登録講習機関数令和5年12月1日時点で124機関あり、建築物石綿含有建材調査者講習修了者数は令和5年9月末時点で161,551人です。
なお、全国の受講機関は厚生労働省のサイトに一覧がありますので、そちらをご確認ください。建築物石綿含有建材調査者講習を受講する場合は、直接受講機関に問い合わせや申し込みをすることで、進めることができます。
厚生労働省:石綿総合ポータルサイト_受講者情報
https://www.ishiwata.mhlw.go.jp/course/
一般建築物石綿含有建材調査者の試験は、石綿(アスベスト)含有建材の調査に関する専門的な知識や技能を評価するためのものです。この試験は、建築物の安全管理と環境保護の観点から重要であり、合格者は建築物における石綿の安全な取り扱いと適切な除去方法を理解していることが認められます。
一般建築物石綿含有建材調査者講習の修了考査は、2日間の講習の最終日に実施され、修了考査は受講機関によって異なりますが、制限時間60分〜90分前後で、マークシート形式です。問題数も機関により様々ですが、30問程度から80問程度までありますが、基本的にどの受講機関でも6割以上の正答率で合格となります。
受講機関は受講にかかる費用や、アクセスしやすい会場などで実施されているかどうかを確認したり、受講する時期などによって選んで受講するのが良いでしょう。費用や受講会場、開催スケジュールなども各受講機関のホームページに掲載されていますので、受講する際には詳細を確認してみてください。
2. 一般建築物石綿含有建材調査者は国家資格?
一般建築物石綿含有建材調査者は国土交通省告示第748号「建築物石綿含有建材調査者 講習登録規定」に基づく試験資格制度です。 講習実施機関として登録を受けた一般財 団法人日本環境衛生センターが講習(講義、実地研修及び修了考査)を実施して修了者を認定している国家資格です。
3. 一般建築物石綿含有建材調査者の受講者要件
一般建築物石綿含有建材調査者の受講者要件は、
・建築に関して一定の知識及び経験を有する者
・石綿含有建材の調査に関して一定の知識及び経験を有する者
・その他、上記と同等以上の知識及び経験を有する者
と定められています。また受講対象業種は:建築・建設業、解体工事業、環境調査・分析業、石綿除去業、行政担当者等です。
4. 一般建築物石綿含有建材調査者の試験合格率
試験の合格率も年度や受験者のレベル、受講機関によって変わりますが、一般財団法人日本環境衛生センターが公開している合格率は、実施年度や受講する機関によって差はありますが、おおよそ60%〜90%台を推移しているようです。
修了試験の合格率は比較的高いといえますが、試験の難易度や受験者の準備状況に大きく依存しており、しっかり講習を受けないと不合格になる可能性がありますので、一般的な講習とは異なると認識して臨むべきです。
5. 一般建築物石綿含有建材調査者の講習プログラム
一般建築物石綿含有建材調査者の講習は、受講機関によって異なりますが、座学(講義)と実地研修がある場合があり、概ね以下のような内容となっています。その後修了考査として試験が行われます。なお、座学(講義)の時間は10~11時間程度の機関が多いようです。
1・座学(講義)
・石綿の健康被害
・図面の読み方
・建築物の構造的知識
・現地調査のポイント
・建材分析法
・報告書の作成方法
・所有者へのアドバイスなど
これ等により石綿に関する総合的な知識を習得します。
2・実地研修
実務スキルを習得するための講習で、主に現場研修などで行われます。
3・修了考査
・口述試験:説明能力など調査者の適性を問う面接試験です。
・筆記試験:知識を問うマークシート方式の試験です。
・調査票試験:建材判定能力を問う記述式試験です。
60%以上の得点で合格となり、合格すると資格が交付されます。修了証明書や調査者登録証が受領できます。
6. 一般建築物石綿含有建材調査者の試験に必要なその他の情報
1・一般建築物石綿含有建材調査者の有効期限
一般建築物石綿含有建材調査者の有効期限は、制度の改正に伴い「特定建築物石綿含有建材調査者」に名称が変更され、有効期限(更新)がなくなりました。そのため一度修了した後は、ずっと使い続けることが可能です。
2・受講(資格取得)にかかる費用
受講する機関によって異なりますが、テキスト代金などを含めて概ね税込で、安いところで35,000円から高くても55,000円ほどで受講できます。詳しくは各機関のホームページなどで参照してください。
3・受講にかかる日数
こちらも受講する機関によって異なりますが、概ね2日から3日で講座の受講および試験の受験、認定までが終了できますので、詳しくは各機関のホームページなどで参照してください。
4・過去問
受講する機関によってはホームページから過去の問題やその回答などを無料でダウンロードできるようにしてくれていますので、受講時に学んだ内容の復習など、さらに理解を深めるために勉強するツールとしても有効活用できます。
7. まとめ
2023年10月1日から、建築物のアスベスト事前調査をするためには主に「石綿含有建材調査者」の資格が必要となりましたので、従事する方は講習を受講して修了証を保有しなければならない必須の資格でもあります。
アスベスト調査報告を怠ると、補助金申請が認められないだけでなく、罰則の対象となりますが、今後益々の厳罰化が進むと予測されていますので、企業で解体・回収工事を請け負う際には、必須であると言えます。
一般建築物石綿含有建材調査者の試験は、建築物の安全と環境保護に関連する重要な資格です。試験には専門的な知識が求められ、適切な準備と勉強が必要とされますので、講座をしっかりと受講することが重要です。
2024/01/09
アスベスト除去の許可について
目次:
アスベスト除去の許可について
1. アスベスト除去にはどんな書類が必要?
大気汚染防止法及び各地方自治体の条例により異なりますが、大気汚染防止法及び各地方自治体の条例等によって、事前調査の結果、次のような届け出書類が必要になります。
・「石綿有無に係わる事前調査書」
・「特定粉じん排出作業の概要」
・「測定計画書」
・「詳細票」
・「標識及び完了報告書」
などが必要です。各地方自治体・担当窓口等の届出書類様式に基づき、届出書類を作成、届出をします。また、解体工事等の現場に事前調査結果及び工事のお知らせ標識の掲示を行い、工事完了後に完了報告を行うことになります。
事前調査に基づく届出様式例:
・特定粉じん排出等作業実施届出書
(※特定建築材料に該当する排出作業の場合に作成します。)
・特定粉じん排出等作業の方法
(※特定建築材料に該当する排出作業の場合に作成します。)
・石綿使用の有無に係わる事前調査書面
(受注者が発注者に書面で報告したことを証明する書面です。)
・特定粉じん排出等作業(石綿排出等)の概要
(※特定建築材料に該当する排出作業の場合に作成します。)
・大気中の石綿濃度測定計画
(※特定建築材料に該当する排出作業の場合に作成します。)
※特定建築材料:吹き付け材、断熱材、保温材、耐火被覆材のうち、石綿を意図的に含有させたもの又は石綿が質量の0.1%を超えて含まれるもの。レベル1、レベル2及び吹付けられた石綿含有仕上塗材
参考:平成29年5月31日 環境省 水・大気環境局通達 石綿含有仕上塗材の除去等作業における石綿飛散防止対策について
現在、レベル3は届出の必要はありませんが(条例によっては届出等が必要です)、ニュースやメディア、新聞紙上などで報道がある通り、全て報告義務化に向かう法改正が予定されています。
・事前調査結果の詳細票
・標識 事前調査の結果の標識
・標識 建築物等の解体等の作業に関するお知らせ掲示
(次の標識についての補足をご覧ください。)
・廃石綿等処理完了報告書
規模及び石綿の有無にかかわらず、すべての解体等工事で石綿アスベストの事前調査、調査結果の説明・掲示が必要です。
※解体等工事とは、建設物や工作物の解体、改修、補修作業を伴う建設工事のことです。
2. アスベストの事前調査は何日前までに実施が必要?
アスベストの事前調査は工事開始前に労働基準監督署への届出が必要で、作業開始日(作業区画の隔離、集じん・排気装置の設置、足場の設置などの石綿の飛散防止のための作業を含む、一連の作業の開始)の14日前までに行う必要があり、また届出日と作業開始日の間には14日間以上が必要です。(届出にあたり事前に相談可能な自治体もあります。)石綿(アスベスト)が含まれている保温材等の除去工事の計画は、吹き付け石綿の除去工事と同様14日前までに労働基準監督署に届け出る必要があります(令和3年(2021年)4月から)。
3. アスベストの除去は義務ですか?
国土交通省のサイトにも記載がありますが、アスベストの除去は築物の最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図ることを目的として、吹付けアスベスト等の建築物への使用禁止及び増改築、大規模修繕・模様替の際に義務づけています。ただし、増改築、大規模修繕・模様替の際の既存部分は、封じ込め及び囲い込みの措置を許容しています。背景としては、吹付け石綿など石綿を飛散させる危険性があるものについては、建築物の利用者に健康被害を生ずるおそれがあるため、今後、石綿の飛散による健康被害が生じないように、建築物における石綿の使用に係る規制を導入することになっています。法改正の概要としては上述の石綿の飛散のおそれのある建築材料の使用を規制する(具体的には、吹付け石綿及び石綿含有吹付けロックウールが規制の対象)ことが目的で、【規制の効果】としては以下の4点あります。
・増改築時における除去等を義務づけ
・石綿の飛散のおそれのある場合に勧告・命令等を実施
・報告聴取・立入検査を実施
・定期報告制度による閲覧の実施
4. アスベスト除去費用はいくらですか?
解体する建物にアスベストが含まれていた場合、解体工事前にアスベスト除去工事を行う必要があります。国土交通省も目安を発表しており、除去費用は個別の条件によるものの、アスベスト処理面積が大きくなるにつれて1平方メートルあたりの単価が安価になっていきます。
アスベスト処理面積ごとの除去費用の目安:
300㎡以下 2.0万円/㎡ ~ 8.5万円/㎡
300㎡~1,000㎡1.5万円/㎡ ~ 4.5万円/㎡
1,000㎡以上 1.0万円/㎡ ~ 3.0万円/㎡
なお、アスベストの処理費用は状況により大幅な違いがります。(部屋の形状、天井高さ、固定機器の有無など、施工条件により、工事着工前準備作業・仮設などの程度が大きく異なり、処理費に大きな幅が発生します。)特にアスベスト処理面積300㎡以下の場合は、処理面積が小さいため、費用の幅が非常に大きくなります。また施工条件によっては、この値の幅を大幅に上回ったり、下回ったりする場合もあります。
5. アスベスト調査を怠った場合の罰則は?
法改正の度に変更される可能性がありますが、大気汚染防止法に基づき、事前調査や届出・作業基準などを遵守しなければなりませんが、仮に違反した場合は、3〜6月以下の懲役または30〜50万円以下の罰金を課すという厳罰に処されます。なお、罰則は受注した業者だけではなく、お客様である発注者側にも適用される規則もありますので、注意が必要です。
6. アスベストの事前調査が不要な築年数は?
アスベストの使用・製造・輸入・譲渡・提供を全面禁止とした法律が施行されたのが2006年ですので、2006年以降に建てられた家には、アスベストが使われている心配はありません。その一方で2006年以前に建てられた建築物であれば、アスベストを含有した建材を使っている可能性があります。書面でも以下の3つの方法で調べることができます。
1・重要事項説明書でチェック
重要事項説明書は、物件の売買契約における重要な項目が記された書類であり、この書類の中には、アスベスト使用の記載や調査履歴の有無が記載されています。なお、重要事項説明書は、不動産会社に問い合わせることで確認ができます。
2・設計図書や仕様書をチェック
設計図書や仕様書を確認することで、建築時に使われた建材の商品名や品番からアスベスト含有かどうかを調べることができます。
ただし、中古マンションなどにおいて設計図書や仕様書を売主が紛失してしまっているケースが実際にあり、問題になることも少なくありません。
3・国土交通省・経済産業省のデータベースでチェック
国土交通省のホームページ内にありますが、「石綿(アスベスト)含有建材データベース」では、商品名などから、アスベスト含有建材かどうかを調べることができます。「建材名」「商品名」「製造時メーカー名」「現在メーカー名」「型番」「品版」のいずれかが分かれば簡単に検索が行えます。
7. まとめ
この記事ではアスベスト除去に関する手続きや必要書類について詳細に説明しました。アスベストの事前調査や届出は、大気汚染防止法及び地方自治体の条例に基づき、様々な書類が要求されます。
株式会社エコ・テックのアスベスト対策工事について
株式会社エコ・テックでは、事前調査からアスベスト除去工事の専門家として様々なアドバイスを行っています。
全国(東京、名古屋、大阪、岡山、福岡など)で無料相談、無料見積もりを実施しておりますので、土壌汚染に関するご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。