土壌汚染対策に関わるためには実務経験も必要ですが、土壌汚染対策法に基づく指定調査機関は技術管理者を専任しなければならなく、その技術管理者になるためには、国家資格「土壌汚染調査技術管理者試験」に合格しなければなりません。今回は土壌汚染対策法に基づく調査・指定調査機関について述べた後、こちらの「土壌汚染調査技術管理者試験」についてご紹介していきます。

土壌汚染対策法の目的

土壌汚染とは、土壌が人間にとって有害な物質によって汚染された状態をいいます。原因としては工場の操業に伴い原料として用いる有害な物質を不適切に取り扱ってしまったり、有害な物質を含む液体を地下に染み込ませてしまったりすることなどが考えられます。土壌汚染の中には人間の活動に伴って生じた汚染だけでなく、自然由来で汚染されているものも含まれます。

この土壌汚染による人の健康被害を防止するために出来たのが土壌汚染対策法です。土壌汚染対策法では、土壌汚染を見つけ(調査のきっかけ及び方法)、公に知らせ(区域の指定及び公示)、健康被害が生じる恐れがある土地は汚染の除去等の措置を行い、健康被害が生じないような形で管理していく(形質変更時及び搬出時の事前届出等)しくみを定めています。(1)

土壌汚染対策法に基づく指定調査機関について

土壌汚染が見つかった場合、土壌汚染対策法に基づく調査を行わなくてはなりません。この土壌汚染状況調査には大きく分けて4つあります。

①有害物質使用特定施設の使用の廃止時

②一定規模以上の土地の形質変更の届出の際に土壌汚染のおそれがあると都道府県知事が認めるとき

③土壌汚染により健康被害が生ずるおそれがあると都道府県知事が認めるとき

④自主調査

いずれも環境大臣又は都道府県知事が指定する指定調査機関が環境省令で定める方法により調査を行わなければならなくなっています。

この土壌汚染対策法に基づく指定調査機関とは、土壌汚染対策法第3条、第4条、第5条及び第16条に基づいて土壌汚染状況調査等を実施することのできる唯一の機関のことです。指定調査機関以外が行う調査は法に基づいた調査とはなりません。指定調査機関は、土壌汚染状況調査等を行うことを求められた時には、正当な理由がある場合を除き土壌汚染状況調査等を行わなければならない義務が課せられています。

土壌汚染の調査は、試料の採取地点の選定、試料の採取方法などにより結果が大きく左右されるため、調査結果の信頼性を確保するためには調査を行うものに一定の技術的能力が求められます。そのため、調査を的確に実施出来る者を環境大臣又は都道府県知事が指定し、土壌汚染対策法に基づく調査を行う者は、当該指定を受けたもののみに限るとともに、指定調査機関について、必要な監督等を行っています。(2)

土壌汚染調査技術管理者試験について

土壌汚染調査技術管理者試験は、環境大臣が実施する土壌汚染対策法に基づく技術管理者の資格取得のための試験です。先述したように土壌汚染対策法に基づく指定調査機関は、土壌汚染状況調査等の技術上の管理をつかさどる者として技術管理者を専任し、土壌汚染状況調査等に従事する他の者を監督させなければなりません。

技術管理者は環境大臣が実施する試験に合格し、環境大臣が交付する技術管理者証の公布を受けた者である必要があります。(3)

この技術管理者の制度は平成22年の土壌汚染対策法改正によって指定調査機関の指定基準の厳格化の一貫であり、土壌汚染調査技術管理者試験に合格した技術管理者、3年以上の実務経験等がなければ指定調査機関としての要件を満たせず土壌汚染対策法に基づく調査を行うことが出来ません。

令和4年度の土壌汚染調査技術管理者試験概要

令和5年度の土壌汚染調査技術管理者試験についてはまだ概要が発表されていません。試験日時や試験会場等は変更があると思いますが、受験資格や出題分野などは変更がほとんどないと思うので、昨年令和4年度の試験概要を紹介します。

受験資格

年令、学歴、実務経験などに関係なく受験できます。

注 技術管理者証の発行には土壌汚染対策法に基づく指定調査機関及び指定支援法人に関する省令第5条第1項第2号の規定に適合することを証明した書類が必要です。

②試験方法

土壌汚染状況調査等を的確かつ円滑に遂行するために必要な知識及び技能を有するかどうかを判断します。

筆記試験(択一式マークシート方式)

③出題分野

.土壌汚染の調査に関する技術的事項

.土壌汚染の対策並びに汚染土壌の搬出、運搬及び処理に関する技術的事項

.土壌汚染対策法そのほか環境関係法令に関する事項

④受験手数料

土壌汚染調査技術管理者試験受験手数料6,400

受験申請に必要なもの

.受験申請書:一式

.収入印紙

Ⅲ.写真1

.申請書送付用封筒

土壌汚染調査技術管理者試験について| 環境省 (https://www.env.go.jp/water/dojo/kikan/exam/post_23.html)より

技術管理者証交付のための申請手続き

土壌汚染調査技術管理者に合格した後、技術管理者証の交付を受けるためには、技術管理者試験合格後、別途手続きが必要になります。

以下①~⑥を揃えて交付申請書を土壌汚染調査技術管理者試験運営事務局に送付しなくてはなりません。

①技術管理者証交付申請書(合格通知に同封)

②収入印紙

③本籍の記載のある住民票の写し

④技術管理者試験の合格証書(原本)

⑤土壌汚染対策法に基づく調査機関及び指定支援法人に関する省令第5条第1項第2号の規定に適合することを証明した書類

以下のイ~ハのいずれかに該当する者である必要があります。

.土壌の汚染の状況の調査に関し3年以上の実務経験を有する者(3年以上とは、技術管理者証の交付申請時において、年1回以上調査を実施した年が3回以上あり、かつ、最初に調査を行った時期から交付申請日までに3年間以上の期間が経過していることが必要です。)

.地質調査業又は建設コンサルタント業(地質又は土質に係わるものに限る。)の技術上の管理をつかさどる者

.土壌の汚染の状況の調査に関しイ及びロに掲げる者と同等以上の知識及び技術を有すると認められる者

⑥交付申請手数料

合格した日から3年以内に技術管理者証の交付申請を行わなければ合格証書が無効となるので注意が必要です。

パンフレット「令和4年度 土壌汚染調査技術管理者試験受験の手引き」| 環境省 (https://www.env.go.jp/content/000038974.pdf)より

技術管理者証の更新・再交付について

技術管理者証には有効期限があり、5年で更新となります。有効期限の更新を受けたい場合は、有効期限が満了する日の1年前から満了する日までの間に、環境大臣が行う講習を受講し、更新講習を修了した旨の証明書を受け取り、これを添付して環境大臣に提出する必要があります。更新講習を受講しただけでは技術管理者証は更新されないため注意が必要です。また、技術管理者証の有効期限が満了する日の直前ではなく可能な限り早めに受講・申請することが大切です。

技術管理者証の交付を受けている者が技術管理者証を破り、汚し、又は失ったときは、再交付の申請ができます。再交付の場合は指定の申請書に再交付申請手数料分の収入印紙を貼ることにより納付して申請する必要があります。

最後に

昨年令和4年度の土壌汚染調査技術管理者試験の受験申請者数は979名、受験者数は748名、合格者数は113名の合格率は15.1%でした。年に1回の試験なので計画を立てて勉強することが大切です。また令和5年度以降の試験概要についてはまだ発表されていないため受験を希望される方は、環境省のホームページを随時チェックすることをおすすめします。

株式会社エコ・テックの土壌汚染対策工事について

株式会社エコ・テックでは、調査・分析だけでなく対策方法のプランニングや土地の活用方法のご提案まで、土壌汚染の専門家として様々なアドバイスを行っています。土壌汚染にまつわる一連の問題解決に向け、調査から浄化、リサイクルまで、トータルで承ります。全国(東京・名古屋・大阪・岡山・福岡等)で、無料相談・無料見積もりを実施しておりますので土壌汚染に関するご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

(1) パンフレット「土壌汚染対策法のしくみ」| 環境省 (https://www.env.go.jp/water/dojo/pamph_law-scheme/index.html)

(2) 土壌汚染対策法に基づく指定調査機関の指定について| 神奈川県 (https://www.pref.kanagawa.jp/docs/pf7/dojyou/tyousakikan-sitei.html)

(3) 土壌汚染調査技術管理者試験について| 環境省 (https://www.env.go.jp/water/dojo/kikan/exam/post_23.html)

 

参考URL

土壌汚染対策法について(法律、政令、省令、告知、通知)| 環境省 (https://www.env.go.jp/water/dojo/law/kaisei2009.html)

土壌汚染調査技術管理者試験について| 環境省 (https://www.env.go.jp/water/dojo/kikan/exam/post_23.html)

令和4年度土壌汚染調査技術管理者講習について| 環境省 (https://www.env.go.jp/water/dojo/kikan/exam/post_25.html)