アスベストみなし判定とは

アスベストみなし判定とは、建築物や製品に含まれるアスベストの存在を法的に認定するプロセスのことを指します。この判定は、特に建築物の解体や改修の際に重要となり、アスベストの安全な取り扱いや除去作業を行うための基準となります。対象建材に対し、「アスベストが入っているものとして扱う」ことが出来る判定で、アスベスト含有の有無を判断するには、アスベスト分析の専門機関に分析を依頼する必要がありますが、この分析を行わずにアスベストが含有しているものとして扱う方式をみなし判定と言い、厚生労働省の石綿飛散漏えい防止対策徹底マニュアルでも試料の採取→分析に並び、「石綿ありみなし」としてみなし判定が定義されています。

アスベストみなし判定の流れ

アスベストみなし判定のプロセスとして、まずは専門家が建築物や製品のサンプルを採取します。その後顕微鏡などを用いた分析によって、アスベストの種類と含有量を特定します。建築物等に対する調査を行った結果、石綿の含有の有無が不明である場合において分析を行いますが、分析を行わずに石綿含有「みなし」とすることができます。

その際に具体的には同一と考えられる建材後とに、主に次のような要素を踏まえて環境負荷や石綿対策に要する費用などが比較考量されて選択されています。

・再資源化の要否
(簡単に石綿が有りとするのではなく、石綿なしを証明して再資源化すべきものかどうか)

・石綿ばく露・飛散防止対策や廃棄物処理に要する費用
(石綿ではないと証明できた場合のコスト減少 保温材・断熱材等 > 成形板等 等)

・石綿の含有の可能性
(可能性が低いほど分析により含有の有無を判定した方がトータルてコストが下がる場合が多い一方で、可能性が高いほどみなしが効率的となる可能性があります。)

石綿含有の有無が不明な建材については分析を行うか、石綿含有みなしとするか選択する必要がありますが、特に分析検体数によって費用等が変わってくることから、発注者等に分析検体数を個別に相談する必要があることが多いです。

アスベストみなし判定の対象

建築物の解体・改修時

建築物の解体や改修工事を行う際、特に建物が古い場合、アスベストが使用されている可能性があります。このような状況では、アスベストの存在を確認し、適切な対策を講じる必要があります。

工業製品の分析

過去にアスベストが広く使用されていたため、古い機械や器具にも含まれている可能性があります。これらの製品の分析と評価も、みなし判定の対象となります。

アスベストみなし判定で見落としやすいケース

内装等の内側に石綿建材が隠れている例や、一区画のみ石綿建材が使用されているケースなどでは、見落としやすい例があります。以下にその例を記載します。

・内装仕上材(天井ボード、グラスウールやセメント板等)の下に石綿含有吹付け材が存在するケース(過去の囲い込み工事等によるものなど)

・石綿含有吹付け材の上からロックウール(石綿含有:無し)が吹き付けられているケース

・耐火建築物、鉄骨梁への耐火被覆吹付けロックウール施工時に他部材へ吹きこぼれたケース(またはこれらを見落とし、天井上吹付けロックウール等の脱落・堆積物を見逃すなど)

・鉄骨造の柱・梁に石綿含有吹付け材が存在し、その内装仕上げ材としてモルタル等が使われているケース

・鉄骨造の柱に吹き付けられた石綿含有吹付材の周囲をブロック等で意匠的に囲われている場合

・天井の一部に仕上材(意匠)として石綿含有吹付け材が使用されている場合や、鋼板の仕上材の裏打ちとして石綿含有ロックウール等が吹き付けられているケース

・準耐火建築物の防火区画、異種用途区画などのために、建物全体の主要構造部(柱、梁、床、階段)の耐火被覆ではなく、建物の一部分の主要構造部(柱、梁、床、階段)に耐火被覆として石綿含有の吹付け材を使用しているケース

RC内壁に青石綿が吹き付けられ(想定:改修時など)、その上にラス網を張りモルタル+ブラスター塗り仕上げが行われているケース

・敷居のない大輝なフロアで奥など特定の1区画のみ石綿等で吹き付けられている

・煙突内部が綿状ではなく、成形板の形状の断熱材を見間違ってしまうケース
煙突用断熱材の調査における注意点として、昭和52(1977)年よりライナー層と断熱層の二重構造となったため、一見するとスレート管があるだけで断熱材はないものとして見落としがちです。内部に断熱材がないか確認することは必須です。 (昭和 39(1964)年以降煙突用断熱材が存在しますが、昭和 52(1977)年までは、断熱材が露出した施工方法であるため、目視による確認がしやすいです。)

(カポスタック)アモサイトフェルト状とライナー付き二重構造製品
(ハイスタック・パールスタック)ライナーだけの煙突断熱材があることも見逃しがちです。

・外装(外壁や柱)のボードや金属パネルの内側に耐火被覆板が使用されているケース

・外壁とコンクリート床の取り合い(上階と下階を区画する)の層間塞ぎとして詰められ、モルタル等で仕上げられているケース

・防火区画の貫通部(給排水及び電気設備)に石綿吹付け材・石綿含有建材等が使用されている例

・石綿含有吹付け材が使用された機械室や、地下フロア等が用途変更により石綿含有吹付け材が使用された天井等が天井ボード等で仕切られている例

・防耐火構造認定にあるように、壁や天井、柱等に下地構造によっては複層板や同種成形板の複層張りや、異種成形板の複層張りが存在するケース

・階段裏の石綿含有の建材をプラスチックシートで養生の上、岩綿吸音板で張仕上をしている例

・配管保温材のエルボー部だけでなく、直管部に石綿含有保温材が使われていたケース。

ALC板の層間塞ぎにロックウール充填が図面に指示され、充填忘れもしくは外れている 状況などがあります。近くにはファスナー部の耐火被覆を見ることもできますがわかりにくいケースです。

・玄関のひさしの中、ラリ内(結露防止や震動音防止のため)、シャフト内、パイプスペース、カーテンウォール裏打ち

・目視できる高さにない細部のキャンパスの継ぎ手や機械室、最上階天井裏スラブや防火壁の欠き込み部分変電器裏の見えない部分に石綿等が吹き付けられているケース
けい酸カルシウム板第2種は、耐火被覆として多く使用されていますが、表面は塗装や化粧紙を貼っているために、外部からでは分かりにくい場合があります。外壁などの外部、サッシ廻りや目地のコーキング剤、煙突、屋上ルーフィングなどにも注意が必要です。

・システムキッチンのシンクの裏側に防音塗料が使ってあり、そこにアスベストが含有しているケース

・観客席天井仕上の下地リブラス張に吹き付けられた石綿の一部が、リブラスの編み目を通り抜けるなどし、吊りボルトや金物、天井建材などにも付着・堆積している例

・梁をモルタルで仕上げられた際に、天井に吹き付けられた石綿をモルタルが噛み込んでいて、その部分の除去が漏れている例

これらのケースには特に注意が必要です。

アスベストがよく使われている箇所について

建築物等の構造や目的、建材の種類などにより、使用されている建材が類推できます。

・建材種類別の多用箇所

・防火規制・用途等による多用箇所

 

この記事ではアスベスト調査のみなし判定について記載させていただきましたが、より詳細の説明やデータなどが必要な場合は、関連する研究機関や公的機関の資料を参照することをお勧めしておりますが、株式会社エコ・テックではアスベスト調査分析や除去、解体工事まで幅広い範囲の対応を日本全国で行なっております。専門家として豊富な実績を保有しておりますので、アスベスト調査に関するご相談はお気軽にエコテックまでお問い合わせください。