マンション解体における振動や騒音について

マンション解体と聞くとみなさんは何を想像されますか?振動・騒音を想像される方が多いと思います。マンションを解体するにはどうしても振動や騒音は避けては通れませんし、その際に近隣住民からクレームが発生しかねません。そうならないためにも振動・騒音の基準値・規制を知っておく必要があります。今回はマンション解体における振動や騒音についての法令や規制、近隣対策についてご紹介します。

マンション解体における振動や騒音の要因

マンション解体における振動や騒音の要因は一つではありません。複数の要因で振動と騒音が発生します。

①マンション解体時の振動や騒音

主に重機で解体するため大きな振動が発生します。マンションの壁や柱などを壊すときの重機による振動がマンションの基礎部分を通じて周辺に伝わります。重機を使用する際の音も大きいため騒音となります。

②重機の搬入による振動や騒音

重機は約1t10tほどの重量があり、地面に衝撃を与えながら移動するため重機の搬入時には振動と騒音が地面を介して伝わります。

③資材落下による振動や騒音

マンション解体の際資材が地面に落下することで周辺に振動が伝わります。落下する資材が大きければ大きいほど振動と騒音が発生し、頻繁に落下する場合は揺れも生じます。

騒音規制法・振動規制法

マンション解体中にどうしても起こってしまう騒音。騒音により近隣住民からクレームが発生しかねません。そこで騒音規制法・振動規制法という環境省が定めている法律があります。

騒音規制法とは、建設工事に伴って発生する相当範囲にわたる騒音について必要な規制を行うとともに、生活環境を保全し、国民の健康の保護に資することを目的とされた法律です。

建設工事として行われるくい打機などの作業のうち、著しい騒音を発する作業であって政令で定める作業を規制対象としています。

具体的には、都道府県知事が規制地区を指定し環境大臣が騒音の大きさ、作業時間帯、日数、曜日などの基準を定めており、市町村長が対象規制の建設作業に対して必要に応じて改善勧告をおこなうといったような、建設作業騒音の規制が騒音規制法により決まっています。(1)

一方、振動規制法も騒音規制法と同じ概念と考えられます。解体工事により発生する振動により生活が脅かされないようにするための法律です。(2)

騒音規制法・振動規制法を超える騒音・振動は近隣住民とのトラブルにつながるため守ることが必要不可欠です。

特定建設作業の種類について

騒音規制法・振動規制法は特定建設作業に対して一定の制限がかけられています。特定建設作業とは、建設工事として行われる作業のうち著しい振動又は騒音を発生する作業であって政令で定められているものです。特定建設作業を行う場合には当該作業の開始日の7日前までに各市町村に届出が必要となります。

騒音に係る特定建設作業の種類は、

①くい打機(もんけんを除く。)、くい打機又はくい打くい抜機(圧入式くい打くい抜機を除く。)を使用する作業(くい打機をアースオーガーと併用する作業を除く。)

②びょう打機を使用する作業

③さく岩機を使用する作業

④空気圧縮機(電動機以外の原動機を用いるものであって、その原動機の定格出力が15キロワット以上のものに限る。)を使用する作業(さく岩機の動力として使用する作業は除く。)

⑤コンクリートプラント(混練機の混練容量が0.45㎥以上のものに限る。)又はアスファルトプラント(混練機の混練重量が200キログラム以上のものに限る。)を設けて行う作業(モルタルを製造するためにコンクリートプラントを設けて行う作業を除く。)

⑥バックホウ(原動機の定格出力が80キロワット以上のものに限る。)を使用する作業

⑦トラクターショベル(原動機の定格出力が40キロワット上のものに限る。)を使用する作業

⑧ブルドーザー(原動機の定格出力が40キロワット以上のものに限る。)を使用する作業

振動に係る特定建設作業の種類は、

①くい打機(もんけん及び圧入式くい打機を除く。)、くい打機(油圧式くい打機を除く。)又はくい打くい抜機(圧入式くい打くい抜機を除く。)を使用する作業

②銅球を使用して建設物その他の工作物を破壊する作業

③舗装版破砕機を使用する作業

④ブレーカー(手持式のものを除く。)を使用する作業

これらの機械を使用する作業が特定建設作業と定められており、騒音規制法や振動規制法の対象となっています。

近隣住民に配慮しながら工事する必要があります。(3)

振動や騒音の規制基準について

振動の上限は75デシベルまで、騒音の上限は85デシベルまでが基準値として定められています。この基準値を超えた場合は、市町村長から改善勧告を受けることがあります。そのため基準値を超えずに作業をすることが好ましいです。

規制内容

1号区域における規制基準

2号地域における規制基準

特定建設作業の場所の敷地境界上における基準値

騒音:85デシベル

振動:75デシベル

騒音:85デシベル

振動:75デシベル

作業可能時刻

午前7時から午後7

午前6時から午後10

最大作業時間

一日あたり10時間

一日あたり14時間

最大作業期間

連続6日間

連続6日間

作業日

日曜その他の休日を除く日

日曜その他の休日を除く日

 

区域区分

該当区域

1号区域

1,2種低層住居専用地域、第1,2種中高層住宅専用地域、第1,2住居地域、準住居地域、田園住居地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域、用途指定のない地域、工業地域及び条例の追加規制地域のうち学校、保育所、病院、入院施設を有する診療所、図書館、特別養護老人ホーム及び幼保連携型認定こども園の敷地の周囲80メートルの区域内

2号区域

工業地域及び条例の追加規制地域のうち1号区域以外の地域

特定建設作業の規制について| 大阪府(https://www.pref.osaka.lg.jp/kotsukankyo/oto/kensetsu.html)より

近隣トラブルを回避するために

マンション解体においてどうしても起きてしまう振動や騒音。その被害を受けるのは近隣住民です。近隣住民にある程度我慢してもらう必要があります。そのために事前に出来ることはすることが大切です。

①解体業者選びを妥協しない

マンション解体の知識を施主は持ち合わせていない場合が多いです。そのため近隣挨拶を行う際にしっかりと知識を持った解体業者に説明してもらうことが必要となります。そこで丁寧な対応をしてくれる解体業者を選ぶことが大切となります。解体業者選びを妥協すると近隣挨拶の際説明不足で近隣トラブルの発生につながりかねないため解体業者は慎重に選ばなければなりません。

②近隣挨拶

着工前のご挨拶を行います。工事の概要をご説明し、騒音や振動、粉じんなどに関する近隣クレームが発生しないよう、ご説明します。具体的に何時から何時までが工事、何日から何日まで、いつが休日なのかということも伝えます。マンション解体の1週間前くらいには挨拶を終わらせることが理想です。

通常は解体業者が主導として行い専門的知識を解体業者が説明し説明不足による近隣クレームの回避になります。施主も一緒に挨拶に回ることでトラブルを回避しやすくなります。菓子折りなどを用意して持参することがおすすめです。

最後に

マンションの解体にはどうしても振動や騒音がつきものです。そのため近隣へのご挨拶・説明など近隣へのサポートが一番大事と言えます。マンション解体をスムーズに進めるためにもコミュニケーションを取りやすく、近隣サポートが万全な業者を見つけることが大事です。

株式会社エコ・テックの解体工事について

株式会社エコ・テックでは、家屋、建物の事前調査から解体計画の作成だけでなく、解体工事の専門家として様々なアドバイスを行っています。

全国(東京・名古屋・大阪・岡山・福岡等)で、無料相談・無料見積もりを実施しておりますので解体工事に関するご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください

(1)騒音規制法| 環境省 (https://www.env.go.jp/air/noise/low-gaiyo.html)

(2)振動規制法| 環境省 (https://www.env.go.jp/air/sindo/low-gaiyo.html)

(3)特定建設作業の規制について| 大阪府 (https://www.pref.osaka.lg.jp/kotsukankyo/oto/kensetsu.html)

参考URL

特定建設作業の規制について| 大阪府 (https://www.pref.osaka.lg.jp/kotsukankyo/oto/kensetsu.html)

建設業法|法令検索(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=324AC0000000100)

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土壌汚染対対策の期限について

土壌が人間にとって有害な物質により汚染された状態である土壌汚染。土壌汚染された土地は土壌汚染対策法に基づく調査を行わなくてはなりません。調査にあたって①有害物質使用特定施設の使用の廃止時・②一定規模以上の土地の形質変更の届出の際に土壌汚染のおそれがあると都道府県知事が認めるとき、の2つにはそれぞれ土壌汚染状況調査結果報告書の提出期限、一定規模以上の土地の形質の変更届け書提出期限が設けられています。今回は土壌汚染対策法に関する書類の提出期限についてご紹介します。

土壌汚染とは

土壌は私たち人間を含め地中にいる生き物が生活する場であり、土壌に含まれる水分や養分が私たちの食の元となる農作物を育てています。そのため土壌は私たち人間を含んだ生き物が生きていく上でなくてはならないものです。

土壌汚染とは、土壌が人間にとって有害な物質により汚染された状態のことをいいます。原因としては工場の操業に伴い原料として用いる有害な物質を不適切に取り扱ってしまったり、有害な物質を含む液体を地下に染み込ませてしまったりすることなどが考えられます。土壌汚染の中には人間の活動に伴って生じた汚染だけでなく、自然由来で汚染されているものも含まれます。

土壌汚染対策法とは

土壌汚染対策法とは、土地の汚染を見つけるための調査や、汚染が見つかったときにその汚染により私たちに悪い影響が生じないように土壌汚染のある土地の適切な管理の仕方について定める、いわば健康を保護することを目的とされた法律です。

平成14年に土壌汚染対策法が成立しました。課題として上がっているものを解決するために、

①法律に基づかない土壌汚染の発見の増加
調査のきっかけを増やすことで解決させる

②汚染土壌を掘り出す掘削除去に偏重
→健康リスクの考え方を理解してもらうことで解決させる

③汚染土壌の不適正処理
→汚染土壌をきちんと処理してもらうことで解決させる

これらを実施することを目的として平成214月に土壌汚染対策法の改正法が成立され平成224月から改正法が施行されました。

その後も施行状況の見直し検討が行われ平成29519日に土壌汚染対策法の一部を改正する法律が公布され第1段階が平成3041日に施行され第2段階は平成3141日に施行されました。(1)

毎年のように改正され最新の改正は令和47月に土壌汚染対策法施行規則の一部を改正する省令施行・汚染土壌処理業に関する省令の一部を改正する省令施行が施行されました。

土壌汚染対策法に基づく指定調査機関について

土壌汚染が見つかった場合、土壌汚染対策法に基づく調査を行わなくてはなりません。この土壌汚染状況調査には大きく分けて4つあります。

①有害物質使用特定施設の使用の廃止時

②一定規模以上の土地の形質変更の届出の際に土壌汚染のおそれがあると都道府県知事が認めるとき

③土壌汚染により健康被害が生ずるおそれがあると都道府県知事が認めるとき

④自主調査

いずれも環境大臣又は都道府県知事が指定する指定調査機関が環境省令で定める方法により調査を行わなければならなくなっています。

この土壌汚染対策法に基づく指定調査機関とは、土壌汚染対策法第3条、第4条、第5条及び第16条に基づいて土壌汚染状況調査等を実施することのできる唯一の機関のことです。指定調査機関以外が行う調査は法に基づいた調査とはなりません。指定調査機関は、土壌汚染状況調査等を行うことを求められた時には、正当な理由がある場合を除き土壌汚染状況調査等を行わなければならない義務が課せられています。

土壌汚染の調査は、試料の採取地点の選定、試料の採取方法などにより結果が大きく左右されるため、調査結果の信頼性を確保するためには調査を行うものに一定の技術的能力が求められます。そのため、調査を的確に実施出来る者を環境大臣又は都道府県知事が指定し、土壌汚染対策法に基づく調査を行う者は、当該指定を受けたもののみに限るとともに、指定調査機関について、必要な監督等を行っています。

土壌汚染状況調査は、専門知識と調査技術を有する専門業者に調査してもらうもので売主自身が行うものではありません。国が土壌汚染対策法に基づく指定調査機関として認定している業者に頼むことで安心出来ます。

土壌汚染対策法に基づく指定調査機関| 環境省 (https://www.env.go.jp/water/dojo/kikan/)

土壌汚染区域の指定(要措置区域・形質変更時要届出区域)

都道府県知事は、土壌汚染状況調査の結果報告を受けた際に報告を受けた土地を、健康被害のおそれの有無に応じて①要措置区域又は②形質変更時要届出区域に指定します。

①要措置区域

要措置区域とは、土壌汚染状況調査の結果汚染状態が土壌溶出量基準又は土壌含有量基準に適合せず、土壌汚染の摂取経路がある区域のことです。健康被害が生ずるおそれがあるため、汚染の除去等の措置が必要となります。

②形質変更時要届出区域

形質変更時要届出区域とは、土壌汚染状況調査の結果汚染状態が土壌溶出量基準又は土壌含有量基準に適合せず、土壌汚染の摂取経路がない区域のことです。健康被害が生ずるおそれがないため、汚染の除去等の措置は必要ではありません。

土壌汚染状況調査結果報告書の報告期限・土地の形質変更の届出提出期限

土壌汚染対策法に基づく調査が大きく分けて4つに分かれますが、①有害物質使用特定施設の使用の廃止時・②一定規模以上の土地の形質変更の届出の際に土壌汚染のおそれがあると都道府県知事が認めるとき、の2つにはそれぞれ土壌汚染状況調査結果報告書の提出期限、一定規模以上の土地の形質の変更届け書提出期限が設けられています。

①有害物質使用特定施設の使用の廃止時

土地の所有者・管理者又は占有者は工場、事業場の敷地であった土地の土壌汚染状況調査を環境省が指定する指定調査機関に調査させ、有害物質使用特定施設を廃止した日から起算して120日以内に調査結果を都道府県知事に報告しなくてはなりません。

土壌汚染状況調査は使用が廃止された有害物質使用特定施設に係る工場・事業場の敷地であった土地のすべての区域が調査対象となります。また、一時的であっても有害物質使用特定施設を設置する工場、事業場の敷地であった土地は調査の対象となります。

また、土地の利用方法からみて土壌汚染により人の健康被害が生じるおそれがない場合は、土壌汚染状況調査をその状態が継続する限り猶予する規定もあります。ただしあくまで規定なので猶予を取り消す場合があります。なお、猶予を受けたい場合は県知事に申請を行わなくてはなりません。

②一定規模以上の土地の形質変更の届出の際に土壌汚染のおそれがあると都道府県知事が認めるとき

一定規模(3000㎡、現に有害物質使用特定施設が設定されている古城等の敷地においては900)以上の掘削等の土地の形質の変更を行う場合は、形質の変更に着手する30日前までに、一定規模以上の土地の形質の変更届け書を都道府県知事に届け出なければなりません。

土地所有者はあらかじめ指定調査機関に土壌汚染状況調査を実施させ、土地の形質の変更の届出書にあわせて調査結果を提出することができます。なお、都道府県知事は、土地の形質の変更の届け出を受けた場合において、当該土地が特定有害物質に汚染されるおそれがあると認めるときは、土地の所有者等に対して、当該土地の土壌汚染の状況を指定調査機関に調査させてその結果を都道府県知事に報告することを命ずることができます。

最後に

汚染された土壌が見つかった場合は土壌汚染対策法に基づき、指定機関による土壌汚染状況調査を行わなくてはなりません。調査結果には有害物質使用特定施設の使用の廃止時・一定規模以上の土地の形質変更の届出の際に土壌汚染のおそれがあると都道府県知事が認めるとき、書類の提出期限が設けられています。提出期限内に調査をしてくれる指定機関を見つけることが大切です。

株式会社エコ・テックの土壌汚染対策工事について

株式会社エコ・テックでは、調査・分析だけでなく対策方法のプランニングや土地の活用方法のご提案まで、土壌汚染の専門家として様々なアドバイスを行っています。土壌汚染にまつわる一連の問題解決に向け、調査から浄化、リサイクルまで、トータルで承ります。全国(東京・名古屋・大阪・岡山・福岡等)で、無料相談・無料見積もりを実施しておりますので土壌汚染に関するご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

参考URL

土壌汚染対策法について(法律、政令、省令、告知、通知)| 環境省 (https://www.env.go.jp/water/dojo/law/kaisei2009.html)

パンフレット「土壌汚染対策法のしくみ」| 環境省 (https://www.env.go.jp/water/dojo/pamph_law-scheme/index.html)

土壌汚染対策法の概要| 東京都環境局 (https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/chemical/soil/law/outline.html)

土壌汚染対策法Q&A| 熊本県 (https://www.pref.kumamoto.jp/soshiki/51/5667.html)

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アスベスト除去に必要な資格ついて

アスベストの有無に関わらず、建築物の解体・改修・補強工事において、アスベストが含まれているか否かの調査報告を遅延なく行う必要があります。
工事・解体を行う際にはどのような対応や資格が必要となるでしょうか。

この記事ではアスベストに関わる資格について説明していきます。

アスベストの危険性について

アスベストは、非常に細かな繊維でできており、空気中に飛散すると呼吸とともに人間の肺に入り込み、分解されることなく肺に残ってしまう性質を持ちます。そして10~40年という長い期問を経て、肺がん、じん肺、中皮腫という重大な病気を発症させます。

労働安全衛生法等の法令の規制対象となるアスベストは、現在では製造や使用が禁止されています。しかしアスベストが規制される以前に建てられた建物にはアスベストが含まれており、今後そのような建物の解体が必要となります。アスベストを含む建築物等の解体・改修工事を行う場合には、石綿障害予防規則等の法令に基づき、アスベスト含有の有無の事前調査、労働者に対するアスベストばく露防止措置、作業の記録・保存などを行う必要があります。

アスベストレベルについて

アスベストのレベルは、「アスベスト粉じんの飛散のしやすさ(発じん性)」によって分けられています。アスベストのレベルは1から3までの3段階に分けられます。アスベストにおいてはレベル1が最も危険な段階です。通常数値が低い方が危険レベルも低く表記されることが一般的ですが、アスベストにおいてはレベル1が最も危険レベルが高くなっているので、注意が必要です。

アスベストに関する資格

アスベスト処理工事を行う業者に明確な資格制度はありません。ただし事業を行ううえで「石綿作業主任者の選任」、「労働者全員に石綿特別教育を実施 」、「特別管理産業廃棄物管理責任者の設置」などが必要です。

その他にも以下の役割の担当者を選定する必要があります。

●石綿取扱作業従事者

●石綿作業主任者

●特別管理産業廃棄物管理責任者

●アスベスト診断士

●建築物石綿含有建材調査者

●作業環境測定士

それぞれ詳しく見ていきましょう。

石綿取扱作業従事者

石綿取扱作業従事者はアスベストを取り除くための専門の資格です。

石綿取扱作業従事者の特別教育を受けていない場合、作業関係者以外は現場に入ることはできません。

石綿作業主任者

石綿作業主任者は、労働安全衛生法で定められた国家資格です。技能講習を修了した人の中から事業者によって選任されます。石綿作業主任者は、労働者をアスベストの汚染から守るにはどの方法がよいのかを選び、予防装置を点検したり、保護具の使用状況を監視したり、現場での指揮も行います。現場監督のような存在ですが、除去作業もするので労働者でもあるのです。

石綿作業主任者技能講習修了者とは

特定化学物質等作業主任者技能講習修了者(平成18年3月まで)

第1種の作業環境測定士

建築士法に基づく、一級建築士及び二級建築士の免許登録者

建設業法に基づく、一級施工管理技士(建築施工管理)の資格を有する者

労働安全衛生法に基づく、労働衛生コンサルタントの資格を有する者

アスベストを含むものの除去に関し、3年以上の実務経験をもつ者

アスベスト有無の事前調査に関し、1年以上の実務経験をもつ者

監督内容

粉じんの吸引を防止するための作業指示

吸排気措置などの予防装置の点検

保護具の確認

退避指示

特別管理産業廃棄物管理責任者

事業所は、特別管理産業廃棄物管理責任者を設置しなければなりません。特別管理産業廃棄物管理責任者は、アスベスト除去作業後の廃棄処理業務が最後まできちんと実施されるように管理します。主な業務は、現場から廃棄物がどのくらい排出されているのかを把握する、現場に適した処理計画を立てる、保管状況を確認する、委託業者を選ぶなどです。

アスベスト診断士

アスベスト診断士は、既存の建築物のアスベスト調査や取り扱いのアドバイスができる資格です。「石綿の有無の調査の基本がわかる者」や「石綿処理工事の監査ができる者」などの養成を目的として発足しました。主な仕事内容としては、以下の通りです。

 

アスベストの使用場所の調査

処理の要否と処理方法の判断

アスベストを含む建物の解体工事が適正判断

アスベスト診断士の取得方法

建築物石綿含有建材調査者

建築物石綿含有建材調査者は、建築物の解体や改修を行う際にアスベストの有無を調査する資格です。「一般」「一戸建て」「特定」という3つの種類があり、それぞれで従事できる建築物が異なります。

一戸建ては、戸建て住宅の調査の専門の資格であり、一般と特定は、一戸建ても含めた、全ての建築物、構造物を調査できます。また、令和5年10月1日より、建築物石綿含有建材調査者が調査にあたることが義務付けられたため、取得は必須となります。

作業環境測定士

作業環境測定士は、アスベストが飛散する可能性がある場所で、濃度やサンプリングの解析ができる資格です。労働安全衛生法に定められた国家資格で、第一種と第二種の2種類があります。

第一種作業環境測定士:デザイン・サンプリング、分析(解析を含む)のすべて

第二種作業環境測定士:デザイン・サンプリング、簡易測定器による分析業務のみ

第二種作業環境測定士は従事できる業務が定められているため、取得前に必要な作業内容を確認しておきましょう。

実際に解体作業に係る資格

1.建設機械施工技師(1級や2級)

2.土木施工管理技士(1級や2級)

3.建築施工管理技士(1級や2級)

4.とび技能士(1級や2級)

5.解体工事施工技士

アスベストを含む建築物の解体工事業者を選ぶ際は、安すぎる業者には注意をすること、調査資格から解体工事に係る資格を保有する業者の選定が重要です。アスベスト含有調査では、気が付かない箇所の見落としが原因で健康被害のリスクがあります。また、解体工事における大きな問題に不法投棄があります。廃棄費用を削って利益を上げる目的で行われるようですが、不法投棄が発覚した場合、解体業者と排出業者に行政から原状回復の措置命令が出され、この命令に従わなかった場合、5年以下の懲役、または1,000万円以下の罰金、あるいはその両方が適用されることになっています。

労働者全員への石綿特別教育が必要です

労働者がアスベスト除去作業を行う場合、事業者は「石綿特別教育」を実施しなければなりません。(石綿障害予防規則 2005年7月1日施工)※1これは、労働者をアスベストの汚染から守るために必要な講習なのです。

2023年10月からの大気汚染防止法が改正に伴い、アスベスト除去に必要な資格が変わりました。アスベストの有無にかかわらず、2023年10月1日以降着工の解体・改修工事において事前調査と報告が義務化されます。

調査を行える資格は以下の通りです。

●特定建築物石綿含有建材調査者(特定調査者)

●一般建築物石綿含有建材調査者(一般調査者)

●一戸建て等石綿含有建材調査者(一戸建て調査者)

●2023年9月30日以前に(一社)日本アスベスト調査診断協会に登録されている者

改正以降はアスベスト診断士の事前調査が認められなくなるため注意しましょう。

しかし、アスベスト診断士であれば日本アスベスト調査診断協会に入会できます。

アスベスト解体工事は専門的な知識と技術が必要です

アスベストは人体に有害であり、取扱いには十分な注意が必要です。アスベスト解体工事を請け負う業者は「アスベストの有害性」「粉じんの発散防止」「保護具の使用方法」など必要な講習を受ける義務があります。解体業者に工事を依頼する際は、アスベスト除去工事の経験と実績が豊富な業者を選ぶことが大切です。また、補助金の活用も視野に地方公共団体の補助金制度に関しても確認しておきましょう。

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アスベスト調査の掲示義務について

解体・改修工事を行う際には、アスベストの調査・届出・措置・記録などが石綿障害予防規則等の法令で定められています。

令和3年4月1日に大気汚染防止法が改正され、アスベストの規制が強化されました。すべての建築物等の解体・改造・補修作業において、事前調査が義務付けられています。いずれも主体は工事の受注者または自主施工者です。2023年10月からは有資格者による事前調査が義務化されます。ここではアスベスト調査の掲示義務について解説していきます。

工事・解体を行う際にはどのような対応が必要となるのでしょうか。

解体・改修工事を行う際には、事前にアスベストの含有調査を行う必要があります。

事前調査とは?

工事前に建築物等に使用されている建材の石綿含有の有無を調査することを指します。事前調査は石綿含有無しの証明を行うことから始まり、その証明ができない場合は分析調査を行

うか、石綿含有とみなすことが基本とされています。

建築基準法など各種法律に基づき施工された石綿含有建材以外にも、改修・改造・補修などにより、想定できないような場所に石綿が使用されている場合があるため、建材等の使用箇所、種類等を網羅的に把握し的確な判断を行う必要があります。

事前調査は、書面による調査と、目視による調査の両方を行う必要があります。また、その結果を記録し、3年間保存する義務があります。さらにその記録を作業場所に備え付け、労働者に見やすい場所に掲示する必要があります。

また、一定規模以上の解体工事の場合、事前調査の結果を石綿の有無を問わず、労働基準監督署に報告する必要があります。

アスベスト事前調査の概要は以下です。
解体・改修工事を行う際には、その規模の大小にかかわらず工事前に解体・改修作業に係る部分の全ての材料について、アスベスト含有の有無の事前調査を行う必要があります。

【令和3年(2021年)4月から】

事前調査は、設計図書等の文書による調査(※設計図書等の文書が存在しないときを除きます)と、目視による調査の両方を行う必要があります。

【令和5年(2023年)10月から】

事前調査は、建築物石綿含有建材調査者などの※一定の要件を満たす者が行う必要があります。

【令和3年(2021年)4月から】

事前調査の結果の記録を作成して3年間保存するとともに、作業場所に備え付け、概要を労働者に見やすい箇所に掲示する必要があります。

【令和4年(2022年)4月から】

一定規模(解体工事の場合は解体部分の延べ床面積80㎡、改修工事の場合は請負金額が100万円)以上の解体・改修工事の場合、事前調査の結果を労働基準監督署に電子システムで報告する必要があります。

※【一定の要件】

1.建築物

① 建築物石綿含有建材調査者講習の修了者

・特定建築物石綿含有建材調査者

・一般建築物石綿含有建材調査者

・一戸建て等石綿含有建材調査者(※一戸建て住宅及び共同住宅の住戸の内部に限る)

② 令和5年(2023年)9月30日以前に日本アスベスト調査診断協会に登録され、事前調査を行う時点においても引き続き同協会に登録されている者

2.船舶

① 船舶における石綿含有資材の使用実態の調査を行う者で、船舶石綿含有資材調査者講習を受講し、修了考査に合格した者

② ①と同等以上の知識を有すると認められる者 ※現在は示していません。

アスベスト事前調査の流れ

①書面調査

・調査実施計画作成

・計画承認

・図面調査

・発注者ヒアリング

・アスベスト含有の有無仮判定

・目視調査の準備

②現地調査(現地による目視調査)

・外観観察

・屋上・外構確認

・内部レイアウト・各部屋確認

③採取・分析調査

・現物確認

・分析用試料採取

④報告

掲示義務について

事業者は、建築物等(鋼製の船舶を含む)の解体等の作業、封じ込め又は囲い込みの作業を行うときは、あらかじめ、石綿の使用の有無を目視、設計図書等により調査し、その結果を記録しておかなければなりません。調査の結果、石綿の使用の有無が明らかとならなかったときは、分析調査し、その結果を記録しておかなければなりません。また、これらの調査を終了した日、調査の方法及び結果の概要について、労働者が見やすい箇所に掲示しなければなりません。ただし、石綿等が吹き付けられていないことが明らかで、石綿が使用されて

いるとみなして対策を講じる場合、分析調査の必要はありません。

【実施事項】

解体等作業の実施に当たっての掲示は、平常時においても実施される必要がありますが、災害時においては、より分かりやすい場所へ確実な設置を行いましょう。

大気汚染防止法第 18 条の 17 第4項では、解体等事前調査の結果について、調査を行った者は、解体等工事の場所において公衆に見やすいように掲示しなければならないと規定されており、同法施行規則第 16 条の9及び第 16 条の 10 には掲示の方法及び事項が定められています。

また、特定粉じん排出等作業に該当する場合には、大気汚染防止法施行規則第 16 条の4に基づいて、必要事項を表示した掲示板の設置が必要となります。

石綿障害予防規則においても、調査結果の掲示の義務が規定されている他、厚生労働省から関係業界団体等に対し、石綿ばく露防止対策等の実施内容の掲示について通知が行われています。

上記の通知に基づく掲示板に大気汚染防止法施行規則に規定する掲示事項を追記する形

で記載することが一般的です。

掲示に関する根拠法令等(参考)

・大気汚染防止法関係

①大気汚染防止法(抜粋)

第十八条の十七

4 第一項及び前項の規定による調査を行つた者は、当該調査に係る解体等工事を施工するときは、環境省令で定めるところにより、当該調査の結果その他環境省令で定める事項を、当該解体等工事の場所において公衆に見やすいように掲示しなければならない。

大気汚染防止法施行規則

石綿障害予防規則の事前調査結果の掲示に係る規定

石綿障害予防規則(抜粋)

(事前調査)

第三条

事業者は、次に掲げる作業を行うときは、石綿等による労働者の健康障害を防止するため、あらかじめ、当該建築物、工作物又は船舶(鋼製の船舶に限る。以下同じ。)について、石綿等の使用の有無を目視、設計図書等により調査し、その結果を記録しておかなければならない。

一 建築物、工作物又は船舶の解体、破砕等の作業(石綿等の除去の作業を含む。以下「解体等の作業」という。)

二 第十条第一項の規定による石綿等の封じ込め又は囲い込みの作業(中略)

 

3 事業者は、第一項各号に掲げる作業を行う作業場には、次の事項を、作業に従事する

労働者が見やすい箇所に掲示しなければならない。

一 第一項の調査(前項の調査を行った場合にあっては、前二項の調査。次号において

同じ。)を終了した年月日

二 第一項の調査の方法及び結果の概要

石綿事前調査結果報告システムを利用した掲示の作成

石綿事前調査結果報告システムにより報告した物件については、入力した内容を利用して現場に掲示する看板や、事前調査結果の発注者への説明書を作成することができます。

詳しくは厚生労働省の石綿ポータルサイト「石綿事前調査結果報告システムについて(外部サイトへリンク)」にアクセスし、「利用者マニュアル・詳細機能編」の『事前調査に係る各種文書の作成』のページをご覧ください。

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