2022/03/30
土壌調査(状況調査・表層土壌調査・ボーリング調査)の費用について
これまでの記事では、土壌汚染調査から対策工事に至るまでの全体の流れや、土壌調査・対策工事の3つのフェーズ、①地歴調査②状況調査・詳細調査(表層土壌調査・ボーリング調査)③土壌汚染対策工事それぞれの内容や方法、フェーズ1の調査にかかる費用について解説してきました。今回の記事では、フェーズ2の状況調査・詳細調査にかかる費用の相場や増減要因について、詳しく解説いたします。
状況調査・詳細調査の概要
フェーズ2の状況調査・詳細調査は、地歴調査の結果を基に、汚染のおそれがある土地の土壌を実際に採取、分析し、土壌汚染の有無や、汚染の分布範囲を測定する調査です。フェーズ2の調査は、状況調査と詳細調査の二段階に分けられます。
状況調査では、土壌ガス調査及び表層土壌調査によって、表層から50cmまでの土壌試料と、土壌中のガスを採取し、特定有害物質の有無や、平面的な汚染の分布を調べます。土壌汚染対策法では、特定有害物質は大きく3つに分類されており、それぞれの種類によって、最適な調査方法が異なります。第一種特定有害物質(揮発性有機化合物)の調査では、表層部の土壌ガス調査によって、土壌中から揮発してくるガスを採取・分析することで土壌汚染の存在と汚染の面積を確認します。鉛などの第二種特定有害物質、PCBなどの第三種特定有害物質を調査する場合には、表層土壌調査が行われます。地表面から深さ5cmまでの土壌試料と、深さ5cmから50cmまでの土壌試料を採取し、それらを等量混合して分析します。
状況調査の結果、特定有害物質の濃度が基準値を満たしていれば、土壌汚染のない土地と判断することができますが、基準値を超える濃度で特定有害物質が検出された場合には、汚染の深度を測定するため、該当する区画で詳細調査(ボーリング調査)を実施します。ボーリング調査の範囲は原則10mまでとされており、一般的には、1.0m毎に土壌を分析し、2深度連続して基準を満たした地点が、対策深度となります。ちなみに、このボーリング調査の基準となる1深度の間隔は、調査の対象となる特定有害物質の種類等の調査項目によって異なる場合もあります。また、必要に応じて地下水の流れや水質についても調査する場合があります。これらの状況調査・詳細調査を行うことで、特定汚染物質の基準超過項目や、汚染土壌の平面分布と深度(ボリューム)が明確になります。
状況調査・詳細調査の方法
フェーズ2では、状況調査・詳細調査によって設定した調査区画の表層部の土壌を採取して調査し、実際の汚染の範囲を判定します。調査を実施する前にまず、フェーズ1の地歴調査の結果を基にして、土壌汚染が存在するおそれのある分布範囲を把握し、土壌汚染対策法施行規則第四条によって規定された方法で調査対象区画を選定します。
調査の対象となる土地は、最北端を起点として敷地を10m×10mの単位区画に分け、この10m格子を基本的な調査単位区画として採取・分析します。調査対象区画の選定方法は、土壌ガス調査と表層土壌調査でそれぞれ異なります。土壌ガス調査では、土壌汚染のおそれの少ない土地の場合は、30m格子(900㎡)に1地点の割合で調査を行いますが、土壌汚染のおそれがある土地では、10m格子(100㎡)に1地点の割合で調査をします。
表層土壌調査は、土壌汚染のおそれの少ない土地の場合は、30m格子(900㎡)に対して、5地点から試料を採取します。土壌汚染のおそれがある土地では、10m格子(100㎡)に1地点の割合で調査をします。表層土壌調査では、地表面から深さ5cmまでの土壌試料と、深さ5cmから50cmまでの土壌試料を、等量混合して分析します。表層土壌調査の方法では、まず埋没管等を確認のうえ、調査対象地に被覆物がある場合は、コアカッター等で被覆部を堀削します。その後砕石を取り除き、地表面を露出させ、土壌試料が採取できる状態にします。このコア抜き作業の段階で、被覆部分の厚さ、砕石の厚さを管理して、地表面までの深さを記録します。土壌試料は、ダブルスコップ、ハンドオーガー等を用いて露出した地表面から数えて表層5cm~表層下50cmまでの深度を2つに分けて採取され、「土壌溶出量調査に係る測定方法」(平成15年3月6日 環境省告示第18号)及び「土壌含有量調査に係る測定方法」(平成15年3月6日 環境省告示第19号)に定める方法に基づき、第二種有害物質を測定します(1)。調査終了後の調査孔は、裸土の場合は周辺土や発生土で埋め戻し、コンクリート面はモルタルで、アスファルト面は常温の合材アスファルトで補修します。
詳細調査は、状況調査(土壌ガス調査・表層土壌調査)の結果、指定基準値を超える汚染物質が検出された場合に行われます。これまでの調査で明らかとなった汚染の平面分布から、ボーリング調査や地下水汚染調査が必要な地点を選定します。これらの詳細調査によって、深度方向への汚染の広がりを調べることで、対象地における汚染の三次元的な分布を把握し、汚染源の特定を目指します。そして、詳細調査の結果に従って、個々のケースに最適な土壌汚染対策工事の施工計画を立案します。
ボーリングの深度は原則10mまでと定められており、試料の採取深度は5~50cm、1m、2m、3m、4m、5m、6m、7m、8m、9m、10mと規定されています。採取した試料の分析の結果、2深度連続して基準をクリアした上の深度までが対策深度になります。ボーリング調査に用いる機材には、自走式ボーリング、機械式簡易ボーリング等、さまざまな種類があり、それぞれ採取スピードやサンプリングの精度等の性能が異なるため、対象地の敷地の広さや採取する土壌の土質等の対象地の状況や、調査目的に応じて最適な手法が選定されます。
状況調査・詳細調査にかかる費用
状況調査・詳細調査にかかる費用は、対象物質の種類や数、調査項目数、対象となる土地の面積や形状、アスファルトや土間コンクリート等の表面被覆の有無や厚さ、対象地の地層の種類、作業場所の広さ等によって増減します。土壌汚染対策法に従って、フェーズ1の地歴調査の結果区分けされた、「①土壌汚染のおそれがない」「②土壌汚染のおそれが少ない」「③土壌汚染のおそれが比較的多い」の3区分の比率によって、採取地点の数や調査深度が決定され、土壌汚染のおそれが多い箇所が多いほど、調査費用は高くなります。
状況調査・詳細調査は、一般的に10m格子(100㎡)を基本的な調査単位区画とするため、土地の形状が正方形に近いほど調査費用は安くなります。また、コンクリートやアスファルト等の被覆がない裸地であれば、コアカッターを用いたコア抜き作業や砕石の除去作業が必要ないため、作業日数も短く、費用も安くなります。
また、土壌ガスや表層土壌を採取・分析する状況調査と、ボーリング調査を実施する詳細調査とで費用は変わってきます。表層土壌を調査する状況調査は、900㎡あたり作業日数は約3~4週間で、費用は20万円~60万円ほどが一般的です。調査費用は特定有害物質の使用履歴の有無や、土地の形状や場所、土間コンクリートの厚さや調査地点の数によって大きく増減します。対象地に建物等があり、測量が困難な場合には測量費が上がり、被覆物が厚い場合や廃棄物等の掘削障害がある場合にも、コア抜き費が生じます(2)。
ボーリング調査を行う詳細調査は、作業日数は約1ヶ月から2ヶ月、1地点(100㎡)あたりの費用は20万円~80万円ほどで、汚染の状況や程度によって、トータルの費用は数百~数千万円にまで及ぶことがあります。必要なボーリングの本数によって、搬入資機材や設置方法が変わってくるため、費用は大きく変動します。汚染物質の種類や濃度により、ボーリングの深度や調査項目の数が変わるため、それに伴って費用も変動します。対象地の地質や地層の種類によって、掘削が困難で施工性が悪い場合には費用が上がります。また、ボーリング調査に伴う行政対応や提出書類の作成、ボーリング作業による騒音対策等が必要な場合には、別途費用が必要になることもあります(3)。
株式会社エコ・テックの土壌汚染調査及び対策工事について
株式会社エコ・テックでは、調査・分析だけでなく対策方法のプランニングや土地の活用方法のご提案まで、土壌汚染の専門家として様々なアドバイスを行っています。土壌汚染にまつわる一連の問題解決に向け、調査から浄化、リサイクルまで、トータルで承ります。全国(東京・名古屋・大阪・岡山・福岡等)で、無料相談・無料見積もりを実施しておりますので、土壌汚染に関するご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
2022/03/25
アスベスト調査に必要な資格について
大気汚染防止法改正に伴い、令和5年10月1日以降に着工される建築物の解体・改修工事から、アスベストの有無の調査を有資格者が行うことが義務付けられます。工作物の解体・改修工事については、有資格者が行う必要はありません。また、アスベストの使用禁止(平成18年9月1日)以降に設置されたことの確認は、有資格者でなくても行うことができます。ただし、令和5年9月30日以前の解体・改修工事など、有資格者による調査が義務付けられていない解体・改修工事についても、アスベストの有無の調査は必要です。
事前調査を行うことができる者
①特定建築物石綿含有建材調査者(特定調査者)
②一般建築物石綿含有建材調査者(一般調査者)
③一戸建て等石綿含有建材調査者(一戸建て等調査者)
④令和5年9月30日以前に(一社)日本アスベスト調査診断協会に登録され、事前調査を行う時点においても引き続き登録されている者。
建築物石綿含有建材調査者はアスベストに関する知識を有しているだけでなく、建築物の調査に関する実務に精通しているアスベスト調査の専門家です。アスベストに関してはアスベストが使われている建材に関する知識を有し、建材の採取方法や分析技術、さらには分析結果の解析力があり、アスベスト含有建材の維持管理方法に関する知識を有しています。また、建築物に関しては、意匠・構造・設備の知識の他、建材・施工手順・工法に関する知識を有し、設計図書や施工図などを読み解き、必要な情報を抽出することができます。さらに、アスベストのもたらす社会的な危険性を理解し、中立的な立場から精確な報告を行う力を有しています。
登録講習機関
資格を取得するためには、登録講習機関が実施する講習を受講し、修了する必要があります。(※最新の登録状況は各都道府県労働局にお問い合わせください)
・(一社)日本環境衛生センター・(一社)日本環境衛生センター・(一社)環境科学対策センター・建設業労働災害防止協会・(一社)日本石綿講習センター・中央労働災害防止協会 東京安全衛生教育センター・中央労働災害防止協会 大阪安全衛生教育センター・(一社)茨城労働基準協会連合会・(一社)三重労働基準協会連合会・(公社)石川県労働基準協会連合会・(公社)東京労働基準協会連合会・(一社)企業環境リスク解決機構・建設業労働災害防止協会 神奈川支部・(株)安全教育センター・建設業労働災害防止協会 宮城県支部・建設業労働災害防止協会 新潟県支部・建設業労働災害防止協会 長野県支部・建設業労働災害防止協会 愛知県支部・建設業労働災害防止協会 千葉県支部・(公社)岩手労働基準協会
講習内容
①特定調査者
講習内容:講義(11時間)、実施研修、筆記試験、口述試験
受講資格:一般調査者、建築に関して一定以上の実務経験を有する者等
②一般調査者
講習内容:講義(11時間)、筆記試験
受講資格:石綿作業主任者、建築に関して一定以上の実務経験を有する者等
③一戸建て等調査者
講習内容:講義(7時間)、筆記試験
受講資格:石綿作業主任者、建築に関して一定以上の実務経験を有する者等
事前調査について
建築物の解体・改修時には、使用されている建築材料にアスベストが含まれている(アスベスト含有製品である)可能性があり、その確認を行う必要があります。法律上、石綿障害予防規則第3条に則り、当該建築物、工作物又は船舶について石綿等の使用の有無が明らかとならなかったときは、石綿等の使用の有無を事前に調査かつ分析(基準値:0.1重量%)を行い、その結果を記録しておかなければなりません。建築物の解体に際してアスベストが使用有無の確認は事前に書面等を用いて調査を行い、不明なものについては現地調査を行います。それでも、不明なものに関しては、分析を実施し含有の有無を確認する必要があります。
①書面調査
事前調査の第1段階は書面による調査を行います。書面調査では、図面などの書面や発注者や過去の経緯をよく知る施設管理者や工事業者等の関係者等の聞き取りから情報をできる限り入手し、それらの情報からできる限り多く、石綿の使用の有無に関係する情報を読み取り(工事概要や建築物等に関する情報のほか、建築物等に使用されている個々の建材を把握するとともに、得られた情報から石綿含有の有無の仮判定を行う)、現地での目視による調査を効率的・効果的に実施できるよう準備を行う必要があります。書面調査は、調査対象建築物に係る情報を理解・把握することにより、現地での目視調査の効率性を高めるとともに、石綿含有建材の把握漏れ防止につながるなど、調査の質も高めるものであり、重要な工程である。これらの質と効率を高めるには、建築や建材などの知識が重要となります。
②現地調査
設計図書や竣工図等の書面は石綿含有建材の使用状況に関する情報を網羅しているものではなく、また、必ずしも建築物の現状を現したものとは限らないことから、書面調査の結果を以て調査を終了せず、石綿の使用状況を網羅的に把握するため、原則として現地で目視調査を行うことが必要です。例えば、仕様を満たすため現場判断で設計図書と異なる施工をした場合や、設計図書には残っていない改修が行われている場合があり、書面調査はあくまで下調べに過ぎず、相違があれば、当然、現地での目視調査の結果が優先されます。事前調査は、解体・改修等を行う全ての建材が対象であり、必要がある場合は建材の取り外し等も行います。建築物等に使用されている建材等の使用箇所、種類等を網羅的に把握できるよう行うことがポイントとなります。具体的には、調査は建築物のうち解体や改修作業等を行う部分について、内装や下地等の内側等、外観からでは直接確認できない部分についても網羅して行う必要があります。書面調査において作成した建材リストをもとに、他に石綿含有の可能性のある建材が使用されていないか確認するとともに、現場で使用されている建材との整合性を確認していくと現地での目視調査を効率的に行うことができます。
【見落としやすい例】
・内装仕上げ材(天井ボード、グラスウールやセメント板等)の下に石綿含有吹付け材が存在する場合
・石綿含有吹付け材の上からロックウール(石綿含有無し)が吹き付けられている場合
・耐火建築物、鉄骨梁への耐火被覆吹付けロックウール施工時に他部材へ吹きこぼれている場合
・鉄骨造の柱、梁に石綿含有吹付け材が存在しその内装仕上げ材としてモルタル等が使われている場合
・鉄骨造の柱に吹き付けられた石綿含有吹付け材の周囲をブロック等で意匠的に使われている場合
・天井の一部に仕上げ材(意匠)として石綿含有吹付け材が使用されている場合
・煙突内部が綿状ではなく、成形板の形状の断熱材を見間違う場合
・外装(外壁や柱)のボードや金属パネルの内側に耐火被覆板が使用されている場合
・鋼板の仕上げ材の裏打ちとして石綿含有ロックウール等が吹き付けられている場合
上記はあくまで一例であり、見落としやすい例は他にも多々あるので事前調査に係わる調査者の中でも専門資格者(建築士・建築施工管理技士・分析技術者・石綿対策工事関係者
等)なるべく多くの者が豊富な経験や知識をもって協議できる場を設けて、見落としやすい石綿の吹付け材等の事例に関する情報を共有(蓄積)し、漏れがないよう事前調査を行うことが必要とされます。
2022/03/22
解体工事施工技士について「主任技術者」と「監理技術者」とは
解体工事施工技士とは、国土交通省管轄の国家資格です。500万未満の解体工事を行うための解体工事業の登録及び施工に必要な技術管理者になることができる資格です。しかし、大掛かりな工事を受けることはできません。工事費が500万円を超えてしまっている場合は、建設業許可を得ている会社に依頼しなければならないとされています。解体工事施工技士は、500万円未満の解体工事に対して、管理者としての資格を持つことのできるもので、指定の金額が超えているのに受注すると違反の対象となりますので注意が必要です。また、解体工事施工技士になるためには実務経験が必要であり、解体工事の現場で仕事をしていなければなりません。指定されている学科を卒業している人と、そうでない人では若干実務経験年数が変わってきますが、短くても1年半、長い人は8年の実務経験を積まなければなりません。実務経験を経て資格試験を受けることが可能となります。資格試験はテスト形式であり、合格して登録することができれば、請負金額500万円未満の解体工事を受けられるようになり、簡易な工事であれば業として行うことが可能となります。解体工事施工技士試験は、建設業法施行規則第七条の三第二項の国土交通大臣登録試験であり、解体工事業に係る登録等に関する省令(国土交通省令)第七条第三号の国土交通大臣登録試験です。合格者は、建設リサイクル法に規定された解体工事業の登録及び解体工事現場の施工管理に必要な技術管理者並びに建設業法に規定された解体工事業許可及び解体工事現場の施工管理に必要な主任技術者の資格要件に該当します。
解体工事施工技士資格制度について
①受験資格
- ・原則として解体工事実務経験年数8年以上
- ・学歴・指定学科卒業によって必要実務経験を短縮
-1.学歴が大学もしくは専門学校(4年制)「高度専門士」
必要な解体工事の実務経験年数:指定学科を卒業した者は卒業後1年6ヶ月以上、指定学科以外を卒業した者は卒業後2年6ヶ月以上
-2.学歴が短期大学もしくは高等専門学校(5年制)、専門学校(2年制または3年制)「専門士」
必要な解体工事の実務経験年数:指定学科を卒業した者は卒業後2年6ヶ月以上、指定学科以外を卒業した者は卒業後3年6ヶ月以上
-3.学歴が高等学校もしくは中等教育学校(中高一貫6年)、専門学校(1年制)
必要な解体工事の実務経験年数:指定学科を卒業した者は卒業後3年6ヶ月以上、指定学科以外を卒業した者は卒業後5年6ヶ月以上
-4.学歴がその他
必要な解体工事の実務経験年数:8年以上
※高等学校の指定学科以外を卒業した者には、高等学校卒業程度認定試験規則(平成17年文部科学省令第1号)による試験、旧大学入学資格検定規程(昭和26年文部省令第13号)による検定試験に合格した者を含む
※「指定学科」は国土交通省令(施工技術検定規則〈土木施工管理・建築施工管理〉)に規定する学科
②試験の内容
1.形態:四肢択一式(50問・90分)及び記述式(5問・120分)
2.出題範囲:土木・建築の基礎知識、解体工事施工の計画、解体工事施工管理、解体工法、解体用機器、安全管理、環境保全、副産物・廃棄物対策、関連法規その他
③合格基準
1.試験委員会で合格基準点を決定
2.四股択一式試験の得点、記述式試験の得点及び合計得点にそれぞれ基準点を設定
④資格者登録制度
- ・合格者は、本人の申請によって全解工連の「解体工事施工技士登録者名簿(毎年発行)」に登録。
- ・登録者には全解工連が「登録証」及び「資格者証(携帯用カード)」を交付。
⑤登録更新
・登録の有効期間は5年間
・更新講習を受講することによって更新
・毎年2~3月に、実施予定
現在の技術者制度について
現在の技術者制度には、建築業法に規定する「監督技術者」と「主任技術者」があります。監理技術者と主任技術者ともに工事現場における専任の要件として、公共性のある施設もしくは工作物又は多数の者が利用する施設、工作物に関する重要な建設工事で、請負金額が2,500万円(建築一式の場合は5,000万円)以上で必要となります。また、建設業者と直接的かつ恒常的な雇用関係にある者であり、公共工事における元請の専任技術者については、3ヶ月以上の雇用関係が必要とされています。
①監理技術者について
職務内容
以下のような主任技術者の職務に加えて、一定規模以上の建設工事の施工にあたり、下請人を適切に指導、監督するという総合的な機能を果たし、主任技術者のように直接工事に密接に関与して細かな指示を与えるとともに、さらに工事規模が大きくなることによって複雑化する工事管理と建設業全体の健全な発展に寄与する役割も期待される。
建設業法における技術者制度の概要
元請負工事における下請合計金額:3,000万円以上(建築一式工事は4,500万円以上)
資格要件1:一級国家資格者(1級施工管理技士、1級建築士、技術士)
資格要件2:指定7業種は除く実務経験者(主任技術者として要件を満たす者のうち、元請として4,500万円以上の工事に関し2年以上の指導監督的な実務経験を有する者)
②主任技術者について
職務内容
・建設工事の施工にあたり、その施工計画を作成し、具体的な工事の工程管理や工事目的物、工事仮設物、工事用資材等の品質管理を行う。
・工事の施工に伴う公衆災害、労働災害等の発生を防止するための安全管理、労務管理も行う。
建設業法における技術者制度の概要
元請負工事における下請合計金額:3,000万円未満(建築一式工事は4,500万円未満)
資格要件1:一級国家資格者(1級施工管理技士、1級建築士、技術士)
資格要件2:二級国家資格者(2級施工管理技士等)
資格要件3:実務経験者(指定学科の大学卒業後3年以上の実務経験、指定学科の高校卒業後5年以上の実務経験、10年以上の実務経験)
解体工事に関する資格
①1級建設機械施工技士(日本建設機械施工協会)
②2級建設機械施工技士第1種~第6種(日本建設機械施工協会)
③1級土木施工管理技士(全国建設研修センター)
④2級土木施工管理技士 土木、薬液注入(全国建設研修センター)
⑤1級建築施工管理技士(建設業振興基金)
⑥2級建築施 管理技士 躯体(建設業振興基金)
⑦技術士 建設、総合技術監理(建設)(日本技術士会)
⑧技能士 とび1級、2級(中央職業能力開発協会(都道府県職業能力開発協会))
⑨解体工事施工技士(全国解体工事業団体連合会)
解体工事施工技士の現場での主な役割は、その解体工事の現場監督や技術管理者の業務を統括することです。「解体工事施工技士」という資格は、現場での作業に必要不可欠な解体工事の施行、管理の知識を証明します。また、一般的な建設工事は、500万円未満の範囲であれば特に許可なく施工工事をすることが可能です。しかし、解体工事の場合は500万円未満の小規模なものであっても、解体工事業者の登録をする必要があります。その登録には、技術管理者として解体工事施工技士の存在が必須となっており、工事の現場に主任技術者を置くことも必須となっていますが、この主任技術者の要件は解体工事施工技士の資格者が満たすことができます。日本における建築物の耐用年数は一般的に30~50年といわれています。現在、高度経済成長期以降に建てられた建築物の多くが更新期となっており、今後20年程は解体工事が増加すると見込まれています。平成28年には建設業法の改正により、「解体工事業」が新設されました。同時に技術者制度も整備され、解体工事業界の重要性が高まっています。
2022/03/14
土壌調査フェーズ1・地歴調査の費用について
これまでの記事では、土壌汚染調査から対策工事に至るまでの全体の流れや、土壌調査・対策工事の3つのフェーズ、①地歴調査②状況調査・詳細調査(表層土壌調査・ボーリング調査)③土壌汚染対策工事それぞれの内容や方法について解説してきました。今回の記事では、フェーズ1の地歴調査にかかる費用の相場や変動要素について、詳しく解説いたします。
土壌調査フェーズ1:地歴調査の概要
フェーズ1の地歴調査は、資料等調査や土地利用履歴調査とも言われます。地歴調査では、対象となる土地がこれまでどのように使われてきたのかを資料等を用いて把握し、土壌汚染リスクがあるかどうかを調べます。地歴調査の目的は、様々な資料から土地の利用履歴や有害物質の使用履歴を確認し、対象となる土地の土壌汚染が存在する可能性を評価することです。地歴調査は書類上での調査であり、現地の土壌採取や土壌試料の分析等は行われませんが、フェーズ2以降の調査の要否や、全体的な調査・施工計画を立てる上で目安となる重要な調査です。
地歴調査の結果は、土壌汚染対策法施行規則(第三条の二)の規定に従って、①土壌汚染が存在するおそれがないと認められる土地、②土壌汚染が存在するおそれが少ないと認められる土地、③土壌汚染が存在するおそれがあると認められる土地に分類されます。土壌汚染のリスクがないと判断された場合には、調査はそこで終了しますが、汚染の可能性があると判断された場合には、汚染の程度や範囲、深さ等をより詳しく調べる必要があり、フェーズ2の状況調査・詳細調査に続いていきます。
地歴調査で用いられる資料の種類
地歴調査には、大きく分けて資料調査、聴き取り調査、現地調査の三種類の方法があります。聴き取り調査では、資料からは読み取ることができない細かな事柄について把握することができるメリットもありますが、使用者や設備担当者等の証言に基づく情報であるためどうしてもあいまいさが残ります。現地調査では、現存建物がなく、盛り土がされていたりする場合には土地の使用履歴を拾い出すことは困難になります。もっとも信頼性が高いものが、資料調査であり、施設の配置を示す設計時の図面や、行政への届け出書類の控えが入手できると、確実で精度の高い調査をすることが可能になります(1)。
資料調査では、対象となる土地の利用履歴を把握するために、一般公表資料、公的届出資料、私的資料等を調べます。具体的には、地形図、住宅地図、行政調査、空中写真に加えて、公図、登記謄本、既往調査結果(土壌関連、地下水関連、ダイオキシン類等)等を資料として用いて、その土地の利用履歴や地質・地下水の特質等を調査します。また、必要に応じて、特定施設の届出状況確認等の役所調査やヒアリング調査、現地踏査が行われることもあります。これらの書類もしくは実地の調査を通じて、対象の土地や周辺地域に特定施設が建てられていた形跡の有無や、有害物質の使用履歴をチェックします。
専門的な地歴調査の場合、住宅地図や公図、登記簿謄本等の、誰でも簡単に入手ができる一般公表資料に加えて、水質汚濁防止法や下水道法に基づく特定施設設置等の届出資料、危険物貯蔵所等の届出資料、行政への環境関連の提出資料等の届出資料や、過去の土壌調査報告書、MSDS(化学物質安全性データシート:Material Safety Data Sheet)、建物・施設配置図、排水経路図・配管図、ボーリング(地質)柱状図、使用薬品リスト等の私的資料を活用することもあります。資料調査ではわからない点や不審な点があった際には、対象地と周辺地域の現地確認をする現地踏査や、設備や環境担当者へのヒアリング調査が実施されます。地歴調査で活用する資料の種類や数によって、調査に必要な費用は変わってきます。以下では、地歴調査にかかる費用の相場について述べていきます。
地歴調査にかかる費用
前述の通り、地歴調査は、様々な資料から土地の利用履歴や有害物質の使用履歴を確認し、対象となる土地の土壌汚染が存在する可能性を評価することを目的とした書類上での調査です。費用は収集する資料や調査項目の数、行政交渉や現地調査の有無によって値段は大きく変動します。地形図や住宅地図など、入手しやすい一般公表資料のみを用いた簡易スクリーニングの場合が最も安く、登記簿謄本や空中写真等、用いる資料の数が多くなる場合や、特定施設の届出状況を確認するための役所調査、現地踏査やヒアリング調査等の専門的な調査が必要である場合には費用が上がります。また、調査対象地に現存建物がない場合や使用者が不明確な場合など、調査のための情報が不足し、調査期間が長引く場合にも費用が高くなります。対象地の登記簿の筆数や面積、特定施設の数や設置事業者数など、対象地の広さや状況だけでなく、調査契機の区別(土壌汚染対策法に基づく調査・条例に基づく調査・自主調査)によっても調査項目が増減するため、調査価格も大きく変動します。
まとめると、地歴調査の費用が変動する主な要因としては、必要な資料の数や入手までの手間、現在の土地の状況(現存建物の有無、登記簿の筆数、敷地の形状など)、調査期間の長さ、役所調査・現地踏査・ヒアリング調査の有無が挙げられます。基本的には、土地の使用履歴が明確であり、調査期間が短く済む場合には費用は安くなります。調査対象の土地の登記簿上の筆数が多い場合には別途実費が加算され、現地踏査や役所調査、行政対応が必要な場合には現地までの交通費他が加算されるのが一般的です(2)。例を挙げると、現存建物があり、使用者が明確で、伝票や住宅地図などの資料が揃っており、土壌汚染が存在するおそれがないと速やかに判断できるようなケースでは、調査費用も安価となります(3)。反対に、使用者が不明であり、現存建物もなく、聴き取り調査や現地踏査が実施できず、基礎的な資料が揃いにくい場合には、調査期間が長くなるため、費用は高くなります。地歴調査によって土壌汚染のおそれがあると判断された場合に、資料等から使用された特定有害物質の種類を特定することが可能であれば、フェーズ2以降の土壌試料調査等を実施する範囲や方法を適切に絞り込むことができるので、相対的に費用は安くなりますが、十分な資料が揃わずに、使用された特定有害物質の種類や、汚染のおそれのある土地の範囲が特定できない場合には、フェーズ2以降の調査の実施範囲も広くなるため、調査全体に必要な費用は高くなります。
このように、様々な要因によって費用は大きく変動するため、明確な費用の単価表示は難しく、公表していない企業がほとんどですが、一般に地歴調査にかかる費用の相場は、10万円~40万円ほどになります。